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第四章 これからも世紀末覇者で心乙女な君と一緒に!

第61話 新しい家族と出迎える事になる、懐かしい叔父

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 モコリーヌから来た手紙に慌てたのは俺だけではなく、ムギーラ王家もそうだった。
『神々の島のアツシ・ジュノリス国王がシュノベザール王国の元賢王を連れてお忍びでカズマに会いに来る』というのは、驚く以外の何者でもなかったのだ。

 何より、俺の方に届いた手紙には――。
『斎藤カズマだろうか? 俺は中園アツシ、君の叔父さんだ。ちょっと訳あってこちらの世界に長らく来ているが、君も巻き込まれてこちらの世界に来たのだろうか? それともあちらの世界と行ったり来たりしているのだろうか? 姉は、君のお母さんは元気だろうか……。一度会って話がしたい。会いに行く』と書かれていたのだ。

 無論、その返事に対しては――自分は魔法の鏡であちらの世界とこちらの世界を行き来している事や、母はたまにこちらの世界に遊びに来ている事も伝えると、是非会いたいという事になったのだ。

 その為、お忍びで――となったのだが、国王たちに説明するのが大変だった。
 まず、アツシ・ジュノリス王は自分と血縁関係がある事を伝えると、それはもう驚かれた。
 神々の国の大国、ジュノリス王の血縁者だ。
 この国で言えば王位継承権のあると思われても仕方ない。

 だが、ジュノリス王には既に子が居る為、自分は血こそ繋がって居ても王位継承権は無いのだと改めて伝え直すことになった。


「そうか、カズマ殿はアツシ・ジュノリス王の血縁者であったのか……」
「道理で聡明だと思っていた」
「ははは……」
「我が妹マリリンは、とんでもない人を夫にしたのだな……」


 ジャックさんも、最早恐縮しまくっている。
 いや、仕方ないと言えば仕方ないのだろうが、「少なくとも大事にはしたくないようです。お忍びで俺に会いに来るというだけですから」と伝えると、俺の価値がグッと上がって大変だった。

 度々道中の手紙が届いたが、キャンピングカーを飛ばしながら着ているらしく、途中ユリと言う日本にいた女性も連れてくるとの事で、大部屋を一室使って色々盛り上がれそうだとも思った。
 また、両親には「アツシ叔父さんがこちらの世界にいたらしい」と伝えると驚かれ、会いたいというので「今会いに来ている最中らしい」と伝えると、母は涙を流して喜んだ。

 それでもキャンピングカーを飛ばして2ヶ月の旅になるらしく、それまでの間屋敷のアレコレやムギーラ王と会う話などが進み、結果、お忍びだがムギーラ王とは対談することになったようだ。

 また、叔父のお願いでレアスキルである『拠点』を俺の住む屋敷に扉を作りたいらしく、それについては許可を出させて貰った。
 俺だって大好きな叔父にはいつでも会いたい。

 そんなこんなで時間が過ぎ去る中、マリリンの出産となった。
 生まれたのはマリリンによく似た可愛い女の子で、俺の血どこ行ったんだろう……と思わなくはない。
 だが、とてもかわいい女の子だった。


「一姫二太郎と言う言葉が俺の国にはあるんだけど、最初女の子が生まれて次に男の子が生まれると、育てやすいって言われてるんだ」
「そうなのか」
「女の子は世話したがりだからね」
「ふむふむ。では次は男の子だな!!」
「まずは体を元に戻してからだよマリリン」


 そう言ってチュッとキスをすると、生まれたばかりの小さな娘ももごもご動きつつ可愛かった。
 長女の名は『マリシア』と決まり、ジャックさんたちはそれはもう目じりが下がりっぱなしで可愛がり、マギラーニ宰相は「カズマに似たお子がいつ生れるやら」と、どこか遠い目をしていたが、此ればかりは分からない。
 だが、とても喜んではくれた。

 その頃になると、母は住み込みでマリリンとマリシアの世話をしてくれて、俺も出来る限りの子育てを頑張った。
 夜泣きの殆どないマリシアだったが、マリリンの母乳が余りでない為、俺の元居た世界から粉ミルクを持ってきて飲ませながらの子育てとなった。

 そして、叔父であるアツシ叔父さんに初めて我が子が生まれたことや、娘であったことを伝えると『祝いの品は沢山持ってくるからな!!』と言われ、「どうやって!?」と突っ込みを入れざるを得なかったが、きっとレアスキルがあるのだろう。

 血を見るようなレアスキル出なかったことは嬉しいものの、アツシ叔父さんの持つスキルは気になる。
 他の人もどんなスキルを持ってこの世界に来たのだろうか……。
 そんな事を思いつつ娘にミルクをやってゲップをさせていると「カズマ様は本当に子煩悩ですわね」とメイドたちが笑顔で語りかけてきた。


「そりゃ愛しいマリリンとの初めての子だからね。大事に育てているし、何より娘だ。マリリンのような娘になるかも知れないけれど、それでも我が子。どっちに似てもきっと可愛い」
「あらまぁ」
「奥様愛されてますわねぇ」
「僕はマリリンに一途だよ」


 無論娘は娘で一途だ。
 こんな可愛らしい娘を生んでくれたマリリンには感謝しかない。
 そんな日々を過ごしていたら、気づけば明日にはムギーラ王国にモコリーヌを連れて叔父たちがやってくる日がやってきた。


「明日……か」
「緊張するか?」
「そうだね、僕よりきっと母の方が緊張していると思う」


 とても仲の良かった母と叔父。
 その叔父の神隠しは母に相当なストレスを与えたと父から聞いている。
 明日は我が家で僕の両親もやってくるが……どうなるだろうか。


「我はカズマの叔父様に気に入られるか不安だが」
「僕の選んだ女性だ。文句は言わせない」
「カズマッ!」
「君程魅力的な女性はいないよマリリン。そして、こんなにも可愛らしい娘を生んでくれたマリリンには、心の底から感謝しているんだ」


 そう言ってベビーベッドで眠る可愛らしい娘を見てマリリンの大きくてゴツイ手を握りしめる。


「子供を産んで尚美しさが引き立ったマリリンに、僕はメロメロなんだよ?」
「ウ……ウホッ!」
「今は深く愛し合えないけど、マリリンの身体が元に戻ったら……ね?」
「う、うむ!!」
「嗚呼、愛しのマリリン……」
「カズマッ!」
「おぎゃああああああああああああああああああああ!」


 と、つんざく雄叫びを上げた娘マリシア。
 どうやら僕たちが煩かったらしい。
 抱きあげてあやしつつ、夫婦苦笑いしながらぐずる娘をあやしたそんな夜。
 次の日昼、僕の屋敷の前にキャンピングカーが停まるのは……もう直ぐだった。
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