24 / 46
第24話 美優紀の異変
しおりを挟む
冴木陽斗は、学校へ向かう途中に隣のクラスの佐藤和也を見かけた。
「おはよう、佐藤。元気?」陽斗が声をかけると、和也は疲れた表情で振り返った。
「おー、冴木おはよう。最近部活でしんどくてさ。」
「そうなんだ、それじゃ配信とかも追えてないの?」
「そうだな。元々すごく見るわけじゃないし、最近は部活で余計見れてないな。」
「そっか。V友達出来たって喜んでたんだけど。」
「まぁ嫌いじゃないし、余裕あったらまた見てみるわ。」
と、陽斗は和也と話をしながら学校へ向かった。その途中、美優紀と真由、夏美が3人で登校しているのを見かける。
「あの3人、マジでかわいいよな。話すきっかけとか欲しい。」と和也が言う。
「そうだね、そっちのクラスでも話題にあがる?」
「そりゃ、学年でトップクラスの3人が集まってるわけだし話題には出るっしょ。」
和也の話を聞き、美優紀を含む3人の人気を改めて陽斗は実感する。
朝からそんな話をしていたからか、陽斗は美優紀の様子に気付いた。いつも優等生でしっかりしている彼女が、教科書を忘れ走って取りに行ってたり、先生の問いに答えられなかった。
「大森さん、大丈夫かな…。」陽斗は心の中でつぶやいた。
お昼休み、陽斗は中村亮太と一緒に昼食を食べていた。食べ終わった陽斗はトイレに行くために廊下へ出た。その時、教室に入ろうとする美優紀とぶつかりそうになる。
「わっ、ごめん!大丈夫?」陽斗が慌てて言うと、美優紀は軽く笑って答えた。
「こっちこそごめん、ちゃんと前見てなかった。」
二人が謝り合うと、陽斗はそのままトイレに向かった。戻ってくると、亮太が興味津々に尋ねた。
「さっき、大森さんとなんかあった?」
「あぁ、ちょっとぶつかりそうになっちゃって。」
「そうなんだ。なんか今日、大森さんおかしくない?」
「亮太もそう思う?さっきも教科書取りに走ってたし、何かおかしいよね。」
「まぁ、そんな日もあるか。」
二人が話をしているうちにお昼休みが終わり、午後の授業が始まった。陽斗は美優紀の様子が気になりながらも、授業に集中しようと努めた。
授業が終わり、亮太が陽斗に尋ねる。
「陽斗、今日は放課後どうする?」
「うーん、特に予定ないけど。亮太は?」
「あのさ、ココゼリアの虹ライブコラボ、もうすぐ終わりだろ?最後のチャンスで食べに行かないか?」
「いいね!今日でサクラちゃん当てよう。」
二人は笑顔でココゼリアへ向かうことにした。再びの挑戦に胸を躍らせながら、学校を後にした。
店に入ると、前回同様、虹ライブのキャラクターたちが描かれたポスターや装飾が目に入り、二人のテンションは一気に上がった。
「今日こそ、サクラちゃんを当てるぞ!」亮太が意気込んで言った。
「そうだね。スペシャルコラボセット、頼もうか。」
二人はテーブルに備え付けてあるタブレットから、前回と同じスペシャルコラボセットを注文した。タブレットから流れるサクラのボイスが、二人のテンションをさらに上げた。
「スペシャルコラボセットを頼んでくれてありがとう!これからも虹ライブをよろしくね!」サクラの声が流れると、二人は顔を見合わせてにやりと笑った。
「やっぱこの声だけでテンション上がるな!」
「本当だよ。声が聞けただけでも来た甲斐があるよ。」
しばらくして、料理が運ばれてきた。クリアファイルを気にしつつもまずは温かいうちに料理を食べる。
食べ終わると、いよいよ楽しみにしていたクリアファイルの開封タイムがやってきた。二人はドキドキしながらクリアファイルを一枚ずつ取り出した。
「さあ、どれが出るかな…」
亮太がまず一枚目を開封すると、なんとそこにはサクラのクリアファイルが入っていた。
「やった!サクラちゃんが出た!」
陽斗も驚きながら喜びの声を上げた。「すごい!サクラちゃん出たね!」
