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悪役令嬢は愛妻なんです!
第26話 問題が色々浮上していて頭が痛いですわ!
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「実は私に会いたいという申し出があってね、名前を聞いてビックリだよ。各々家から追い出されたアルジェナの火遊び相手が屋敷にやってきたんだ」
「まぁ!」
カティラス様のご報告に私もリコネルも目を見開くと、更に溜息を吐いて続きを語りました。
何でも、自分達をこの公爵家領で雇って欲しい、仕事先を斡旋して欲しいと頼んで来たと言うのです。
ですが、彼らの火遊びも原因でリコネルが婚約破棄された上に学園からの追放となったのだから、頼ってくるのはお門違いだと門前払いしたのだと仰います。
すると、事もあろう事か、夜中に屋敷の一部に火をつけたと言うのです。
幸い火はすぐに消しとめられましたが、3人は依然逃亡。
ウサ晴らしに我が辺境領へと来るのでは無いかという話でした。
「お兄様たちに何事も無くてよかったですわ……」
「話はまだあるんだ」
「まだありますの?」
「ああ、アルジェナが教会から逃亡したらしい」
「「え!?」」
あまりの事に、2人して声を大きくしてしまいましたが、身重のアルジェナが何故逃亡したのでしょうか。
聞けば、規律厳しい教会での生活はアルジェナには苦しいものがあったらしく、また教会も全く礼儀のなっていないアルジェナに嫌気が差し、ワザと逃亡するように仕向けたのではないかというものでした。
「幾らなんでも、身重の体では一人で生活なんて出来るはずありませんわ!」
「私もそう思ったんだけれど、どうも違うみたいなんだ」
「と、言うと?」
「アルジェナを匿っている屋敷が解った。ネルファーの実家に保護されているらしい」
「ネルファー様と言えば、件の」
「そう、屋敷に火をつけて逃げた男の一人。次期騎士団団長になる予定だった男だよ」
「何故その家に?」
私とリコネルが顔を見合わせると、カティラス様は溜息を吐いて次のように語った。
実は次期団長となる弟は種無しなのだと言う。
次の子供に恵まれる確率はほぼ無く、よって、アルジェナが生んだ子供を引き取ることに決めたと言う情報を手に入れたのだそうです。
腐っても騎士団団長の長男だった男の種かもしれない。
その確立に賭けに出たようです。
「では、アルジェナは出産すれば用済みでは?」
「そうなるね、それまでは匿っているらしいよ」
「なるほど」
「家督争いしようにも種なしでは厳しいですからね……」
「それなら血筋の近しい者から養子に貰えばよろしいのに」
「騎士団の家ではそう言うのはあまりしてないんじゃないかな」
紅茶を一口のみそう口にしたカティラス様は「次にだけど」と言葉を口にします。
「王都からの難民だけど、君達の領でのやり方はジュリアス様から報告書を貰ったよ。私達の公爵家領でも同じ様にやったところだ。けれど問題が浮上してね」
「問題とは?」
「何ですの?」
「残っている難民が領地に村を作ると言い出して、無断で村を建設中なんだ。領民でもないし、更に領民でもない者たちが領地に村を作ると言う事は憲法違反になる。君達のところも気をつけたほうが良い、今各地で村を作る難民が増えてきているらしいよ」
「村を作った場合、結果的にどうなりますの?」
「打ち首か、村を焼き払うかのどっちかだろうね」
淡々と語るカティラス様の言葉に、私とリコネルは顔を見合わせました。
確かに避難民が村を作る事はこの国での憲法違反。
罪は重く、斬首刑に処されるか、村は焼き払われるのが一般的です。
我が領で同じことが起きた場合、斬首できるかと言われると、良心的に厳しいものがありますが、国としての憲法ならば守らねばならない事実でしょう。
領民になると言う逃げ道もあると言うのに、王都出身と言う変なプライドがあるのでしょうか。
「ジュリアス卿はお優しいから、特に気をつけたほうが良い」
「肝に免じます」
「話は以上だよ。それにしても私は城に行かなくてよくなって助かったよ。公爵家にもしつこくアホ王子から『リコネルを離婚させろ』って来ていてね。差出人がアホ王子だった場合、もう読まずに暖炉で燃やしてる始末だよ」
「でしょうね」
「ジュリアス卿のところにも離婚しろって手紙がきているんじゃないのかな?」
「フフ、どうでしょうね」
リコネルの手前、口には出しませんが、それはそれは毎日大量に届いております。
