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1章 魔王と勇者と姫
第22話 人間の戦い
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戦闘で最初に繰り出されたのは男達の中でもスピードの早いナイフ持ちのレンジャー達五人による微妙にタイミングをずらしての波状攻撃だった。それを青年は一番最初に攻撃をして来た男を掴み自分と場所を入れ替え身代わりにして第一陣を防ぎ、攻撃方向を変えることの出来た男達二人は方向転換の隙に剣を作り出し一人残さず切り裂いた。
それに怯まず突撃してきたのは重装備のアーマーナイト達の五人だった。彼等は一糸乱れぬ盾を前に構えての突撃《シールドチャージ》でレンジャーごと吹き飛ばさんが如く真っ直ぐに突っ切ってきた。それを青年は真ん中の男を踏み台にして飛び越えた。
「おらぁ!」
「ぬぐっ」
身動きの出来ない空中に出るのを待っていた、ガレンがまるで砲弾かのように突っ込んできた。鞘から引き抜く勢いで斬りかかってくるガレンを左手に少し小さな盾を作ることで傷が付くことはなかったが木に思いっきり叩きつけられる。
「ぐっ.....」
「食らいやがれ!」
「.....!」
吹き飛ばされるのを待っていた斧持ちの男二人が青年に向かって斧を振るった。それを右に身を屈めながら転がることで躱した。
「ははは!やっぱり勇者の力無しじゃあ躱すくらいしか出来ねぇか!」
「っ.....」
「その表情だ。苦しんでるのに他に何かあると考えているその顔だ。その顔が俺は果てしなく嫌いなんだよ!希望を持つんじゃねぇよ!追い詰められてんだからもっと苦しめよ!今のお前にはもう手段なんて無いんだよ!力がない奴がどれだけ頑張った所で力のある奴には敵わないんだよ!」
そこまで言った所で青年がガレンに対して向き直り剣を本気で構えた。
「俺さえ倒せば多少は有利もしくは崩壊するだろうという目論みか、他の奴等を先に倒した方が早くて確実だったと後悔するんだな!」
青年が突撃してくるところに王夫妻を確保している三人以外の残っていた三人の弓使いと二人の魔道士が攻撃魔法と魔力を込めた矢《パワーショット》を放ち攻撃を仕掛けてくる。青年はそれを体に傷を付けながら強行突破をしてガレンに突っ込んみつばぜり合いに持ち込んだ。
「やっぱりテメェ見た目に合わねぇ力してるな!」
「今の精霊も『我はここに望む』中々力が強くてね助かってるよ。」
「やっぱテメェ腹が立つな!いい精霊が勝手に寄っていくのが気に入らねぇ!」
「そうか。なんだお前が俺を気に入らない理由はそうだったのか。『暗き闇よ』もう少し理屈があるのかと思ってたら全然無かったのか。『気高き炎よ』少し驚きだ。」
「(なんだ?さっきから何か別の声が)別にテメェが力を持ってるのは気にはしねぇ。むしろテメェが俺の雑な教え方でここまで強くなったのは無茶苦茶嬉しくなっちまったしもっと育ててやりてぇとまで思っちまったよ!」
「.....それはどういうことだ?」
てっきり若輩者の自分があっという間に自分を越えそうなのが武術最強である彼は気に入らないのだと思っていたがなにやら様子が変わってきた。他の男達の攻撃を躱し迎撃しながら彼との激突を続けながら会話を続けていく。
「そりゃ最初はお前みたいな奴が俺より強く馴れるわけねぇきつい教え方で根を上げさて勇者の資格は俺にあると思わせたかったさ。けどな!今まで色んな奴に戦い方を教えてきた、そんな中でもお前は俺が理想とする育ち方をしていった。嘘みてぇだと思った。俺が理想とする教え子が見つかったってのはな。みっちり教え込んでやったら伝説に残ってるどんな勇者にだって負けなくなると、いや誰よりも強くなれるそう思った。」
「だったら.....だったらなぜ俺を、殺したんだ!」
表情が動かないながらも声に感情が入る。
