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第五章 崩れ行くテリサバース宗教内部と生まれ変わるテリサバース教会。
122 聖女から聞いた驚くべき法王の陰謀と、ロスターナからの提案と。
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「アツシ」
「ええ、分かっております」
「そうか……後で三国の王に緊急召集を」
「分かりました」
そう言うと俺も溜息を吐き、これは大きな問題になったなと頭を悩ませたのは言う間でもないのだが……幸せそうにご飯を食べているハルゥ様には後で色々聞きださねばならない。
暫くすると子供達や菊池たちは仕事に向かい、食後の紅茶を飲み終わったハルゥ様は洗い物を手伝いにいってしまった。
その間に俺はジュノリス大国の執務室に戻り、そこから各国の王に『緊急会議』場所はミスアーナの家と書いて手紙を送った。
何事かと返事が来たが「大変難しい問題になりましたので、案を出して貰いたい」と伝えると1時間もせず各国の王が集まった。
無論、皆聖女であるハルゥ様を見て固まったが。
「うむ、これは確かに……」
「緊急会議にもなりなすね」
「一体どうしたというのか」
「だからこそ集まって貰ったのだ。ハルゥ様、此方にて話を聞きたいのだが」
「あ、はい!」
そう言うとハルゥ様は手を拭いてこちらに走ってきた。
そしてチョコンとノスタルミア女王陛下の隣に座ると、暫く無言を貫いたが事情を説明し始めた。
何でも、法王が思い通りにならないジュノリス大国を全て自分のモノにする為に動き回っているらしく、ジュノリス王と俺を亡きものにする為に毒まで用意したらしい。
このままではジュノリス王と俺が即死し、国が荒れる未来を見た聖女は何とかその未来を変える為に必死にそうならない為の未来を視たそうだ。
その際、ハルゥ様が失踪している間は俺達の命は伸びる事が判明した為、急いで夜中に教会を飛び出して治療院に向かったらしい。
治療院から助かると言う未来が視えたそうだ。
「また、法王であり国王となった暁には、私を妻に迎えるつもりだったようで……」
「なんと? 法王は御年60では無かったか?」
「今の法王は私の母に恋をしていたそうです。ですが母は当時40を過ぎていた法王を拒否し、父と婚姻して私が生まれました。私が5歳の時に両親は毒を飲まされ……」
「その毒を与えたのも」
「はい、法王です」
「法王と言いつつ随分と犯罪を犯すもんだな」
そうラスカール王が口にすると、俺は「では……」と口にすると調理スキルや生活魔法が高い理由を聞くと、聖女と言われているが身の回りの事をしてくれる人はいなかったそうだ。
それで、何時も一人で掃除や料理をしていたらしく、そんな様子を見てシスターたちは何時もクスクスと笑っていたらしい。
「笑われるのは慣れています……。でも話し相手もおらず、でも聖女としての仕事はせねばならず……心が張り裂けそうでした」
「……聖女様」
「そうだったのですね。では貴方につけられている呪いのアイテムとは何です?」
「「「「!?」」」」
俺の言葉に全員が目を見開きハルゥ様を見ると、タートルネックで見えなかったが首輪がシッカリと施されていた。
それは――奴隷の首輪だった。
「奴隷の首輪」
「何故聖女様に!?」
「……法王か?」
「はい……ですが、これだけ離れていれば命令をしたとしても届かないようです」
「なるほど……。それを外す事は可能かどうか聞いてみます」
「え?」
そう言うとニノッチにニノとニノツーを呼んで貰うと可愛らしくピョンピョン跳ねつつ「「アルジ ヨンダー?」」と、相変わらず見た目は可愛いが声がラスボスみたいな声で二匹がやって来た。
