黒猫と12人の王

病床の翁

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登山

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 多眼種の集落を落とした帝国軍だったが、まだ時間が早い事もあり、そのまま進軍を続ける。
 俺達もまたその後ろからついて行く。
 また鬱蒼とした森の中に入った。
 どうやら多眼種の集落は森の中に存在していたようだ。

 行く手を阻むように魔獣達が現れる。
 熊種が多く出没し、今目の前にはジャイアントベアとレッドベアの群れが立ち塞がる。
 奥に1体、紅色の熊もいる。
 あれがクリムゾンベアって奴だろうか。

 帝国軍兵士が討伐に当たっているがその群れの数が多い。
 俺達の方までやってきたので討伐することにする。
 金獅子が背にした大剣を手に取り、目の前に迫ってきたジャイアントベアの右腕を刎ねる。
 白狐がその抜刀術で迫ってきたジャイアントベアの首を刎ねる。
 蒼龍が全身に炎を纏って突っ込んできたレッドベアに向けて槍を突き出す。
 紅猿が手にした棍を振り回し、迫ってきたジャイアントベアを滅多打ちにする。
 灰虎が両腕に着けた鉤爪で炎を纏っているレッドベアを滅多斬りにする。
 黄豹が両手に持った刃付きトンファーでジャイアントベアを切り刻む。
 俺も緑鳥の護りを紫鬼と銀狼に任せてジャイアントベアの討伐に入る。
『危なくなったらすぐに交代だぞ?』
 今日もフードの中で待機するヨルに言われる。
「ジャイアントベアなら俺だけで問題ないさ。」
 俺は答えながら両手にナイフを構える。
 ジャイアントベアが突貫してきた。
 俺は左に避けつつ右手に順手で持ったナイフで斬りつける。
 が、硬い頭部の骨にあたり刃が通らなかった。
 ジャイアントベアは攻撃を繰り出した俺を完全に敵だとみなし、反転してまた突貫してきた。
 俺は再び左に避けながら左手の逆手に持ったナイフでその胴体を斬りつける。
 今度はしっかりと刃が脇腹を切り裂いた。
 それでも突貫をやめないジャイアントベア。
 三度俺は左に避けると、順手に握った右手のナイフを先ほどの切り傷に向けて突き刺した。
 狙い違わず脇腹の切り傷に刃が突き刺さる。
 それでもジャイアントベアは動き続ける。
 立ち上がり右腕を振るってくるジャイアントベア。
 その右腕をかがんで避けると脇腹の傷口に向けて逆手で握ったナイフで斬りつける。
 傷口を大きくし内臓がこぼれ出すジャイアントベア。
 それでも構わず今度は左腕を振り下ろしてきた。
 両手のナイフで爪撃を受ける俺だったが、その振り抜かれた力があまりにも強く、横にふっ飛ばされる。
『大丈夫か?変わってやろうか?』
 ヨルに言われるが俺は
「問題ない。あと少しだ。」
 と答えると今度は俺からジャイアントベアの懐に入るように駆け出す。
 右腕を振り上げるジャイアントベアだったが俺が接近する方が早い。
 臓物がこぼれている傷口へと右手のナイフを突き刺し、かき回すように内臓を切り刻む。
「グォー」
 苦し気に呻きながら後ろに倒れ込むジャイアントベア。
 両手でこぼれた内臓を仕舞うような動作を見せる。
 その隙に頭部に回り込み、両の眼球に左右のナイフを突き刺す。
 脳まで達したナイフの攻撃によりやっと動きを止めたジャイアントベアであった。

 そうこうしているうちに帝国兵が騒がしくなる。
 クリムゾンベアの吐く火炎に複数の兵士達が火達磨となる。
 これの前に立ちふさがるのは勇者パーティーとあの2人組だった。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 額の左から右の頬に抜ける大きな剣創を持つ2mの巨漢、シャラマンが持つ大楯で火炎ブレスを防ぐ。
 もう1人のフルフェイスの兜を被った170㎝程の痩せた女兵士、フェリオサは手にした細剣でクリムゾンベアへ攻撃する機会をシャラマンの後方に隠れて窺っている。
 その横から勇者パーティーの魔術師ドリストルが魔術を詠唱する。
「魔素よ集まれ、集まれ魔素よ。火炎の力へとその姿を変えよ。魔素よ燃えろ、燃えろよ魔素よ。我が目前の敵を火炎となりて打倒し給え!ファイアボール」
 ドリストルが呪文を唱え終えると短杖の先に描かれた魔法陣より直径30㎝程度の大きさの火球が生まれ、クリムゾンベアへと向かう。

