上 下
17 / 46

第17話 新衣装

しおりを挟む

玲愛は満面の笑みで、バッグの中からタブレットを取り出した。

「実はね、登録者1000人おめでとうってことで…ちょっと遅くなっちゃったけど、これを見て!」

玲愛がタブレットの画面を美優紀に向けると、そこにはソラの新しい衣装が映し出されていた。今までのアイドル衣装とは違うテイストの制服姿で、髪型もおろしたパターンが追加されていた。

「玲愛、これ…」

美優紀は感動して声が出なかった。新しい衣装は紺色のブレザーでとても可愛くソラに似合っていた。髪型も今までのツインテールとは違い落ち着いたおろした姿で、髪の色は違えど少し美優紀に似ていた。

「ほんとは記念配信に間に合わせたかったんだけど、忙しくて遅れちゃってごめんね。でも、これからの配信でぜひ使ってほしいな。」

玲愛の言葉に、美優紀は涙ぐみながら感謝の言葉を述べた。

「ありがとう、本当にありがとう。これで、もっとたくさんのソラちゃんを知ってもらえるように頑張るね。」

「そうだね。きっとファンのみんなも喜んでくれるよ。美優紀がんばってるから、私ももっと応援したくなるよ。」

美優紀は泣きそうな表情で玲愛を見つめ、その感謝の気持ちを言葉にした。

「玲愛、あなたがママで本当に良かった。あなたがいなかったら、私はここまで来られなかったよ。」

玲愛は優しく美優紀の手を握り、励ましの言葉を続けた。

「大丈夫、美優紀。あなたはもっともっと成長できる。だから、これからも一緒に頑張ろうね。」

美優紀はその言葉に力をもらい、強く頷いた。彼女は玲愛の存在がどれだけ大きな支えであるかを改めて実感し、次の目標に向かって歩みを進める決意を新たにした。

玲愛は再びタブレットを操作し、美優紀に新しい衣装の詳細を見せた。

「この制服のデザイン、ちょっと大人っぽくしてみたんだ。髪型は美優紀と同じおろしたバージョンで、いつものアイドル衣装とは少し違った雰囲気にしてみたの。どうかな?」

美優紀は目を輝かせながら、新しい衣装の細部を見つめた。

「すごく素敵!こんなに素敵な衣装、早くみんなに見てもらいたいな。」

「歌配信はアイドル衣装でよかったけど、雑談配信とかに毎回アイドル衣装だと映えないかなって思って前から考えてたんだ。ただ、思ったより1000人の記念配信が早くて間に合わなかったよ。でもそれは嬉しい誤算で次の衣装はもっと早く作っとくね!」

「ありがとう!これからどんどん制服着て配信しちゃうね!衣装はもちろん嬉しいけど、無理しないようにね。これからもたくさん衣装作ってほしいし、ママの宣伝もがんばるから。」

「喜んでもらえてよかったよ。美優紀がこれを着て、もっとたくさんの人にソラちゃんを知ってもらえたら嬉しいな。さっき言ってたゲーム配信や同時視聴もこっちの姿ならよさそうだよね。同時視聴とかだと部屋着とかパジャマの方がいいか。創作意欲がわいてきたよ。」

「無理はしないでね。制服姿だけでも十分嬉しいし、この姿でゲーム配信や同時視聴はできるよ」

「もちろんすぐにとは言わないけど、新しい衣装は準備しとくね。」

「これからもソラちゃんとして、たくさんの人に楽しんでもらえるように頑張るよ。玲愛、本当にありがとう。」

玲愛は微笑みながら、美優紀の手を握り、温かい言葉をかけた。

「美優紀ならできるよ。自分を信じて、夢を追いかけていこう。」

二人はその後もカフェでの時間を楽しみながら、お互いの近況やこれからの計画について話し合った。美優紀は玲愛の支えを受けて、星野ソラとしての活動に一層の意欲を燃やしていた。


カフェを出ると、二人は別々の道を歩んだが、心の中ではいつもお互いを応援し合っているという強い絆を感じていた。

美優紀は帰宅後、新しい衣装を着たソラの姿を見ながら、次の配信の準備を始めた。彼女の心には、玲愛の温かい言葉と支えが深く刻まれていた。

「もっと頑張らなくちゃ。みんなに楽しんでもらえるように、ソラちゃんとして精一杯頑張ろう。」

美優紀はその決意を新たにし、星野ソラとしての活動に全力を注ぐことを誓った。彼女の目には、次なる目標に向かって進む強い意志が宿っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

おっぱい揉む?と聞かれたので揉んでみたらよくわからない関係になりました

星宮 嶺
青春
週間、24hジャンル別ランキング最高1位! ボカロカップ9位ありがとうございました! 高校2年生の太郎の青春が、突然加速する! 片想いの美咲、仲の良い女友達の花子、そして謎めいた生徒会長・東雲。 3人の魅力的な女の子たちに囲まれ、太郎の心は翻弄される! 「おっぱい揉む?」という衝撃的な誘いから始まる、 ドキドキの学園生活。 果たして太郎は、運命の相手を見つけ出せるのか? 笑いあり?涙あり?胸キュン必至?の青春ラブコメ、開幕!

