11 / 39
11
しおりを挟む
それから暫く時間も経ち、なんとなく事情聴取から解放されそうな雰囲気になる。
バレないように静かに帰り支度をしていると
「うわ、なんかあの道、すげぇ混んでる」
「え、どれどれ?うわ、本当だ」
中山さんが窓の外に視線を向け、ポツリと呟いた。それにつられるように悠真も視線をやる。
俺も一応チラッと横目に確認した。
確かに、今いる二階からも確認できるくらいの結構な人混み。しかも不運な事にそこは、俺が普段大学の行き来で使っている道だった。あれでは通れそうにない。
仕方ないから、遠回りになるけど違う道を通って帰ろう。それで少しでも気持ちを落ち着かせて、結に謝ろう。
「じゃあ俺、帰ります」
「あ、じゃーな!!」
俺がそう言うと、中山さんは窓の外を見たまま、片手を振って返事をした。悠真もこちらを見ずに「じゃあね」とだけ言ってくれた。
2人とも俺が帰るのを気にする様子もなく、なんだ杞憂だったな、と1人自嘲した。
でもそれだけ、あの道が彼らの興味を引いている、というわけで。角度的に少し反射して見えなかったけど、何かあったんだろうか。
そんな事を考えつつ、俺は近くの階段から下の階へ下りていった。
「・・・あ、救急車だ」
「え、じゃあ事故?物騒だな!!」
「本当ですね。」
悠真と中山さんがこんな会話をしていたとは会話はつゆ知らず。
バレないように静かに帰り支度をしていると
「うわ、なんかあの道、すげぇ混んでる」
「え、どれどれ?うわ、本当だ」
中山さんが窓の外に視線を向け、ポツリと呟いた。それにつられるように悠真も視線をやる。
俺も一応チラッと横目に確認した。
確かに、今いる二階からも確認できるくらいの結構な人混み。しかも不運な事にそこは、俺が普段大学の行き来で使っている道だった。あれでは通れそうにない。
仕方ないから、遠回りになるけど違う道を通って帰ろう。それで少しでも気持ちを落ち着かせて、結に謝ろう。
「じゃあ俺、帰ります」
「あ、じゃーな!!」
俺がそう言うと、中山さんは窓の外を見たまま、片手を振って返事をした。悠真もこちらを見ずに「じゃあね」とだけ言ってくれた。
2人とも俺が帰るのを気にする様子もなく、なんだ杞憂だったな、と1人自嘲した。
でもそれだけ、あの道が彼らの興味を引いている、というわけで。角度的に少し反射して見えなかったけど、何かあったんだろうか。
そんな事を考えつつ、俺は近くの階段から下の階へ下りていった。
「・・・あ、救急車だ」
「え、じゃあ事故?物騒だな!!」
「本当ですね。」
悠真と中山さんがこんな会話をしていたとは会話はつゆ知らず。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
会うたびに、貴方が嫌いになる
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
長身の王女レオーネは、侯爵家令息のアリエスに会うたびに惹かれた。だが、守り役に徹している彼が応えてくれたことはない。彼女が聖獣の力を持つために発情期を迎えた時も、身体を差し出して鎮めてくれこそしたが、その後も変わらず塩対応だ。悩むレオーネは、彼が自分とは正反対の可愛らしい令嬢と親しくしているのを目撃してしまう。優しく笑いかけ、「小さい方が良い」と褒めているのも聞いた。失恋という現実を受け入れるしかなかったレオーネは、二人の妨げになるまいと決意した。
アリエスは嫌そうに自分を遠ざけ始めたレオーネに、動揺を隠せなくなった。彼女が演技などではなく、本気でそう思っていると分かったからだ。
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる