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258 新たなる箱庭の場所と大口契約。
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揺れが収まるまでに2分くらい掛かったかしら……。
やっと揺れが収まり、互いに顔を見合わせながらゆっくり立ち上がると、子供達が騒いでいる声が聞こえますわ。
「わ―――すご――い!!」
「ここも温泉? 凄いね!
そんな声が聞こえ、聞こえた声の方に走っていくと居住地エリアの横に通路が出来ており、新たなエリアが誕生したことが分かりましたわ。
長い揺れはこの為だったのかしら?
皆さんで頷きあいその通路を抜けると、海に面したそこには二つの扉と箱庭の温泉を囲っている木造の建物が二つ並んでおり、その一つを開けると広々とした鍵付きの脱衣所があり、奥の扉を開けば大浴場が二つにジャグジー風呂が二つ、更にマリシアの箱庭にあるスッとした香りの大きな温泉が二つ並んでいて、図案に書いた身体を洗い流す場所も沢山出来上がってましたわ!
「これは……」
「私が……貴族と結婚したくないって思ったからでしょうか……」
「と言うか、貴族と結婚したら大変な事になると箱庭の神様が慌てたんじゃないか?」
「でも、でも!! 貴族と結婚なんて絶対に嫌なんですもん!!」
「凄いです! 隣も同じ作りです!!」
「まぁまぁ何てこと!! 折角図案を作ったのに、箱庭の神様はこちらを使えと仰っているのね!!」
「久しぶりの箱庭のレベルアップでしたね!」
「それも大型レベルアップだったね」
余りにも広い温泉に驚きつつも、わたくしは暫く考え込みましたわ。
――定期収入。これは大きな定期収入になるのでは?
広さも申し分なし、お湯は多分……疲労回復効果の高い温泉であることは間違いなし!
一つの温泉に50人は優に入れる広さですし、掃除もいらない24時間温泉。
脱衣所にウォーターサーバーを置いて箱庭産の美容液を置いて、風呂上りには海を眺めながらちょっとした会話もできる。
休憩所も完備と言う事はそういう事でしょう。
メインの居住エリアには入ってこれない様に箱庭を設定して、入り口を海側に作っておけば――。
「大きな定期収入になりそうですわね!」
「やっぱり城に売り込みますよね……」
「これだけ大きいとな」
「わわわ……私の所為でしょうか?」
「城内の鬱憤も最高潮だと聞いてますから、早めに契約は出来そうですわ!」
「リディア様が凄く嬉しそう」
「元弟子の穴埋めは師匠の務め! やりますわ!! 売りますわ! ガッツリ定期収入ゲットでしてよ!!」
その後、昼にカイルたちが戻ってきたのを見計らって「温泉が出来ましたわ、大きいのが」と伝えると驚いてましたけれど、温泉を見たカイル達も納得し、その足で城へと向かいましたの。無論入り口は二つ目として用意しましたわ!
そして、軍部大臣に魔物討伐隊隊長に王国騎士団隊長と、何度か会ったことのある面々と会い、わたくしの箱庭に巨大な温泉が出来たことを告げ、良ければ見て貰えないかと言う話をしてから扉を作り、早速見て貰いましたの。
無論、私の箱庭に入るのも初めてな御三方でしたが、海がある事にまず驚き、目の前の巨大な木造建築に驚き、中に入って更に驚き、お湯が疲労回復効果の高い温泉である事に更に驚き、是非貸して頂きたいと言う事になりましたわ!
ナウカを含む三つの温泉を経験している御三方にとって、ファビーの温泉には負けるが、それに負けずと劣らずと言う報告を陛下にしてくださり、毎年更新契約と言う事で、月金貨150枚をゲットですわ!!
それ位切羽詰まっていたんでしょうね。
「それでリディア様、何時からあの温泉は使えるでしょうか」
「今日からでも構いませんわ。ただ物を色々置きたいので、出来れば夜の部からお願いできると嬉しいですわ!」
「夜の部ですね」
「ええ、更に言えば24時間入れる温泉にしますから、是非これからも月金貨150枚でお願いしたいですわね!」
「24時間対応か! 素晴らしいな!!」
「青の暖簾は男湯、赤の暖簾は女湯なのは変わりませんわ」
「それは有難い。変わってしまうとどっちかわからなくなるからな」
「では、湯屋に向かい登録を行いましょう」
こうして城にある湯屋の前で扉を繋げ、何時でも入るようにすると、わたくしとカイルの登場に気になった騎士やメイド達がソワソワしながら様子を伺っていましたわ。
すると――。
「本日夕方6時より温泉が開通する。後で通達はあるだろうが、皆待たせたな!」
そう口にした軍部大臣に通りかかった騎士や文官たちは大喜びで、余程温泉に飢えていたのだと分かりましたわ。
これで鬱憤が取れれば問題ありませんものね!
