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243 ロキシーの配属場所が変更される。
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――ロキシーside――
カイルが追加で雇った元女騎士は、ある程度使い物になるまでの間、アタシが指導することになった。
今を時めく『ダイエット・サルビア』で雇われる事への興奮もあるのだろうが、箱庭の運動小屋にて8人が整列し、今日も朝からミッチリと運動を叩き込んでいく。
流石に元女騎士なだけあって運動音痴はいないものの、最初こそ浮ついた気持ちだったのだろうが、激しいトレーニングが続くうちにそんな余裕はなくなったようだ。
全員が汗だくで、必死に水分補給をしながら、偶に休憩を入れつつもトレーニングにやっとついてきているに近い動きだ。
「情けないね! その動きが元女騎士だって? 生意気な根性してんじゃないよ!」
「「「「はい!!」」」」
「最低一カ月で息を切らさず付いてこれるように叩き込むよ!」
「「「「はい!!」」」」
「付いてこれない奴は脱落だ! 気合を入れな!!」
「「「「「はい!!!」」」」」
リディアちゃんからはスパルタ教師と言われるが、リディアちゃんがやっていた運動はどれも効果があった。
出るところは出て、引っ込むところは引っ込む。ヒップアップ効果に落ちにくい二の腕の肉さえも引き締めていくのには驚いたもんだ。
今鍛えてる連中も、効果が実感できるようになる一週間後には顔つきが変わってきた。
毎日動けなくなるギリギリまで攻めてトレーニングを覚え、終わった後は疲労回復効果の高い温泉に入って身体を癒す。
お陰で翌日に疲れを残したままと言う事はなくトレーニングは続き、一カ月後には多少の息切れはあるもののキッチリ覚えることが出来るようになった。
動きに関しても問題はない。
これなら『ダイエット・サルビア』での研修も出来るだろう。
この一カ月のトレーニングで、彼女たちの身体は劇的に変化していた。
余分な肉は落ち、引き締まった魅惑のボディを手に入れたのだから輝いて見えるのは仕方ない事だろう。
「ロキシーお姉様! 私たちもロキシーお姉様の様なスタイルになれたでしょうか!」
「良い仕上がりだよ。ただもう少し垂れた尻の肉を上げた方が良いね」
「はい!」
そんなやり取りをするだけの余裕もあるという事だ。
アタシとしては申し分ない出来とは思うが、まだ少し絞れるところは絞った方が良い。
それに、この一カ月で胸筋を鍛えるトレーニングも入れ込んでいた為、彼女たちの胸も大きく変わった。
男性なら堪らないスタイルには仕上がっただろう。
そう言うアタシもスタイルは更に磨きが掛かり、最近ではライトから「お店に出ないでください!」と文句を言われる羽目になっている。
寂しい事を言う婚約者だ。
確かに手紙を貰う頻度も大幅に増え、食事に誘われる事も毎日だが、ついにライトが切れたと言って良いだろう。
この一カ月は彼女たちを鍛えるのに忙しく、店には出ていないのだが、そっちの方がライトの精神衛生面では良かったみたいだねぇ。
取り敢えず、最後まで通して彼女たちの動きを見て合格点が出たので、明日からは店舗での実習となる事を告げると、何故か酷く残念がられたが、時折抜き打ちチェックに行く事を告げるとやる気が出たようだ。
それに、マリシアを宣伝塔として出しているが、たまには交代してやっても良いだろうと言うのもある。
美しさに磨きのかかったマリシアは、気さくな性格もあって貴族に人気が高い。
ましてやダンノージュ侯爵家の一員となった彼女への見合いの打診も多く、最近は苦労していると聞いていたので一時的に交代するのもアリだろう。
箱庭でジッとしているのも性に合わないしねぇ。
そして夜、一カ月の成果と明日から研修入りが出来ることをリディアちゃん達に報告すると、第二店舗は既に押さえているようで、明日からは内装を整えていくのだとリディアちゃんが教えてくれた。
この分だと来月には第二店舗が出来上がりそうだ。
「それにしても、女性の美への執念は凄いですね。温泉なしでも運動がしたいと言うのが」
「おやおやライト、女ってのは、いつの時代も美しくありたいものさ」
「ロキシーは美しくなりすぎです!」
「おやまぁ! 嬉しい事を言ってくれるじゃないか」
「もう! 兎に角ロキシーは店番禁止ですから! これ以上嫉妬で狂いそうになるのは勘弁願いたいです!」
「分るぞライト。俺もリディアが美しくなって不安で一杯なんだ」
「兄さん……分かります、気持ちが痛い程に」
「「流石ダンノージュ侯爵家の呪い」」
「わたくしは暫くアラーシュ様のもとで色々と決めないといけない事がありますから、御心配には及びませんわ」
「そうか、お爺様によろしくな」
「ええ」
「なら、アタシはマリシアの代わりに『ダイエット・サルビア』に出ようかね。マリシアは見合いの打診が煩いって言ってただろう?」
「毎日凄い量が来ます……全て断っているんですが」
「侯爵家より上って言うと早々ないですもんね」
「明日はマリシアと引継ぎの挨拶をしてから、一カ月はゆっくり過ごしな」
「そうさせてもらいますね」
こうして、明日はマリシアとの交代宣言をして、マリシアは一カ月の休息に入る。
貴族相手は疲れるが、男性が居る場所に行くとライトが真っ青になる為、此処は敢えて貴族相手を取ろう。
ダンノージュ侯爵家のカイルの弟の婚約者となれば、早々文句も言われないだろうしね。