おかげで暖炉にくべる薪が必要ないんじゃないかと言わんばかりにですが、リコネルが気付かないように処理し、燃やしているのは事実です。
「私はリコネルと離婚する気はさらさらありませんし、こんなにも愛しい妻と別れるなんて以ての外ですよ」
「別れろと言われても別れませんわ」
「リコネルの相手がジュリアス卿で良かった。もしアホ王子と結婚してたらと思うとゾッとするからね」
そう言ってクスクス笑う姿はリコネルによく似ていて、私もホッコリしてしまいました。
カティラス様は次期公爵を継がれる身。
ですが未だに婚約者もおらず、今の公爵様はカティラス様に誰か良い女性が出来ないものかと悩んでおられます。
ですが――。
「私もそろそろ婚約者を見つけて落ち着きたくなるよ。中々リコネルに近い女性がいないのが難点だけど」
「まぁ、わたくしに似た女性なんて早々いませんことよ?」
「だよね」
「ですね」
「わたくしに似た女性を探してましたら、何時までも結婚できませんことよ?」
リコネルの「メ!」と叱る仕草にカティラス様は頬を少し赤くして「恥ずかしいな」と口に為さいますが、でもどこか諦めた様子の表情で「結婚相手か~」と口に為さいます。
「結婚は慌てる必要はありません。私もこの年でやっと素敵なお嫁さんが来たのですから」
「それもそうだね、気長に待つよ。あと15年くらいね」
「まぁ!」
呆れるリコネルにカティラス様は苦笑いし「早く娘を産んでね」と言って席を立ちました。
そろそろ帰宅時間が迫っている事に気付き、突っ込もうにも突っ込むことが出来ず、結局カティラス様はにこやかな笑顔で帰っていかれました。
とりあえず、言いたい事は言った、伝えたい事も伝えたと言った感じのカティラス様。
そして、私達も今後、領地に村を作らせない為に動かねばならないと言う事実。
領に戻ったら急ぎ素案を出さねばなりませんね……。
そして、それ以上に。
「リコネル、魔石の事を気にせずこの屋敷で過ごすのは最低限にしましょうか」
「何故ですの?」
「アホ王……「ですわね」伝わりましたか」
「ええ、押しかけてこられてはたまりませんもの」
こうして、日中はリコネルは領で過ごし、私は王都にある屋敷で必要な作業を進めると言う事で決まりました。
さて、明日はどうなるか……怒鳴り込んできたらどう返してやりましょうか。
無論、怒鳴り込んでこないほうが助かるんですが……本当に頭の痛い問題が山積みですね。
「まぁ!」
カティラス様のご報告に私もリコネルも目を見開くと、更に溜息を吐いて続きを語りました。
何でも、自分達をこの公爵家領で雇って欲しい、仕事先を斡旋して欲しいと頼んで来たと言うのです。
ですが、彼らの火遊びも原因でリコネルが婚約破棄された上に学園からの追放となったのだから、頼ってくるのはお門違いだと門前払いしたのだと仰います。
すると、事もあろう事か、夜中に屋敷の一部に火をつけたと言うのです。
幸い火はすぐに消しとめられましたが、3人は依然逃亡。
ウサ晴らしに我が辺境領へと来るのでは無いかという話でした。
「お兄様たちに何事も無くてよかったですわ……」
「話はまだあるんだ」
「まだありますの?」
「ああ、アルジェナが教会から逃亡したらしい」
「「え!?」」
あまりの事に、2人して声を大きくしてしまいましたが、身重のアルジェナが何故逃亡したのでしょうか。
聞けば、規律厳しい教会での生活はアルジェナには苦しいものがあったらしく、また教会も全く礼儀のなっていないアルジェナに嫌気が差し、ワザと逃亡するように仕向けたのではないかというものでした。
「幾らなんでも、身重の体では一人で生活なんて出来るはずありませんわ!」
「私もそう思ったんだけれど、どうも違うみたいなんだ」
「と、言うと?」
「アルジェナを匿っている屋敷が解った。ネルファーの実家に保護されているらしい」
「ネルファー様と言えば、件の」
「そう、屋敷に火をつけて逃げた男の一人。次期騎士団団長になる予定だった男だよ」
「何故その家に?」
私とリコネルが顔を見合わせると、カティラス様は溜息を吐いて次のように語った。
実は次期団長となる弟は種無しなのだと言う。
次の子供に恵まれる確率はほぼ無く、よって、アルジェナが生んだ子供を引き取ることに決めたと言う情報を手に入れたのだそうです。
腐っても騎士団団長の長男だった男の種かもしれない。
その確立に賭けに出たようです。
「では、アルジェナは出産すれば用済みでは?」
「そうなるね、それまでは匿っているらしいよ」
