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第三章 結婚して新たな人生のスタートには波乱がつきもので!?

第50話 日本でもハネムーンを! いっぱい食べる君が好き!

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 そう言えば、異世界でのハネムーンが終わったら日本でもハネムーンをしようと語り合っていた。
 そこで一旦家に帰り、家から程近い温泉を印刷して異世界に戻ってマリリンと語り合う事となった。


「温泉か、やはり新婚旅行と言えば温泉なのだろうか?」
「そういう訳ではないけれど、日本は温泉が多いからね。遠くまで連れて行きたいけれど、温泉で家族風呂があるところじゃないとマリリンは問題があるから」
「ああ、見た目がなぁ」
「それで、コテージがあって温泉があってって場所を探してきたんだ。コテージの方が気兼ねなく体も鍛えられるだろうし、周囲の目もそう気にならないかなと思って」
「流石に両手剣を出すのはご法度だろうからなぁ」
「そうだね」


 そう語り合う僕とマリリン。
 紅茶を飲みつつ行き先を決めかねていると、一か所コテージ内にも温泉があり、尚且つ庭で希望すればバーベキューをして貰えるという場所を見つけた。
 しかも追加料金を支払えばバーベキューの料理が増えるらしい。
 マリリンはよく食べる、ここしかないだろう。


「この温泉宿にしないか?」
「というと?」
「コテージの室内にも温泉があるらしくて、追加料金を支払えば料理も増えるらしいんだ」
「それはいいな!!」
「ベッドもクイーンサイズがあるらしくて、これなら安心かなって」
「ンン! 全くカズマはそっちの力が旺盛だな!」
「マリリン相手だとついね」


 そう微笑むとマリリンは真赤になりつつ「そこがいいんだが!!」と答えていた。
 こうして一度日本に帰り、宿の予約を何とか取ることが出来た。
 一週間は無理だったが、2泊できるようなのでたっぷりと楽しもうと思う。
 ただ、問題が一つあった。
 見て回れる場所がない……。
 本当に温泉を楽しむ場所と言った感じだった。
 その事をマリリンに告げると「確かテレビはある筈だから、ゆっくり過ごすのも悪くない」と許してくれたので、思わずギュッと抱きしめる。


「異世界で色々見て回りたいだろうに……」
「だが、行きは車なのだろう?」
「そうだね」
「なら、その時にしっかりと観光するさ」


 何も、どこもいけないという訳ではない。
 観光もオルゴール博物館なら行っても良いだろう。
 ペットショップだと犬が怯えるだろうか……うーむ。
 そんな事を思いつつ、取り敢えず動物関連は置いとくとして、オルゴール博物館や世界のビールが飲める場所は行けそうだとホッと安堵する。
 後一泊は……ちょっとエッチなホテルに行きたい。

 やはり僕も男だ。
 そういう所には好きな妻と一緒に行きたい。
 相手がマリリンだから何だと言うのだ。だからこそいいじゃないか!!


「マリリンその……一泊だけ違うホテルに行っても良いかな?」
「ん?」
「人生で一度は行ってみたいホテルがあってね」
「うむ! どんなホテルかは知らないが、カズマを信用しているからな! 楽しみだ!!」


 あ゙――!! 良心が痛むその笑顔!!
 何も知らない無邪気な笑顔!!
 でもごめんマリリン、付き合って欲しいんだそういう所にも!!
 そう心で土下座し、僕は笑顔で「楽しみだよ」と答えた。


「となると、カズマの仕事が如何に落ち着くかによるな」
「そうだね、今は幾分落ち着いてるから行くとしたら来週かな。ムギーラ王に実家にマリリンを連れて戻るって伝えておくよ。そっちでもハネムーンを過ごす約束をしていたって言えば直ぐに了承して貰えると思う」
「分かった」


 こうして次の日、ムギーラ王に自国にてハネムーンをする約束をしていたので、来週から休みを貰いたいと伝えると直ぐに了承して貰えたので、来週の頭から二泊三日で温泉へ。その後一泊そういうホテルで……と言うのが決まった。
 車での移動は高速を使えばそう時間は掛らない。
 とはいえ、朝出発して高速で只管走って、コテージに到着するのはお昼過ぎだ。
 どこかで食事をすることになるが、それも問題ないだろう。

 それに、マリリンは意外とラーメンが好きだ。
 ラーメンに餃子にチャーハン。
 これらの鉄壁セットがあればかなりルンルンでいてくれる。
 無論替え玉は凄いが。
 男子高校生並みに替え玉をするので、途中もう一杯か二杯追加でラーメンを頼む。

 沢山食べる君が好き。
 正にその通り。
 某ラーメン屋にあった【バケツラーメン】を5分で食べ切ったマリリン。
 あの時は感動して写メを撮りまくった。
 店主は顔面蒼白になっていた。


『うちの奥さん凄いでしょ!』
『お、奥さん!? ……化物並みだねぇ!!』
『化物なんて失礼だなぁ。いっぱい食べる彼女が可愛くて仕方ない!!』
『旦那、アンタも相当狂ってるよ……』


 そう言われたのも懐かしい。
 また【バケツラーメン】出している店はないだろうか……。
 マリリンの豪快に啜る姿が見たいんだ……。


「何を思い出してニヤニヤしているんだ?」
「ん? 君が僕の故郷で【バケツラーメン】を食べ切った時の気持ち良さを思い出してた。あんなに熱々なラーメンを臆することなく5分で食べ切って、湯気舞い上がる御汁まで飲み干して、言った言葉覚えてるかい?」
「ああ、『店主、同じのをもう一杯頼めるか?』だったな」
「僕はあの時のマリリンを見て、ああ……素敵な奥さんを貰ったなぁって感動したんだ」
「そ、そうか? いっぱい食べる女性は毛嫌いされると思ったんだが」
「いっぱい食べる君が好きだ。食べた分だけ強くなる君が好きだ。ああ、もうなんて伝えたらこの好きという気持ちが伝わるだろう」
「カ、カズマッ!!」


 お互い照れ合って微笑み合う時間。
 メイドたちは慣れたのか呆れているのか微笑んで居たり微笑していたり遠い目をしていたりと様々だが、執事のハーゲイだけは「仲睦まじくて素晴らしい事です」と口にしていた。

 このハーゲイは他のお屋敷から来た執事ではあるのだが、そこでは夫婦仲は相当悪かったようで、ハーゲイの髪はその際のストレスで消え去ってしまったのだという。
 しかし、僕たち夫婦の家の執事を募集したところ、率先してきてくれたのがこのハーゲイで、僕たちの事をとても幸せそうに見つめてくれるのが嬉しい。


「旦那様も奥様も、後は健やかなるお子様だけですね」
「そうだね……マリリンに似た可愛らしい我が子が生まれると思うと、今からどう愛していこうかって悩んじゃうよ」
「そ、そんな事を言ったら、カズマに似た可愛らしい子が生まれたら、どう育てていけばいいのか……」
「お互いの愛情をもって育てればいいんだよ……。だって、僕たちの血を受け継いだ可愛い我が子なんだから」
「カズマ……」
「賑やかになるくらい頑張ろう!」
「うむ!!」


 照れ笑いお互い手と手を握り合いそう告げると、ハーゲイはハンカチで涙を拭い、メイドたちは「マリリン様に似たお子様……」「命がけですわね」と口にしていたのは、聞こえない振りをしたのは言う迄もなく。
 そして時は過ぎ去り日本へと帰宅する頃――問題が起きたのだ。
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