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「勿論ですよ!」



なのに結ちゃんは迷わず肯定を示す返事をした。あんまりにも間髪入れず返事されるもんだから、上ずった声を出しそうになる。

そんな俺に対して、結ちゃんは睫毛伏せて控えめに続ける。



「さっきも言った気がするけど・・・・・・やりたい事もあったんですよ?死にたかったわけでもないし・・・でも、最後に色々嬉しい事もあったし、解決できた事もあったし。それに、中山さんとも仲良くなれたしね」



えへへ、と照れを見せる結ちゃんを直視できなかった。

それは俺の場合照れとかじゃなくて、単純に嬉しかったから。そんで、その嬉しさのせいで目から出そうになるそれを、見られたくなかったから。



「だから・・・」



結ちゃんの声は声のトーンはそのままなのに、一気に声量が小さくなった。

反射的に顔を上げると、そこにはさっきと比にならない程透けている彼女の姿がある。見える・・・とはいえど、もはや見えるか見えないかのギリギリなラインだ。



「・・・・・・結ちゃ・・・」



もう一度、彼女の名前を呼びかけた。

それが届いたか否か、結ちゃんは明るい笑顔を見せて



「ありがとう中山さん!裂によろしく伝えといて!!出来れば『 私が居なくなってもあなたをずっと愛してる』って伝えてほしいな・・・」



そう言った彼女は俺の目の前から、完全に消えた。

元々説明の付けようがない、わけのわからない存在だったのだ。だからまだ、そこら辺にいる気がして。

ゆっくりと部屋を見渡しても、俺の目が彼女の姿を映す事は、もうなかった。



「・・・・・・やっぱ俺、カッコ悪ぃ」



そう呟いた途端、俺の目から零れ落ちたそれは、結ちゃんのそれと同じように消える・・・・・・とはいかず、少しずつ俺の服を濡らしていった。
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