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第二章 駆け出し

第29話 重力加速度訓練2 セドリックside有り

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アランが立ち去った後、僕セドリック・ベネットはブレアの訓練の補助をしていた。

「ぐぐぐぐ…」

僕のかけた重力に抗う形でブレアも身体強化ビルドの魔力放出量を上げている。このままだと後4~5分で魔力切れを起こすかもしれない。そうならないように魔力を分けてあげないと。



……50分くらい経ったかな?今ブレアには59倍の重力がかかってる。目標は45分って言ったけど、案外頑張ってる。最初の方は会話する余裕もあったけど今は体を保つのに精一杯そうだ。現に、ブレアの額には脂汗が滲んでいる。止めるのも悪いし、このまま頑張ってもらおう。と思った、その時。

「がはっ!」

溜めてた息が吐ける音と共に、ブレアが手に持っていた旗を取りこぼした。それと同時に体も力が抜け地面に倒れる。僕は慌てて魔力を切り、ブレアの頭にクッションを出した。ブレアはそれに体ごと倒れ込む。

「大丈夫?よく頑張ったね」

僕はタオルで優しく顔を拭いてあげながら語りかける。ブレアは息を切らしながらもなんとかタオルで自分の顔を拭こうと試みている。無理は禁物だと言うのに。

「あり…がとう…」

僕はそっと鑑定ジャッジを発動し、ブレアのステータスを見る。

………………………………………

名前:ブレア・アスピオン
種族:人族
性別:男
年齢:13
健康状態:やや快調

装備品:

体力:5/19384
魔力値:3/65884

属性:火、水、光
スキル:保持…非概念的事象の位置や勢い、質量などを保つ。(進化スキル)
    心眼…近距離にいる生物の思っている事を部分的に
       知る事が出来る。(進化スキル)
特殊効果:

備考:非常に疲れている。早急な休養を要する。

………………………………………

うん。いい感じ。

「鍛錬の成果もあって、ちゃんと成長してるよ。頑張ったね」
「そう…ですか…」

まだ肩で息をするブレアは、立ち上がるのすら厳しそうだ。僕はブレアを背負ってアランが模様替えしてるであろうブレアの部屋に急ぐ。

「ただいま~終わったよ~」
「おお、おかえり…ってブレア寝ちゃってる。ベットメイキングは終わってるよ」

アランは苦笑して汗が滲みないようタオルが敷いてあるベットにブレアを寝かせた。ブレアは直ぐにすうすうと寝息を立ててすっかり寝に入ってしまった。アランは寝ているブレアの顔にかかっている前髪を退けながら僕に質問をする。正直言って、アランはブレアのことを自分の子供のように思ってるんじゃないかな?聞かないけど。

「鍛錬、どうだった?…なんて聞かなくていいか!これみれば一目瞭然だし」

僕が答える前にそう言われて僕はアランを見た。

「セドリックもお疲れ。ご飯作ってあるから先食べてよう。ブレアには起きたら食べるよう言っといてくれない?」
「分かった」

僕たちは食卓に移動し、アランはテーブルにゆがき肉サラダを置いた。あれ?これ、僕が今一番食べたいって思ってた物だ。不思議そうにしている僕の顔に気づいたのか、アランは微笑んで言った。

「これ好きでしょ?なんとなく分かったよ。伊達に15年兄弟やってないからね」

成る程。さっきのお返しと言うわけだ。僕も釣られて笑った。

「アランはこのあとどこかに行くの?買い物とかなら付いてくけど」
「ん?ああ、ちょっと魔法についての本とか探しにぶらぶらするつもりだよ。だけどセドリックはブレアの側にいてやって」

シャクシャクと野菜を咀嚼しながら言うアランに不覚にも噴いてしまった。ふふ。こう言う優しさが、僕の心の拠り所になっていたのかな。

ーーーーーーーここからアランsideーーーーーーー

昼飯を食べた俺は王都の市場をぶらぶら回っていた。バジ隕鉄で稼いだ大金貨3枚の使い所に迷っていたので魔法書でも買おうと思ったのだ。

思い立ったが吉日ということで、今俺は書店の中で魔法書をポンポン手に取りカゴに入れている。

「基礎魔法や魔法の構造についてはこんな物でいいかな…?」

一応、実家の書斎にもそこそこの蔵書がありその中の半分くらいを家を出る時に持って来たので、今は少し応用的な内容の本が個人的には欲しい。大体5冊ほどカゴに入れた時、書店の店長オーナーが近寄って話しかけてきた。

「いらっしゃい。魔法についての本を探しているのかな?」
「あ、はい。応用的な内容の物をですね」
「ふむ、と言うと…ここからここまでがそれに当たるかな?」

店長は俺を連れてテクテク歩き、分厚い本が陳列している棚に案内してくれた。ざっと見積もって150冊ぐらい?本のタイトルも昔風のシンプルな物になっている。俺は適当な本を手に取っては、戻すのを繰り返す。

「これとかどうだい?『時空魔法の発現力』とか。『再生・蘇生魔法の全て』とか。これらはみんな350年くらい前の強力な魔法士の著書のレプリカだねぇ」
「へぇ~」

俺は店長の紹介してくれた本をカゴに入れて、あと2、3冊追加で買ってから書店を後にした。
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