竜の契約者

6章 魔王と英雄モドキ

第280話 チャージ

『このままではジリ貧だぞ。』
吹き飛ばされて体制を立て直したディレードに彼が語りかける。
(そろそろ勝負を決めないとだめですね。)
『了解した、死魂共の力も使い捨てる勢いで使え。
』
「分かりました。」
次の瞬間マフラーを握りつぶす勢いで握る。すると含められた魔力がディレードの全身に迸る。

それと同じタイミングでイズナも魔力を迸らせはじめた。
「！」
『契約精霊の力だな。恐らく次の一撃で仕留める気だ。』
「望むところです！」

お互いに武器を中心に魔力を集める。
イズナは炎と氷の魔力を、ディレードは光の魔力を剣に集めていく。
相反する炎と氷の二つが果てしないほどの衝撃波を放つ。
光が集まっているはずなのにディレードの剣は衝撃波も眩さすらも無い。どこか薄暗く光だった。

世界の空気が止まる。