もう一度陛下の前に向かうと、今度は「城の為に良くぞ作ってくれた」と報奨金まで貰えましたわ!
金額にして金貨300枚!
破格の値段ですわ!!
「王城内は温泉や湯屋に入れなくなったことで、かなりの鬱憤が溜まって今にも爆発しそうだったのだよ。本当にリディアには助けられた……。温泉に入っているワシは何時刺されるかと冷や冷やしたものだ」
「そうだったのですね」
「これで心置きなく仕事も出来る。温泉に入れぬと効率が落ちていた者たちも効率が上がるだろう。ははは! 我が城もダンノージュ侯爵家に随分と支えられているようだ」
そう言ってご機嫌の陛下にお褒めの言葉も頂き、わたくしとカイルはその後軽く陛下と今後の話をしてから箱庭に戻りましたわ。
あまり遅くなっては6時オープンの温泉に間に合わなくなりますもの!
急ぎアイテムボックスを手にするとカイルと共に、女湯と男湯の暖簾を掛け、中のシャンプーやボディーソープに化粧水なども多めに設置し、確認が終わるとこれ以上湯けむりが中にたまらない様にと入り口のドアを開けて、更にウォーターサーバーも設置を終える頃には5時半になっていましたわ!
「後30分もすれば大勢やってこられるでしょうから、早めに切り上げましょう」
「そうだな、何度か城に行ったが、確かに働いている人たちに余裕が無かった。あの事件もあったしストレスも凄いだろう」
「そのストレスを温泉で解消出来れば宜しいんですけれど」
「大丈夫だろう。何せリディアの温泉だ」
「そう言って貰えると嬉しいですわ!」
こうして温泉エリアから居住エリアに戻り、子供達がご飯を食べている様子を見ながら皆で会話を楽しんでいると、温泉エリアから雄叫びが上がり、その後はひっきりなしに温泉を楽しんでいる声が度々響いていましたわ。
余程待ちわびていたのでしょうね、喜んでもらえて嬉しいわ!
「わたくしたちの食事はまだですし、わたくし少し箱庭の神様にお祈りしてきますわ」
「俺も行こう」
「では一緒に行きましょう」
そう言うとわたくしとカイルは鏡池までくると、手を合わせて箱庭の神様に感謝の気持ちを伝えましたわ。
元弟子の落とし前もつけられましたし、少しだけ肩の荷が下りましたかしら……。
――クウカも、最初こそ悪い子ではなかった筈。
けれど、どこかで歯車が狂ってしまって、可笑しくなってしまったわ。
性格の問題、そう言われてはそれまでですけれど、あの子も本来はそこまで悪い子ではなかったと……思いたいですわね。
「次、もし弟子を取ることがあったら、歯車が狂わない様に導いて上げられればいいんですけれど」
「リディアは暫く弟子をとるのはなし! ただでさえ忙しいんだからな」
「ふふ、そうですわね」
体験型商売も軌道に乗り始めましたし、キッズハウスも上手く行っていますし、すべき事は後何が残っているかしら?
温泉なしの『ダイエット・サルビア二号店』も、そろそろオープン出来そうですし、ダンノージュ侯爵領に託児所を作ったら、大体の事は終わるような気がしますわ。
「駄目ね、わたくしも今まで気が張り詰めていたのかしら? ある程度の商売はしつくした気がするの」
「そうか……いいんじゃないか? 沢山作って沢山儲けて、後は少しだけゆっくりしても」
「そうかしら?」
「そうだぞ? 託児所の方は祖父に人手を頼んでいるからそろそろ返事が来るだろうし、そうしたら後は俺の仕事だ」
「それもそうね」
「リディアは頑張り過ぎた所があるから、少しだけゆっくり過ごしてみたらどうだ? そしたらまた案が出てくるかもしれないぞ?」
「ふふふ、そうさせて貰うわ」
そうね、今までずっと走ってきたんですもの。
――少しはゆっくり歩いても良いかしら?