亮太はクリアファイルを手に取り、笑顔で陽斗に見せ、少し悩んだ後、ニヤリと笑って提案した。「二人で来たんだし、じゃんけんで決めよう。」
「いいの?じゃあ勝負!」
二人はテーブルの上で向かい合い、緊張の一瞬が訪れた。
「じゃんけん…ポン!」
結果は、亮太が勝利した。亮太は嬉しそうにサクラのクリアファイルを手に取り、大事そうに抱えた。
「やった!サクラちゃんゲット!」
陽斗も悔しさよりも友達が喜んでいる姿を見て嬉しく思った。「おめでとう、亮太。次は俺も当てるぞ。」
「ありがとう、陽斗。次は陽斗が当てる番だよ。」
その後、陽斗は切り抜きチャンネルついて話した。
「実はさ、最近チャンネルの登録者数が21人になったんだ。最高再生回数が596回で、動画もまだ9本しか上げてないんだよね。」
亮太はその数字を聞いて「最初はそんなもんじゃない?継続して上げていけば、きっと増えるよ。」
陽斗は微笑みながらも少し悩んだ表情を浮かべた。「ソラちゃんを応援したい気持ちは変わらないんだけど、自分が切り抜きをしていて本当にソラちゃんの力になれているのか、時々疑問に思うんだ。ただ、自分ができることはコメントで配信を盛り上げることと、切り抜き動画をアップすることくらいしかないし。」
亮太は陽斗の背中を軽く叩いて励ました。「でもさ、まだ10本も上げてないんだし、継続は力なりだよ。これからこれからだよ。」
陽斗はその言葉に少し安心し、頷いた。「うん、そうだよね。続けることが大事だよね。」
そんな会話をして二人は店を出る。
「ココゼリアのコラボもこれで最後だけど、本当に楽しかったね。」
「うん、またこういうイベントがあったら絶対行こうな。」
「もちろん!次はどんなコラボが来るか楽しみだね。」
二人は笑顔で別れ、それぞれの家へ帰った。陽斗は家に帰ると、サクラのクリアファイルを手に入れた友達の喜びを思い出しながら、次の挑戦に向けて意欲を燃やした。
「次こそは俺が当てるぞ…!」心の中でそう誓いながら、陽斗はその日を締めくくった。
「おはよう、佐藤。元気?」陽斗が声をかけると、和也は疲れた表情で振り返った。
「おー、冴木おはよう。最近部活でしんどくてさ。」
「そうなんだ、それじゃ配信とかも追えてないの?」
「そうだな。元々すごく見るわけじゃないし、最近は部活で余計見れてないな。」
「そっか。V友達出来たって喜んでたんだけど。」
「まぁ嫌いじゃないし、余裕あったらまた見てみるわ。」
と、陽斗は和也と話をしながら学校へ向かった。その途中、美優紀と真由、夏美が3人で登校しているのを見かける。
「あの3人、マジでかわいいよな。話すきっかけとか欲しい。」と和也が言う。
「そうだね、そっちのクラスでも話題にあがる?」
「そりゃ、学年でトップクラスの3人が集まってるわけだし話題には出るっしょ。」
和也の話を聞き、美優紀を含む3人の人気を改めて陽斗は実感する。
朝からそんな話をしていたからか、陽斗は美優紀の様子に気付いた。いつも優等生でしっかりしている彼女が、教科書を忘れ走って取りに行ってたり、先生の問いに答えられなかった。
「大森さん、大丈夫かな…。」陽斗は心の中でつぶやいた。
お昼休み、陽斗は中村亮太と一緒に昼食を食べていた。食べ終わった陽斗はトイレに行くために廊下へ出た。その時、教室に入ろうとする美優紀とぶつかりそうになる。
「わっ、ごめん!大丈夫?」陽斗が慌てて言うと、美優紀は軽く笑って答えた。
「こっちこそごめん、ちゃんと前見てなかった。」
二人が謝り合うと、陽斗はそのままトイレに向かった。戻ってくると、亮太が興味津々に尋ねた。
「さっき、大森さんとなんかあった?」
「あぁ、ちょっとぶつかりそうになっちゃって。」
「そうなんだ。なんか今日、大森さんおかしくない?」
「亮太もそう思う?さっきも教科書取りに走ってたし、何かおかしいよね。」
「まぁ、そんな日もあるか。」
二人が話をしているうちにお昼休みが終わり、午後の授業が始まった。陽斗は美優紀の様子が気になりながらも、授業に集中しようと努めた。