「ああ、実は困っていてな? このハルゥ様の首輪を三人で外す事は可能か? ついでに呪いも消してくれると助かるんだが」
「「「デキルヨー」」」
「「「「おおおお!!」」」」」
「デモ コレハ ヒドイネ!!」
「フクザツナ クビワダネ」
「ツヨメノ ノロイダネ!」
「消せそうか?」
「アト イッピキ フエタラデキソウ!」
「ニノ フエテー」
そうニノッチが口にするとニノがプルプル震え、更にポヨンッと一匹増えた。
そして俺と血の契約をすると名を【ニノスリー】と名付ける。【ニノスリー:レジェンドモンスター・危険察知10・悪意察知10・制裁10・攻撃魔法10・結界魔法10・治療魔法10・製薬10・解呪10・解毒10・殺菌10・器用さ10・素早さ10(アツシに忠実・今で成体)】
名づけが悪いのは俺に名づけのスキルが無いからだと思っている……。
「揃ったな?」
「「「「オマカセアレー!」」」」
「ニノ 結界魔法デ オネエサン ツツミコム」
「ニノツー 結界魔法デ クビワ ツツミコム」
「ニノッチ 治療魔法デ オネエサン カイフクスル」
「ニノスリー 解呪デ クビワ ハズス」
そう言うと全員がプルプル震え、ニノが結界魔法でハルゥ様を包み込み、ニノツーが結界魔法で奴隷の首輪を包み込み、ニノッチは苦しそうな顔をするハルゥ様に治療魔法を掛けていた。
ニノスリーが解呪を掛け、光り輝くキラキラがニノツーの結界内に入り込み、呪いの首輪がガチガチ音を立て始め、パチン! と音がすると呪いの首輪は床に落ちた。
途端呪いが発動してハルゥ様に黒いモヤが襲いかかったがニノの結界魔法に弾かれ、再度ニノスリーが解呪を掛け黒いモヤも消滅した。
一瞬どうなるかと思ったが、全員が魔法を解くとニノが「コレデ モウ クルシクナイヨ?」と言って三匹は去って行った。
無論ニノッチは俺の頭に戻ってきたが。
「身体が軽い……両親が殺されてからずっと着けられていたんです」
「酷いな……」
「奴隷用の首輪や証となる焼き印は教会で作られておるからのう」
「教会が呪いのアイテムを作っているのですか!?」
「シュウ達を買った時に奴隷商に首輪は外すと死ぬと説明されました。だから焼き印にして貰ってノスタルミア王国に来て、教会で一人200金貨で焼き印を消せると教えて貰いました」
「金の亡者め!!」
「時にハルゥ様は、ワシとアツシが死んだ後の国を視たのだな?」
「はい。国民は嘆き苦しみ、法王による悪政が始まりました。三国の発展は自分の功績だと三国には金を要求し、5億金貨でした」
「あり得ない!」
「国家予算よりもずっと多いぞ!?」
「はい、それで三国がジュノリス王とアツシ様への弔いだと法王への宣戦布告を……」
「何という事だ……」
「それをどうしたら防げるかと必死に未来を視て、行きついた先が私の失踪だったんです。私が失踪しなければ国を乗取った法王は私を妻にして次の聖女を産ませ、カナエ様にも奴隷の首輪を付けて跡継ぎを産ませる未来でした。」
そう言って小さくなったハルゥ様に皆がそれぞれ考えていた所に――ロスターナがやってきた。
「なら、法王を徹底的に潰さないといけないわね?」
「ロスターナさん……」
「先生とカナエお姉さんを害そうなんて許せません!」
「テリア……」
「でもどうすれば……」
「あら、簡単よ? ハルゥちゃんが此処にいる間に噂を流すの。聖女がいないと慌てている隙に、テリサバース教会に不利な噂を一つずつ、ジワジワ広がるようにね。まずは三国から噂を流すのよ。『テリサバース教会の法王はジュノリス王と王太子を亡きものにして自分が王に着くつもりらしい。』ってね、まずはそれが一つ目」
「なるほど、真実を混ぜつつ」
「ええ、大体半分程噂が流れた所で次の噂、その繰り返しで、ジュノリス大国でもその噂を『他国ではこういう噂が広がっている』って所からスタートね。ただ、ジュノリス王様と先生が城の料理で亡くなるっていうなら、ニノッチに毒見役をして貰えば良いし、食事はここに来て貰えるなら私達が用意するし、飲み物は水筒でも持ち歩けばいいわ。」
「水筒とは冒険者が携帯する水袋の事か?」
「はい、それが進化した物です。ロクサーナ、珈琲ばかりだときついからお茶や白湯も頼む」
「ええ、任せて」
ジュノリス王なら【お取り寄せ】で安全な食べ物や飲み物は手に入るだろうが、温かい食べ物や飲み物はまた別だと思うからな。
「後はニノちゃん達の誰かをジュノリス王様の護衛にしておけばよくないかしら? ニノちゃん達なら連絡も出来るし」
「ニノスリー ヨブ?」
「頼む」
そうニノッチがいうと作業部屋から跳ねながらニノスリーがやって来た。結界魔法が特大ではなくなっているがジュノリス王を守る分には問題ないだろう。ニノスリーにジュノリス王の護衛をお願いするとジュノリス王の肩にチョコンと乗った。
「オウサマ ヨロシクネ? ドクミ スルシ オクスリモ スグヨウイスルヨ」
「ありがたい」
「しかしロスターナ、ウサギ獣人はもう少し温和かと思っていたが意外と切れ者なんだな」
「あら~? ウサギ獣人って見た目が麗しいから何時も襲われる側じゃない? だから復讐心はとってもと――っても強いの。それに、獣人のオスは大抵メスには弱いものよ。可愛い子が困っていたら助けちゃうのは当然でしょう?」
「ロスターナさん……」
「ふふ、後で髪型もお洒落しましょう?」
「はい!」
な、何やらロスターナとハルゥ様が良い空気だ。
取り敢えず今後の目標として、三国から噂を流して貰う事になった。
それこそ王家の持っている雀たちを全員それに集中して囀らせるのだ。
どうなるかは分からないが、暫く様子を見ることになった――。
だが、内容が内容なだけに国民が食いつくのは意外と早く、ハルゥ様が話した内容全てが三国に広がった後、それは冒険者や行商をしているボルドーナ商会などからジュノリス大国へ噂は入って行く。
そしてついに、法王の耳にまで入る事になったのだ――。
「ええ、分かっております」
「そうか……後で三国の王に緊急召集を」
「分かりました」
そう言うと俺も溜息を吐き、これは大きな問題になったなと頭を悩ませたのは言う間でもないのだが……幸せそうにご飯を食べているハルゥ様には後で色々聞きださねばならない。
暫くすると子供達や菊池たちは仕事に向かい、食後の紅茶を飲み終わったハルゥ様は洗い物を手伝いにいってしまった。
その間に俺はジュノリス大国の執務室に戻り、そこから各国の王に『緊急会議』場所はミスアーナの家と書いて手紙を送った。
何事かと返事が来たが「大変難しい問題になりましたので、案を出して貰いたい」と伝えると1時間もせず各国の王が集まった。
無論、皆聖女であるハルゥ様を見て固まったが。
「うむ、これは確かに……」
「緊急会議にもなりなすね」
「一体どうしたというのか」
「だからこそ集まって貰ったのだ。ハルゥ様、此方にて話を聞きたいのだが」
「あ、はい!」
そう言うとハルゥ様は手を拭いてこちらに走ってきた。
そしてチョコンとノスタルミア女王陛下の隣に座ると、暫く無言を貫いたが事情を説明し始めた。
何でも、法王が思い通りにならないジュノリス大国を全て自分のモノにする為に動き回っているらしく、ジュノリス王と俺を亡きものにする為に毒まで用意したらしい。
このままではジュノリス王と俺が即死し、国が荒れる未来を見た聖女は何とかその未来を変える為に必死にそうならない為の未来を視たそうだ。
その際、ハルゥ様が失踪している間は俺達の命は伸びる事が判明した為、急いで夜中に教会を飛び出して治療院に向かったらしい。
治療院から助かると言う未来が視えたそうだ。
「また、法王であり国王となった暁には、私を妻に迎えるつもりだったようで……」
