37 / 57
悪役令嬢は王妃なんです!
第37話 少しだけ落ち着きを取り戻しつつありますけれど
しおりを挟む
それからの日々は、元王都にある城を仮拠点にしながら、新国王の就任挨拶など、色々と公の場に出ることが多くなりました。
元々公の場に出ることは、そう多くなかったのですが、国王となれば式典だのと色々と出ることも増えるでしょう。
あぁ、またリコネルの仕事が増えてしまう……。
仕事好きなリコネルは楽しそうですが、あまり無理をしないで欲しいと思ってしまいます。
そして、新国王の挨拶の際には、徐々にリコネルに似てきたクリスタルも共に立つことが多く、貴族や国民に「ジュリアス様はクリスタルに認められし国王」と知らしめることが出来たとクリスタルは喜んでいました。
余程、私が王家から追い出されたことが気に入らなかったようです。
さて、こうなってくると今度は年ごろの娘を持つ貴族たちは「娘を第二妃に」と持ち掛けてくるようになりました。
それを毎回断っていたのですが――。
『ジュリアスにはリコネル王妃だけで十分じゃ、余計な娘は王家にいらぬ』
クリスタルの言葉により、貴族たちは苦虫を噛むような表情を隠しきれずにいましたが、母なるクリスタルからの言葉は重く、第二妃の話は無くなりました。
ホッと安堵した私をよそに、屋敷に帰ってからクリスタルとリコネルがハイタッチしている姿を見てしまい、思わず微笑ましくその姿を見つめてしまいました。
その後のリコネルはというと、王妃の仕事をこなしながら、リコネル商会の運営もシッカリこなしておりました。
また【王妃が行っている仕事のスタイル】【リコネル王妃が進める働き方改革】と言われ、リコネル商会を手本に、従業員の在り方や、給料面、そして従業員が育児休暇を取る際の手続きなどなど、梃入れされるようになります。
一度仕事を辞めてしまえば二度と雇ってもらえないのが普通だった元王都とは違い、領地を治めていた頃のやり方を王国の在り方とした時、国民に少しだけ幸福が舞い降りたようでした。
また、他の貴族領でも、チャーリーの意味不明な重税などの置き土産をなくし、元の状態へと戻すと安心したようです。
さて、私とリコネルを支える宰相ですが、リコネルの兄であるカティラス様が就任なさいました。
前国王に仕えていた宰相及び騎士団団長は変更し、新たな人員の配置替えとなりました。
無論、騎士団団長の方は抵抗が凄まじかったですが、アルジェナを匿っていること、そして、王妃であるリコネルを陥れた罪を考えれば妥当と判断しました。
さて、件のアルジェナですが、無事に男児を産んだらしく、そして残念な事に、魔法での検査にて、騎士団の長男の血は引いていなかったようです。
よって、子と共に屋敷から追い出され、今ではどう過ごしているのかも不明となっております。
今更、アルジェナのその後を追ったとしても価値はなく、放置していても良いだろうと判断しました。
ただし、私なりの制裁として、各教会、及び孤児院にアルジェナの似顔絵を送り「危険人物」として報告だけはさせて貰いました。
今後どう自分を律して生活するかは、彼女次第でしょう。
「ふう……まだまだやる事は多いですが、まずは一段落ですかねぇ」
「お疲れ様ですわ」
『それより早くお子を作るのだジュリアス』
「ははは」
疲れ果てて頑張る気力がまだ沸かないとはなかなか言えません。
「出来る限りクリスタルの期待に応えられるよう努力します」
『うむ、せっかく人間の姿を保ってお主たちのそばにいるのだ。次代の顔を見なくては安心して眠りもできない』
「あら、クリスタルは寝なくても大丈夫じゃありませんこと? だって徹夜して小説読んだ~とか、今度こんな話を書いてくれ~だの言ってますもの」
『好きなことと安心して寝るのは別問題じゃ』
「別ではありませんわ。そんなに安心して眠れないのなら頑張って徹夜なさって?」
『か――! リコネルは相変わらず手厳しいのう!』
そう言って降参だと言わんばかりに手を挙げたクリスタルに、リコネルはクスクスと笑いました。
「そんなにお暇でしたら、コンテストに応募されている小説でもお読みになる? なかなかの力作揃いで皆さん困ってますの」
『それは良い、我でよければ幾らでも読んでやろうではないか』
「助かりますわ」
リコネル、使えるものはクリスタルでも使うその心意気、流石です。
「それとジュリアス様、近々園に視察に行きたいのですけど宜しいかしら?」
「視察ですか?」
「ええ、文字の読み書きや計算はいいとして、プリザーフラワーを作れるだけの魔力操作が出来る方が何人かいらっしゃるようなの。実際会ってみたいですわ」
「よろしいですよ。ついでですし、ベアルさんにも会って花屋の視察にも行きましょう」
「ええ!」
久しぶりの外への視察。
王都炎上から色々と忙しい日々を送っておりましたが、少しだけゆっくりできそうだと二人で喜んだけれども――そこで思わぬアクシデントに見舞われるとは、思ってもいませんでした。
元々公の場に出ることは、そう多くなかったのですが、国王となれば式典だのと色々と出ることも増えるでしょう。