やっと揺れが収まり、互いに顔を見合わせながらゆっくり立ち上がると、子供達が騒いでいる声が聞こえますわ。
「わ―――すご――い!!」
「ここも温泉? 凄いね!
そんな声が聞こえ、聞こえた声の方に走っていくと居住地エリアの横に通路が出来ており、新たなエリアが誕生したことが分かりましたわ。
長い揺れはこの為だったのかしら?
皆さんで頷きあいその通路を抜けると、海に面したそこには二つの扉と箱庭の温泉を囲っている木造の建物が二つ並んでおり、その一つを開けると広々とした鍵付きの脱衣所があり、奥の扉を開けば大浴場が二つにジャグジー風呂が二つ、更にマリシアの箱庭にあるスッとした香りの大きな温泉が二つ並んでいて、図案に書いた身体を洗い流す場所も沢山出来上がってましたわ!
「これは……」
「私が……貴族と結婚したくないって思ったからでしょうか……」
「と言うか、貴族と結婚したら大変な事になると箱庭の神様が慌てたんじゃないか?」
「でも、でも!! 貴族と結婚なんて絶対に嫌なんですもん!!」
「凄いです! 隣も同じ作りです!!」
「まぁまぁ何てこと!! 折角図案を作ったのに、箱庭の神様はこちらを使えと仰っているのね!!」
「久しぶりの箱庭のレベルアップでしたね!」
「それも大型レベルアップだったね」
余りにも広い温泉に驚きつつも、わたくしは暫く考え込みましたわ。
――定期収入。これは大きな定期収入になるのでは?
広さも申し分なし、お湯は多分……疲労回復効果の高い温泉であることは間違いなし!
一つの温泉に50人は優に入れる広さですし、掃除もいらない24時間温泉。
脱衣所にウォーターサーバーを置いて箱庭産の美容液を置いて、風呂上りには海を眺めながらちょっとした会話もできる。
休憩所も完備と言う事はそういう事でしょう。
メインの居住エリアには入ってこれない様に箱庭を設定して、入り口を海側に作っておけば――。
「大きな定期収入になりそうですわね!」
「やっぱり城に売り込みますよね……」
「これだけ大きいとな」
「わわわ……私の所為でしょうか?」
「城内の鬱憤も最高潮だと聞いてますから、早めに契約は出来そうですわ!」
「リディア様が凄く嬉しそう」
「元弟子の穴埋めは師匠の務め! やりますわ!! 売りますわ! ガッツリ定期収入ゲットでしてよ!!」
その後、昼にカイルたちが戻ってきたのを見計らって「温泉が出来ましたわ、大きいのが」と伝えると驚いてましたけれど、温泉を見たカイル達も納得し、その足で城へと向かいましたの。無論入り口は二つ目として用意しましたわ!
そして、軍部大臣に魔物討伐隊隊長に王国騎士団隊長と、何度か会ったことのある面々と会い、わたくしの箱庭に巨大な温泉が出来たことを告げ、良ければ見て貰えないかと言う話をしてから扉を作り、早速見て貰いましたの。
無論、私の箱庭に入るのも初めてな御三方でしたが、海がある事にまず驚き、目の前の巨大な木造建築に驚き、中に入って更に驚き、お湯が疲労回復効果の高い温泉である事に更に驚き、是非貸して頂きたいと言う事になりましたわ!
ナウカを含む三つの温泉を経験している御三方にとって、ファビーの温泉には負けるが、それに負けずと劣らずと言う報告を陛下にしてくださり、毎年更新契約と言う事で、月金貨150枚をゲットですわ!!
それ位切羽詰まっていたんでしょうね。
「それでリディア様、何時からあの温泉は使えるでしょうか」
「今日からでも構いませんわ。ただ物を色々置きたいので、出来れば夜の部からお願いできると嬉しいですわ!」
「夜の部ですね」
「ええ、更に言えば24時間入れる温泉にしますから、是非これからも月金貨150枚でお願いしたいですわね!」
「24時間対応か! 素晴らしいな!!」
「青の暖簾は男湯、赤の暖簾は女湯なのは変わりませんわ」
「それは有難い。変わってしまうとどっちかわからなくなるからな」
「では、湯屋に向かい登録を行いましょう」
こうして城にある湯屋の前で扉を繋げ、何時でも入るようにすると、わたくしとカイルの登場に気になった騎士やメイド達がソワソワしながら様子を伺っていましたわ。
すると――。
「本日夕方6時より温泉が開通する。後で通達はあるだろうが、皆待たせたな!」
そう口にした軍部大臣に通りかかった騎士や文官たちは大喜びで、余程温泉に飢えていたのだと分かりましたわ。
これで鬱憤が取れれば問題ありませんものね!
もう一度陛下の前に向かうと、今度は「城の為に良くぞ作ってくれた」と報奨金まで貰えましたわ!
金額にして金貨300枚!
破格の値段ですわ!!
「王城内は温泉や湯屋に入れなくなったことで、かなりの鬱憤が溜まって今にも爆発しそうだったのだよ。本当にリディアには助けられた……。温泉に入っているワシは何時刺されるかと冷や冷やしたものだ」
「そうだったのですね」
「これで心置きなく仕事も出来る。温泉に入れぬと効率が落ちていた者たちも効率が上がるだろう。ははは! 我が城もダンノージュ侯爵家に随分と支えられているようだ」
そう言ってご機嫌の陛下にお褒めの言葉も頂き、わたくしとカイルはその後軽く陛下と今後の話をしてから箱庭に戻りましたわ。
あまり遅くなっては6時オープンの温泉に間に合わなくなりますもの!
急ぎアイテムボックスを手にするとカイルと共に、女湯と男湯の暖簾を掛け、中のシャンプーやボディーソープに化粧水なども多めに設置し、確認が終わるとこれ以上湯けむりが中にたまらない様にと入り口のドアを開けて、更にウォーターサーバーも設置を終える頃には5時半になっていましたわ!
「後30分もすれば大勢やってこられるでしょうから、早めに切り上げましょう」
「そうだな、何度か城に行ったが、確かに働いている人たちに余裕が無かった。あの事件もあったしストレスも凄いだろう」
「そのストレスを温泉で解消出来れば宜しいんですけれど」
「大丈夫だろう。何せリディアの温泉だ」
「そう言って貰えると嬉しいですわ!」
こうして温泉エリアから居住エリアに戻り、子供達がご飯を食べている様子を見ながら皆で会話を楽しんでいると、温泉エリアから雄叫びが上がり、その後はひっきりなしに温泉を楽しんでいる声が度々響いていましたわ。
余程待ちわびていたのでしょうね、喜んでもらえて嬉しいわ!
「わたくしたちの食事はまだですし、わたくし少し箱庭の神様にお祈りしてきますわ」
「俺も行こう」
「では一緒に行きましょう」
そう言うとわたくしとカイルは鏡池までくると、手を合わせて箱庭の神様に感謝の気持ちを伝えましたわ。
元弟子の落とし前もつけられましたし、少しだけ肩の荷が下りましたかしら……。
――クウカも、最初こそ悪い子ではなかった筈。
けれど、どこかで歯車が狂ってしまって、可笑しくなってしまったわ。
性格の問題、そう言われてはそれまでですけれど、あの子も本来はそこまで悪い子ではなかったと……思いたいですわね。
「次、もし弟子を取ることがあったら、歯車が狂わない様に導いて上げられればいいんですけれど」
「リディアは暫く弟子をとるのはなし! ただでさえ忙しいんだからな」
「ふふ、そうですわね」
体験型商売も軌道に乗り始めましたし、キッズハウスも上手く行っていますし、すべき事は後何が残っているかしら?
温泉なしの『ダイエット・サルビア二号店』も、そろそろオープン出来そうですし、ダンノージュ侯爵領に託児所を作ったら、大体の事は終わるような気がしますわ。
「駄目ね、わたくしも今まで気が張り詰めていたのかしら? ある程度の商売はしつくした気がするの」
「そうか……いいんじゃないか? 沢山作って沢山儲けて、後は少しだけゆっくりしても」
「そうかしら?」
「そうだぞ? 託児所の方は祖父に人手を頼んでいるからそろそろ返事が来るだろうし、そうしたら後は俺の仕事だ」
「それもそうね」
「リディアは頑張り過ぎた所があるから、少しだけゆっくり過ごしてみたらどうだ? そしたらまた案が出てくるかもしれないぞ?」
「ふふふ、そうさせて貰うわ」
そうね、今までずっと走ってきたんですもの。
――少しはゆっくり歩いても良いかしら?
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