「なんと? 法王は御年60では無かったか?」
「今の法王は私の母に恋をしていたそうです。ですが母は当時40を過ぎていた法王を拒否し、父と婚姻して私が生まれました。私が5歳の時に両親は毒を飲まされ……」
「その毒を与えたのも」
「はい、法王です」
「法王と言いつつ随分と犯罪を犯すもんだな」
そうラスカール王が口にすると、俺は「では……」と口にすると調理スキルや生活魔法が高い理由を聞くと、聖女と言われているが身の回りの事をしてくれる人はいなかったそうだ。
それで、何時も一人で掃除や料理をしていたらしく、そんな様子を見てシスターたちは何時もクスクスと笑っていたらしい。
「笑われるのは慣れています……。でも話し相手もおらず、でも聖女としての仕事はせねばならず……心が張り裂けそうでした」
「……聖女様」
「そうだったのですね。では貴方につけられている呪いのアイテムとは何です?」
「「「「!?」」」」
俺の言葉に全員が目を見開きハルゥ様を見ると、タートルネックで見えなかったが首輪がシッカリと施されていた。
それは――奴隷の首輪だった。
「奴隷の首輪」
「何故聖女様に!?」
「……法王か?」
「はい……ですが、これだけ離れていれば命令をしたとしても届かないようです」
「なるほど……。それを外す事は可能かどうか聞いてみます」
「え?」
そう言うとニノッチにニノとニノツーを呼んで貰うと可愛らしくピョンピョン跳ねつつ「「アルジ ヨンダー?」」と、相変わらず見た目は可愛いが声がラスボスみたいな声で二匹がやって来た。
「ああ、実は困っていてな? このハルゥ様の首輪を三人で外す事は可能か? ついでに呪いも消してくれると助かるんだが」
「「「デキルヨー」」」
「「「「おおおお!!」」」」」
「デモ コレハ ヒドイネ!!」
「フクザツナ クビワダネ」
「ツヨメノ ノロイダネ!」
「消せそうか?」
「アト イッピキ フエタラデキソウ!」
「ニノ フエテー」
そうニノッチが口にするとニノがプルプル震え、更にポヨンッと一匹増えた。
そして俺と血の契約をすると名を【ニノスリー】と名付ける。【ニノスリー:レジェンドモンスター・危険察知10・悪意察知10・制裁10・攻撃魔法10・結界魔法10・治療魔法10・製薬10・解呪10・解毒10・殺菌10・器用さ10・素早さ10(アツシに忠実・今で成体)】
名づけが悪いのは俺に名づけのスキルが無いからだと思っている……。
「揃ったな?」
「「「「オマカセアレー!」」」」
「ニノ 結界魔法デ オネエサン ツツミコム」
「ニノツー 結界魔法デ クビワ ツツミコム」
「ニノッチ 治療魔法デ オネエサン カイフクスル」
「ニノスリー 解呪デ クビワ ハズス」
そう言うと全員がプルプル震え、ニノが結界魔法でハルゥ様を包み込み、ニノツーが結界魔法で奴隷の首輪を包み込み、ニノッチは苦しそうな顔をするハルゥ様に治療魔法を掛けていた。
ニノスリーが解呪を掛け、光り輝くキラキラがニノツーの結界内に入り込み、呪いの首輪がガチガチ音を立て始め、パチン! と音がすると呪いの首輪は床に落ちた。
途端呪いが発動してハルゥ様に黒いモヤが襲いかかったがニノの結界魔法に弾かれ、再度ニノスリーが解呪を掛け黒いモヤも消滅した。
一瞬どうなるかと思ったが、全員が魔法を解くとニノが「コレデ モウ クルシクナイヨ?」と言って三匹は去って行った。
無論ニノッチは俺の頭に戻ってきたが。
「身体が軽い……両親が殺されてからずっと着けられていたんです」
「酷いな……」
「奴隷用の首輪や証となる焼き印は教会で作られておるからのう」
「教会が呪いのアイテムを作っているのですか!?」
「シュウ達を買った時に奴隷商に首輪は外すと死ぬと説明されました。だから焼き印にして貰ってノスタルミア王国に来て、教会で一人200金貨で焼き印を消せると教えて貰いました」
