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11 冒険者ギルドでも週一通い。それはそれでいいでしょう! 定期収入安定大事!

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「そろそろご飯ですよ~」
「「「はーい!」」」


 こうしてお昼は此方の世界の食べ物を食べて舌鼓を打ち、午後は冒険者ギルドへ行く前に魔道具店に向かう事にしたのだった。
 日傘を差してお爺ちゃんとタキを護衛にまずは魔道具店に向かい、遠隔連絡用魔道具を購入するとアイテムボックスに入れ、他に仕事場用というか、個人で使う用の空気が冷たくなる奴が欲しかったので、魔石も一緒に多めに購入してアイテムボックスに入れ冒険者ギルドへと歩き出す。

 何度かナンパっぽい物は受けたけれど、お爺ちゃんとタキのお陰で何とかなった。
 お爺ちゃんの威圧で腰を抜かす男性がとても多かったけど放置しておこう。
 商業ギルドの反対側にある冒険者ギルドは冒険者が沢山いたけれど、私が入って行くと珍しいのかジロジロ見られる。


「すみません、シャース王国のギルドマスターからこちらのギルドマスターに連絡が来ていると思うのですが」
「ああ、貴方がユリさんですね。ええ、ご連絡頂いています。奥のお部屋へどうぞ」
「ありがとう御座います」


 そう言うと奥の部屋に通され、待つ事数分ギルドマスターがやって来た。
 こちらは筋肉質なダンディなおじ様だ。商業ギルドのレイルさんは細マッチョ系だけど、こっちはゴリマッチョ系って感じだろうか。


「おお、待っていたぞ。俺はダリルシェイドの冒険者ギルドマスターのドナンだ」
「初めまして、ユリと申します」
「うんうん、色々ダンから話は来ている。レアスキル持ちらしいな」
「ええ、石なら大体出せます」
「ははは! 鉄鉱石が不足してるんだが、鉄鉱石を600個用意できるか? 金額は100個で80枚金貨になっちまうが」
「構いませんよ」
「出来れば銀かプラチナも欲しい。銀鉱石なら100で金貨100枚、プラチナなら300枚だ」
「そこはシャース王国と変わらないんですね。個数を言ってくれれば作りますが」
「定期的に作って貰えれば助かるが、ここは冒険者も多い国だ。戦争の所為でどこも枯渇気味なんだよ。週一では頼めないか?」
「ん――……数が多く無ければいけますが」
「それでもいい、頼む。契約をお願いしたい」
「分かりました。ただし昼以降からしか来れませんが良いですか?」
「ああ、それでもいい」


 こうして週一で冒険者ギルドには通う事になり、その都度欲しい鉱石の個数を教えて貰い出すことになった。
 定期収入って大事。
 その内家を買うんだ。一軒家! 楽しみ!!
 今の皆と過ごす家も良いけど、お風呂とかやっぱり気を使っちゃうしね。

 その後倉庫に案内され、そこでの作業となったけれど、暑い。
 部屋が涼しくなる魔道具を急いで出してセットし、部屋がヒンヤリしてくるとやっと仕事に取り掛かれる。


「この倉庫暑かったのう」
「本当に、魔道具買っておいて良かったわ」
「タキ コノヘヤ ホコリッポイカラ ソウジスルヨ」
「お願いね」


 こうしてタキに掃除して貰っている間に頼まれた鉄鉱石、銀鉱石、プラチナ鉱石をそれぞれ600個ずつ箱の中に入れ込んでいく。
 時間が足りそうになかったらタキにも手伝って貰ってしよう。
 アイテムボックスからキャンプ用の椅子を取り出し座ると――。


「アイテム生成・鉄鉱石」


 そう言うと形が均等で混じりっ気無しの100%の鉄鉱石がケースの中に落ちていき、600個出し終わる頃にはタキの掃除も終わっていて、私とタキとでアイテム生成をしていく。
 タキに300個、私も300個出すようにしてすればあっという間だ。
 プラチナだけは生成に時間がかかるので、これだけは少し時間的に苦戦したものの、お昼四時頃には全て終わりギルドマスターを呼んだ。


「早かったな」
「頑張りました」
「うん、確かに数は揃っている。これだけあっても一週間持たないんだ」
「付与魔法のアイテムを作るのにも素材が枯渇していると聞いてます」
「ああ、アクセサリー屋なんて必死だ。売っても売り上げにならんと嘆いてるくらいだ」
「そうなんですね」
「来週も頼むぜ。本当にユリが頼りだ」
「出来る限りは頑張ります。ダンさんにはお世話になりましたし」
「ははは! 俺も出来るだけ君のお世話が出来るように頑張るよ」
「持ちつ持たれつがいいですねー」
「そうだな! 時に君は婚約者がいるそうだが。元魔物討伐隊のエンジュだろう?」
「ええ、そうですよ」
「エンジュは戦ってこそだと思うんだがな……。奴が辞めた穴はデカい」
「そうなんですか?」


 思わぬところで未来の夫の話を聞けた。
 なんでも魔物討伐隊で【魔物たちの悪魔】と呼ばれる程強かったらしい。
 あんな銀の髪に青い瞳をしながら、青い炎を出すのが得意で焼き殺すことも可能だったのだとか。
 彫金が出来なくなった父親の事で魔物討伐隊を辞めたそうだが、既に3年経過しているのに未だに穴が埋まらないそうだ。