授業が終わり、亮太が陽斗に尋ねる。
「陽斗、今日は放課後どうする?」
「うーん、特に予定ないけど。亮太は?」
「あのさ、ココゼリアの虹ライブコラボ、もうすぐ終わりだろ?最後のチャンスで食べに行かないか?」
「いいね!今日でサクラちゃん当てよう。」
二人は笑顔でココゼリアへ向かうことにした。再びの挑戦に胸を躍らせながら、学校を後にした。
店に入ると、前回同様、虹ライブのキャラクターたちが描かれたポスターや装飾が目に入り、二人のテンションは一気に上がった。
「今日こそ、サクラちゃんを当てるぞ!」亮太が意気込んで言った。
「そうだね。スペシャルコラボセット、頼もうか。」
二人はテーブルに備え付けてあるタブレットから、前回と同じスペシャルコラボセットを注文した。タブレットから流れるサクラのボイスが、二人のテンションをさらに上げた。
「スペシャルコラボセットを頼んでくれてありがとう!これからも虹ライブをよろしくね!」サクラの声が流れると、二人は顔を見合わせてにやりと笑った。
「やっぱこの声だけでテンション上がるな!」
「本当だよ。声が聞けただけでも来た甲斐があるよ。」
しばらくして、料理が運ばれてきた。クリアファイルを気にしつつもまずは温かいうちに料理を食べる。
食べ終わると、いよいよ楽しみにしていたクリアファイルの開封タイムがやってきた。二人はドキドキしながらクリアファイルを一枚ずつ取り出した。
「さあ、どれが出るかな…」
亮太がまず一枚目を開封すると、なんとそこにはサクラのクリアファイルが入っていた。
「やった!サクラちゃんが出た!」
陽斗も驚きながら喜びの声を上げた。「すごい!サクラちゃん出たね!」
亮太はクリアファイルを手に取り、笑顔で陽斗に見せ、少し悩んだ後、ニヤリと笑って提案した。「二人で来たんだし、じゃんけんで決めよう。」
「いいの?じゃあ勝負!」
二人はテーブルの上で向かい合い、緊張の一瞬が訪れた。
「じゃんけん…ポン!」
結果は、亮太が勝利した。亮太は嬉しそうにサクラのクリアファイルを手に取り、大事そうに抱えた。
「やった!サクラちゃんゲット!」
陽斗も悔しさよりも友達が喜んでいる姿を見て嬉しく思った。「おめでとう、亮太。次は俺も当てるぞ。」
「ありがとう、陽斗。次は陽斗が当てる番だよ。」
その後、陽斗は切り抜きチャンネルついて話した。
「実はさ、最近チャンネルの登録者数が21人になったんだ。最高再生回数が596回で、動画もまだ9本しか上げてないんだよね。」
亮太はその数字を聞いて「最初はそんなもんじゃない?継続して上げていけば、きっと増えるよ。」
陽斗は微笑みながらも少し悩んだ表情を浮かべた。「ソラちゃんを応援したい気持ちは変わらないんだけど、自分が切り抜きをしていて本当にソラちゃんの力になれているのか、時々疑問に思うんだ。ただ、自分ができることはコメントで配信を盛り上げることと、切り抜き動画をアップすることくらいしかないし。」
亮太は陽斗の背中を軽く叩いて励ました。「でもさ、まだ10本も上げてないんだし、継続は力なりだよ。これからこれからだよ。」
陽斗はその言葉に少し安心し、頷いた。「うん、そうだよね。続けることが大事だよね。」
そんな会話をして二人は店を出る。
「ココゼリアのコラボもこれで最後だけど、本当に楽しかったね。」
「うん、またこういうイベントがあったら絶対行こうな。」
「もちろん!次はどんなコラボが来るか楽しみだね。」
二人は笑顔で別れ、それぞれの家へ帰った。陽斗は家に帰ると、サクラのクリアファイルを手に入れた友達の喜びを思い出しながら、次の挑戦に向けて意欲を燃やした。
「次こそは俺が当てるぞ…!」心の中でそう誓いながら、陽斗はその日を締めくくった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!
