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13話 青春の号砲

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真夏の太陽が照りつける中、2年3組の教室には熱気が満ちていた。

今日は、毎年恒例の体育祭の実行委員を決める日。

「えー、それでは体育祭実行委員の立候補を募ります」

担任の山田先生の声が教室に響く。しかし、誰も手を挙げる気配はない。みな、互いの顔を見合わせるばかりだ。

その時、

「はーい!私が立候補します!」

明るい声が教室に響き渡った。生徒たちが一斉に振り向く。

そこには、満面の笑みを浮かべた結城花子の姿があった。

「おっ、結城か。よし、他には...」

山田先生が言いかけたその時、

「あ、それと...」

花子は突然、隣の席の太郎の腕を掴んだ。

「太郎も立候補します!」

「えっ!?」

思わぬ展開に、太郎は驚いて声を上げた。教室中の視線が一斉に彼に集まる。

「お、おい、花子...」

太郎が小声で制止しようとするが、

「太郎なら絶対いい仕事するよ!ねえ、みんなもそう思うでしょ?」

花子の声に、クラスメイトたちも次々と賛同の声を上げ始める。

「そうだね、鳴海くんなら安心だよ」
「実行委員、頑張ってよ!」

周りの声に押され、太郎はなすすべもなく立たされてしまった。

「よーし、決まりだな」

山田先生が満足げに頷く。

「鳴海と結城、よろしく頼むぞ」

こうして、図らずも太郎は花子とともに体育祭実行委員になってしまったのだった。

放課後、太郎は複雑な表情で花子を見つめていた。

「もう、なんで勝手に決めるんだよ...」

花子は申し訳なさそうな顔を見せつつも、どこか楽しそうだ。

「ごめんごめん。でもさ、太郎と一緒に頑張りたいなって思って...」

その言葉に、太郎の心臓が小さく跳ねる。

「一緒に...か」

太郎は思わず呟いた。花子と二人で何かを成し遂げる。そう考えると、なんだかワクワクしてくる。

「そっか...まあ、仕方ないか」

太郎が諦めたように言うと、花子は嬉しそうに飛び跳ねた。

「やったー!太郎、ありがとう!」

思わず花子に抱きつかれ、太郎は顔を真っ赤にする。

「お、おい...」

その時、教室の入り口から人影が見えた。

「あら...邪魔しちゃった?」

振り向くと、そこには少し寂しそうな表情の美咲が立っていた。

「か、神崎...」

太郎は慌てて花子から離れる。

「ち、違うんだ。これは...」

「うん、わかってる」

美咲は優しく微笑む。でも、その目には何か複雑な感情が宿っているように見えた。

「二人とも、実行委員頑張ってね」

そう言って、美咲は踵を返して去っていった。

「美咲...」

花子が小さく呟く。彼女の胸にも、何か複雑な思いが去来しているようだった。

一瞬の沈黙の後、

「よーし!」

花子が急に元気を取り戻したように声を上げる。

「私たち、きっと最高の体育祭にしようね!」

その言葉に、太郎も笑顔を取り戻した。

「ああ、頑張ろう」

夕暮れの教室に、二人の力強い声が響く。

これから始まる体育祭の準備。それは、きっと三人の関係にも何かの変化をもたらすに違いない。

太郎は、これから起こるであろう様々な出来事に、期待と不安を抱きながら、花子と共に歩み出すのだった。

夕日に照らされた校舎に、新たな青春の1ページが刻まれようとしていた。
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