あぁ、またリコネルの仕事が増えてしまう……。
仕事好きなリコネルは楽しそうですが、あまり無理をしないで欲しいと思ってしまいます。
そして、新国王の挨拶の際には、徐々にリコネルに似てきたクリスタルも共に立つことが多く、貴族や国民に「ジュリアス様はクリスタルに認められし国王」と知らしめることが出来たとクリスタルは喜んでいました。
余程、私が王家から追い出されたことが気に入らなかったようです。
さて、こうなってくると今度は年ごろの娘を持つ貴族たちは「娘を第二妃に」と持ち掛けてくるようになりました。
それを毎回断っていたのですが――。
『ジュリアスにはリコネル王妃だけで十分じゃ、余計な娘は王家にいらぬ』
クリスタルの言葉により、貴族たちは苦虫を噛むような表情を隠しきれずにいましたが、母なるクリスタルからの言葉は重く、第二妃の話は無くなりました。
ホッと安堵した私をよそに、屋敷に帰ってからクリスタルとリコネルがハイタッチしている姿を見てしまい、思わず微笑ましくその姿を見つめてしまいました。
その後のリコネルはというと、王妃の仕事をこなしながら、リコネル商会の運営もシッカリこなしておりました。
また【王妃が行っている仕事のスタイル】【リコネル王妃が進める働き方改革】と言われ、リコネル商会を手本に、従業員の在り方や、給料面、そして従業員が育児休暇を取る際の手続きなどなど、梃入れされるようになります。
一度仕事を辞めてしまえば二度と雇ってもらえないのが普通だった元王都とは違い、領地を治めていた頃のやり方を王国の在り方とした時、国民に少しだけ幸福が舞い降りたようでした。
また、他の貴族領でも、チャーリーの意味不明な重税などの置き土産をなくし、元の状態へと戻すと安心したようです。
さて、私とリコネルを支える宰相ですが、リコネルの兄であるカティラス様が就任なさいました。
前国王に仕えていた宰相及び騎士団団長は変更し、新たな人員の配置替えとなりました。
無論、騎士団団長の方は抵抗が凄まじかったですが、アルジェナを匿っていること、そして、王妃であるリコネルを陥れた罪を考えれば妥当と判断しました。
さて、件のアルジェナですが、無事に男児を産んだらしく、そして残念な事に、魔法での検査にて、騎士団の長男の血は引いていなかったようです。
よって、子と共に屋敷から追い出され、今ではどう過ごしているのかも不明となっております。
今更、アルジェナのその後を追ったとしても価値はなく、放置していても良いだろうと判断しました。
ただし、私なりの制裁として、各教会、及び孤児院にアルジェナの似顔絵を送り「危険人物」として報告だけはさせて貰いました。
今後どう自分を律して生活するかは、彼女次第でしょう。
「ふう……まだまだやる事は多いですが、まずは一段落ですかねぇ」
「お疲れ様ですわ」
『それより早くお子を作るのだジュリアス』
「ははは」
疲れ果てて頑張る気力がまだ沸かないとはなかなか言えません。
「出来る限りクリスタルの期待に応えられるよう努力します」
『うむ、せっかく人間の姿を保ってお主たちのそばにいるのだ。次代の顔を見なくては安心して眠りもできない』
「あら、クリスタルは寝なくても大丈夫じゃありませんこと? だって徹夜して小説読んだ~とか、今度こんな話を書いてくれ~だの言ってますもの」
『好きなことと安心して寝るのは別問題じゃ』
「別ではありませんわ。そんなに安心して眠れないのなら頑張って徹夜なさって?」
『か――! リコネルは相変わらず手厳しいのう!』
そう言って降参だと言わんばかりに手を挙げたクリスタルに、リコネルはクスクスと笑いました。
「そんなにお暇でしたら、コンテストに応募されている小説でもお読みになる? なかなかの力作揃いで皆さん困ってますの」
『それは良い、我でよければ幾らでも読んでやろうではないか』
「助かりますわ」
リコネル、使えるものはクリスタルでも使うその心意気、流石です。
「それとジュリアス様、近々園に視察に行きたいのですけど宜しいかしら?」
「視察ですか?」
「ええ、文字の読み書きや計算はいいとして、プリザーフラワーを作れるだけの魔力操作が出来る方が何人かいらっしゃるようなの。実際会ってみたいですわ」
「よろしいですよ。ついでですし、ベアルさんにも会って花屋の視察にも行きましょう」
「ええ!」
久しぶりの外への視察。
王都炎上から色々と忙しい日々を送っておりましたが、少しだけゆっくりできそうだと二人で喜んだけれども――そこで思わぬアクシデントに見舞われるとは、思ってもいませんでした。
0
お気に入りに追加
163
あなたにおすすめの小説
誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。
salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。
6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。
*なろう・pixivにも掲載しています。
