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第三章 結婚して新たな人生のスタートには波乱がつきもので!?
第42話 冒険者の責務と、貴族の責務
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マリリンは溜息を吐き「事実確認を急いだほうが良さそうだ」と口にし、折角ハネムーンに来ているのに仕事になりそうな雰囲気だ。
やれやれと思いつつも、三日後――モランジュラス家の馬車が到着し、一人の壮年の男性と、10歳くらいの気位が高そうな女の子が温泉宿に到着したのだが――。
「なによ! 英雄が作った温泉だと聞いて来てみれば何もないじゃない!」
「だから、今作っている途中だと父さんは言っただろう?」
「私の為にサッサと作りなさいよ!」
そう叫ぶのは一人娘のモブリアンで、壮年の男性は侯爵であるモランジュラス侯爵だ。
確かに子育て失敗しているなぁ……とは思ったが、僕とマリリンは至って普通にモランジュラス侯爵様に挨拶をする事となった。
冒険者なので、貴族の上下関係等知った事ではない。
「これはモランジュラス侯爵! ようこそ、まだ作り始めたばかりの我が温泉に!」
「ああ、マリリン殿、そして夫のカズマ殿」
「え、カズマ!?」
その言葉にモブリアンは目を輝かせて俺を見たが、着飾っている訳では無い為ガッカリした様だ。
「もう、私の為に着飾るとかないの?」
「申し訳ありません。何分【新婚旅行を兼ねた視察】ですので」
「う……」
「その【新婚旅行を兼ねた視察】に急遽来られたので、何の用意もしてないんですよ
」
「すまない……新婚旅行を兼ねた視察に我々が突然来てしまって」
貴族にとっても、新婚旅行中に邪魔をするというのはマナー違反。
それを解っていての僕の発言にモランジュラス侯爵は頭を下げた。
すると――。
「ところで、モランジュラス侯爵よ」
「どうしましたマリリン殿」
「モランジュラス侯爵は【宝石のなる木】を我がレディー・マッスルに依頼をしているな?」
「ええ、1本だけですが」
「1本だと?」
「え?」
「依頼には、10本と書いてあったが、アレはどういう事か?」
「え!?」
目を白黒させて驚くモランジュラス侯爵に、「ヤバイ」と口にして隠れようとするもブリアン。
どうやらモブリアンが何か知ってそうだなと思った。
「10本等国家予算と同じですぞ! そんな無謀な依頼等致しません!!」
「では、こちらの依頼の書類を見て欲しいんだが」
そう言ってマリリンはアイテムボックスから、モランジュラス侯爵家から来ている依頼書を出すと、確かに10本と書いてある。
ワナワナ震えるモランジュラス侯爵に、モブリアンが離れようとしたその時――。
「モブリアン!! あれほど大事な書類に悪戯をしないようにと言っただろう!」
「ごめんなさいお父様! だってたった1本じゃ自慢にならないから……」
「なるほど、そちらのご令嬢の悪戯だったか……本来なら違約金を貰うところだが?」
「い、違約金……」
「そんなの知らないわよ!!」
「契約書に書いてあるだろう。依頼の品の数やキャンセルをした場合は、違約金として半額出して貰うと」
「は、半分なんて渡したら我が侯爵家は潰れてしまう」
「お、お父様ごめんなさい……本当にそんな……大事になるなんて知らなくて」
「そうだな、こうなったのはモブリアンの責任。モランジュラス侯爵に非がある訳では無い」
そう静かに口にしたマリリンに、モランジュラス侯爵は何処かホッとした様子を見せたが、モブリアンはガクガクと震えている。
「責任はモブリアンに取って貰おう」
「「え!!」」
「そうだな、厳しい修道院を紹介するから、そこで一生過ごして貰おうか」
「い、嫌よ……だって私……」
「悪いことをしただろう?」
「だって……」
「やった事には責任と言うものがつくのは貴族である貴様でも知っている筈だ」
「う……」
「その責務を果たして貰う。子供だからと容赦はしない」
「お、お父様……」
モブリアンは父親に助けを求めたが、とてもじゃないが5000万金貨の半分を支払えと言われても、流石のモランジュラス侯爵家でも無理だろう。
モランジュラス侯爵も首を振ってモブリアンに拒否を示した。
「い、嫌よ!! だって私……」
「貴族には責任が伴う。我が弟アスランも責任をもって修道院へ入った。そう言えば君と同じ年だったな」
「あ、あ、あ……」
「温泉でのんびりしている場合ではないのではないかな?」
そうマリリンが笑顔で告げると、モブリアンは顔面蒼白で震え、モランジュラス侯爵はそんな娘の両肩を掴んで僕たちに頭を下げた。
「一人娘だと思って甘やかしたツケでしょうな……。修道院はそちらが選んだ場所にモブリアンを送ります」
「嫌よお父様!!」
「モブリアン、君は貴族ならば貴族らしく責務を全うするがいい!」
「たった0を書いただけでこんな」
「それが、君の身を亡ぼすことになったな!」
「いやあああああああああ!!」
――こうしてモランジュラス侯爵は娘の悲痛な叫びを聞きながらとんぼ返りすることになり、モブリアンは最後まで喚いていたがマリリンが馬車に入れたことで「こんな事ってないわ! 許されないわよ!」と叫んでいたが知った事ではない。
「謝罪は改めて致します」
「うむ、耳障りだ。早く連れて帰るといい」
「失礼致します」
『宝石のなる木』事件はモブリアンが0を書き足した事だと判明し、ようやく解決したが、ギャンギャンと喚くモブリアンの声と、怒鳴りつけるモランジュラス侯爵の声は結構遠くになっても響いていた。
心配してきてくれた『ミセス・マッチョス』の面々にも事情を説明すると「貴族の責務を全うして貰うしかないな!」とナイス笑顔で歯を光らせて告げていたので、冒険者の中では普通の事なのだろう。
「冒険者には冒険者の責務があるように、貴族には貴族の責務がある。それはどう足掻いても全うせねばならぬ事柄なのだ」
「なる程です」
こうして『宝石のなる木問題』は解決し、ホッと安堵しながら僕たちは『ミセス・マッチョス』達と一緒に温泉を楽しみ、三か月と言う長い期間をイチャイチャしながら過ごしつつも、新たに建築される建物を見て「ここは賑やかになる」と嬉しそうに笑うマリリンを横に、出来上がっていく温泉周辺を見て過ごしてから――ようやく僕たちはムギーラ王国へと帰っていったのであった。
そして――。
やれやれと思いつつも、三日後――モランジュラス家の馬車が到着し、一人の壮年の男性と、10歳くらいの気位が高そうな女の子が温泉宿に到着したのだが――。
「なによ! 英雄が作った温泉だと聞いて来てみれば何もないじゃない!」
「だから、今作っている途中だと父さんは言っただろう?」
「私の為にサッサと作りなさいよ!」
そう叫ぶのは一人娘のモブリアンで、壮年の男性は侯爵であるモランジュラス侯爵だ。
確かに子育て失敗しているなぁ……とは思ったが、僕とマリリンは至って普通にモランジュラス侯爵様に挨拶をする事となった。
冒険者なので、貴族の上下関係等知った事ではない。
「これはモランジュラス侯爵! ようこそ、まだ作り始めたばかりの我が温泉に!」
「ああ、マリリン殿、そして夫のカズマ殿」
「え、カズマ!?」
その言葉にモブリアンは目を輝かせて俺を見たが、着飾っている訳では無い為ガッカリした様だ。
「もう、私の為に着飾るとかないの?」
「申し訳ありません。何分【新婚旅行を兼ねた視察】ですので」
「う……」
「その【新婚旅行を兼ねた視察】に急遽来られたので、何の用意もしてないんですよ
」
「すまない……新婚旅行を兼ねた視察に我々が突然来てしまって」
貴族にとっても、新婚旅行中に邪魔をするというのはマナー違反。
それを解っていての僕の発言にモランジュラス侯爵は頭を下げた。
すると――。
「ところで、モランジュラス侯爵よ」
「どうしましたマリリン殿」
「モランジュラス侯爵は【宝石のなる木】を我がレディー・マッスルに依頼をしているな?」
「ええ、1本だけですが」
「1本だと?」
「え?」
「依頼には、10本と書いてあったが、アレはどういう事か?」
「え!?」
目を白黒させて驚くモランジュラス侯爵に、「ヤバイ」と口にして隠れようとするもブリアン。
どうやらモブリアンが何か知ってそうだなと思った。
