23 / 46
第23話 DM
しおりを挟む
ある日、美優紀のもとに虹ライブ9期生の天音カレンからDMが届いた。カレンは、歌ってみた系の動画を多く出しており、箱外コラボも積極的に行うライバーで、登録者数は12万人を超えている。
「こんにちは、星野さん。はじめまして、天音カレンといいます。突然のDM失礼します。もしよければ一緒に歌ってみたを出しませんか?」と、カレンからのメッセージが表示されていた。
美優紀は目を見開き、驚きと興奮を隠せなかった。
「天音カレンさんからDMが…!?え、本当に…?」
心臓がドキドキと高鳴る。星野ソラとして活動してきた中で、他のライバーからのDMは初めてだった。
「ぜひ、やりたいです!よろしくお願いします!」と美優紀はすぐに返事を送り、詳細を詰めるために連絡を取り合い始めた。
「本当に、嘘じゃないよね。公式マークもついてるし…」
DMをもらった日、美優紀はその興奮と驚きから頭がいっぱいだった。
その興奮が収まらないまま次の授業を迎える。次の授業は化学で、教室を移動するため席を立ったが、ノートと筆記用具だけを持ち教科書を忘れてしまった。
教室を移動してから、教科書がないことに気づいた。
「あれ、教科書がない…」
友達の真由が心配そうに声をかけた。「どうしたの、美優紀?教科書忘れたの?」
「うん…取りに戻らなきゃ。」
美優紀は急いで元の教室に戻り、教科書を取ってきた。戻る途中もカレンからのDMが頭から離れず、ぼんやりしてしまっていた。
その次の授業は国語だったが、美優紀の頭の中はまだカレンとのコラボのことでいっぱいだった。授業中、先生が質問を投げかけた時、美優紀はぼんやりと窓の外を見つめていた。
「大森さん、これについてどう思いますか?」
美優紀は一瞬現実に引き戻されたが、何も答えられずに口をパクパクさせるだけだった。クラスメイトたちが見つめる中、先生は優しくもう一度質問を繰り返した。
「もう一度聞きますね。物語のテーマについて、どう考えますか?」
美優紀は焦りながらも、何とか答えようとしたが、頭が混乱して上手く答えられなかった。
「えっと…その…」
真由がこっそり助け舟を出してくれたが、美優紀はそれすらも聞き取れず、先生が次の生徒に質問を変えた。
その日の授業が終わる頃には、美優紀はようやく少し落ち着きを取り戻していた。だが、カレンからのDMが頭を離れないことには変わりなかった。
数日後、美優紀とカレンはボイスチャットで打ち合わせをすることになった。
「星野さん、初めまして。天音カレンです。お時間を取っていただき、ありがとうございます!」
「こちらこそ、お声かけいただいてありがとうございます!私で大丈夫ですか?」
「もちろんです!星野さんの歌、前から素敵だと思っていて、ぜひ一緒にやりたいと思っていたんです。」
カレンの温かい言葉に、美優紀は少し照れながらも嬉しさを感じた。
「今回は『わたしの最高に可愛いところ』という曲を歌いたいと思っています。これはアイドルグループが歌っている曲で、可愛らしい感じが星野さんにぴったりだと思うんですがご存じですか?」
「いい曲ですよね!私もこの曲、大好きです。」
「よかった。知らない曲だったら一から覚えてもらわないとだったので知っててくれて安心しました。今回の企画は絡みのない個人勢のライバーさんと一緒に歌おうという企画でして、後数名、個人勢のライバーさんに声をかけさせていただいてます。」
「そうなんですね!全然大丈夫です。コラボ自体初めてなのでご迷惑をおかけするかもしれませんが、一生懸命がんばります。よろしくお願いします。」
「あまり緊張しなくても大丈夫ですよ。みんなでそれぞれのパートを歌う形にしようと思っています。最終的な編集は、私が依頼している業者さんが仕上げてくれるので、星野さんは歌うだけで大丈夫ですよ。」
「わかりました!精一杯歌わせていただきます。」
美優紀は後日、カレンから送られてきた音源と歌詞をもとに、自分のパートの練習を始めた。練習中、彼女はカレンや他のライバーたちとのコラボに対する期待と不安を感じながらも、持ち前の集中力で歌い込んでいった。
「コラボで有名なライバーさんと一緒に歌えるなんて、本当に嬉しい…。絶対に良い作品にするぞ!」
