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96 三国の王が我が開発部に集まって会議しつつも、慣れた様子で皆仕事に集中、いいことですね!
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後は簡単に全員分の付与が終わる頃皆さんが帰ってきて、部屋も完成したところで出迎えて晩御飯の支度となった。
そして――それからの日々は、ロウさん達は休息日として自由にとはいったものの、開発がどのようにされているのかや、彫刻師の仕事はどんなものなのかとか、やはり興味がある事が多いようで二号店に付いてくることが多かった。
ヒイラギさんは心労と疲れからか家でゆっくり休んでいる事が多く、カシュールさんの手伝いをしたりもしているらしい。
「我の国は製薬と彫刻師が多い国。何故彫刻師は迫害されるのか良く分からなかったのだが……そうか、400年前の女帝が関係していたのか」
「こっちはいい迷惑だよ。彫刻師に生まれたからと言ってテリサバース教会にいってスキルの封印をする家が多くなっちまった」
「ついでに言うと、鉄の国サカマル帝国の製薬前ギルドマスターは呪いのアイテムを作ってラフィリアに飲ませている。この事は製薬ギルドの他のギルドマスターに話が行っている。今はまともなギルドマスターだと良いが、余りいい話は聞かないそうだぞ」
「なんと……そこまで腐っていたのかっ!!」
「鉄の国サカマル帝国からくる輸入品はどれも質の悪い物が多いんですって。その上で法外な金銭の要求があるから、ノシュマン王国とダイヤ王国では輸入を取りやめたのよ」
「なんと恥ずかしい事を……徹底して改めねば」
「改める所が多くて大変だろうがのう。まぁ、一時タキの分裂を貸してやってはどうだ?」
「ええ、そっちの方が良さそうね」
「ダイヤ王国とは是非友好関係になりたいと思っている。無論ノシュマン王国にも苦労を掛けてしまった……どう詫びればいいか」
実際毒に侵されて意識が無かったのだし、どうしようもないと思うけれど……責任感の強いロウさんには耐えられない事らしく、頭を抱えて溜息を吐いていた。
それでも時折休憩室で休んで眠ったりとリフレッシュはしていたので問題ないし、タキちゃんの定期的な診察を受けていたので治りはとても早かった。
食欲もある適度戻ってきた二週間目、それは起こった。
陛下がお忍びでやって来たのだ。
そこで、作業部屋でダイヤ王国の陛下とサカマル帝国の帝王との話し合いも行われ、帝王の身に起きた事を色々と精査した陛下は、「随分と苦労なさいましたな」と労い、「今度はノシュマン王も連れてくる」と言って帰って行った。
待て、この作業部屋で三国の王が話し合いとか無いわよね。
そう思ったが、数日後本当に三国会議が開かれた時は――私たちは空気になった。
そう、空気になって聞いておりません状態である。
しかし、聞いておりませんが通用しませんのが、我がレジェンドモンスターたちである……。
「ええい、まどろっこしいのう」
「全くだ。ロウは城と問題ある重鎮達を壊して初めからやり直すと言っているだけではないか。何をそのように躊躇う」
「しかし、ノヴァ王子がシャース王国を建て直すと言う義務もある……これはとても大きな事だ。しかしそんな中で二つの国が滅べば、力が分散するのだ」
「どうすればいいだろうか」
「うーむ」
「まぁ待て。サカマル帝国の重鎮達は金鉱山が欲しいのと、シャース王国を我が物にしたいだけ。それを逆手に取る……と言う方法も無くはない。どうせ重鎮達は城で酒でも飲みつつ話し合っておるのじゃろうし、そこを一網打尽にする事も可能」
「シャースオウコクノ タテナオシハ ソノアトデモイイトオモウ」
「土地の浄化が進んでおらんからな」
「「「土地の浄化?」」」
思わぬ言葉に私達も顔を上げると、何でもスタンピードが起きた後の土地は二年から三年は土地を浄化しなくてはならないらしく、それが終わってからの方がモンスターは湧きづらいのだという。
問題が解決してまだ半年……まだまだ国を建てるには早すぎると言うのがお爺ちゃん達の言い分である。
「スタンピードの後の土地の浄化は知りませんでした。なるほど、今は動かしたくとも動かせぬと言う事ですか」
「そう言う事じゃな」
「それならば……帝国を優先する事はノシュマン王国は賛成です」
「おお……ありがたい!」
「何よりロウ殿は聡明であらせられる。毒で意識が無かったのは残念だが、それらの脅威がなくなれば賢き王となられるでしょう」
「うむ、私もそう思う」
「ありがとう御座います!!」
「それまでは、サカマル帝国の屑な重鎮共には踊って貰わねばならぬ。我々レジェンドが切れる程の事をして貰わねば困るのじゃよ」
「理由無くして暴れれば、我らの名にもヌシの名にも傷がつく」
「ソレソウオウノ ナニカガ コレカラ オキルッテコトダネ!」
「ワア! ナニガオキルノカ タノシミダネ♪」
楽しみにしてはいけないけれど、何かを犯すつもりではあるのだろう。
断交も続いているし、国民達ですら食うに困る日々。
重鎮達もイライラし始めているが、先が見えない不透明さ。
各ギルドも連絡をあちらこちらに入れていても取り合って貰えない状態。
正に、孤立。
それが爆発するのが半年後と言う事らしいけど、今頃重鎮達は色々あーでもないこーでもないと話し合っているのだろう。
「しかし、こうしてみるとユリ殿のレアスキルとはなんとも優れておりますな」
「そうであろう。元シャース王国の王太子からは『石しか出せぬ』と追い出されたらしいが。本当にアホウの極みじゃのう」
「ダイヤ王国はどうやって鉱石や飾り石等になる石を得ているのかと思えば……本当に驚かされるばかりです」
「ユリハ ホウセキモ ダセルシネ!」
「ボクハ ホウセキハ ムリダケドネ♪」
「岩田には私の代わりに冒険者ギルドに通って貰えるから時間が出来て助かるわ」
「エヘヘ♪」
「ノシュマンでは少しは金がでるのであったな」
「うむ、お陰で少しは助かっておるが」
「後三年は浄化が必要……手出しが出来ぬと言うのに我が国の重鎮達は……余程欲目しかないと見える」
「そうでなければ400年前の賢王と名高い女帝を殺しはしまいよ」
そうお爺ちゃんが言うと三国の王は溜息を吐いていた。
まぁ、確かに面倒は面倒よね。
断交は続いている訳だし、何時爆発しても可笑しくはないとは思うけど、戦争を起こすだけの力も今の鉄の国サカマル帝国にはない。
一体どんな手を使ってくるかは不明なのだ。
力推しで来るか、外交を使ってくるか……。
何方にせよ不気味ではある。
その後も三国の王はこの作業場で話し合いを慕いする日がたまにある訳だけど、慣れてくると此方も空気になるのは慣れてくる訳で――。
それはロザリオスさんを始めとする、うちの従業員に関しても言えることで――。
「ユリちゃーん? 今度商業ギルドマスターが依頼したいことが……あら陛下たち、こんんにちは。そうそう、後製薬ギルドマスターが頼んでいた商品を持って来て欲しいんですって」
「最近商業ギルド多いですね。先週も出しましたよ?」
「そうよね、一応調べて貰った方が良い気がするわ」
「ギルドマスターはなんと?」
「ギルドマスターも調べるって言ってたわね」
「盗難防止の魔道具は使ってるでしょうし……何かしら」
「ボク シラベヨウカ?」
「ええ、タキちゃん調べてくれる?」
「ボクモ イクヨ♪」
「ワシとハクは三国会議に参加じゃのう」
「タキも分裂して二匹は置いて行け」
「ハーイ」
そんな会話をしながら、今日も開発を進めて行く訳だけど――。
「それからロザリンド殿、我がノシュマン王国にサングラスと眼鏡を追加でお願いしたいんだが」
「んもー。私担当じゃないのに、仕方ありませんね。おいくつ欲しいんです?」
なんてやり取りもロザリンドさんにとっては慣れたもので、他の皆さんは事務所から出て来ません。
懸命な判断ですね!
「ではサングラス2000個に眼鏡3000個の追加注文ですわね。補聴器は200個追加と……。エンジュさん、予備は幾つあります?」
「追加注文がどこから来てもいい様にプラス5000で作っている」
「と、言う事ですので、今回の船に乗せて頂くように伝えますわ」
「助かるよ」
と、この場で欲しい物を注文していくノシュマン王には、何というか、我が工場に慣れたなぁって思うんだけど。
「あ、でも【体感温度が上がる付与】のネックレスは難しいよね?」
「そちらは3000なら用意がありますが、付与できるのが今の所ユリしかおらず」
「ユリ殿……」
「暇を見てやりますよ。今回の船には間に合わないかもしれませんが、追加便でお出しします」
「ああ、助かる!!」
何だかんだと、忙しい日々を送りつつ、私たちの仕事量を見たロウ様達は「これが普通なのだろうか」と呟いていたけれど、普通じゃありませんからね!!
そして――それからの日々は、ロウさん達は休息日として自由にとはいったものの、開発がどのようにされているのかや、彫刻師の仕事はどんなものなのかとか、やはり興味がある事が多いようで二号店に付いてくることが多かった。
ヒイラギさんは心労と疲れからか家でゆっくり休んでいる事が多く、カシュールさんの手伝いをしたりもしているらしい。
「我の国は製薬と彫刻師が多い国。何故彫刻師は迫害されるのか良く分からなかったのだが……そうか、400年前の女帝が関係していたのか」
「こっちはいい迷惑だよ。彫刻師に生まれたからと言ってテリサバース教会にいってスキルの封印をする家が多くなっちまった」
「ついでに言うと、鉄の国サカマル帝国の製薬前ギルドマスターは呪いのアイテムを作ってラフィリアに飲ませている。この事は製薬ギルドの他のギルドマスターに話が行っている。今はまともなギルドマスターだと良いが、余りいい話は聞かないそうだぞ」
「なんと……そこまで腐っていたのかっ!!」
「鉄の国サカマル帝国からくる輸入品はどれも質の悪い物が多いんですって。その上で法外な金銭の要求があるから、ノシュマン王国とダイヤ王国では輸入を取りやめたのよ」
「なんと恥ずかしい事を……徹底して改めねば」
「改める所が多くて大変だろうがのう。まぁ、一時タキの分裂を貸してやってはどうだ?」
「ええ、そっちの方が良さそうね」
「ダイヤ王国とは是非友好関係になりたいと思っている。無論ノシュマン王国にも苦労を掛けてしまった……どう詫びればいいか」
実際毒に侵されて意識が無かったのだし、どうしようもないと思うけれど……責任感の強いロウさんには耐えられない事らしく、頭を抱えて溜息を吐いていた。
それでも時折休憩室で休んで眠ったりとリフレッシュはしていたので問題ないし、タキちゃんの定期的な診察を受けていたので治りはとても早かった。
食欲もある適度戻ってきた二週間目、それは起こった。
陛下がお忍びでやって来たのだ。
そこで、作業部屋でダイヤ王国の陛下とサカマル帝国の帝王との話し合いも行われ、帝王の身に起きた事を色々と精査した陛下は、「随分と苦労なさいましたな」と労い、「今度はノシュマン王も連れてくる」と言って帰って行った。
待て、この作業部屋で三国の王が話し合いとか無いわよね。
そう思ったが、数日後本当に三国会議が開かれた時は――私たちは空気になった。
そう、空気になって聞いておりません状態である。
しかし、聞いておりませんが通用しませんのが、我がレジェンドモンスターたちである……。
「ええい、まどろっこしいのう」
「全くだ。ロウは城と問題ある重鎮達を壊して初めからやり直すと言っているだけではないか。何をそのように躊躇う」
「しかし、ノヴァ王子がシャース王国を建て直すと言う義務もある……これはとても大きな事だ。しかしそんな中で二つの国が滅べば、力が分散するのだ」
「どうすればいいだろうか」
「うーむ」
「まぁ待て。サカマル帝国の重鎮達は金鉱山が欲しいのと、シャース王国を我が物にしたいだけ。それを逆手に取る……と言う方法も無くはない。どうせ重鎮達は城で酒でも飲みつつ話し合っておるのじゃろうし、そこを一網打尽にする事も可能」
「シャースオウコクノ タテナオシハ ソノアトデモイイトオモウ」
「土地の浄化が進んでおらんからな」
「「「土地の浄化?」」」
思わぬ言葉に私達も顔を上げると、何でもスタンピードが起きた後の土地は二年から三年は土地を浄化しなくてはならないらしく、それが終わってからの方がモンスターは湧きづらいのだという。
問題が解決してまだ半年……まだまだ国を建てるには早すぎると言うのがお爺ちゃん達の言い分である。
「スタンピードの後の土地の浄化は知りませんでした。なるほど、今は動かしたくとも動かせぬと言う事ですか」
「そう言う事じゃな」
「それならば……帝国を優先する事はノシュマン王国は賛成です」
「おお……ありがたい!」
「何よりロウ殿は聡明であらせられる。毒で意識が無かったのは残念だが、それらの脅威がなくなれば賢き王となられるでしょう」
「うむ、私もそう思う」
「ありがとう御座います!!」
「それまでは、サカマル帝国の屑な重鎮共には踊って貰わねばならぬ。我々レジェンドが切れる程の事をして貰わねば困るのじゃよ」
「理由無くして暴れれば、我らの名にもヌシの名にも傷がつく」
「ソレソウオウノ ナニカガ コレカラ オキルッテコトダネ!」
「ワア! ナニガオキルノカ タノシミダネ♪」
楽しみにしてはいけないけれど、何かを犯すつもりではあるのだろう。
断交も続いているし、国民達ですら食うに困る日々。
重鎮達もイライラし始めているが、先が見えない不透明さ。
各ギルドも連絡をあちらこちらに入れていても取り合って貰えない状態。
正に、孤立。
それが爆発するのが半年後と言う事らしいけど、今頃重鎮達は色々あーでもないこーでもないと話し合っているのだろう。
「しかし、こうしてみるとユリ殿のレアスキルとはなんとも優れておりますな」
「そうであろう。元シャース王国の王太子からは『石しか出せぬ』と追い出されたらしいが。本当にアホウの極みじゃのう」
「ダイヤ王国はどうやって鉱石や飾り石等になる石を得ているのかと思えば……本当に驚かされるばかりです」
「ユリハ ホウセキモ ダセルシネ!」
「ボクハ ホウセキハ ムリダケドネ♪」
「岩田には私の代わりに冒険者ギルドに通って貰えるから時間が出来て助かるわ」
「エヘヘ♪」
「ノシュマンでは少しは金がでるのであったな」
「うむ、お陰で少しは助かっておるが」
「後三年は浄化が必要……手出しが出来ぬと言うのに我が国の重鎮達は……余程欲目しかないと見える」
「そうでなければ400年前の賢王と名高い女帝を殺しはしまいよ」
そうお爺ちゃんが言うと三国の王は溜息を吐いていた。
まぁ、確かに面倒は面倒よね。
断交は続いている訳だし、何時爆発しても可笑しくはないとは思うけど、戦争を起こすだけの力も今の鉄の国サカマル帝国にはない。
一体どんな手を使ってくるかは不明なのだ。
力推しで来るか、外交を使ってくるか……。
何方にせよ不気味ではある。
その後も三国の王はこの作業場で話し合いを慕いする日がたまにある訳だけど、慣れてくると此方も空気になるのは慣れてくる訳で――。
それはロザリオスさんを始めとする、うちの従業員に関しても言えることで――。
「ユリちゃーん? 今度商業ギルドマスターが依頼したいことが……あら陛下たち、こんんにちは。そうそう、後製薬ギルドマスターが頼んでいた商品を持って来て欲しいんですって」
「最近商業ギルド多いですね。先週も出しましたよ?」
「そうよね、一応調べて貰った方が良い気がするわ」
「ギルドマスターはなんと?」
「ギルドマスターも調べるって言ってたわね」
「盗難防止の魔道具は使ってるでしょうし……何かしら」
「ボク シラベヨウカ?」
「ええ、タキちゃん調べてくれる?」
「ボクモ イクヨ♪」
「ワシとハクは三国会議に参加じゃのう」
「タキも分裂して二匹は置いて行け」
「ハーイ」
そんな会話をしながら、今日も開発を進めて行く訳だけど――。
「それからロザリンド殿、我がノシュマン王国にサングラスと眼鏡を追加でお願いしたいんだが」
「んもー。私担当じゃないのに、仕方ありませんね。おいくつ欲しいんです?」
なんてやり取りもロザリンドさんにとっては慣れたもので、他の皆さんは事務所から出て来ません。
懸命な判断ですね!
「ではサングラス2000個に眼鏡3000個の追加注文ですわね。補聴器は200個追加と……。エンジュさん、予備は幾つあります?」
「追加注文がどこから来てもいい様にプラス5000で作っている」
「と、言う事ですので、今回の船に乗せて頂くように伝えますわ」
「助かるよ」
と、この場で欲しい物を注文していくノシュマン王には、何というか、我が工場に慣れたなぁって思うんだけど。
「あ、でも【体感温度が上がる付与】のネックレスは難しいよね?」
「そちらは3000なら用意がありますが、付与できるのが今の所ユリしかおらず」
「ユリ殿……」
「暇を見てやりますよ。今回の船には間に合わないかもしれませんが、追加便でお出しします」
「ああ、助かる!!」
何だかんだと、忙しい日々を送りつつ、私たちの仕事量を見たロウ様達は「これが普通なのだろうか」と呟いていたけれど、普通じゃありませんからね!!
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