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9章 姫と獣と王国の勇者
第399話 幕間5 絶対無敵の竜王
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その日もいつもと変わらず精霊達が出ては仲間たちに迎えられて旅立って行くのを眺めていた。
でも太陽が丁度天高く登った瞬間だった。
周りにいた精霊達がざわつき始めた。
少しウトウトしていた私だったけど変な様子に意識が覚醒した。
それは極大の魔力だった。
それ以上の表現ができないくらいの魔力量だった。
周りの多分相当歳をとった精霊だと思う声からするに勇者の精霊クラスの魔力だったらしい。
霊脈は命尽きるとき最大の輝きを放つ、それはその場所を訪れた精霊や人、魔物に力を与えるときと精霊百人を超える魔力を持った精霊を産み出すときがある、その時は後者だった。
その精霊は見た目は普通の精霊と大差はなかったけれどその内に秘める魔力量は比較すら出来ないくらいだった。
周りの精霊達がその姿を見て震え上がっているとそいつは口を開いたわ。
「出迎えご苦労、我が同胞達よ。」
そう、出迎えって言ったのよ。誰かが来るとかでもなくその場にいる全員に対してね。
それを言われた私以外の全員がその精霊にひれ伏したわ。私はなんで皆がそんな風にしているのか分からず困惑していたの。そしたら、そいつは私に目を向けた。
「ほう、我にひれ伏さぬものか。」
「…?」
「ふむ…なるほど人の属性を持つものか。自然の精霊王たる我にひれ伏さぬのも頷ける。」
精霊王、それは簡単に言えばその属性の王ね。
今じゃ勇者の精霊くらいしか名乗れそうなのはいないから説明は省くわ。
続けるよ。
「我の前にいるとは不幸なものだ。」
「ぁ…ぐ…」
そいつは私の喉を思いっきり掴み上げた。
私は知らなかったけど精霊王は別の属性の精霊を嫌うというのが体の中に詰め込まれるらしいわ。
「我の力を示す糧となるがいい。」
「あ、あぁ…」
私はそいつに首を締められていったわ。
私には流れるような走馬灯もなかったからただただ死を待つだけだった。
そんなとき空から声が聞こえた。
「なるほど、精霊王か見に来て正解だったな。」
その聞くもの全ての心を揺さぶるような声に私や精霊王を含めたその場の全員が空を見上げた。
日光の光が本当に当たっているのかすらもわからない漆黒の鱗、それでいてどこまでも透き通った水のようなきれいな青い瞳の竜がそこにいた。
「今、精霊に勢力を築かれては後々厄介な事になる。ここで消えてもらうぞ。」
その言葉に命の危機を感じたのか精霊王は私から手を離し周りの精霊に指示を出した。
「も、者共我を守れ!」
そう言われて精霊達はその黒竜に挑みかかって行った。だけどそれも、
「我は必要なき殺戮は好まぬ去れ。」
その言葉に込められた魔力によって精霊達は動きを止め四方八方へと逃げていった。
そして、
「あと数年生まれるのが早ければ共存出来たかもしれぬ、悪いが消え失せよ!」
放たれた魔法によって精霊王は消し炭すら残らずこの世界から消え去ってしまった。
そして地に降りてきたその竜は唯一残っている私にこう言った。
「ふむ、自然の王に攻撃されていたということは人か魔物の精霊か。大丈夫か?もう、大丈夫だ。安心するがいい。」
そうその黒竜こそが魔王になる前の竜王ファルーグ様だった。
でも太陽が丁度天高く登った瞬間だった。
周りにいた精霊達がざわつき始めた。
少しウトウトしていた私だったけど変な様子に意識が覚醒した。
それは極大の魔力だった。
それ以上の表現ができないくらいの魔力量だった。
周りの多分相当歳をとった精霊だと思う声からするに勇者の精霊クラスの魔力だったらしい。
霊脈は命尽きるとき最大の輝きを放つ、それはその場所を訪れた精霊や人、魔物に力を与えるときと精霊百人を超える魔力を持った精霊を産み出すときがある、その時は後者だった。
その精霊は見た目は普通の精霊と大差はなかったけれどその内に秘める魔力量は比較すら出来ないくらいだった。
周りの精霊達がその姿を見て震え上がっているとそいつは口を開いたわ。
「出迎えご苦労、我が同胞達よ。」
そう、出迎えって言ったのよ。誰かが来るとかでもなくその場にいる全員に対してね。
それを言われた私以外の全員がその精霊にひれ伏したわ。私はなんで皆がそんな風にしているのか分からず困惑していたの。そしたら、そいつは私に目を向けた。
「ほう、我にひれ伏さぬものか。」
「…?」
「ふむ…なるほど人の属性を持つものか。自然の精霊王たる我にひれ伏さぬのも頷ける。」
精霊王、それは簡単に言えばその属性の王ね。
今じゃ勇者の精霊くらいしか名乗れそうなのはいないから説明は省くわ。
続けるよ。
「我の前にいるとは不幸なものだ。」
「ぁ…ぐ…」
そいつは私の喉を思いっきり掴み上げた。
私は知らなかったけど精霊王は別の属性の精霊を嫌うというのが体の中に詰め込まれるらしいわ。
「我の力を示す糧となるがいい。」
「あ、あぁ…」
私はそいつに首を締められていったわ。
私には流れるような走馬灯もなかったからただただ死を待つだけだった。
そんなとき空から声が聞こえた。
「なるほど、精霊王か見に来て正解だったな。」
その聞くもの全ての心を揺さぶるような声に私や精霊王を含めたその場の全員が空を見上げた。
日光の光が本当に当たっているのかすらもわからない漆黒の鱗、それでいてどこまでも透き通った水のようなきれいな青い瞳の竜がそこにいた。
「今、精霊に勢力を築かれては後々厄介な事になる。ここで消えてもらうぞ。」
その言葉に命の危機を感じたのか精霊王は私から手を離し周りの精霊に指示を出した。
「も、者共我を守れ!」
そう言われて精霊達はその黒竜に挑みかかって行った。だけどそれも、
「我は必要なき殺戮は好まぬ去れ。」
その言葉に込められた魔力によって精霊達は動きを止め四方八方へと逃げていった。
そして、
「あと数年生まれるのが早ければ共存出来たかもしれぬ、悪いが消え失せよ!」
放たれた魔法によって精霊王は消し炭すら残らずこの世界から消え去ってしまった。
そして地に降りてきたその竜は唯一残っている私にこう言った。
「ふむ、自然の王に攻撃されていたということは人か魔物の精霊か。大丈夫か?もう、大丈夫だ。安心するがいい。」
そうその黒竜こそが魔王になる前の竜王ファルーグ様だった。
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