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②ゆうしゃは おんなのこに なった!

3.つかいまの こうげき

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「は…………?」

 意味がわからない。
 全く、意味が、わからないぞ。
 身体の熱はさざ波のように引いていったものの、今度は頭がオーバーヒートだ。

「……淫魔は性のホルモンを操ることが出来る、ってアンタなら知ってますよね」
「プラ、チア……?」
「今日の朝食にちょっとそういうの混ぜときましたんで」
「え……、いや、そういうの、って……、アバウトすぎるだろう……!?」
「でははっきり教えてやろう。貴様は正真正銘女の身体になったのだ、アレクよ。これで女装ではなくなったな」
「おんな、の……?」

 自分で反芻しておきながら、現実を認めることが出来ない。気のせいなどではなく確かに消えた感触に呆然として、仄かに苦しくなった胸に嫌な予感を覚える。

「信じられないなら、これ見てください」
「これ、って……、……っ!!!??」

 プラチアがどこからか取り出したのは、全身が映る大きな姿見だった。前と後ろに、合わせ鏡のようにふわりと配置してくる。それを直視してしまったオレは、嫌でも自分の姿を見せつけられることになった。
 少しだけ伸びた髪、耳まで赤くなった相貌、華奢になった身体、小さいながらに押し潰されてると分かる胸、捲れたスカート、露になっている下半身……。どこからどう見ても絶世の美少女が、そこにいた。なるほど、女になってもオレの美しさは健在だな!……じゃなくて!!!

「なん、だ、これ……っっ!!?」
「今から我の朝食の時間だ。大人しくしていろ」
「はあぁ!!?おまっ、朝から何盛っ……」

 ──ビリ、ビリッ

 オレの言葉を遮るように響いた、不吉な音。そう、まるで何かが破られたかのような……。

「やはり黒に映えるな、貴様の肌は」
「ひっ……!?」

 バーレットの指が、臀部に直接触れてくる。哀れ破かれたストッキングから、剥き出しにさせられた片方の尻肉が、無遠慮に愛撫される。ひくんとアナルが反応してしまって、勝手に変な声が零れてしまう。

 ……単純に脱がされるより、恥ずかしくてたまらない。嫌なら逃げてしまえばいい、と頭の中でがアラートが鳴るが、この城内に逃げ場なんてものがない以上、時間と体力の無駄だ。それに今、女の身体になっているから、力も弱くなっていることだろう。
 だから、こんなことは、さっさとエロ魔王と使い魔を満足させて終わらせるに、限る。

「ぬ、がす……なら、さっさと脱がせ……っ♡」
「は……っ、そんなに淫らなことをされたいのか?」
「違うっ、とっとと、終わらせたいから……っ、言ってるだけだっ……!」
「我が楽しくないゆえ、却下だ」

 ブチ、ビリッ、とバーレットが容赦なくストッキングを破いていく。所々丸く穴が空いて繊維が幾筋か残っているのが……自分の身体だというのに艶めかしく感じてしまう。破れ目が食い込んで肌が強調されているのも、それを助長している。尻のみならず、太股も、ふくらはぎも、足首も、点々と暴かれていく度に羞恥が上乗せされていく。

「ん……っ♡」

 激しく蹂躙されているわけでもないのに、もう既に全身が熱い。自然ととろりと緩む頬がふわふわと熱を持つ。そんな鏡の中の自分から目を逸らすことも出来ずに、せめてこれ以上声を出すものかと唇を噛み締めた。

 ……ビリビリに破かれてしまったストッキングは、もう衣類の役目を果たしていない。

「……こんなものか。くくっ、絶景だな」
「ひゃ、……っ♡」
「どうした、アレク。腰が揺れておるが……、物足りぬか?」
「っ……!?ち、ちがう……っ♡」
「ああ、そろそろ効いてくる頃ですからね。大丈夫ですよ、アレクさん。料理に仕込んだ淫魔のチャーム魔法に副作用はありませんから」
「ちゃー……む、って、まさか……」
「簡単に言えば媚薬ですね」
「それ自体が悪いではない、か……っ、うぁ、っふ……ぅ♡」

 姿見の横で控えて大人しくしていたプラチアが、さらりととんでもないことを吐きながら近寄ってくる。熱いと感じ始めていた全身が更に沸騰して、胸と下腹部がきゅうっと疼いてたまらなくなる。やばい、こんなの……我慢出来るわけがない。