「金の亡者め!!」
「時にハルゥ様は、ワシとアツシが死んだ後の国を視たのだな?」
「はい。国民は嘆き苦しみ、法王による悪政が始まりました。三国の発展は自分の功績だと三国には金を要求し、5億金貨でした」
「あり得ない!」
「国家予算よりもずっと多いぞ!?」
「はい、それで三国がジュノリス王とアツシ様への弔いだと法王への宣戦布告を……」
「何という事だ……」
「それをどうしたら防げるかと必死に未来を視て、行きついた先が私の失踪だったんです。私が失踪しなければ国を乗取った法王は私を妻にして次の聖女を産ませ、カナエ様にも奴隷の首輪を付けて跡継ぎを産ませる未来でした。」
そう言って小さくなったハルゥ様に皆がそれぞれ考えていた所に――ロスターナがやってきた。
「なら、法王を徹底的に潰さないといけないわね?」
「ロスターナさん……」
「先生とカナエお姉さんを害そうなんて許せません!」
「テリア……」
「でもどうすれば……」
「あら、簡単よ? ハルゥちゃんが此処にいる間に噂を流すの。聖女がいないと慌てている隙に、テリサバース教会に不利な噂を一つずつ、ジワジワ広がるようにね。まずは三国から噂を流すのよ。『テリサバース教会の法王はジュノリス王と王太子を亡きものにして自分が王に着くつもりらしい。』ってね、まずはそれが一つ目」
「なるほど、真実を混ぜつつ」
「ええ、大体半分程噂が流れた所で次の噂、その繰り返しで、ジュノリス大国でもその噂を『他国ではこういう噂が広がっている』って所からスタートね。ただ、ジュノリス王様と先生が城の料理で亡くなるっていうなら、ニノッチに毒見役をして貰えば良いし、食事はここに来て貰えるなら私達が用意するし、飲み物は水筒でも持ち歩けばいいわ。」
「水筒とは冒険者が携帯する水袋の事か?」
「はい、それが進化した物です。ロクサーナ、珈琲ばかりだときついからお茶や白湯も頼む」
「ええ、任せて」
ジュノリス王なら【お取り寄せ】で安全な食べ物や飲み物は手に入るだろうが、温かい食べ物や飲み物はまた別だと思うからな。
「後はニノちゃん達の誰かをジュノリス王様の護衛にしておけばよくないかしら? ニノちゃん達なら連絡も出来るし」
「ニノスリー ヨブ?」
「頼む」
そうニノッチがいうと作業部屋から跳ねながらニノスリーがやって来た。結界魔法が特大ではなくなっているがジュノリス王を守る分には問題ないだろう。ニノスリーにジュノリス王の護衛をお願いするとジュノリス王の肩にチョコンと乗った。
「オウサマ ヨロシクネ? ドクミ スルシ オクスリモ スグヨウイスルヨ」
「ありがたい」
「しかしロスターナ、ウサギ獣人はもう少し温和かと思っていたが意外と切れ者なんだな」
「あら~? ウサギ獣人って見た目が麗しいから何時も襲われる側じゃない? だから復讐心はとってもと――っても強いの。それに、獣人のオスは大抵メスには弱いものよ。可愛い子が困っていたら助けちゃうのは当然でしょう?」
「ロスターナさん……」
「ふふ、後で髪型もお洒落しましょう?」
「はい!」
な、何やらロスターナとハルゥ様が良い空気だ。
取り敢えず今後の目標として、三国から噂を流して貰う事になった。
それこそ王家の持っている雀たちを全員それに集中して囀らせるのだ。
どうなるかは分からないが、暫く様子を見ることになった――。
だが、内容が内容なだけに国民が食いつくのは意外と早く、ハルゥ様が話した内容全てが三国に広がった後、それは冒険者や行商をしているボルドーナ商会などからジュノリス大国へ噂は入って行く。
そしてついに、法王の耳にまで入る事になったのだ――。
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