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29 その言葉、交差する 中編
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「お、伯父様…? それに、エレナ! よかった、戻ってきたのね!」
思わず私たちは二人の元に駆け寄る。
「おおミリア、無事にエレナと再会できたぞ! 神のお導きということかな、街の入口で偶然見つけてなあ」
「そうだったの! 本当に、神様のおかげかも…。おかえりなさい、お姉様! さっきはどうして走っていっちゃったのよ、私たち、とてもびっくりしたんだから…お姉様!」
「…。ごめんなさい、私…」
まくし立てる私とは反対に、返ってきたのはか細い声だけだった。なんだか、様子がおかしいわ…?
顔を覗き込んでみるけれど、視線が合わない。ボンヤリとして…いえ、まるでこちらの声が聞こえていないよう。エレナの様子にアーサーも不安を隠すことができない。
「どうしたんだい、エレナ。体調がすぐれないのかな…どこか痛む?」
「…」
本当に様子がおかしいわ、何が…。
「おや、ミリアは先に再会していたのか、そうかそうか、それは良かった」
エレナの様子を伯父は特に気にするそぶりもみせず、そのまま手を引いてデイビットの前に進む。
「いやあ、デイビット殿下。突然のことで驚きましたぞ! 兵士まで連れられようとは。ま、何はともあれ、サザントリアへようこそ。ささ、こちらに」
「まったく、次から次へと…」
伯父がデイビットにソファを勧める。また怒鳴りだすんじゃないの、と私は身構えたのだけど、彼は何を答えるでもなくお付きの兵士に数歩下がらせた後、促されるままソファに腰かけた。さっきまであんなに怒りの表情を見せていたのに。
その様子を満足げに確認した後、伯父は笑顔のままあたりを見回し、私やアーサー、デイビット、使用人の顔を一人一人確認するように視線を送り、続いてリッドの顔をみて首をかしげる。
「ええと、誰だねキミは? デイビット殿下の付き人かね? まあいい、まあいいか。いやあ、今日はめでたい! せっかくの時間だ、皆でお茶を楽しもうではないか。ほれ、新しいポットを用意してくれ」
伯父が笑顔で使用人たちに声をかけるけれど、先ほどまでの緊迫した空気の中にいたせいか、皆どうしたらいいのかわからず、あたふたしている。それは私たちも同じだった。
「ちょ、ちょっと待って伯父様! あの、伯父様は今朝領地に戻られたんじゃなかったの…?」
そうだ、伯父は昨日ここに来て、デイビットとは面会できなかったことや、大公様から私たちに婚約の打診があったこと、その勢いでレギウス家を訪問したり…ああ、その目まぐるしさを想像するだけで疲れてしまう。
伯父はなんだか陽気にお茶会をはじめようとしているけど…エレナの様子もおかしいし、私たち、どうしたらいいの…?