佐々木雄太
青春
四月——
新たに高校生になった有村敦也。
二つ隣町の高校に通う事になったのだが、
そこでは、予想外の出来事が起こった。
本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。
長女・唯【ゆい】
次女・里菜【りな】
三女・咲弥【さや】
この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、
高校デビューするはずだった、初日。
敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。
カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
推しのVTuberが転校してきた!けど学校で陰キャぼっちな俺が仲良くできるわけがない……と思っていたらなぜか俺が1番話しかけられている件。
電脳ピエロ
恋愛
推しのVTuberが転校してきた!けど学校で陰キャぼっちな俺が仲良くできるわけがない……と思っていたら、なぜか俺が1番話しかけられている件。しかも配信中に俺との出来事をデレデレになって話すのですが
ある日、乃木川 慧人のクラスに転校生、南条 美玲奈がやってきた。
慧人はすぐに美玲奈の正体が、推しVTuberの北条 レイナであることに気が付く。
そのことに心底喜ぶ慧人だったが、同時に絶望する。
学校で陰キャぼっちな自分が、転校生の女子と仲良くなれるわけがない。それどころか、普段はVTuberをバカにしている陽キャたちが美玲奈に話しかけていく。
しかし、なぜか気が付くと美玲奈は慧人にばかり話しかけてきていて……。
一方で陽キャ男子たちは性格最悪な本性が露見して嫌われています。
しかも、彼女は慧人が自分のリスナーだとは知らず、配信中に彼との出来事を毎日のようにデレデレになって話してくる!
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
放課後、理科棟にて。
禄田さつ
青春
寂れた田舎の北町にある北中学校には、都市伝説が1つ存在する。それは、「夜の理科棟に行くと、幽霊たちと楽しく話すことができる。ずっと一緒にいると、いずれ飲み込まれてしまう」という噂。
斜に構えている中学2年生の有沢和葉は、友人関係や家族関係で鬱屈した感情を抱えていた。噂を耳にし、何となく理科棟へ行くと、そこには少年少女や単眼の乳児がいたのだった。
亡き少女のためのベルガマスク
二階堂シア
青春
春若 杏梨(はるわか あんり)は聖ヴェリーヌ高等学校音楽科ピアノ専攻の1年生。
彼女はある日を境に、人前でピアノが弾けなくなってしまった。
風紀の厳しい高校で、髪を金色に染めて校則を破る杏梨は、クラスでも浮いている存在だ。
何度注意しても全く聞き入れる様子のない杏梨に業を煮やした教師は、彼女に『一ヶ月礼拝堂で祈りを捧げる』よう反省を促す。
仕方なく訪れた礼拝堂の告解室には、謎の男がいて……?
互いに顔は見ずに会話を交わすだけの、一ヶ月限定の不思議な関係が始まる。
これは、彼女の『再生』と彼の『贖罪』の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる