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5章 天衣無縫の少女と欲望の町
第221話 理由
しおりを挟む「おい!そっちの人形の嬢ちゃんには見せるな!」
「!」
男のそんな声で咄嗟にセイの目を手で覆い自分の胸へと彼女の顔を向けた。
「イタイ」
「あ、ごめんなさい。」
無い胸に頭をぶつけたのかちょっと頭を擦るセイ。
それに目を向けず謝りながらハリエスを見つめる。
その見られているハリエスはというと、男達が消え去った場所を右目で見つめていた。
「…まあ、初めてでは無いしな。衝撃はこのくらいか。」
そんな台詞を誰にも聞こえないくらいの小さな声で呟いた。
その背に男が声をかける。
「おい!殺す必要は無かっただろう!せめて腕や足、歯を砕くとかあっただろう!」
まるで絶叫のような声量の言葉だった。
彼らの命が失われたことに対して怒りとハリエスへの恐怖が混ざったような声色だった。
その声に左回りで彼に向き直る。
変わった左目の瞳が彼を見る。
「傭兵ルパクドだな。『お前は殺さない』。貴方には罪は無いですからね。」
「答えろ!なぜ殺した!」
「『アレ、は人の形ヲ取っているだけのゴミだっただろう?だからだ。』」
「償わせる道もあっただろう!」
「少女達の為に殺さなくちゃ駄目だったんですよ。」
「…そうかよ。」
「あとは…」
諦めたのかもう何も話さなくなった。ナニカと契約したせいで思考がそちらに寄っていると思われたからだ。
そこで表から大慌てで来た影があった。
「お、おいいつまで待たせるつもりだ!あのカジノの支配人が来ているんだぞ!ここを気に入ってもらえれば金がバンバン…なんだこれは…」
マニビアがショーを催促しに来たのだ。状況を把握していくうちに彼の顔がだんだん青ざめていく。そうして、
「誰か!誰かいないか!強盗だ!」
表にいる警備を呼び出した。だが次の瞬間彼は見えない手に掴まれ倒された。
「ぐぶぅ…!!」
「管理者確保。現行犯です。」
「貴様何者だ!」
「語る名はありませんよ。」
ぐりぐりと地面に擦られ続けられるマニビアは意を決したかのように叫んだ。
「ぐっ…こうなったら!」
その次の瞬間天井から部屋の真ん中にあったエリリス達の入っていた檻を踏みつぶし、ナニカ、生物が現れた。
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