議員管理AI

ヤマシヤスヒロ

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議員管理AI

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「2030年3月1日、あなたは、議員としての資格を失いました」
と、2030年3月1日の朝、ある議員のパソコンとスマートフォンにメールが来た。
また、その日の夕方、郵便でも同じ内容の文言が書かれた書面が届いた。
発送元は、
「議員管理AI」
と書かれている。
その議員は、裏金で問題となった議員である。
その通知を受けた議員は、議員資格を失った。
6年前の2024年に、ある政党の多くの国会議員が裏金で問題を起こしたにもかかわらず、そのまま議員を続けている状態が続いた。
そのような状況の中、その年の夏、選挙が実施され、裏金問題のあった政党による政権は倒れ、政権交代がなされた。
政権交代後の国会では、二度と裏金問題などの不正が議員によってなされないように、議員を管理する「議員管理AI」をデジタル庁に設けることになった。
議員管理AIは、国民からの評価を集計し、裏金などの問題を起こした議員に対して、国民からの評価が辞職すべきという評価の場合、辞職命令を発令し、その命令を受けた議員は、即刻、議員の資格を失うというものである。
また、「新しい選挙システム」もデジタル庁に設置され、その選挙システムは、インターネット投票を基本とし、インターネットを使えない人には、電話投票でもOK、投票所での投票もOK。総選挙で、当選した人は議員となる。その後、総選挙から1ヶ月ごとに、国民によりその議員を継続させるか否かが評価される。
評価方法は、月末に、選挙区ごとに当選した議員を、議員資格継続か、議員資格停止かを「議員管理AI」にインターネットなどで通知し、「議員資格停止」が選挙区の人数の半数以上の場合は、議員資格を失うということになる。
当選した議員も、1ヶ月ごとに国民から評価されるので、不正などは、できなくなる。
また、裏金などの問題が起こったときに、次の選挙まで待たなくても、1ヶ月ごとの国民の評価ですぐに辞めさせることができる。
というようなシステムが2026年4月1日から開始されたのである。
それでも、不正を行う議員はいるもので、2030年に裏金で問題を起こした議員が一人いた。
2030年3月1日、裏金で問題を起こしたある議員宛に、
「2030年3月1日、あなたは、議員としての資格を失いました」
と、2030年3月1日の朝、ある議員のパソコンとスマートフォンにメールが来て、
また、その日の夕方、郵便でも同じ内容の文言が書かれた書面が届いたのである。
その通知を受けた議員は、議員資格を失った。



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