でも、そんな状況は無視するかのようにデイビットが口を開いた。
「どういうことだ、伯爵。その女はどうした」
「いやいや、どういうことだとは、こちらのセリフですぞデイビット殿下。こんな突然に押しかけて来られては歓迎の準備がまるでできませぬ」
「まさか貴殿がここにいるとは思わんからな。それに、知らせは飛ばしただろう」
「飛ばしたと言っても、前日に伝令役を走らせたところで、貴方が到着するまで半日もない。こちらにも予定というものがあるのですぞ?」
「あの、伯父様、先ほどから何の話…? 伝令…?」
突然始まった会話の内容を聞いて、頭の中が疑問で埋め尽くされてしまう。
「うむ、部下が走ってくれてな、ここから戻る途中にデイビット殿下がサザントリアに向かっていると知らせを受けたのだ。まったく、何と慌ただしい…。まあ、そのおかげでエレナと再会できたのだから、よく考えれば礼を言わねばなりませんかな? はははははっ」
伝令、って…。
「何だよそれ…」
混乱したのは私だけではない。リッドが詰め寄るようにして矢継ぎ早に続ける。
「アンタ、エレナの伯父だよな? 婚約を取り持ったっていう。どういうことだよ、アンタなんでデイビットと…! これじゃあ…」
「な、何だね急に…、一度落ち着いてくれないか若者よ。何が言いたいのかわからんぞ」
伯父がリッドをなだめるように困り顔で言葉をかけている。
「とりあえずキミも掛けたまえ、会話は少し遅いかなと感じるくらいの間で進める方が理解が早いぞ、お互いな」
「リッドさん、ここは僕が」
「おお、アーサー。いやいや、昨日は突然押しかけて済まなかったね」
アーサーがリッドの肩に手を置き、伯父に視線を向ける。そして感情を抑えるように平坦なリズムと声で伯父に問いかけた。
「いえ、こちらこそ身に余るお話をいただき感謝しております、ランバート伯爵。それで、早速おうかがいしますが…貴方は、こちらのデイビット殿下と頻繁にやり取りをされる間柄なのですか?」
アーサーが真っ直ぐに疑問をぶつける。
「うむ、ここ半年ほど親交を深める機会をいただいておる。エレナの縁談の話があってから特にな」
「そうですか。いま、我々はデイビット殿下の突然の来訪を受けて、エレナと殿下の婚約が破談となったことについて、あの日儀式で何があったのか、確認しようとしていたのです」
「おお、そういうことか! いや、部屋の中が自分と険悪な雰囲気になっていたのでな、ワシも戸惑ったのだよ。そのような事情では仕方あるまい、ははははははっ」
「…。それで、エレナにも是非話を聞きたいと思っていたところなのですが」
「ああ…。まあ、今は難しいのではないか? エレナもずいぶんと疲れている」
「それは、ええ、なんだか様子が…」
「それでな、いや、それよりもだ! これからはワシはエレナとともに領地に戻り、一緒に暮らすことにした。たまにはこちらにも顔を出すこともあろうが、今後ともよろしく頼む。ミリアもアーサーと手を取りあって、しっかり歩んでいくのだぞ」
…え!?
伯父の一言に、呆気に取られる私たち。使用人たちも驚きと戸惑いの声を隠せない。
「ランバート伯爵、突然何を!?」
「伯父様、何を言ってるの!? エレナと一緒に、って、ええ!? 突然どうして? どうしてそんなことを言い出すの伯父様!」
一緒に暮らすって何よ…どうして急にそんな話になるの!? 伯父様、そんなのおかしいわ…!
でも、私たちが取り乱し叫んでもまったく意に介さず、伯父は話し続ける。
「まずはトーマスに挨拶をと部屋に向かったが、あいにく休んでいるところでな。では後日で良しようとしよう、それよりもミリアにエレナを会わせなくてはと思ってな」
突然、本当に突然。伯父はずっとニコニコと笑顔のまま、エレナはぼんやりとうつむいたまま。これって、こんなの…変だわ…。
「待て! おいアンタ、いきなり現れてどういうことだ、エレナを連れてくって!? わけがわからない、ちゃんと説明してくれ!」
リッドが伯父に詰め寄ろうとした時、突然デイビットの兵士たちが2人の間に入り、距離を詰めさせないようにけん制する姿勢を取った。彼らの動きにも驚いたけど、そんなことより伯父の真意を聞かなくてはならない。
「あの、伯父…」
「あっははっはははははは!!!」
一際大きい笑い声が部屋中に響く。その声を上げたのはデイビットだった。さっきまでの怒り顔とも、最初に私たちに詰め寄った形相とも違う、口角を吊り上げ、誰もを見下すような視線で伯父を見る。
「結局テメエの一人勝ちってことか、ランバート伯爵。いつから狙ってた、この状況を」
「いやいや、ワシはそんな、狙うなどといったことは何もありませぬ。強いて言えば、これも神のお導きかもしれませんな、はははははっ」
伯父は左右に小さくかぶりをふって、甲高い笑い声を上げた。いつもどおりの笑顔と声が、その瞬間、何かとても恐ろしいものに見えた。
思わず私たちは二人の元に駆け寄る。
「おおミリア、無事にエレナと再会できたぞ! 神のお導きということかな、街の入口で偶然見つけてなあ」
「そうだったの! 本当に、神様のおかげかも…。おかえりなさい、お姉様! さっきはどうして走っていっちゃったのよ、私たち、とてもびっくりしたんだから…お姉様!」
「…。ごめんなさい、私…」
まくし立てる私とは反対に、返ってきたのはか細い声だけだった。なんだか、様子がおかしいわ…?
