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44話 仲間の絆と試練の予感

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月曜日の朝、教室に入った太郎は、すでに花子と美咲が楽しそうに話している姿を目にした。二人の笑顔を見て、太郎の胸に温かいものが広がる。

「おはよう」太郎が声をかける。

「あ、太郎!おはよう!」花子が明るく答える。

「おはよう、鳴海くん」美咲も優しく微笑む。

「ねえねえ、土曜日のカラオケ、楽しかったよね!」

太郎は頷きながら答える。「うん、本当に楽しかった」

美咲も小さな声で同意する。「私も...楽しかったです」

「やっぱり三人で出かけるのって最高だよね!」花子が目を輝かせながら言う。「次はどこに行こうか?」

太郎が考え込む。「次は映画とか見に行く?」

「あ、それいいね!」花子が飛びつくように答える。

美咲も少し興奮気味に言う。「私見たい映画があって」

三人で盛り上がっていると、突然背後から声がした。

「おーい、お前ら最近仲良すぎだろ」

振り返ると、健太がニヤニヤしながら立っていた。

「健太、おはよう」太郎が挨拶する。

健太は意地悪そうな笑みを浮かべながら近づいてくる。「なんだよ、内緒で遊びに行ってたのか?」

「別に内緒じゃないよ」花子が答える。「ただ、三人でいるのが楽しいだけ」

健太は少し複雑な表情を見せる。「へぇ...そっか」

その言葉の裏には、単純な羨望ではない何かが隠されていた。健太の目には、三人の関係を見守る友人としての心配が浮かんでいる。

(大丈夫なのかな、この三人...)

健太は太郎、花子、美咲の顔を順番に見た。確かに楽しそうだが、どこか不自然さも感じる。三人の間で微妙なバランスが保たれているように見えて、実は誰もが本心を隠しているようにも見えた。

『お前ら、そのままでいいのか?』健太は言いかけて、すぐに言葉を飲み込んだ。

代わりに、軽い調子で言った。「まあ、楽しけりゃいいんじゃねーの」

花子は健太の本意を察したのか、少し考え込むような表情を見せた後、急に明るい声で言う。「あ、そうだ!今度は健太も一緒に行こうよ!」

健太は少し驚いた様子で答える。「え?俺も一緒でいいの?」

花子が笑顔で言う。「もちろん!健太も友達でしょ!」

太郎も頷く。「そうだな。健太も来いよ」

美咲も小さく頷いた。

健太は一瞬躊躇したが、結局は笑顔で答えた。「じゃあ、遠慮なく混ぜてもらうぜ!」

四人で談笑していると、突然美咲が小さな声で言った。

「でも...もうすぐテストだよね」

その言葉に、みんなの表情が凍りついた。

太郎が頷く。「そうだな。最後の息抜きが終わったし、そろそろ勉強しないとな」

健太も渋い顔をする。「くそ...忘れさせてくれ」

花子だけが必死に明るさを保とうとする。「え?まだ大丈夫でしょ?まだ時間あるし...」

しかし、太郎は真剣な顔で言う。「花子が最後の息抜きにって言ったんだろ。終わったんだし次は勉強だよ」

美咲も頷く。「私も勉強しないと」

健太も観念したように言う。「まあ、俺も勉強するか」

花子は徐々に小さくなっていく。「そっか...」

太郎は花子の落胆した様子を見て、優しく言う。「でも、テスト終わったら夏休みだし、また遊びに行こう」

花子の顔が少し明るくなる。「夏休み!よしっ、やる気出た」

その時、チャイムが鳴った。

「じゃあ、今日から本気で勉強だな」太郎が言う。

みんなが頷く中、花子だけがしぶしぶと「はーい」と答えた。

授業が始まり、みんなは教科書を開く。太郎は時折、花子と美咲の方を見る。二人とも真剣な表情で授業を聞いている。

(テスト、頑張らないとな)

太郎はそう思いながら、黒板に集中した。しかし、その心の奥底では、テスト後の約束が楽しみでしょうがなかった。

休み時間、太郎は花子と美咲に声をかけた。

「喫茶店かどっかで勉強しない?」

花子は少し驚いた様子で答える。「え?太郎から誘うなんて珍しい」

美咲は嬉しそうに頷く。「私、行きます」

「俺も行くぜ」健太も加わる。

花子はため息をつきながらも、「しょうがないなぁ...行く行く」と答えた。

こうして、四人で放課後の勉強会が決まった。テスト勉強という試練が待っているが、それを乗り越えた先には楽しい約束が待っている。

勉強と友情、そして恋愛、。様々な思いが重なる。しかし、太郎にはなぜか全てを乗り越えられる気がしていた。

窓の外では、初夏の陽光が校庭を明るく照らしていた。太郎の青春は、また新たな1ページを刻もうとしていた。テストという試練を越えて、彼らの関係はどう変化していくのか。ただ、この瞬間が彼らにとってかけがえのないものになることは、間違いなかった。
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