「そんなに高評価でいたなら、殺す必要は無かっただろう!」
失った心の欠片から激情が沸き上がってくる。少なからず師と仰いではいたのだ。故に何故と彼は叫ぶ。それを聞いてガレンは苦々しい表情を浮かべながら口を開いた。
「それはな、俺が精霊が嫌いだからだ。」
それに怯まず突撃してきたのは重装備のアーマーナイト達の五人だった。彼等は一糸乱れぬ盾を前に構えての突撃《シールドチャージ》でレンジャーごと吹き飛ばさんが如く真っ直ぐに突っ切ってきた。それを青年は真ん中の男を踏み台にして飛び越えた。
「おらぁ!」
「ぬぐっ」
身動きの出来ない空中に出るのを待っていた、ガレンがまるで砲弾かのように突っ込んできた。鞘から引き抜く勢いで斬りかかってくるガレンを左手に少し小さな盾を作ることで傷が付くことはなかったが木に思いっきり叩きつけられる。
「ぐっ.....」
「食らいやがれ!」
「.....!」
吹き飛ばされるのを待っていた斧持ちの男二人が青年に向かって斧を振るった。それを右に身を屈めながら転がることで躱した。
「ははは!やっぱり勇者の力無しじゃあ躱すくらいしか出来ねぇか!」
「っ.....」
「その表情だ。苦しんでるのに他に何かあると考えているその顔だ。その顔が俺は果てしなく嫌いなんだよ!希望を持つんじゃねぇよ!追い詰められてんだからもっと苦しめよ!今のお前にはもう手段なんて無いんだよ!力がない奴がどれだけ頑張った所で力のある奴には敵わないんだよ!」
そこまで言った所で青年がガレンに対して向き直り剣を本気で構えた。
「俺さえ倒せば多少は有利もしくは崩壊するだろうという目論みか、他の奴等を先に倒した方が早くて確実だったと後悔するんだな!」
青年が突撃してくるところに王夫妻を確保している三人以外の残っていた三人の弓使いと二人の魔道士が攻撃魔法と魔力を込めた矢《パワーショット》を放ち攻撃を仕掛けてくる。青年はそれを体に傷を付けながら強行突破をしてガレンに突っ込んみつばぜり合いに持ち込んだ。
「やっぱりテメェ見た目に合わねぇ力してるな!」
「今の精霊も『我はここに望む』中々力が強くてね助かってるよ。」
「やっぱテメェ腹が立つな!いい精霊が勝手に寄っていくのが気に入らねぇ!」
「そうか。なんだお前が俺を気に入らない理由はそうだったのか。『暗き闇よ』もう少し理屈があるのかと思ってたら全然無かったのか。『気高き炎よ』少し驚きだ。」
「(なんだ?さっきから何か別の声が)別にテメェが力を持ってるのは気にはしねぇ。むしろテメェが俺の雑な教え方でここまで強くなったのは無茶苦茶嬉しくなっちまったしもっと育ててやりてぇとまで思っちまったよ!」
「.....それはどういうことだ?」
てっきり若輩者の自分があっという間に自分を越えそうなのが武術最強である彼は気に入らないのだと思っていたがなにやら様子が変わってきた。他の男達の攻撃を躱し迎撃しながら彼との激突を続けながら会話を続けていく。
「そりゃ最初はお前みたいな奴が俺より強く馴れるわけねぇきつい教え方で根を上げさて勇者の資格は俺にあると思わせたかったさ。けどな!今まで色んな奴に戦い方を教えてきた、そんな中でもお前は俺が理想とする育ち方をしていった。嘘みてぇだと思った。俺が理想とする教え子が見つかったってのはな。みっちり教え込んでやったら伝説に残ってるどんな勇者にだって負けなくなると、いや誰よりも強くなれるそう思った。」
「だったら.....だったらなぜ俺を、殺したんだ!」
表情が動かないながらも声に感情が入る。
「そんなに高評価でいたなら、殺す必要は無かっただろう!」
失った心の欠片から激情が沸き上がってくる。少なからず師と仰いではいたのだ。故に何故と彼は叫ぶ。それを聞いてガレンは苦々しい表情を浮かべながら口を開いた。
「それはな、俺が精霊が嫌いだからだ。」
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