 クリムゾンベアの腹部に命中したファイアボールであったが、クリムゾンベアは炎耐性がある為、あまり効果はない。
 しかし、その攻撃を機に火炎のブレスが止まる。
 これを勝機と見たシャラマンとフェリオサが一気に畳みかける。
 片手に持った手斧で切りかかるシャラマン、しかしその攻撃はクリムゾンベアの右腕に弾かれてしまう。
 フェリオサの繰り出した細剣での刺突も硬い皮膚を持つクリムゾンベアの胸部に弾かれる。
 勇者パーティーの戦士、ライオネルも両手にもった巨大斧でクリムゾンベアへと斬りかかる。
 その隙に勇者バッシュはいつも通り敵の背後に回り込む。
 ライオネルの巨大斧がクリムゾンベアの左腕に食い込む。
 が切断には至らない。
 その時、背後からバッシュが斬りかかる。
 しかしその硬い皮膚に阻まれて長剣での攻撃は少しもクリムゾンベアにダメージを与えられていないように見える。

 シャラマンが弾かれた手斧を再度、クリムゾンベアに叩き込む。
 フェリオサも顔面を狙った細剣での突きを繰り出す。
 ライオネルが巨大斧で斬りかかる。
 少し体をかがめたクリムゾンベアにそれらの攻撃がヒットする。
 が、体をかがめたことによりその攻撃は全て硬い背中に当たる。
 クリムゾンベアが体を振り上げ、両腕を広げると左腕の爪がフェリオサに当たってしまい、後ろへとふっ飛ばされる。
 右腕の爪撃はシャラマンの大楯により防ぐことに成功。
 ふっ飛ばされたフェリオサに向けて勇者パーティーのサーファが聖術をかける。
「親愛なる聖神様、その比護により目の前の傷つきし者に僅かながらの癒やしの奇跡を起こし給え。ローヒーリング!」
 鎧の左肩部分に大きく爪の傷をつけたフェリオサだったが、サーファの聖術によりその身の怪我は塞がった。
 再度攻撃を仕掛けるべくクリムゾンベアに走り寄るフェリオサであったが、クリムゾンベアが再度火炎ブレスを放ち始める。
 シャラマンの大楯で防ぐ4人。
 ドリストルとサーファはそもそもクリムゾンベアから離れた位置に陣取っておりその火炎の余波だけを受ける形となる。
 シャラマン、フェリオサ、ライオネル、バッシュの4人はどうにもクリムゾンベアを攻めあぐねていた。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 クリムゾンベアと勇者パーティー、あの2人組が戦っているが、あまり優勢ではないように見えた。
 そこで蒼龍がクリムゾンベアに向けて駆け出す。
「王化!龍王!!」
 首から下げたネックレスにはまる王玉から蒼色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が体に吸い込まれるように晴れると龍の意匠が施された兜に蒼色の王鎧を身に着けた龍王形態となる蒼龍。
 その手にした三又の槍を4人に向けて火炎ブレスを吐くクリムゾンベアに突き出す。
「水撃・龍翔閃!」
 突き出された槍の先端から高圧の水撃が放たれ、クリムゾンベアの顔面に的中。
 その火炎ブレスを止めさせる。
「む?増援であるか?見ない格好だがこれは助かる。」
 2mの巨漢が言う。
「正直ワタシ達だけでは攻めきれなかったから助かりますわ。」
 女兵士も言う。
 その声を受けながら蒼龍が三又の槍をクリムゾンベアの顔面に突き出す。
 なんとこれをその口で咥えることで防いだクリムゾンベア。
 しかし、
「水撃・龍翔閃!」
 槍の先端から再度、高圧の水撃が放たれ、クリムゾンベアの口内をその首裏に向けて貫通させる。
「グォグォー」
 呻くクリムゾンベア。
 喉奥から首裏にかけて大穴を開けた状態だがまだ立っていた。
 そこに詰めかける勇者パーティーの戦士と勇者、そして2人組の兵士達。
 片手斧で斬りかかる巨漢、巨大斧で斬りかかる戦士ライオネル、顔面を狙って突きを繰り出す女兵士、股間を狙って長剣を振る勇者バッシュ。
 その攻撃は全てクリムゾンベアが振り上げた両腕によって悉く弾かれてしまう。
「こやつは我に任せて、お主らは他のジャイアントベアやレッドベアを頼む!」
 蒼龍が言いながら三又の槍をクリムゾンベアの首元に突き入れる。
「龍覇連突!」
 高速突きをその喉元へと突き入れる蒼龍。
 そのうち硬い皮膚を突き破り喉に大穴を開けるクリムゾンベア。
 しかしまだ動く。
 両腕を振り回し、蒼龍へと迫るクリムゾンベア。
 その爪撃を槍で弾きながら後退する蒼龍。

 喉にも首の後ろにも大穴を開けながらも尚、動き続けるクリムゾンベア。
 その生命力は途轍もないものがあった。
「てりゃー!」
「うぉー!」
「せいっ!」
「はぁ!」
 声を上げながらクリムゾンベアに攻撃を加える4人。正直蒼龍の攻撃タイミングを邪魔しているように見える。
 またしてもそれらの攻撃はクリムゾンベアの両腕に弾かれる。
 しかし、その両腕を振り上げた際の隙をついて蒼龍が跳び上がりクリムゾンベアの顔面に槍による突きを繰り出す。
「グォー!!」
 見事に眼球に突き刺さる三又の槍。
 その深さは脳に達するほどである。
 それにも関わらずクリムゾンベアは動き続ける。
「ガオ!ガォ!」
 振り上げた両腕を振り下ろすように蒼龍へと爪撃を放ってくる。
 これを槍を手放し、両腕でガードする蒼龍。
 空中にいたこともあり後ろへとふっ飛ばされる。
 が、王鎧で守られた両腕にダメージはない。
 無事に着地する蒼龍。
 ここにきて限界を迎えたのか後ろへ倒れ込むクリムゾンベア。
 そのまま動かなくなった。
 蒼龍はクリムゾンベアの顔面に突き刺さったままの槍を手に取り、その顔面から引き抜く。
「助かったぜ。あんた。」
 2mの巨漢兵士が蒼龍に声をかける。
「ワタシ達だけでは倒せなかったでしょう。助かりましたわ。」
 女兵士も声をかける。
「へっ!助かなんかなくたって俺と勇者様がいればあんな敵どうってことなかったぜ!」
 戦士ライオネルは蒼龍に礼をいうことなく呟き、
「ふっ。僕達だけでもどうにか出来ただろうけど、ひとまず礼を言っておこう。」
 勇者バッシュも蒼龍に話しかける。
「ふむ。お主らは他の熊種へと向かってくれて構わなかったのだがな。ひとまず強敵を倒せて良かった。」
 蒼龍も言うが、
「何だと?!俺達がいたからお前もその隙をついた攻撃が出来たんだろうが!」
 ライオネルが突っかかってきた。
「ふっ。ライオネルやめないか。確かに今回は彼に助けられた。」
「ちっ。勇者様がそうおっしゃるなら。でも次はねーぞ。しゃしゃり出手くんなよ。」
 勇者に言われて引き下がるライオネルであった。

 俺達だけでも倒した熊の数は十数体、帝国兵士が倒した分も入れたら数十体にはなるであろう熊の群れであった。
 強大なボスの下に数多くの熊種が集まって出来た群れだったのだろう。
 そのボスであるクリムゾンベアを討って戻ってきた蒼龍。
 もう王化は解いている。
「お疲れさん。」
 そんな蒼龍に声をかける。
「ふむ。さすがは熊種の最上位種よな。なかなかにしぶとかった。」
 蒼龍が答える。
「私もここまで大規模の熊の群れに出会った事はなかったですね。」
 白狐が言い、金獅子が答える。
「ボスが強者だったこともあり、多くの熊種がその配下に集まったのであろうよ。」
「なんにせよ。撃退できて良かった。」
 銀狼が締めた。

 鬱蒼とした森を抜けるとそこは岩肌の山になっていた。
 雲がかかりその頂上は見えない。
「森のあとは山登りかい。」
 灰虎が疲れたように声を上げる。
「ん。山登るの。」
 黄豹がそんな灰虎の背中を押しながら言う。
 一面岩肌の山である。
 その勾配も結構なものがある。
 俺達の進行速度も落ちているが、それよりも帝国軍兵士達の動きが遅くなった。
 俺達はそんな帝国軍兵士達を追い越して山を登り続ける。
 あまり魔物が生息していない地域なのか、たまに出会う魔物もスライム程度だった為、俺達はなんなく撃退しつつ山を登る。

 丸3日間は登山が続いた。途中まだなだらかな場所を見つけては野営をして一晩過ごし、また次の日は山を登る。
 登っては下り、また登るを4,5時間も繰り返したあたりで辺り一面開けた場所へと出た。
 まだ岩肌に覆われた山であることには変わりないが、ずいぶんとなだらかな地面になっている。
「うむ。敵が出てきそうな雰囲気であるな。」
 紅猿がそう言うと目の前に集落らしき建物が見え始めた。
 ただまだ距離があるはずなのにその大きさは尋常じゃなく大きい。
 岩を積み上げて作ったと思われる平屋の作りで、10m程度の高さがある建屋が数十並んでいた。
 とそこで腹に響く声が聞こえてきた。
「なんだ?人間か?一村に二宮が攻め込んでいるのは知っているが、三井もやられたのかのぅ。」
 その声の主は体長5mを超す大男が発しており、まさに今住居らしき石造りの巨大家屋から出てくるところだった。
「ワレらの住処まで来るとはいい度胸だ。ワレは九大魔将が一人、四腕よつうでの四谷。ワレら、巨魔人が相手になってやろう。皆の者、敵である。出てこい!」
 5m超えの巨人は九大魔将の一人らしく、その名の通り腕が4本もあった。
 やっぱり九大魔将って言うくらいだから魔将は9人、今まで倒した3体を抜いて後6体いるのだろう。
「山登りにも飽きてきたところだ。アタイが相手してやるよ!王化!爪王!!」
 灰虎が声を上げると左腕にしたバングルにはまる王玉から灰色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると虎をイメージさせる兜に灰色の王鎧を身に着けた爪王形態となり、駆け出す。

「俺様達も王化を!銀狼は緑鳥の守護を頼んだぞ。」
「任せろ。」
 金獅子が言い、銀狼が答える。そして
「王化!獣王!」
 金獅子が王化し、右手中指のリングにはまる金色の王玉から金色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると獅子を想起させる兜に金色に輝く王鎧を身に着けた獣王形態となり駆け出す。
「王化!牙王!」
 銀狼が王化し、左手中指のリングにはまる王玉から銀色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると狼を象った兜に銀色に輝く王鎧を身に着けた牙王形態となる。
「王化!龍王!」
 蒼龍が王化し、首から下げたネックレスにはまる王玉から蒼色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると龍の意匠が施された兜に蒼色の王鎧を身に着けた龍王形態となり駆け出す。
「王化!武王!」
 紅猿が王化し、左手親指のリングにはまる王玉から紅色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると猿をイメージさせる兜に紅色の王鎧を身に着けた武王形態となり駆け出す。
「王化。不死王。」
 黄豹が王化し、右足のアンクレットにはまる王玉から黄色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると豹を想わせる兜に黄色の王鎧を身に着けた不死王形態となり駆け出す。
「王化!破王!」
 白狐が王化し、右耳のピアスにはまる王玉から真っ白な煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると狐を想起させる兜に真っ白な王鎧を身に着けた破王形態となり駆け出す。
「王化!鬼王!剛鬼!」
 紫鬼が王化し、右腕にしたバングルにはまる王玉から赤紫色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると額に2本の角を持つ鬼を象った兜に赤紫色の王鎧を身に着けた鬼王形態となり駆け出す。
「王化。聖王!」
 緑鳥が王化し、額に輝くサークレットにはまる緑色の王玉から緑色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると鳥をイメージさせる兜に緑色の王鎧を身に着けた聖王形態となる。
 最後に俺も王化する。
「任せたぞ。ヨル!」
『あぁ。ワシに全部任せておけ。』
「王化!夜王!!」
 ヨルが俺の体の中に入り、左耳のピアスにはまる王玉から真っ黒な煙を吐き出しその身に纏う。
 その後煙が晴れると猫を思わせる兜に真っ黒な全身鎧、王鎧を身に着けた夜王形態となる。
 俺は体の制御権を手放した。
 ヨルは影収納から主力武器である黒刃・右月と黒刃・左月を取り出すと皆に合わせて駆け出す

 家屋からは続々と5m超えの巨人達が姿を現す。
 その数40体弱。
 中には8m近い巨大な巨人もいる。

 俺達と巨人族の戦いが始まった。
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