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
かわいそうな旦那様‥
みるみる
恋愛
侯爵令嬢リリアのもとに、公爵家の長男テオから婚約の申し込みがありました。ですが、テオはある未亡人に惚れ込んでいて、まだ若くて性的魅力のかけらもないリリアには、本当は全く異性として興味を持っていなかったのです。
そんなテオに、リリアはある提案をしました。
「‥白い結婚のまま、三年後に私と離縁して下さい。」
テオはその提案を承諾しました。
そんな二人の結婚生活は‥‥。
※題名の「かわいそうな旦那様」については、客観的に見ていると、この旦那のどこが?となると思いますが、主人公の旦那に対する皮肉的な意味も込めて、あえてこの題名にしました。
※小説家になろうにも投稿中
※本編完結しましたが、補足したい話がある為番外編を少しだけ投稿しますm(_ _)m
完璧な姉とその親友より劣る私は、出来損ないだと蔑まれた世界に長居し過ぎたようです。運命の人との幸せは、来世に持ち越します
珠宮さくら
恋愛
エウフェシア・メルクーリは誰もが羨む世界で、もっとも人々が羨む国で公爵令嬢として生きていた。そこにいるのは完璧な令嬢と言われる姉とその親友と見知った人たちばかり。
そこでエウフェシアは、ずっと出来損ないと蔑まれながら生きていた。心優しい完璧な姉だけが、唯一の味方だと思っていたが、それも違っていたようだ。
それどころか。その世界が、そもそも現実とは違うことをエウフェシアはすっかり忘れてしまったまま、何度もやり直し続けることになった。
さらに人の歪んだ想いに巻き込まれて、疲れ切ってしまって、運命の人との幸せな人生を満喫するなんて考えられなくなってしまい、先送りにすることを選択する日が来るとは思いもしなかった。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
〖完結〗私が死ねばいいのですね。
藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢に生まれた、クレア・コール。
両親が亡くなり、叔父の養子になった。叔父のカーターは、クレアを使用人のように使い、気に入らないと殴りつける。
それでも懸命に生きていたが、ある日濡れ衣を着せられ連行される。
冤罪で地下牢に入れられたクレアを、この国を影で牛耳るデリード公爵が訪ねて来て愛人になれと言って来た。
クレアは愛するホルス王子をずっと待っていた。彼以外のものになる気はない。愛人にはならないと断ったが、デリード公爵は諦めるつもりはなかった。処刑される前日にまた来ると言い残し、デリード公爵は去って行く。
そのことを知ったカーターは、クレアに毒を渡し、死んでくれと頼んで来た。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全21話で完結になります。
お前は保険と言われて婚約解消したら、女嫌いの王弟殿下に懐かれてしまった
cyaru
恋愛
クラリッサは苛立っていた。
婚約者のエミリオがここ1年浮気をしている。その事を両親や祖父母、エミリオの親に訴えるも我慢をするのが当たり前のように流されてしまう。
以前のエミリオはそうじゃ無かった。喧嘩もしたけれど仲は悪くなかった。
エミリオの心変わりはファルマという女性が現れてからの事。
「このまま結婚していいのかな」そんな悩みを抱えていたが、王家主催の夜会でエミリオがエスコートをしてくれるのかも連絡が来ない。
欠席も遅刻も出来ない夜会なので、クラリッサはエミリオを呼び出しどうするのかと問うつもりだった。
しかしエミリオは「お前は保険だ」とクラリッサに言い放つ。
ファルマと結ばれなかった時に、この年から相手を探すのはお互いに困るだろうと言われキレた。
父に「婚約を解消できないのならこのまま修道院に駆け込む!」と凄み、遂に婚約は解消になった。
エスコート役を小父に頼み出席した夜会。入場しようと順番を待っていると騒がしい。
何だろうと行ってみればエミリオがクラリッサの友人を罵倒する場だった。何に怒っているのか?と思えば友人がファルマを脅し、持ち物を奪い取ったのだという。
「こんな祝いの場で!!」クラリッサは堪らず友人を庇うようにエミリオの前に出たが婚約を勝手に解消した事にも腹を立てていたエミリオはクラリッサを「お一人様で入場なんて憐れだな」と矛先を変えてきた。
そこに「遅くなってすまない」と大きな男性が現れエミリオに言った。
「私の連れに何をしようと?」
――連れ?!――
クラリッサにはその男に見覚えがないのだが??
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★6月15日投稿開始、完結は6月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。
愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる