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8章 教皇と魔物退治
第380話 悪意と獣人
しおりを挟む「教皇様。」
「分かってるよ。」
準備の部屋を借りた二人は改めて武器等を装着していた。その途中でシオンが口を町長について口を開いたのだった。
「あの気配…もしかしてロウガというのは彼等を押し留めているのですか?」
「ああ、だから今の今まで退治しなかったんだよ。」
「…獣人は種族的に悪意を感じ取れます。けど…」
「それが故に、悪意なき悪意にとことん弱い。まあ、よく聞く話だ。」
獣人は自分や周りへの悪意や敵意に対してそれが臭いとして感じ取れるという種族的特徴がある。これにより探知や読心の魔法が使えない獣人は魔物等の奇襲を察知することが出来る。
自然界で生き延びるのに必要な進化を辿り種族的特徴へとなったものだ。これは相手の心が強ければ強いほど強い臭いとなり悪意を遠ざける事が出来る。
だが無論これには問題もある。
悪意なき悪意、悪意を本気で包み隠せるもの、これらには本当に脆い。故に商人等は向かないと言うのが獣人達の常識だ。
「…倒していいのでしょうか…」
「駄目だろうが…俺達の教義は迷惑を掛けるものは悪である、だ。少なくとも商人達は迷惑を受けている。それだけで俺達は倒さなきゃならんのさ。」
「でも…」
「納得は出来ん。だがやらなきゃならん。」
「………」
「さぁ、早めに終わらせるぞ。ここからは多少遠いからな。」
そう言ってガレルは準備を進めるのだった。
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