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第三章 結婚して新たな人生のスタートには波乱がつきもので!?

第48話 難癖付けられて黙って居られる僕ではない

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 流石にマギラーニ宰相までが僕の味方をしだすと、貴族男性たちは最早諦めた様子で近くから去っていく。
 ザマァないなと思いながらも、マギラーニ宰相はマリリンに向き合った。
 すると――。


「今日の装いのマリリンのドレスは、カズマ様からか?」
「無論ですわお父様」
「こうしてみれば、筋肉は凄いが普通のご令嬢に見えなくもないな」
「マリリンは筋肉があっても無くてもマリリンですよ。だからこそ愛したのです」


 そう僕が告げると女性陣からは黄色い悲鳴が上がった。
 今や『ミセス・マッチョス』の本のお陰で僕とマリリンの言葉はあらゆる面で影響力がある。


「今やお前たちは時の人だ。全く、ジャックがミセス・マッチョス達と連携しているから尚の事だな」
「そうですね。でも、夫婦円満の秘訣は、お互いを尊重し、愛し合う事ですからね、マリリン」


 そう笑顔で告げればマリリンも強く頷き、スリットの入ったドレスを着て美しい姿のマリリンは、僕のいた世界の化粧品で顔を美しく保ち、慈愛に満ちた顔をしている。


「カズマは大抵の事ならば我の事を理解し、そして賛成してくれるし、共感もしてくれる。それは何よりも尊いのだと我は知っている」
「そうか、実にいい夫に巡り合ったのだな……。お前には家で苦労かけたというのに」
「フッ……。その苦労があったからこそ、この様に素晴らしい夫と出会えたことを、誇りに思う!」
「マリリン……」
「お父様も、もう私の事は気にしなくていい。私はもう子供ではない。これからはカズマの護衛をしながら、彼を守り、慈しみ、愛し合って進んでいくのだ」


 そうマリリンが笑顔で伝えると、マギラーニ宰相は涙をハンカチで拭い、「そうか」と口にして笑顔を見せた。
 その様子を見守っていた周囲の人々も涙を拭っており、仲違いしていた親子がやっと前を向けたのだと理解したらしい。


「では、我はカズマの護衛にあたりつつパーティーを楽しもう。カズマ、何か欲しいものはあるか?」
「では、二人で」
「カズマ!!」


 会場がザワリと揺れる。
 そこには複数人の男性陣が怒りの形相で立っており、マリリンは拳を握りしめた。


「貴様の、貴様たちの所為で俺達は各々婚約破棄されたり離婚されたり踏んだり蹴ったりだ!! たかだか愛人を作ったくらいで!!」
「それがいけなかったのではないですか? 女性たちをまるでモノのように、アクセサリー感覚のようにしている男性には、丁度いい【お仕置き】だと思いますが」
「我々はこのままでは領地経営どころか再婚すら出来ない!」
「妻や婚約者ある身でありながら、その相手を大事にしなかったのでしょう?」
「「「それは……」」」
「馬鹿馬鹿しいな!! 実に馬鹿馬鹿しい!! 自業自得ではないか!」


 マリリンの咆哮のような声が響き渡る。
 彼女の身体からは怒りの覇気が流れていて、男性陣は立つことも出来ず腰を抜かして倒れ込んだ。
 一部はお漏らしもしている様だ……。たかだかこの程度の覇気くらいで嘆かわしい。
 マリリン及びジャック、マイケルから別件による他人への怒りの際、致死量の覇気を食らっても、お漏らしだけはしなかった。意識は失ったが。


「マリリン、折角の美しい装いと美しい顔が台無しだよ」
「むう。しかしだな!!」
「たかだかこの程度の覇気でお漏らしする男性なんて、余程肝が小さい癖に自分は大いなる人間だとハリボテを作っていた証拠。嘆かわしいことですね。離れていった女性は真面目だったんでしょう」
「それもそうだな! カズマは我と兄とマイケルの致死量の覇気を食らっても、意識は失ったが漏らしはしなかったからな!!」
「そんな、漏らすなんて人生において恥ずかしい事はしないよ。僕も大人だし、なにより世界最強の冒険者ギルド、レディー・マッスルのリーダーの夫だからね」
「ははは! それもそうだな!」


 クスクス笑いつつ僕が倒れている面々に目を向けると、最早顔色を真っ青にして僕たちを見ていて……僕は笑顔で歩み寄る。


「女性とは賢いのですよ。本能も男性よりも優れているのかも知れないとさえ思う程に。……ご自分たちの力量の無さ、そして女性を馬鹿にした態度が今のご自分を作った……と、言う事実を誰かの所為にしないと面子が保てませんか?」


 そう問いかけると面々は震えつつ顔を俯き、それでいて漏れた下半身を恥じているようにすら見えた。


「その程度の男性では女性は逃げて当たり前です。遊び相手の女性なら下町で見つかる程度かも知れませんが、貴族たるもの、そのような真似はなさいませんよね?」
「そ、それはそうだ」
「無論だとも……」
「貴族女性に相手にされないのは誰の所為です?」
「「「「……」」」」
「返事がありませんね? 理解しているんでしょうか?」


 そう僕が表情の消えた顔で伝えると、男性陣は「ヒ!!」と悲鳴を上げて、一人が「我々の所為です!!」と頭を下げた。


「そう、あなた方の責任ですよね? これ以上マリリンを患わせたくもないんですよ。僕にとって愛しい妻であり愛しいたった一人の愛した女性です。これ以上我々に何かを言ってくるのでしたら、それ相応に対処しますよ?」
「「「も、申し訳ありませんでした……」」」
「いえいえ、では、お帰りになって結構です。その姿では到底パーティーを楽しむ余裕などありませんでしょう?」


 そうクスリと笑うと男性たちは這いながら、それでいて立ち上がれるものは走って外に飛び出していった。
 ザマァないな。


「カズマッ……素敵すぎるっ!! もう、我をこれ以上惚れさせてどうするつもりだ!?」
「どうするつもりかは……」


 そう言って「耳を貸して?」と告げるとマリリンは屈んで耳を貸してくれて、一言僕が告げると顔を真っ赤に染めて鼻血を気合で止めていた。
 その様子が可愛くてニッコリ微笑むと、「愛してるよ、僕のたった一人の奥さん」と伝えて手を取り、僕たちは飲み物や食べ物のあるスペースへと向かったのである。
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