アンハッピーエンド短編集

キューピッド様の言う通り！

①百発百中の占い

占いが得意な青年のおはなし


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　僕は、キューピッド様の依代。
　キューピッド様の力をお借りして、先祖代々伝わる恋占術を行なっている。百発百中当たる占いという噂も相まって、毎日恋に悩むお客さんでてんてこ舞いだ。

　朝から晩まで、占って、占って、占って、占って占って占って占って占って……、僕の生活はそのほとんどが占いで出来ている。
　両親を事故で亡くした後、叔母夫婦に引き取られてからはずっとこの生活が続いている。食が細いのもあって食事は最低限だし、深い眠りにつけたこともない。だから僕は痩せ細って青白い見た目になってしまったんだけど、着飾ってしまえば逆にミステリアスに見えるらしい。分厚めの眼鏡もアクセントになるみたいだ。

　高校から学校に行けないまま成人を迎えた僕だけど、中学時代の友達とはやり取りが続いている。とはいっても、占いで忙しいから眠る前に一言だけメッセージを送る程度だけど。
　……ああ、今日も来ている。嬉しいな。両親を亡くしたばかりで滅入っていた僕に、優しく接してくれた天音くん。隣の席になったのがきっかけで、一年生の頃からずっと仲良くしてくれた。一緒の高校に行きたいって言ってくれたのは嬉しかったなぁ。その前に、叔母さん達に引き取られて占いに明け暮れることになっちゃったけど。

　天音くんは僕と違って、優等生で、誰にでも気さくで優しくて、……僕の大好きな、憧れの人だ。会えなくなってからもこうして毎日メッセージを送ってくれるのが、嬉しくて仕方がない。
　今日はどんな内容だろう。飼っている犬のこと？美味しい料理のこと？僕の知らない大学生活のこと？

　そんな温かな予想をしながらスマホを操作すると、程なくしてメッセージ画面が表示された。

『そういえば予約取れたって話してなかったよな。今度占ってもらいに行くから』

　──指から滑り落ちた機械が、嫌な音を立てた。