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件

木村 サイダー
青春
中学時代のいじめをきっかけに非モテ・ボッチを決め込むようになった高校2年生・御堂雅樹。素人ながら地域や雑誌などを賑わすほどの美しさとスタイルを持ち、成績も優秀で運動神経も発達し、中でもケンカは負け知らずでめっぽう強く学内で男女問わずのモテモテの高校1年生の妹、御堂樹里。親元から離れ二人で学園の近くで同居・・・・というか樹里が雅樹をナチュラル召使的に扱っていたのだが、雅樹に好きな人が現れてから、樹里の心境に変化が起きて行く。雅樹の恋模様は?樹里とは本当に兄妹なのか?美しく解き放たれて、自由になれるというのは本当に良いことだけなのだろうか? ■場所 関西のとある地方都市 ■登場人物 ●御堂雅樹 本作の主人公。身長約百七十六センチと高めの細マッチョ。ボサボサ頭の目隠れ男子。趣味は釣りとエロゲー。スポーツは特にしないが妹と筋トレには励んでいる。 ●御堂樹里 本作のヒロイン。身長百七十センチにIカップのバストを持ち、腹筋はエイトパックに分かれる絶世の美少女。芸能界からのスカウト多数。天性の格闘センスと身体能力でケンカ最強。強烈な人間不信&兄妹コンプレックス。素直ではなく、兄の前で自分はモテまくりアピールをしまくったり、わざと夜に出かけてヤキモチを焼かせている。今回新たな癖に目覚める。 ●田中真理 雅樹の同級生で同じ特進科のクラス。肌質や髪の毛の性質のせいで不細工扱い。『オッペケペーズ』と呼ばれてスクールカースト最下層の女子三人組の一人。持っている素質は美人であると雅樹が見抜く。あまり思慮深くなく、先の先を読まないで行動してしまうところがある。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

姉らぶるっ!!

藍染惣右介兵衛
青春
 俺には二人の容姿端麗な姉がいる。 自慢そうに聞こえただろうか?  それは少しばかり誤解だ。 この二人の姉、どちらも重大な欠陥があるのだ…… 次女の青山花穂は高校二年で生徒会長。 外見上はすべて完璧に見える花穂姉ちゃん…… 「花穂姉ちゃん! 下着でウロウロするのやめろよなっ!」 「んじゃ、裸ならいいってことねっ!」 ▼物語概要 【恋愛感情欠落、解離性健忘というトラウマを抱えながら、姉やヒロインに囲まれて成長していく話です】 47万字以上の大長編になります。(2020年11月現在) 【※不健全ラブコメの注意事項】  この作品は通常のラブコメより下品下劣この上なく、ドン引き、ドシモ、変態、マニアック、陰謀と陰毛渦巻くご都合主義のオンパレードです。  それをウリにして、ギャグなどをミックスした作品です。一話(1部分)1800~3000字と短く、四コマ漫画感覚で手軽に読めます。  全編47万字前後となります。読みごたえも初期より増し、ガッツリ読みたい方にもお勧めです。  また、執筆・原作・草案者が男性と女性両方なので、主人公が男にもかかわらず、男性目線からややずれている部分があります。 【元々、小説家になろうで連載していたものを大幅改訂して連載します】 【なろう版から一部、ストーリー展開と主要キャラの名前が変更になりました】 【2017年4月、本幕が完結しました】 序幕・本幕であらかたの謎が解け、メインヒロインが確定します。 【2018年1月、真幕を開始しました】 ここから読み始めると盛大なネタバレになります(汗)

Vtuberの俺たちは他人同士になったけど、兄妹設定はやめられない。元義妹が今もお兄ちゃんと呼んでくれる件。

羽黒 楓
青春
ーー妹とともに過ごす青春、妹がいなくなった青春ーー 高校二年生の春。武士郎の両親が離婚した。それは四年間一緒に生活してきた義妹が他人になることを意味していた。 別々の家に住むことになった、元義理の兄妹。 同じ学校だけど学年は違う。 二人の人生はもう交わることがなくなるのかもしれないと思った。 同じ日。武士郎は付き合い始めたばかりの彼女をクラスメートに盗られたことを知る。 たった一日で、妹を失い、彼女を失ったのだ。 だけどそれは、始まりだった――。 大人気Vtuber、水面みずほ。それが元義妹の正体。 そして武士郎もその兄という設定で活動していたのだ。 リアルでは他人、ネット上では兄妹。 いびつな関係、リアルではもうかかわらなくなるかと思っていたら――。 元妹は、武士郎の教室へとやってくるのだった。 なぜか彼女ヅラをして。 「先輩、お弁当作ってきました!」 妹だと思ってた子に先輩と呼ばれるなんて背中がむず痒い! そして、その様子を見ていた元カノは恥をかかされたと逆恨み。武士郎の元妹を男に襲わせる計画を立てるのだった……。 恋、友情、そして兄妹愛。 すべてが混じり合っていく青春の1ページ。

処理中です...