竜の契約者

ホワイトエンド

文字の大きさ
上 下
70 / 418
3章 妖精と勇者の剣舞

第61話 本題

しおりを挟む
「それで?今日来たのは愚痴を言いに来ただけじゃないでしょ?」
二人の会話に結論が出されたところでルアグルが声をかけてきた。
「ふむ…?そうなのか勇者。」
『出発する前言ったような気もするんだが……』
「覚えとらんから話せ!」
『はぁ……』
「まあ、ファルちゃんは私がここに来た頃からこんな感じだから気にするだけ無駄よ。」
『そうなのか…そういえばルアグルって……』
「ルルよ。」
『んん……ルルはいつからここにいるんだ?』
「そうねぇ、フィリアちゃんやニイ君が産まれる前なのは確かよ~」
『へぇー』
「あら、あんまり興味なさそう。自分で持ちかけておいてそれはあんまりじゃない?」
『いや、バカみたいに前を出されて適当に誤魔化されると思ってたからさ。ほら、ルルみたいなのってそういうの隠したがるじゃないか。だからどんな冗談が出てくるかちょっと期待してたからさ。』
「それだったら期待に添えなくてごめんなさいね。」
『いや、単に俺が勝手に期待してただけだから気にしなくていいぞ。』
「ふふ、優しいのね。まぁ、過去に触って欲しくないのは本当よ。」
それは他の言葉よりも真剣な意味を含んでいるのをニイ達は感じた。
『分かった、気にしない。』
「ええ、そうして頂戴。…それじゃ、本当の用件を聞かせて。」
『ああ。』
「そういえば、屋敷を出る前にマリウスにリア達が訓練に行ったか確認していたな。」
「あら、それならあの子達のどっちかの話なのかしら?プレゼントかしら?戦闘服のデザインかしら?」
『プレゼントは理由が無いとしにくいし後者はもう考えてもう渡してあるだろう?』
「あら、それ知ってたのね。フィリアちゃんが見せに行ったのかしら?」
『いや、この前突風が吹いて洗濯物が飛んだ時があったんだがその中にあった。』
「あら~」
『まだ、着た姿は見たこと無いから見てないと言えば見てないぞ。』
「その内見せに来るだろうからその時まで待ってあげてね。」
『分かった。』
「うーむそれ以外ならなんなのだ?見当もつかんぞ。」
『簡単に言えば、人間以外の種族の話を魔王とルアグ……ルルに聞きたくてな。』
「人間以外の種族の話を?」
「ならば何故リア達の所在を聞いたのだ?」
『俺が世界について知りたがってるのをミーリアに知られたくない。』
「ミーリア?……ああ!前にフィリアちゃん達と一緒に来て自分は教団の制服以外着るつもりが無いって言ってた娘ね。」
「なんだ来ていたのか。」
「ええ、フィリアちゃんあの二人と一緒にいるときはすっごいニコニコしてて可愛いからついつい長話したくなっちゃうからより覚えやすいのよね~」
『それは何よりだ。』
「それでなんであの娘に知られたくないの?」
「まさか汝、まだ、ミーリアを疑っているのか?」
『ああ、そうだ。』
「信じられると結論を出したはずだぞ?何故また蒸し返す。」
『俺は最初から信じちゃいない。』
「何!?あの話し合いの際ミーリアの性格上嘘はつけないだろう、と言ったのは汝であろう!?あれは嘘だったというのか!」
『ああ、嘘だ。』
「な、あ!?」
『そもそも俺は未だに魔王、お前以外信じれていないんだぞ?』
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】勇者PTから追放された空手家の俺、可愛い弟子たちと空手無双する。俺が抜けたあとの勇者たちが暴走? じゃあ、最後に俺が息の根をとめる

岡崎 剛柔
ファンタジー
「ケンシン、てめえは今日限りでクビだ! このパーティーから出て行け!」  ある日、サポーターのケンシンは勇者のキースにそう言われて勇者パーティーをクビになってしまう。  そんなケンシンをクビにした理由は魔力が0の魔抜けだったことと、パーティーに何の恩恵も与えない意味不明なスキル持ちだったこと。  そしてケンシンが戦闘をしない空手家で無能だったからという理由だった。  ケンシンは理不尽だと思いながらも、勇者パーティーになってから人格が変わってしまったメンバーのことを哀れに思い、余計な言い訳をせずに大人しく追放された。  しかし、勇者であるキースたちは知らなかった。  自分たちがSランクの冒険者となり、国王から勇者パーティーとして認定された裏には、人知れずメンバーたちのために尽力していたケンシンの努力があったことに。  それだけではなく、実は縁の下の力持ち的存在だったケンシンを強引に追放したことで、キースたち勇者パーティーはこれまで味わったことのない屈辱と挫折、そして没落どころか究極の破滅にいたる。  一方のケンシンは勇者パーティーから追放されたことで自由の身になり、国の歴史を変えるほどの戦いで真の実力を発揮することにより英雄として成り上がっていく。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話

ルジェ*
ファンタジー
 婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが─── 「は?ふざけんなよ。」  これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。 ********  「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください! *2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

処理中です...