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5章 天衣無縫の少女と欲望の町
第152話 夢の中
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時は深夜
夜に生活する人間たちですら一度静まり始めるくらいの時間、ディレードは無論眠りに着いていた。
その夢の中で彼はただの白い空間に立っていた。
まるで慣れたようにその空間に椅子と机を作り出し座った。反対側には空っぽの椅子があった。まるで誰かが来るのが分かっているように。
「おう、待たせたな。」
そんな声とともに音もなくその空っぽの椅子に座っていたのはどこか人ではないと感じる雰囲気を纏う男性だった。
「待っていませんよ、我が神。」
「そうか。」
そうこの男性がディレードの信仰する神である。
その姿形はどこかディレードの見た目を大人にしたような姿であり、白いコートを身に纏っていた。
「で、俺がここにお前を呼びよせた理由だがな。」
「私の限界、ですか?」
「まあ、それもあるが、こっからの未来の話だな。」
「未来?」
「お前、俺とお前が契約したときの事件レベルの世界の変革が起こる事件がな。」
「いつもの未来視、でしょうか?」
神である彼には未来視が出来るとディレードは認識している。
「おう。かなりやばい未来だ。」
「…どんな?」
「細かいことは分かんねぇ。だが、」
「だが?」
「勇者が見えた。」
「!」
「あの姫は捕まって、相対してた相手は分かんなかったがチビのやつが勇者の隣にいた。」
「貴方様がチビと言うのはフルルですね。」
つまりニイが敵と相対しフィリアが捕まっていると言うことだ。さらにその横にフルルがいると言う状態らしい。
「私は、その場にいましたか?」
「いない。」
「そうですか。」
目を瞑る。分かってはいたことだがかなり先の段階ではもう自分はいないらしい。
「一応聞きたいのですが」
「なんだ?」
「勇者様の髪色を聞いてもいいですか?」
「ん?…あー、魔王が出てるかで髪色変わってたしな。そうだな…確か…白とミントグリーンだった気がするぞ?」
「ミント、グリーン?」
「あーあいつだ。胸がでかい精霊だ。あいつの色と同じだったな。」
「!」
ミントグリーンの胸のでかい精霊で彼が知っているのは最早一人しかいない。
「…計画通りですがいったい何が…」
「分からん。けどなお前が出来ることは限られてる。」
「それは?」
「いつものことだ。未来を変えるためにいろんな手を打て。非才のお前にはそれしかない。」
「そうですね。いつものことでした。」
本当にいつものことだ。ディレードは神と契約は出来ているが彼の才能は今はない。だから情報を集めたり、協力者を集めるのもそれ故だ。
実はの話、本来ならばアリスは助けられなかった。
未来視を聞いて出口を調べ上げそこで待機して打ち倒したのだ。前回の事件もアリスがいなければもう少し苦戦していただろうと言うことは分かる。必要なことだったのだ。
「頑張れよ、信仰者。」
「はい。ありがとうございます。出来るだけ努力します。」
そうして夢から覚めようと立ち上がったディレードに最後に、と声をかける。
「お前が英雄昇華を使える回数の話だ。」
「何回でしょうか?」
「大体10回だ。」
「問題ないですね。」
「回数を超えたら使う度になにか体の器官の機能を失う。出来るだけ気をつけろよ。」
「分かりました。即死でないなら問題はありません。」
それだけ聞くとディレードは夢から出て行った。
夜に生活する人間たちですら一度静まり始めるくらいの時間、ディレードは無論眠りに着いていた。
その夢の中で彼はただの白い空間に立っていた。
まるで慣れたようにその空間に椅子と机を作り出し座った。反対側には空っぽの椅子があった。まるで誰かが来るのが分かっているように。
「おう、待たせたな。」
そんな声とともに音もなくその空っぽの椅子に座っていたのはどこか人ではないと感じる雰囲気を纏う男性だった。
「待っていませんよ、我が神。」
「そうか。」
そうこの男性がディレードの信仰する神である。
その姿形はどこかディレードの見た目を大人にしたような姿であり、白いコートを身に纏っていた。
「で、俺がここにお前を呼びよせた理由だがな。」
「私の限界、ですか?」
「まあ、それもあるが、こっからの未来の話だな。」
「未来?」
「お前、俺とお前が契約したときの事件レベルの世界の変革が起こる事件がな。」
「いつもの未来視、でしょうか?」
神である彼には未来視が出来るとディレードは認識している。
「おう。かなりやばい未来だ。」
「…どんな?」
「細かいことは分かんねぇ。だが、」
「だが?」
「勇者が見えた。」
「!」
「あの姫は捕まって、相対してた相手は分かんなかったがチビのやつが勇者の隣にいた。」
「貴方様がチビと言うのはフルルですね。」
つまりニイが敵と相対しフィリアが捕まっていると言うことだ。さらにその横にフルルがいると言う状態らしい。
「私は、その場にいましたか?」
「いない。」
「そうですか。」
目を瞑る。分かってはいたことだがかなり先の段階ではもう自分はいないらしい。
「一応聞きたいのですが」
「なんだ?」
「勇者様の髪色を聞いてもいいですか?」
「ん?…あー、魔王が出てるかで髪色変わってたしな。そうだな…確か…白とミントグリーンだった気がするぞ?」
「ミント、グリーン?」
「あーあいつだ。胸がでかい精霊だ。あいつの色と同じだったな。」
「!」
ミントグリーンの胸のでかい精霊で彼が知っているのは最早一人しかいない。
「…計画通りですがいったい何が…」
「分からん。けどなお前が出来ることは限られてる。」
「それは?」
「いつものことだ。未来を変えるためにいろんな手を打て。非才のお前にはそれしかない。」
「そうですね。いつものことでした。」
本当にいつものことだ。ディレードは神と契約は出来ているが彼の才能は今はない。だから情報を集めたり、協力者を集めるのもそれ故だ。
実はの話、本来ならばアリスは助けられなかった。
未来視を聞いて出口を調べ上げそこで待機して打ち倒したのだ。前回の事件もアリスがいなければもう少し苦戦していただろうと言うことは分かる。必要なことだったのだ。
「頑張れよ、信仰者。」
「はい。ありがとうございます。出来るだけ努力します。」
そうして夢から覚めようと立ち上がったディレードに最後に、と声をかける。
「お前が英雄昇華を使える回数の話だ。」
「何回でしょうか?」
「大体10回だ。」
「問題ないですね。」
「回数を超えたら使う度になにか体の器官の機能を失う。出来るだけ気をつけろよ。」
「分かりました。即死でないなら問題はありません。」
それだけ聞くとディレードは夢から出て行った。
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