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2章 捕らわれと解放
第55話 2章エピローグ1 ディレード
しおりを挟むニイ達が消えたすぐあと教団の兵士達がたどり着いた。
「ディレード騎士団長様ご無事で何よりでございます。」
「ありがとうございます、ハリエス副団長。私もさずがにここまでかと思っていたので生きていて良かったと心から思いますよ。」
赤い髪の青年がディレードの前に跪くと後ろにいた30人もの兵士が跪いた。
赤い髪の青年はハリエス・ロイック。背丈は大体170cmくらいの細身の青年で全身に鎧を纏っている。その後ろに並んでいる兵士達も同じような鎧を纏っているため同じ集団の一員であることが見てとれる。
「ディレード騎士団長様本当に大丈夫なのですか?魔王の亡霊が現れたと聞きましたが。」
「見ての通りですよ。隙を突き魔物どもの町を壊滅させました。」
「さすがでございます。亡霊の方も討伐いたしましょうか?」
「いえそちらはしばらくはほっておいても問題はありませんよ。」
「と、おっしゃいますと?」
「どうやら魔王は勇者様の体を使って復活したようなのですよ。」
「なんと罰当たりな!即刻討伐致しましょう!全員準備は良いな!」
「「「うおおお!!!!!」」」
勇者のという言葉を聞いた瞬間いきり立つ兵士達。それに水を掛けるようにディレードは言葉を掛ける。
「いえいえ、ただ使われているわけではなくどうやら魔王が入ったことで勇者様も生きながらえたらしいのです。」
「なんと!?勇者様が生きておられたと!?なんと喜ばしい!」
兵士達の中に喜びの声が流れ始める。
「!もしや勇者様は魔王達を封じ込める役割を担って下さっているのですか!?」
「ええ、勇者様は人間と進んで戦うつもりは無かったようですからそれもあり得ますね。」
「さすが勇者様だ。」
「まさか自らの身を使い魔物達の動きを止めるとは」
ざわざわと兵士達がニイを崇める言葉をあげていく。
「ですが私が見た様子ではいつ魔王に負けてもおかしくないような状態でした。」
「それならばいかが致しましょう?」
「体の半分を魔王に補われている状態なのを解消するしか無いでしょう。」
「ですが!魔王並みの力を持つ精霊など…」
「二体程心当たりがあります。一体は勇者様をお選びになった勇者の精霊様。」
「ですが勇者の精霊様はあやつらに…」
「捕まってしまっています。ですが助けるのは効率的ではありません。ですのでもう一体の方を使います。」
「そのもう一体はどの精霊なのですか?」
「教団で育てている精霊がいるでしょう?あの娘を使うのです。」
「!?確かにあの娘は精霊としての力はトップクラスですが……尖兵とするには……少々問題があるような……」
「ハリエス副団長の心配も分かります。ならば簡単な話ですよ。本当の目的を伝えなければ良いのです。例えば勇者様が魔王と共に生きていた。勇者様がしばらくは魔物達と手をとる道を探す手伝いが欲しいと言われている。とね」
「なるほど……それでは教国まで戻り伝えましょう。」
「それでは参りましょうか。」
「は!」
そうして騎士団は教国へと戻っていく。
ニイへの貢ぎ物を準備するために。
それはニイ達の救いか災いか今は誰にも分からない。
「そういえばあの勇者様の隣にいた魔物、あれはなんだったのだろう。
あれは本当に魔物だったのだろうか。」
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