竜の契約者

ホワイトエンド

文字の大きさ
上 下
30 / 418
1章 魔王と勇者と姫

第24話 我等は

しおりを挟む
落ちそうななった意識を無理矢理、中から掬い上げられた。例えるなら穴に落ちていく物を穴の中から地上へと上げられたような感じだ。
倒れそうだった体を無理矢理足を踏みしめさせられ立ち上がらせられる。
「はぁ……はぁ……」
「なんだ.....?今なにが.....?」
ガレンからしてみればさすがに一気に言いすぎたと思い、様子見ていたら倒れそうだったので大慌てで抱えようとした相手が急に力強く地面を踏みしめ倒れないようにしたようにしか見えない。
(急になんなんだ!もう、一度眠らせてくれよ!今はなにも考えたく……)
『(眠るのは勝手だ。思考放棄するのも勝手にするがいい)』
(なら!)
『(だが我を巻き込むな。)』
(は……?)
『(我を巻き込むなと言っているのだ。)』
(なに……を……)
『(汝は我と汝の関係を忘れたのか?)』
(それは……)
『(我等は二心同体汝が死ねば我も死ぬ。我が死んでも汝も死ぬ。そういう関係なのだぞ?)』
(それがどうしたって言うんだよ……)
『(まだ分からぬか。)』
声だけしか聞こえないはずなのに息を吸う音が聞こえた。まるで分かりの悪い子供に対してこれから説教を始めるかのように。
『(我はもう死にたくないのだ。あんな喪失感を味わうのはあれっきりで十分だ。
だと言うのに体を託している汝は言葉で狂い現実を見たくないと敵前で気絶しようとする始末。
これを怒らずしてなにに怒る!!!)』
(だったらどうしたらいいんだよ!信じていた精霊は俺を壊し、恨みたかった相手は俺を助けようとした!味方と敵が逆だった。さかも知れないんだぞ!本当にどうすればいいんだよ!)
『(知らぬ、そんなことになったことがないからな。)』
(な、に……?)
『(当たり前だこんなこと経験があるわけ無いだろう。)』
(それは.....そうか……)
『(だが言えることはある)』
(……なんだ?)
『(戦いが終わってから考えろ。)』
(……!)
『(あいつが敵か味方か取り敢えずあいつだけでも撤退させるかあいつごと殺すか好きにすればいいがその選択肢しか考えるな。今は他は余計だ。)』
(そう……だな)
『(それに、だ。今の戦いは自分達の物となったフィリアのための戦いなのだぞ?あの者を守ることを考えれば今は他を考えなければいいのだ。)』
(そうだそうだったな。俺を信じて俺に助けを求めた少女。あいつのために、か。悪くないのかも、な。)
『(いい表情になったぞ。我等は真なる意味で同一の存在なのだ。汝の命は我の物でもあるということを)』
(ああ、悪かったよ。ここからは)
「生き残るためにそして一人の少女の信頼に答えるために今の本気で戦おう」

今は難しいことはほっておこう。
一人の女の子の為に命を掛けよう。
だってそうした方が、勇者っぽいだろ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

処理中です...