切り抜き師の俺、同じクラスに推しのVtuberがいる

星宮　嶺

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第14話　大きな目標（美優紀視点）

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大森美優紀は、自室でパソコンの前に座り、マウスをクリックした。画面に表示されたのは、虹ライブ所属の大人気Vtuber、サクラの300万人達成記念ライブの配信ページ。彼女もまた、このライブを心待ちにしていたファンの一人だった。

「サクラちゃんのライブ、ついに始まる…」

美優紀は心を高ぶらせながら、自分のVtuberアカウントである星野ソラとしての活動を一旦忘れ、一ファンとしてライブを楽しむことにした。部屋の明かりを少し暗くし、ヘッドセットを装着して画面に集中する。

18時、ライブが始まると、暗い闇が会場を包み込み、静寂の中で期待に胸を膨らませる観客たちの様子が映し出された。1万人の観客たちが一斉に息を呑む中、ステージに設置された巨大スクリーンにカウントダウンが表示される。10、9、8…と数えるうちに、観客の興奮はピークに達した。

ゼロの瞬間、光が爆発し、華やかな音楽とともにステージに立つサクラの姿が現れた。彼女の登場に合わせて、会場は歓声で揺れ動く。

「みんな～、集まってくれてありがとう！そして300万人達成3D記念ライブへようこそ！」

サクラの元気な声が響くと、美優紀はその場に引き込まれるような感覚を覚えた。サクラは感謝の言葉を終えると代表曲を披露し、観客たちは光るペンライトを振りながら彼女を応援する。

「すごい…サクラちゃん、本当にすごい…」

美優紀は息を呑みながら、そのパフォーマンスに圧倒された。サクラの声は力強く、同時に優しさを持ち合わせていて、画面越しに見ているオンライン視聴者たちにもその感動が伝わってきた。同時接続者数は瞬く間に10万人を超え、その数字に美優紀は驚愕した。

「同時接続10万人って…すごすぎる…」

曲が終わると、スクリーンには彼女の4年間の活動を振り返る映像が流れた。デビュー当初の初々しい姿、初めてのライブ、そして様々な挑戦を続ける姿が次々と映し出され、観客たちは感動に包まれる。サクラ自身もその映像を見ながら泣きそうな声で、「皆さんのおかげでここまで来られました。本当にありがとうございます」と感謝の言葉を口にする。

「4年間も頑張ってきたんだ…」

美優紀はその映像を見ながら、自分もいつかこんな風にファンに感謝の気持ちを伝えられる日が来ることを夢見た。

次に披露されたのは、ファンからのリクエストが多かった曲だった。この曲は彼女のデビュー1周年記念に発表されたもので、ファンにとっても特別な思い出が詰まっている。観客たちは一体となってペンライトを振り、その光景はまるで一つの大きな家族のようだった。

「私も、こんな風にみんなと一体になりたい…」

ライブは続き、オリジナル曲やカバー曲が次々と披露された。特に盛り上がったのは、彼女が最近リリースした新曲。この曲の間、会場はまるで宇宙にいるかのような幻想的な演出が施され、観客たちはその美しさに酔いしれた。

「オリジナル曲…私も欲しいな…」

美優紀の心には、サクラのように自分のオリジナルソングを持ち、それを披露することへの強い憧れが芽生えた。しかし、現実はそう甘くないことも彼女は理解していた。

（私ももっと頑張らなきゃ…。でも、オリジナルソングを作るには、もっと多くのファンが必要だし、時間もかかる。）

トークコーナーでは、サクラがこれまでの活動を振り返り、思い出深いエピソードを語った。彼女の人柄が滲み出るその語り口に、観客たちは笑い、時には涙を流した。そして、事務所の先輩や後輩から寄せられたメッセージを紹介し、その温かい声援に感謝し、涙を流す。

「サクラちゃん、本当にみんなに愛されてる…」

美優紀はサクラの話を聞きながら、自分もいつかこんな風にファンや仲間たちに囲まれる存在になりたいと強く思った。そして、彼女はコラボレーションの夢も抱いていた。サクラのような大物Vtuberとのコラボは、自分にとって大きな目標であり、夢でもあった。

（いつかサクラちゃんと一緒にコラボできたら…それだけで夢が叶った気分になれるだろうな…）

ライブも終盤に差し掛かり、最後の曲が始まる。この曲は、彼女がデビュー2周年の際にファンへの感謝の気持ちを込めて作ったもので、ファンにとっても彼女自身にとっても特別な曲。歌い終えた後、サクラは深々とお辞儀をし、涙を流しながら震える声で感謝の気持ちを述べた。ついに同時接続者数は20万人を超えた。

「同時接続者数が20万人超えた…信じられない…」

美優紀はその数字に再び驚愕した。サクラの人気と実力の凄さに圧倒されながらも、自分もいつか同じ舞台に立ちたいという思いが強くなった。

「今日ここに集まってくれた皆さん、そしてオンラインで見てくれている皆さん、本当にありがとうございます。皆さんの応援があって、私はここまで来ることができました。次は、400万人記念ライブでお会いしましょう！」

その言葉に会場は再び歓声と拍手の渦に包まれる。観客たちはペンライトを振り、彼女の名前を叫び続けた。サクラはその光景を見つめ、心の中で次の目標に向けて決意を新たにした。

美優紀はライブが終わった後も、その感動に浸り続けていた。サクラのような大規模なライブ、自分のオリジナルソング、多くのファンに囲まれて感謝の気持ちを伝えること。それらすべてが彼女の夢であり、目標だった。

「私も、いつかサクラちゃんのように大きなステージに立ちたい。たくさんのファンに応援されて、自分の歌を届けたい…」

彼女はその思いを胸に、次の配信の準備を進めた。陽斗や他のファンの応援が彼女にとって大きな支えであり、その支えがあるからこそ、彼女は前に進むことができる。

「もっと頑張らなくちゃ…みんなに楽しんでもらえるように、ソラちゃんとして精一杯頑張ろう。」

美優紀はその決意を新たにし、星野ソラとしての活動に全力を注ぐことを誓った。彼女の目には、次なる目標に向かって進む強い意志が宿っていた。

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