顔を覗き込んでみるけれど、視線が合わない。ボンヤリとして…いえ、まるでこちらの声が聞こえていないよう。エレナの様子にアーサーも不安を隠すことができない。
「どうしたんだい、エレナ。体調がすぐれないのかな…どこか痛む?」
「…」
本当に様子がおかしいわ、何が…。
「おや、ミリアは先に再会していたのか、そうかそうか、それは良かった」
エレナの様子を伯父は特に気にするそぶりもみせず、そのまま手を引いてデイビットの前に進む。
「いやあ、デイビット殿下。突然のことで驚きましたぞ! 兵士まで連れられようとは。ま、何はともあれ、サザントリアへようこそ。ささ、こちらに」
「まったく、次から次へと…」
伯父がデイビットにソファを勧める。また怒鳴りだすんじゃないの、と私は身構えたのだけど、彼は何を答えるでもなくお付きの兵士に数歩下がらせた後、促されるままソファに腰かけた。さっきまであんなに怒りの表情を見せていたのに。
その様子を満足げに確認した後、伯父は笑顔のままあたりを見回し、私やアーサー、デイビット、使用人の顔を一人一人確認するように視線を送り、続いてリッドの顔をみて首をかしげる。
「ええと、誰だねキミは? デイビット殿下の付き人かね? まあいい、まあいいか。いやあ、今日はめでたい! せっかくの時間だ、皆でお茶を楽しもうではないか。ほれ、新しいポットを用意してくれ」
伯父が笑顔で使用人たちに声をかけるけれど、先ほどまでの緊迫した空気の中にいたせいか、皆どうしたらいいのかわからず、あたふたしている。それは私たちも同じだった。
「ちょ、ちょっと待って伯父様! あの、伯父様は今朝領地に戻られたんじゃなかったの…?」
そうだ、伯父は昨日ここに来て、デイビットとは面会できなかったことや、大公様から私たちに婚約の打診があったこと、その勢いでレギウス家を訪問したり…ああ、その目まぐるしさを想像するだけで疲れてしまう。
伯父はなんだか陽気にお茶会をはじめようとしているけど…エレナの様子もおかしいし、私たち、どうしたらいいの…?