「10本等国家予算と同じですぞ! そんな無謀な依頼等致しません!!」
「では、こちらの依頼の書類を見て欲しいんだが」
そう言ってマリリンはアイテムボックスから、モランジュラス侯爵家から来ている依頼書を出すと、確かに10本と書いてある。
ワナワナ震えるモランジュラス侯爵に、モブリアンが離れようとしたその時――。
「モブリアン!! あれほど大事な書類に悪戯をしないようにと言っただろう!」
「ごめんなさいお父様! だってたった1本じゃ自慢にならないから……」
「なるほど、そちらのご令嬢の悪戯だったか……本来なら違約金を貰うところだが?」
「い、違約金……」
「そんなの知らないわよ!!」
「契約書に書いてあるだろう。依頼の品の数やキャンセルをした場合は、違約金として半額出して貰うと」
「は、半分なんて渡したら我が侯爵家は潰れてしまう」
「お、お父様ごめんなさい……本当にそんな……大事になるなんて知らなくて」
「そうだな、こうなったのはモブリアンの責任。モランジュラス侯爵に非がある訳では無い」
そう静かに口にしたマリリンに、モランジュラス侯爵は何処かホッとした様子を見せたが、モブリアンはガクガクと震えている。
「責任はモブリアンに取って貰おう」
「「え!!」」
「そうだな、厳しい修道院を紹介するから、そこで一生過ごして貰おうか」
「い、嫌よ……だって私……」
「悪いことをしただろう?」
「だって……」
「やった事には責任と言うものがつくのは貴族である貴様でも知っている筈だ」
「う……」
「その責務を果たして貰う。子供だからと容赦はしない」
「お、お父様……」
モブリアンは父親に助けを求めたが、とてもじゃないが5000万金貨の半分を支払えと言われても、流石のモランジュラス侯爵家でも無理だろう。
モランジュラス侯爵も首を振ってモブリアンに拒否を示した。
「い、嫌よ!! だって私……」
「貴族には責任が伴う。我が弟アスランも責任をもって修道院へ入った。そう言えば君と同じ年だったな」
「あ、あ、あ……」
「温泉でのんびりしている場合ではないのではないかな?」
そうマリリンが笑顔で告げると、モブリアンは顔面蒼白で震え、モランジュラス侯爵はそんな娘の両肩を掴んで僕たちに頭を下げた。
「一人娘だと思って甘やかしたツケでしょうな……。修道院はそちらが選んだ場所にモブリアンを送ります」
「嫌よお父様!!」
「モブリアン、君は貴族ならば貴族らしく責務を全うするがいい!」
「たった0を書いただけでこんな」
「それが、君の身を亡ぼすことになったな!」
「いやあああああああああ!!」
――こうしてモランジュラス侯爵は娘の悲痛な叫びを聞きながらとんぼ返りすることになり、モブリアンは最後まで喚いていたがマリリンが馬車に入れたことで「こんな事ってないわ! 許されないわよ!」と叫んでいたが知った事ではない。
「謝罪は改めて致します」
「うむ、耳障りだ。早く連れて帰るといい」
「失礼致します」
『宝石のなる木』事件はモブリアンが0を書き足した事だと判明し、ようやく解決したが、ギャンギャンと喚くモブリアンの声と、怒鳴りつけるモランジュラス侯爵の声は結構遠くになっても響いていた。
心配してきてくれた『ミセス・マッチョス』の面々にも事情を説明すると「貴族の責務を全うして貰うしかないな!」とナイス笑顔で歯を光らせて告げていたので、冒険者の中では普通の事なのだろう。
「冒険者には冒険者の責務があるように、貴族には貴族の責務がある。それはどう足掻いても全うせねばならぬ事柄なのだ」
「なる程です」
こうして『宝石のなる木問題』は解決し、ホッと安堵しながら僕たちは『ミセス・マッチョス』達と一緒に温泉を楽しみ、三か月と言う長い期間をイチャイチャしながら過ごしつつも、新たに建築される建物を見て「ここは賑やかになる」と嬉しそうに笑うマリリンを横に、出来上がっていく温泉周辺を見て過ごしてから――ようやく僕たちはムギーラ王国へと帰っていったのであった。
そして――。
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