「君も彫金が出来ればなぁ……」
「出来れば苦労はしないんですがね。まだまだ色々な所が駆け出しです」
「とは言っても、これだけの純度の鉄鉱石なんて早々お目に掛かれない。君は凄いスキルの持ち主だな」
「ありがとう御座います」
「ダンがシャース王太子に黙っていたのが分かるよ。君を奴隷にしてでも働かせようとしただろうな」
「嫌ですよそんな生活」
「だろうな! 取り敢えず既に君はダイヤ王国の国民な訳だし、シャース王国も口出しは出来ないさ」
「そうだと嬉しいです」


 こうして今日働いた分のお金、24万4800枚の金貨を貰いアイテムボックスに入れる。
 定期収入として美味しすぎる!!
 今後も600個ずつお願いするとの事だったので、一週間に此れだけ毎日入れば大金持ちだ!
 家も良い家が買えそう!!
 ホクホクの笑顔で日傘を差して帰っていると、色々な魔道具が売ってるなーと見ていて思う。
 鑑定しながら歩き、出来れば体感温度が涼しくなる魔道具はないだろうかと考えながら歩いてお店に帰りつくと、皆さんから「お帰り」と声を掛けられた。


「ただいまです」
「冒険者ギルドでの仕事は恙なく?」
「ええ、終わらせてきました。ふふっ! 沢山お金を溜めて一軒屋を買うのが夢なんです」
「一緒に住み続けるのではないのですか!?」


 そう驚きの声を上げたのはセンジュ君で、私としては一軒家が欲しい事を伝えるとションボリされてしまった。


「別にこの家が嫌とかそう言うのではないですよ!?」
「なら何故一軒家になんて……」
「この家もそれなりに広いんだがなぁ」
「いえ、私汗を掻きやすいみたいでお風呂の回数が増えますし」
「そんな事を気にしていたのか?」
「ええ、ブレスレットでもいいから体感温度を下げる魔道具が無いか探してたんですが見つからず……」
「「「体感温度を下げる魔道具……」」」
「難しいですよねぇ」


 そう言って日傘をアイテムボックスに入れていると――。


「それは盲点でした。姉上、俺は作れます」
「本当!?」
「ただ、それを作るには彫金が……」
「いや、俺も頑張るから!! 腕輪くらいなら銀で作れるから!!」
「ネックレスの方がええんじゃないか? ユリ、お前さんも手は使うじゃろう」
「それもそうですね……エンジュさんがネックレスを作れるようになったらお願いします」
「くっ! が、頑張る」
「出来ればプラチナが良いです」
「もっと頑張る!!」


 こうして発破を掛けつつ応援し、私はその後加工スキルを上げるべく椅子に座り作業を始める。
 汗をハンカチで拭いつつの作業で、元々暑さには強い方では無いのでお茶を飲みつつ熱中症にならないように塩飴も舐める。


「ユリ」
「はい、お父様」
「湯船も好きに使っていいんだからな?」
「良いんですか?」
「ああ、湯を沸かすのは壊れてないと……思う」
「いや、壊れとったわ」
「お爺ちゃん見て来たんですか?」
「うむ、暇だったのでな」
「そこも修繕か………すまんユリ、少し待ってくれ」
「はい!」
「な~に。風呂くらいならワシとタキで何とか暫くするわい。水と炎の魔法で湯を作るくらい簡単じゃ」
「お爺ちゃんありがとう!!」
「その代わりワシらも入るぞ!」
「アラッテホシー」
「洗おうね! 綺麗にしようね!」
「ユリ、直ぐに風呂の工事を頼んでくる!! 皆はスキル上げ頑張っていてくれ!!」
「「「はい!!」」」


 と、お父様は外に走り出し修理の予約を入れに行ったようだ。
 本当にあの女性って貧乏神みたいな人だったんだろうな……。まぁ、壊れていた所が直って行くのは気分が良いし、金貨がまだ余っているなら使って貰えば良いし。


「今日の夕飯はどうしましょうか」
「野菜たっぷりで腹持ちが良いのが良いですね」
「ならお好み焼きなんてどうです?」
「知らない料理ですね」
「なら私が作りますので隣で見ていてくださいな」
「ありがとう御座います」
「一人二枚として作りますね」
「よく食べる家ですみません」
「いえいえ、楽しいですよ」
「ユリ、そろそろ銀鉱石が無くなりそうなんだ」
「はーい」


 と、アイテムを生成しつつ夜はお好み焼きを作る事を決め、夕方6時になったら仕事を止めて作り始めようと決めた。
 そしてお父様が帰宅すると時間は丁度夕方6時で、私とセンジュ君は仕事を一旦終わりにして料理を作りに向かう。

 作業用のエンジの割烹着から白の割烹着に着替えて手を洗い、【お取り寄せ】でキャベツをドンドン購入! 山芋入りのお好み焼きの粉も多めに、卵も多めに購入した。
 無論ブタ肉も忘れずに!
 こうして作り方を教えつつ、山盛りのキャベツを塩揉みしたりと作業をしつつ、ふっくらとしたお好み焼きを大皿にドンドン並べて置き、焼いた分だけアイテムボックスに入れて焼き立てを食べれるようにしてお好みソースタップリ、マヨネーズもかけて鰹節に青さを掛けたら出来上がり!


「ご飯ですよー!」


 この一言でバタバタと仕事部屋から戻ってくるお父様とエンジュさん。そして待ちきれ無さそうにしているお爺ちゃんとタキを撫でつつ、揃ったところで――。


「「「「頂きます!」」」」


 さぁ、お好み焼きのお味はどうですか!?


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