「んっ、ふぅ……、ぁ、んんっ♡♡」
「軽く触ってるだけなのに、随分敏感な身体ですね」
「っ……♡これは、お前、が……っう、ひゃあっ!?」

 外気に触れている肌をなぞられるだけで、ぞくぞくとした快感が突き抜ける。戯れに軽くパシンと尻を叩かれて、その音と鈍い痛みに思考が酔ってしまう。決して触れてほしいところには刺激を与えずに、じんわりと感じるところを責められて、もどかしくてたまらない。

 バーレットと交代したらしいプラチアからの愛撫は、どこまでも性欲を高めてくるものだった。……ああ、駄目だ。流されたら、駄目なのに。

 どんどん快楽を欲して熱せられていく身体に、とろけていく理性が勝てるはずもなかった。

「あ……っ、もう、焦らすな、ぁ……っ♡♡」

 はしたないとは分かっていても、腰を高く上げたまま誘うように喘いでしまう。噛み締めていた唇からとめどなく溢れる自分の声にすら一種の興奮を覚えてしまう程、チャームの魔法はえげつなかった。

 自然と揺れる下肢に、プラチアの手が緩急をつけて這ってくる。秘部の近くを強く刺激される度に、目の前で星がチカチカと点滅した。焦らすなと言っているのに。ちゃんと、触って、イかせてほしいのに。女の子の部分でイくのは、どんな感じなんだろうか。溶けた理性の代わりに現れた興味と好奇心が、オレの身体を操り出す。

 プラチアの手に、自分の出来立て女性器を擦り付けるように。ぐに、とストッキング越しに触れただけで、腹の奥がきゅんと疼いた。……あ、これ、気持ちいい、かも……♡

「はぁ……っ!ん、ふぅ、……んん、っ♡♡」
「……プラチアの手で自慰をするとはな」
「少し湿ってきてますね……、気持ちいいんですか、アレクさん?」
「あぁ、んっ、きもち、い……♡ちんこじゃ、ないのに……ぃ、せーえき出そ、うぅ……っ♡♡」
「それじゃあ、出すとこしっかり見せてください」
「ん、……っ、え……?」

 ビリッ、と股間部分の布地も破られて、面積が狭い下着が露になる。クロッチ部分が濡れている感触がするそれを横にずらされると、敏感な箇所に直接空気が触れてしまう。ただでさえ恥ずかしい格好なのに、一番恥ずかしいところを明るいライトの下で晒されて。羞恥やら興奮やら色んな感情が混じりあって、こぷりと愛液が溢れてしまった。ぽたぽたと落ちたそれがテーブルクロスに涙のような染みを作る。
 もう、早く、気持ちよくなって、イってしまいたい。

「ほら、アレクさん」
「ひあっっ!!?あっ、……にゃにっ、そこ、ぉっ♡ひゃんっ、や、ぁ、ああっ♡♡」
「女の子ちんこから、精液、出してくださいよ」
「ふにゃああぁっ!!?ああっ、らめっ、出な、い、せーえき出ない、からあぁっ♡♡♡」

 イってしまいたい、とは思ったけれど。
いきなり性器の中でも一番敏感だという……クリトリスを容赦なく責められるなんて思いもしなかった。
 皮を剥かれて、押しつぶすように、ひっかくように弄られる。傷つけないような力加減だけれど、全身がぱちぱち弾けるような強烈な快楽が襲ってきて。

「あ、あああ、っ、や、もうっ、イっちゃ、ひゃうっ、んんん~~~っっ♡♡♡」

 ぷしっ、と愛液だか潮だか分からないモノを吐き出して、オレは呆気なく果ててしまった。くったり弛緩すると、鏡に映る自分の姿が嫌でも目に入ってきた。時折びくんと震えて、下半身を濡らし、淫らな表情を浮かべている……雌の、姿。

「あ……、っはぁ……、イっちゃ、……たぁ……♡」
「余韻に浸っている時間はないぞ」
「ふあっ……!?」

 いつの間にか場所をチェンジしていたバーレットに、ぐっしょりと濡れそぼったストッキングを下着共々ずり下ろされた。全てが丸見えになった下半身は、自分でも直視出来ないほど乱れている。媚薬のせいで、とろりと垂れてくる蜜が太股を伝って、幾筋もの線を残していた。

「な、にを……っ!?」
「ストッキングとやらを破くのはプラチアの案だ。それなりに唆られたが、我はこちらの方が好みだ」
「アンタだって楽しんでたじゃないですか、魔王様」
「うるさい」
「……こっち、って……、それ、またストッキング……」
「ではない。これは黒タイツというらしい。ストッキングのように簡単には破れないモノだ。……アレク、今度は貴様にこれ穿いてもらおう」

 ──下着をつけずに。

 にやりと笑みながら付け加えられたオプションに、欲に素直になってしまっているオレの身体は、まるで歓喜に震えるかのように上下した。
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