美優紀は何度も何度も練習を繰り返し、完璧なパフォーマンスを目指した。学校への通学や自宅でも曲を聴いて自分の物にしようと努力をし、期限に余裕をもって収録を終えた。
「これでいいかな…。頑張ったから、大丈夫だよね。」
録音を終えた美優紀は、音源をカレンに送信し、仕上がりを楽しみに待った。
そして、ついに完成しカレンから動画が送られてきた。
「星野さん、ありがとうございました。みなさんのご協力ですばらしい動画が出来上がりました。また機会があれば、歌ってみた以外でも何か一緒にやりましょう。」
動画を見てみると流石はプロといった仕上がりで美優紀は感動した。歌のMIXからイラスト、細部にまでこだわり作成されており、素人ではマネのできないレベルのクオリティーだった。
「こちらこそありがとうございました。コラボに参加させていただけてすごく嬉しかったです。そして素敵な企画と動画ありがとうございました!またぜひよろしくお願いします。」
カレンとの連絡を終えた美優紀は何度も何度も動画を見直し表情を緩める。
「早くファンのみんなにこの動画みてもらいたいな。」
カレンとの初めてのコラボを果たしたことで、美優紀の心には新たな自信と意欲が芽生えた。彼女は、これからも自分のペースで星野ソラとしての活動を続け、多くのファンに喜んでもらえるよう努力を惜しまないと誓った
「こんにちは、星野さん。はじめまして、天音カレンといいます。突然のDM失礼します。もしよければ一緒に歌ってみたを出しませんか?」と、カレンからのメッセージが表示されていた。
美優紀は目を見開き、驚きと興奮を隠せなかった。
「天音カレンさんからDMが…!?え、本当に…?」
心臓がドキドキと高鳴る。星野ソラとして活動してきた中で、他のライバーからのDMは初めてだった。
「ぜひ、やりたいです!よろしくお願いします!」と美優紀はすぐに返事を送り、詳細を詰めるために連絡を取り合い始めた。
「本当に、嘘じゃないよね。公式マークもついてるし…」
DMをもらった日、美優紀はその興奮と驚きから頭がいっぱいだった。
その興奮が収まらないまま次の授業を迎える。次の授業は化学で、教室を移動するため席を立ったが、ノートと筆記用具だけを持ち教科書を忘れてしまった。
教室を移動してから、教科書がないことに気づいた。
「あれ、教科書がない…」
友達の真由が心配そうに声をかけた。「どうしたの、美優紀?教科書忘れたの?」
「うん…取りに戻らなきゃ。」
美優紀は急いで元の教室に戻り、教科書を取ってきた。戻る途中もカレンからのDMが頭から離れず、ぼんやりしてしまっていた。
その次の授業は国語だったが、美優紀の頭の中はまだカレンとのコラボのことでいっぱいだった。授業中、先生が質問を投げかけた時、美優紀はぼんやりと窓の外を見つめていた。
「大森さん、これについてどう思いますか?」
美優紀は一瞬現実に引き戻されたが、何も答えられずに口をパクパクさせるだけだった。クラスメイトたちが見つめる中、先生は優しくもう一度質問を繰り返した。
「もう一度聞きますね。物語のテーマについて、どう考えますか?」
美優紀は焦りながらも、何とか答えようとしたが、頭が混乱して上手く答えられなかった。
「えっと…その…」
真由がこっそり助け舟を出してくれたが、美優紀はそれすらも聞き取れず、先生が次の生徒に質問を変えた。
その日の授業が終わる頃には、美優紀はようやく少し落ち着きを取り戻していた。だが、カレンからのDMが頭を離れないことには変わりなかった。
数日後、美優紀とカレンはボイスチャットで打ち合わせをすることになった。
「星野さん、初めまして。天音カレンです。お時間を取っていただき、ありがとうございます!」
「こちらこそ、お声かけいただいてありがとうございます!私で大丈夫ですか?」
「もちろんです!星野さんの歌、前から素敵だと思っていて、ぜひ一緒にやりたいと思っていたんです。」
カレンの温かい言葉に、美優紀は少し照れながらも嬉しさを感じた。
「今回は『わたしの最高に可愛いところ』という曲を歌いたいと思っています。これはアイドルグループが歌っている曲で、可愛らしい感じが星野さんにぴったりだと思うんですがご存じですか?」
「いい曲ですよね!私もこの曲、大好きです。」
「よかった。知らない曲だったら一から覚えてもらわないとだったので知っててくれて安心しました。今回の企画は絡みのない個人勢のライバーさんと一緒に歌おうという企画でして、後数名、個人勢のライバーさんに声をかけさせていただいてます。」
「そうなんですね!全然大丈夫です。コラボ自体初めてなのでご迷惑をおかけするかもしれませんが、一生懸命がんばります。よろしくお願いします。」
「あまり緊張しなくても大丈夫ですよ。みんなでそれぞれのパートを歌う形にしようと思っています。最終的な編集は、私が依頼している業者さんが仕上げてくれるので、星野さんは歌うだけで大丈夫ですよ。」
「わかりました!精一杯歌わせていただきます。」
美優紀は後日、カレンから送られてきた音源と歌詞をもとに、自分のパートの練習を始めた。練習中、彼女はカレンや他のライバーたちとのコラボに対する期待と不安を感じながらも、持ち前の集中力で歌い込んでいった。
「コラボで有名なライバーさんと一緒に歌えるなんて、本当に嬉しい…。絶対に良い作品にするぞ!」
美優紀は何度も何度も練習を繰り返し、完璧なパフォーマンスを目指した。学校への通学や自宅でも曲を聴いて自分の物にしようと努力をし、期限に余裕をもって収録を終えた。
「これでいいかな…。頑張ったから、大丈夫だよね。」
録音を終えた美優紀は、音源をカレンに送信し、仕上がりを楽しみに待った。
そして、ついに完成しカレンから動画が送られてきた。
「星野さん、ありがとうございました。みなさんのご協力ですばらしい動画が出来上がりました。また機会があれば、歌ってみた以外でも何か一緒にやりましょう。」
動画を見てみると流石はプロといった仕上がりで美優紀は感動した。歌のMIXからイラスト、細部にまでこだわり作成されており、素人ではマネのできないレベルのクオリティーだった。
「こちらこそありがとうございました。コラボに参加させていただけてすごく嬉しかったです。そして素敵な企画と動画ありがとうございました!またぜひよろしくお願いします。」
カレンとの連絡を終えた美優紀は何度も何度も動画を見直し表情を緩める。
「早くファンのみんなにこの動画みてもらいたいな。」
カレンとの初めてのコラボを果たしたことで、美優紀の心には新たな自信と意欲が芽生えた。彼女は、これからも自分のペースで星野ソラとしての活動を続け、多くのファンに喜んでもらえるよう努力を惜しまないと誓った
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!
佐々木雄太
青春
四月——
新たに高校生になった有村敦也。
二つ隣町の高校に通う事になったのだが、
そこでは、予想外の出来事が起こった。
本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。
長女・唯【ゆい】
次女・里菜【りな】
三女・咲弥【さや】
この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、
高校デビューするはずだった、初日。
敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。
カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!
不撓導舟の独善
縞田
青春
志操学園高等学校――生徒会。その生徒会は様々な役割を担っている。学校行事の運営、部活の手伝い、生徒の悩み相談まで、多岐にわたる。
現生徒会長の不撓導舟はあることに悩まされていた。
その悩みとは、生徒会役員が一向に増えないこと。
放課後の生徒会室で、頼まれた仕事をしている不撓のもとに、一人の女子生徒が現れる。
学校からの頼み事、生徒たちの悩み相談を解決していくラブコメです。
『なろう』にも掲載。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
彼女に思いを伝えるまで
猫茶漬け
青春
主人公の登藤 清(とうどう きよし)が阿部 直人(あべ なおと)に振り回されながら、一目惚れした山城 清美(やましろ きよみ)に告白するまでの高校青春恋愛ストーリー
人物紹介 イラスト/三つ木雛 様
内容更新 2024.11.14
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる