竜の契約者

ホワイトエンド

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4章 聖人と少女と暗殺者

第102話 誘導道

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調査メモ 第一現場について
・通りと通りの近道
・人通りが少ない
・夕方の時点で暗い

「さて、次は周辺の住人に聞き込みですね。」
ディレードは笑顔を見せたあとすぐにいつもの顔に戻り、次の行動の提案をした。
「あ、うん。そうだね。」
取り敢えずアリスが肯定すると同時にここの通りに扉が無いか確認し始める。色々と諦めたアリスが一緒に見渡すと不気味なことに気づいた。

なんと、ここの通り、こちら側には扉が無いのである。

「えーと、ここどういう通りなの?扉が一つもないんだけど……」
「なるほどここは誘導道・・・の一つでしたか。」
「誘導道?それってなんなの?」
「簡単に言えば魔物に攻め込まれた時に逃げ切れない町の人や、逆に罠として魔物達をここの道に入れて騎士団で挟む為の通路ですね。」
「そんなのがあるんですか珍しいですね。」
「この町は我々教団の者しか戦闘員がいないのですよ。ですから弱体大結界をはるために時間稼ぎが必要なのです。」
「あー確かに少しでも時間稼げそうだね。」
アリスはうんうんと納得したかのように頷き、改めて周りを見渡した。そしてなにかを思うように言葉を発する。
「もしかして他の現場も誘導道なのかな?」
「いえ、資料では一貫性は無しと書いていました。恐らく違うでしょう。」
「あー、そうだったね。聞き込みは駄目だね。次行こうか。」
「音を聞いていないか確かめようかとは思いましたが、ここ改めて見るとも無いんですよね。」
「本当だ…なら本当にここで調べられるのはこれくらいだね。」
「ええ、次に向かいましょう。」
「あ、そういえば……」
「いかがいたしましたか?」
「被害者がどんな人か聞いてなかったの思い出した。」
「ああ、言ってなかったですね申し訳ないです。ここの被害者は二十代後半の若者ですね。」
「…うん、その人の為にも頑張らなきゃだね。」
「ええ。」

そうして現場を離れた二人を眺める目があった。その目には嘲りがあった。あんな二人になど捕まってやるものかという自信まで持ち合わせていた。
だがそれには気づかず次の現場に二人は向かうのだった。

第二現場 午後七時

そこはいわば大通りと言っても差し支えないレベルの通りだった。そこにはいくつかの大きな建物が並び中央には大きな時計があった。いくつか飲食店もあるがもう閉まってしまっているようだ。
だがそこは事件のせいか人がいない、そこが不気味さを醸し出し、日が暮れ夜になったことによる寒さがより染み渡る。

「ここ、いつもは人で溢れているのかな?」
そう問われたディレードは少し考えるような素振りを見せたあと口を開いた。
「そうとも言えるしそうは言えないとも言えます。」
「どういうこと?」
「ここは学生街でして夕方までならかなり人が多いのですが夜になると一気に人気が無くなります。」
「なるほど……」

第二事件
現場名 学生街 トゥスタ
被害者 四十代女性 職業教師
被害者が受けた傷は第一と同じだった為同一犯と推測される。死体発見時間は朝、教師が急ぎの仕事を片付けようと出勤した際に発見された。
第一と違う点は死体の扱い方。
第一では死体は無造作に地面に置かれていたが第二では時計台の真下に横にされていた。
とそこまでの差異とは思えないが記述されている。
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