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6章 魔王と英雄モドキ
第239話 明日の約束
しおりを挟む「ねぇそこのお兄さんちょっといい?」
「はい、なんでしょう?」
その後静かな町を歩いていたハリエスに声をかける声があった。それに普段どおり対応したハリエスは声の方へと向いた。そこには蒼い少女がいた。
「今さっきこの町に着いたんだけど迷っちゃって宿屋ってどこかな?」
「ああ、旅人の方ですか宿屋街まで送りますよ。」
「え?本当?助かるよ。」
「まあ、これも仕事ですし。」
「それじゃあよろしくー」
「それでは付いてきてくださいね。」
「はーい。」
そうして二人は歩き出した。いくらか歩く度に後ろを振り向くハリエスに少女は笑顔を返す。それに対してハリエスはなんの反応もせず前を向く。
それを見て少女は笑いながらハリエスに声をかける。
「君は私にドキドキとかはしないんだ。」
「ドキドキ、ですか?」
本気でなんのことだろうと首を傾げるハリエスにさらにクスクスと笑いだした少女。
「なんでもないよ。」
「?まあ、いいですけど。あと少しで着きますのでもう少しの辛抱ですよ。」
「はーい。」
二人はそんな話をしながら道を歩いていった。
「はい、着きました。この時間ならここの宿屋が一番反応が優しいですよ。」
「あーやっぱり怒られちゃうの?」
「そこまででは無いですけどここはバーも兼任していますので。」
「ああーそれなら優しいよね。」
「それではここまでですねそれでは。」
「うんありがとうねー」
そうしてハリエスが離れようとした所で後ろから声がかかった。
「あ!そうだお兄さん。」
「ん?なんですか?」
「明日暇?」
「?昼からなら暇ですが。」
「明日観光町を案内してよ。」
「私がですか?」
「うん丁度いいし。」
「…」
ちょっと考えるような仕草を見せるハリエスに笑いながら少女は言う。
「じゃあもしやってくれるなら明日の昼御飯が終わった当たりにここに来てね。私も食事が終わってから三十分くらいは待ってるから」
「え、いや…」
「ばいばい」
手を振りながら少女は宿屋の中に入っていってしまった。
「まだ返答してねぇのにな…」
ハリエスは頭をポリポリとかきながらため息をつきつつ巡回に戻るのだった。
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