だが、マリシアと交代して良かったと思える事態は発生するもので……翌日、とんでもない客が訪れることになった。
カイルが追加で雇った元女騎士は、ある程度使い物になるまでの間、アタシが指導することになった。
今を時めく『ダイエット・サルビア』で雇われる事への興奮もあるのだろうが、箱庭の運動小屋にて8人が整列し、今日も朝からミッチリと運動を叩き込んでいく。
流石に元女騎士なだけあって運動音痴はいないものの、最初こそ浮ついた気持ちだったのだろうが、激しいトレーニングが続くうちにそんな余裕はなくなったようだ。
全員が汗だくで、必死に水分補給をしながら、偶に休憩を入れつつもトレーニングにやっとついてきているに近い動きだ。
「情けないね! その動きが元女騎士だって? 生意気な根性してんじゃないよ!」
「「「「はい!!」」」」
「最低一カ月で息を切らさず付いてこれるように叩き込むよ!」
「「「「はい!!」」」」
「付いてこれない奴は脱落だ! 気合を入れな!!」
「「「「「はい!!!」」」」」
リディアちゃんからはスパルタ教師と言われるが、リディアちゃんがやっていた運動はどれも効果があった。
出るところは出て、引っ込むところは引っ込む。ヒップアップ効果に落ちにくい二の腕の肉さえも引き締めていくのには驚いたもんだ。
今鍛えてる連中も、効果が実感できるようになる一週間後には顔つきが変わってきた。
毎日動けなくなるギリギリまで攻めてトレーニングを覚え、終わった後は疲労回復効果の高い温泉に入って身体を癒す。
お陰で翌日に疲れを残したままと言う事はなくトレーニングは続き、一カ月後には多少の息切れはあるもののキッチリ覚えることが出来るようになった。
動きに関しても問題はない。
これなら『ダイエット・サルビア』での研修も出来るだろう。
この一カ月のトレーニングで、彼女たちの身体は劇的に変化していた。
余分な肉は落ち、引き締まった魅惑のボディを手に入れたのだから輝いて見えるのは仕方ない事だろう。
「ロキシーお姉様! 私たちもロキシーお姉様の様なスタイルになれたでしょうか!」
「良い仕上がりだよ。ただもう少し垂れた尻の肉を上げた方が良いね」
「はい!」
そんなやり取りをするだけの余裕もあるという事だ。
アタシとしては申し分ない出来とは思うが、まだ少し絞れるところは絞った方が良い。
それに、この一カ月で胸筋を鍛えるトレーニングも入れ込んでいた為、彼女たちの胸も大きく変わった。
男性なら堪らないスタイルには仕上がっただろう。
そう言うアタシもスタイルは更に磨きが掛かり、最近ではライトから「お店に出ないでください!」と文句を言われる羽目になっている。
寂しい事を言う婚約者だ。
確かに手紙を貰う頻度も大幅に増え、食事に誘われる事も毎日だが、ついにライトが切れたと言って良いだろう。
この一カ月は彼女たちを鍛えるのに忙しく、店には出ていないのだが、そっちの方がライトの精神衛生面では良かったみたいだねぇ。
取り敢えず、最後まで通して彼女たちの動きを見て合格点が出たので、明日からは店舗での実習となる事を告げると、何故か酷く残念がられたが、時折抜き打ちチェックに行く事を告げるとやる気が出たようだ。
それに、マリシアを宣伝塔として出しているが、たまには交代してやっても良いだろうと言うのもある。
美しさに磨きのかかったマリシアは、気さくな性格もあって貴族に人気が高い。
ましてやダンノージュ侯爵家の一員となった彼女への見合いの打診も多く、最近は苦労していると聞いていたので一時的に交代するのもアリだろう。
箱庭でジッとしているのも性に合わないしねぇ。
そして夜、一カ月の成果と明日から研修入りが出来ることをリディアちゃん達に報告すると、第二店舗は既に押さえているようで、明日からは内装を整えていくのだとリディアちゃんが教えてくれた。
この分だと来月には第二店舗が出来上がりそうだ。
「それにしても、女性の美への執念は凄いですね。温泉なしでも運動がしたいと言うのが」
「おやおやライト、女ってのは、いつの時代も美しくありたいものさ」
「ロキシーは美しくなりすぎです!」
「おやまぁ! 嬉しい事を言ってくれるじゃないか」
「もう! 兎に角ロキシーは店番禁止ですから! これ以上嫉妬で狂いそうになるのは勘弁願いたいです!」
「分るぞライト。俺もリディアが美しくなって不安で一杯なんだ」
「兄さん……分かります、気持ちが痛い程に」
「「流石ダンノージュ侯爵家の呪い」」
「わたくしは暫くアラーシュ様のもとで色々と決めないといけない事がありますから、御心配には及びませんわ」
「そうか、お爺様によろしくな」
「ええ」
「なら、アタシはマリシアの代わりに『ダイエット・サルビア』に出ようかね。マリシアは見合いの打診が煩いって言ってただろう?」
「毎日凄い量が来ます……全て断っているんですが」
「侯爵家より上って言うと早々ないですもんね」
「明日はマリシアと引継ぎの挨拶をしてから、一カ月はゆっくり過ごしな」
「そうさせてもらいますね」
こうして、明日はマリシアとの交代宣言をして、マリシアは一カ月の休息に入る。
貴族相手は疲れるが、男性が居る場所に行くとライトが真っ青になる為、此処は敢えて貴族相手を取ろう。
ダンノージュ侯爵家のカイルの弟の婚約者となれば、早々文句も言われないだろうしね。
だが、マリシアと交代して良かったと思える事態は発生するもので……翌日、とんでもない客が訪れることになった。
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