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第四章 脚光を浴びる
第99話 剣作り
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「…で、反省は?」
「非常に反省しております」
俺はセドリックの目の前で正座していた。理由は勿論、先程から石台の上で
膨大な魔力を放出している剣である。
「はぁ~…あの魔力放出量、危ない事ぐらい分かってるよね?」
「勿論でございます。あなた様が止めに入らなければ外にどんな影響が
あったか分かりません」
しょぼんと肩を竦める。これに関しては俺が完全に悪い。あんな剣側から見れば
完全な魔剣だもんね…なんせ膨大な力を放出する空間を50も内包する剣なんて。
「もう…剣に空間籠める、しかも濃密で超不安定なのを?50個も?」
「早急に対策致します」
それこそ使う人を間違えたら空間ごとこの星がスパン!だろうなぁ…
セドリックは再び思いっきりため息を吐く。
「いや、そのままで良いよ。寧ろこれを壊すのも大変そうだもん」
「それはそうだろうな。こんなに膨大な力を放出し常に周りの空間や時間、物体を
食い尽くす剣、無力化するのも惜しい。安全性を確保したり持ち主を固定したり
して運用してやるのが良いのでは無いか?」
レシアルドもコレを残すよう言っている。幸い、まだ完成していないからそれ位の
機能ならつけれるな。
「ではそうするので、このまま完成させても宜しいでしょうか?」
「良いよ。ただ…敬語は辞めて。急にそれは全身に悪寒が…」
ゾゾゾーと震えるセドリックに、俺は僅かに笑う。
「分かってるよ。ちゃんと対策もするから。結界も張って余分な魔力は還元
するし、迷惑にならない様にするよ」
「ん、お願いね。けど、アレを何の断りも無しにされるとこっちもビビるから、
やるんだったら一言言ってね」
苦笑いする彼に、俺は『分かった』と微笑んで返した。
俺は不安定になっている空間の反応を鎮め、再び刀身などを作り始める。
安全装置や出力調整装置などの術式を埋め込みつつ、1.5アブデリほどの刀身を
作った俺は、柄の部分を作り刀の様に皮を巻いてつける。十字に組んである骨の
飛び出た部分に青色と黄色に染色した金属を付け、軽く装飾を掘ったり付けたり
する。最終的に鱗模様をしたガードになった。
(これでひとまず外観は完成…と)
その後、俺は刃を研いで研いで研いで研ぎまくって、鋭さを大幅に上げる。
そして、俺はこの研ぐ作業が果てし無く長い事を経験則で知っていた。
3日くらい経っただろうか。全員が黙々と研ぐ作業をしている中で、俺は研ぎを
仕上げる。仕上げ用の研磨剤で磨き切った後、俺は剣を見て鏡面仕上げに
なっている事を確認する。刃先は探知で測って満足のいく出来で有ることを確認
した。さらに中に埋め込んだ結界魔法の術式を発動させ、
刃先が潰れるのを防ぎ、さらに切れ味をもっと上げる。
「出来た!」
「出来たの?早いね!」
他の奴らも寄ってくる。俺は安全装置を全部発動し、『ただの頑丈な剣』にして
見せる。レシアルドはそれをじっと見た後、全てを見透かした目で俺を見る。
「成程、制限された広さだけだが空間を74個有しているな。それを完璧に封じる
程の高度な制限・封印魔法も見事だ」
「でしょでしょ?お陰で魔力も大分使ったよ」
最早魔剣を超えて何か別の存在にも感じられるその剣を俺は鞘に納める。
セドリックは『僕のもそろそろ完成するから見て』と制作途中の剣を指差す。
俺は自分の剣を持ってセドリックの制作台に移動する。
彼の剣は、俺とは違った意味で化け物の使う剣だった。あと少しで研ぎ終わり
そうな剣の周りには、周りを穿つ力では無くて充す力を放っている。魔力の余波で
石台の上には草が生え水溜りの様な物が所々で煌めき、それらが未知の方法で
照らされ光を反射している。
「凄い…」
「生命の力を感じるな」
「何かは分からないけど、気が凄い」
俺のが世界の創世を扱う剣なら、彼のはそこに生気を吹き込む剣だな。ブレアは
何か力を敏感に感じたり詳細な情報を探ったりする事は出来ないが、それでも
この剣の力を感じれる程だ。セドリックは頭をポリポリ掻きながら言う。
「いやぁ~…アランが真面目に凄そうな物作ってたから負けたく無いなーって
つい力を込め過ぎた…」
「…俺の事言えないじゃん」
自然と外に影響が出ない様に制限しただけ俺より良いか、と心の中で呟く。
特に理由も無く、鑑定で目の前に並んだ2つの剣を見てみる。
…………………………
名前:無し
製作者:アラン・ベネット
物品区分:剣
物品ランク:大王
特性:74の世界と同等の力を持つ。
一振りでその場に別の空間を作れる。
持ち主以外は正しく扱えない。
全てを貫き、斬る。
固定の持ち主以外には使われない。
…………………………
…………………………
名前:無し
製作者:セドリック・ベネット
物品区分:剣
物品ランク:大王
特性:一振りで生気を辺りに与える事が出来る。
持ち主以外は正しく扱えない。
全てを貫き、斬れる上に塞ぎ、繋げれる。
固定の持ち主以外には使われない。
…………………………
物品ランク…最下<下<中<上<特上<錬(<越<極<天<王<大王)で別れ、
人間の到達出来る限界が錬で、それ以上は自然発生か多種族の力に頼って
作られる。それでも、剣については最高位の大王は自然発生で世に5本と無い。
治癒薬などは大王のそれなど、まずこの世に無い。
極のそれですら細胞を活性化させ死すら回避出来る時がある代物だ。
「わお、この件両方ともランク『大王』だって」
「へぇ、中々な上物作ったんだなぁ」
のほほんと言う彼らをブレアは微妙な顔で見つめるのだった。
当の彼の剣も、ランク『天』である事は彼は未だ知らない。
「非常に反省しております」
俺はセドリックの目の前で正座していた。理由は勿論、先程から石台の上で
膨大な魔力を放出している剣である。
「はぁ~…あの魔力放出量、危ない事ぐらい分かってるよね?」
「勿論でございます。あなた様が止めに入らなければ外にどんな影響が
あったか分かりません」
しょぼんと肩を竦める。これに関しては俺が完全に悪い。あんな剣側から見れば
完全な魔剣だもんね…なんせ膨大な力を放出する空間を50も内包する剣なんて。
「もう…剣に空間籠める、しかも濃密で超不安定なのを?50個も?」
「早急に対策致します」
それこそ使う人を間違えたら空間ごとこの星がスパン!だろうなぁ…
セドリックは再び思いっきりため息を吐く。
「いや、そのままで良いよ。寧ろこれを壊すのも大変そうだもん」
「それはそうだろうな。こんなに膨大な力を放出し常に周りの空間や時間、物体を
食い尽くす剣、無力化するのも惜しい。安全性を確保したり持ち主を固定したり
して運用してやるのが良いのでは無いか?」
レシアルドもコレを残すよう言っている。幸い、まだ完成していないからそれ位の
機能ならつけれるな。
「ではそうするので、このまま完成させても宜しいでしょうか?」
「良いよ。ただ…敬語は辞めて。急にそれは全身に悪寒が…」
ゾゾゾーと震えるセドリックに、俺は僅かに笑う。
「分かってるよ。ちゃんと対策もするから。結界も張って余分な魔力は還元
するし、迷惑にならない様にするよ」
「ん、お願いね。けど、アレを何の断りも無しにされるとこっちもビビるから、
やるんだったら一言言ってね」
苦笑いする彼に、俺は『分かった』と微笑んで返した。
俺は不安定になっている空間の反応を鎮め、再び刀身などを作り始める。
安全装置や出力調整装置などの術式を埋め込みつつ、1.5アブデリほどの刀身を
作った俺は、柄の部分を作り刀の様に皮を巻いてつける。十字に組んである骨の
飛び出た部分に青色と黄色に染色した金属を付け、軽く装飾を掘ったり付けたり
する。最終的に鱗模様をしたガードになった。
(これでひとまず外観は完成…と)
その後、俺は刃を研いで研いで研いで研ぎまくって、鋭さを大幅に上げる。
そして、俺はこの研ぐ作業が果てし無く長い事を経験則で知っていた。
3日くらい経っただろうか。全員が黙々と研ぐ作業をしている中で、俺は研ぎを
仕上げる。仕上げ用の研磨剤で磨き切った後、俺は剣を見て鏡面仕上げに
なっている事を確認する。刃先は探知で測って満足のいく出来で有ることを確認
した。さらに中に埋め込んだ結界魔法の術式を発動させ、
刃先が潰れるのを防ぎ、さらに切れ味をもっと上げる。
「出来た!」
「出来たの?早いね!」
他の奴らも寄ってくる。俺は安全装置を全部発動し、『ただの頑丈な剣』にして
見せる。レシアルドはそれをじっと見た後、全てを見透かした目で俺を見る。
「成程、制限された広さだけだが空間を74個有しているな。それを完璧に封じる
程の高度な制限・封印魔法も見事だ」
「でしょでしょ?お陰で魔力も大分使ったよ」
最早魔剣を超えて何か別の存在にも感じられるその剣を俺は鞘に納める。
セドリックは『僕のもそろそろ完成するから見て』と制作途中の剣を指差す。
俺は自分の剣を持ってセドリックの制作台に移動する。
彼の剣は、俺とは違った意味で化け物の使う剣だった。あと少しで研ぎ終わり
そうな剣の周りには、周りを穿つ力では無くて充す力を放っている。魔力の余波で
石台の上には草が生え水溜りの様な物が所々で煌めき、それらが未知の方法で
照らされ光を反射している。
「凄い…」
「生命の力を感じるな」
「何かは分からないけど、気が凄い」
俺のが世界の創世を扱う剣なら、彼のはそこに生気を吹き込む剣だな。ブレアは
何か力を敏感に感じたり詳細な情報を探ったりする事は出来ないが、それでも
この剣の力を感じれる程だ。セドリックは頭をポリポリ掻きながら言う。
「いやぁ~…アランが真面目に凄そうな物作ってたから負けたく無いなーって
つい力を込め過ぎた…」
「…俺の事言えないじゃん」
自然と外に影響が出ない様に制限しただけ俺より良いか、と心の中で呟く。
特に理由も無く、鑑定で目の前に並んだ2つの剣を見てみる。
…………………………
名前:無し
製作者:アラン・ベネット
物品区分:剣
物品ランク:大王
特性:74の世界と同等の力を持つ。
一振りでその場に別の空間を作れる。
持ち主以外は正しく扱えない。
全てを貫き、斬る。
固定の持ち主以外には使われない。
…………………………
…………………………
名前:無し
製作者:セドリック・ベネット
物品区分:剣
物品ランク:大王
特性:一振りで生気を辺りに与える事が出来る。
持ち主以外は正しく扱えない。
全てを貫き、斬れる上に塞ぎ、繋げれる。
固定の持ち主以外には使われない。
…………………………
物品ランク…最下<下<中<上<特上<錬(<越<極<天<王<大王)で別れ、
人間の到達出来る限界が錬で、それ以上は自然発生か多種族の力に頼って
作られる。それでも、剣については最高位の大王は自然発生で世に5本と無い。
治癒薬などは大王のそれなど、まずこの世に無い。
極のそれですら細胞を活性化させ死すら回避出来る時がある代物だ。
「わお、この件両方ともランク『大王』だって」
「へぇ、中々な上物作ったんだなぁ」
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