「なるほど」
「家督争いしようにも種なしでは厳しいですからね……」
「それなら血筋の近しい者から養子に貰えばよろしいのに」
「騎士団の家ではそう言うのはあまりしてないんじゃないかな」
紅茶を一口のみそう口にしたカティラス様は「次にだけど」と言葉を口にします。
「王都からの難民だけど、君達の領でのやり方はジュリアス様から報告書を貰ったよ。私達の公爵家領でも同じ様にやったところだ。けれど問題が浮上してね」
「問題とは?」
「何ですの?」
「残っている難民が領地に村を作ると言い出して、無断で村を建設中なんだ。領民でもないし、更に領民でもない者たちが領地に村を作ると言う事は憲法違反になる。君達のところも気をつけたほうが良い、今各地で村を作る難民が増えてきているらしいよ」
「村を作った場合、結果的にどうなりますの?」
「打ち首か、村を焼き払うかのどっちかだろうね」
淡々と語るカティラス様の言葉に、私とリコネルは顔を見合わせました。
確かに避難民が村を作る事はこの国での憲法違反。
罪は重く、斬首刑に処されるか、村は焼き払われるのが一般的です。
我が領で同じことが起きた場合、斬首できるかと言われると、良心的に厳しいものがありますが、国としての憲法ならば守らねばならない事実でしょう。
領民になると言う逃げ道もあると言うのに、王都出身と言う変なプライドがあるのでしょうか。
「ジュリアス卿はお優しいから、特に気をつけたほうが良い」
「肝に免じます」
「話は以上だよ。それにしても私は城に行かなくてよくなって助かったよ。公爵家にもしつこくアホ王子から『リコネルを離婚させろ』って来ていてね。差出人がアホ王子だった場合、もう読まずに暖炉で燃やしてる始末だよ」
「でしょうね」
「ジュリアス卿のところにも離婚しろって手紙がきているんじゃないのかな?」
「フフ、どうでしょうね」
リコネルの手前、口には出しませんが、それはそれは毎日大量に届いております。
おかげで暖炉にくべる薪が必要ないんじゃないかと言わんばかりにですが、リコネルが気付かないように処理し、燃やしているのは事実です。
「私はリコネルと離婚する気はさらさらありませんし、こんなにも愛しい妻と別れるなんて以ての外ですよ」
「別れろと言われても別れませんわ」
「リコネルの相手がジュリアス卿で良かった。もしアホ王子と結婚してたらと思うとゾッとするからね」
そう言ってクスクス笑う姿はリコネルによく似ていて、私もホッコリしてしまいました。
カティラス様は次期公爵を継がれる身。
ですが未だに婚約者もおらず、今の公爵様はカティラス様に誰か良い女性が出来ないものかと悩んでおられます。
ですが――。
「私もそろそろ婚約者を見つけて落ち着きたくなるよ。中々リコネルに近い女性がいないのが難点だけど」
「まぁ、わたくしに似た女性なんて早々いませんことよ?」
「だよね」
「ですね」
「わたくしに似た女性を探してましたら、何時までも結婚できませんことよ?」
リコネルの「メ!」と叱る仕草にカティラス様は頬を少し赤くして「恥ずかしいな」と口に為さいますが、でもどこか諦めた様子の表情で「結婚相手か~」と口に為さいます。
「結婚は慌てる必要はありません。私もこの年でやっと素敵なお嫁さんが来たのですから」
「それもそうだね、気長に待つよ。あと15年くらいね」
「まぁ!」
呆れるリコネルにカティラス様は苦笑いし「早く娘を産んでね」と言って席を立ちました。
そろそろ帰宅時間が迫っている事に気付き、突っ込もうにも突っ込むことが出来ず、結局カティラス様はにこやかな笑顔で帰っていかれました。
とりあえず、言いたい事は言った、伝えたい事も伝えたと言った感じのカティラス様。
そして、私達も今後、領地に村を作らせない為に動かねばならないと言う事実。
領に戻ったら急ぎ素案を出さねばなりませんね……。
そして、それ以上に。
「リコネル、魔石の事を気にせずこの屋敷で過ごすのは最低限にしましょうか」
「何故ですの?」
「アホ王……「ですわね」伝わりましたか」
「ええ、押しかけてこられてはたまりませんもの」
こうして、日中はリコネルは領で過ごし、私は王都にある屋敷で必要な作業を進めると言う事で決まりました。
さて、明日はどうなるか……怒鳴り込んできたらどう返してやりましょうか。
無論、怒鳴り込んでこないほうが助かるんですが……本当に頭の痛い問題が山積みですね。
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