でも、そんな状況は無視するかのようにデイビットが口を開いた。
「どういうことだ、伯爵。その女はどうした」
「いやいや、どういうことだとは、こちらのセリフですぞデイビット殿下。こんな突然に押しかけて来られては歓迎の準備がまるでできませぬ」
「まさか貴殿がここにいるとは思わんからな。それに、知らせは飛ばしただろう」
「飛ばしたと言っても、前日に伝令役を走らせたところで、貴方が到着するまで半日もない。こちらにも予定というものがあるのですぞ?」
「あの、伯父様、先ほどから何の話…? 伝令…?」
突然始まった会話の内容を聞いて、頭の中が疑問で埋め尽くされてしまう。
「うむ、部下が走ってくれてな、ここから戻る途中にデイビット殿下がサザントリアに向かっていると知らせを受けたのだ。まったく、何と慌ただしい…。まあ、そのおかげでエレナと再会できたのだから、よく考えれば礼を言わねばなりませんかな? はははははっ」
伝令、って…。
「何だよそれ…」
混乱したのは私だけではない。リッドが詰め寄るようにして矢継ぎ早に続ける。
「アンタ、エレナの伯父だよな? 婚約を取り持ったっていう。どういうことだよ、アンタなんでデイビットと…! これじゃあ…」
「な、何だね急に…、一度落ち着いてくれないか若者よ。何が言いたいのかわからんぞ」
伯父がリッドをなだめるように困り顔で言葉をかけている。
「とりあえずキミも掛けたまえ、会話は少し遅いかなと感じるくらいの間で進める方が理解が早いぞ、お互いな」
「リッドさん、ここは僕が」
「おお、アーサー。いやいや、昨日は突然押しかけて済まなかったね」
アーサーがリッドの肩に手を置き、伯父に視線を向ける。そして感情を抑えるように平坦なリズムと声で伯父に問いかけた。
「いえ、こちらこそ身に余るお話をいただき感謝しております、ランバート伯爵。それで、早速おうかがいしますが…貴方は、こちらのデイビット殿下と頻繁にやり取りをされる間柄なのですか?」
アーサーが真っ直ぐに疑問をぶつける。
「うむ、ここ半年ほど親交を深める機会をいただいておる。エレナの縁談の話があってから特にな」
「そうですか。いま、我々はデイビット殿下の突然の来訪を受けて、エレナと殿下の婚約が破談となったことについて、あの日儀式で何があったのか、確認しようとしていたのです」
「おお、そういうことか! いや、部屋の中が自分と険悪な雰囲気になっていたのでな、ワシも戸惑ったのだよ。そのような事情では仕方あるまい、ははははははっ」
「…。それで、エレナにも是非話を聞きたいと思っていたところなのですが」
「ああ…。まあ、今は難しいのではないか? エレナもずいぶんと疲れている」
「それは、ええ、なんだか様子が…」
「それでな、いや、それよりもだ! これからはワシはエレナとともに領地に戻り、一緒に暮らすことにした。たまにはこちらにも顔を出すこともあろうが、今後ともよろしく頼む。ミリアもアーサーと手を取りあって、しっかり歩んでいくのだぞ」
…え!?
伯父の一言に、呆気に取られる私たち。使用人たちも驚きと戸惑いの声を隠せない。
「ランバート伯爵、突然何を!?」
「伯父様、何を言ってるの!? エレナと一緒に、って、ええ!? 突然どうして? どうしてそんなことを言い出すの伯父様!」
一緒に暮らすって何よ…どうして急にそんな話になるの!? 伯父様、そんなのおかしいわ…!
でも、私たちが取り乱し叫んでもまったく意に介さず、伯父は話し続ける。
「まずはトーマスに挨拶をと部屋に向かったが、あいにく休んでいるところでな。では後日で良しようとしよう、それよりもミリアにエレナを会わせなくてはと思ってな」
突然、本当に突然。伯父はずっとニコニコと笑顔のまま、エレナはぼんやりとうつむいたまま。これって、こんなの…変だわ…。
「待て! おいアンタ、いきなり現れてどういうことだ、エレナを連れてくって!? わけがわからない、ちゃんと説明してくれ!」
リッドが伯父に詰め寄ろうとした時、突然デイビットの兵士たちが2人の間に入り、距離を詰めさせないようにけん制する姿勢を取った。彼らの動きにも驚いたけど、そんなことより伯父の真意を聞かなくてはならない。
「あの、伯父…」
「あっははっはははははは!!!」
一際大きい笑い声が部屋中に響く。その声を上げたのはデイビットだった。さっきまでの怒り顔とも、最初に私たちに詰め寄った形相とも違う、口角を吊り上げ、誰もを見下すような視線で伯父を見る。
「結局テメエの一人勝ちってことか、ランバート伯爵。いつから狙ってた、この状況を」
「いやいや、ワシはそんな、狙うなどといったことは何もありませぬ。強いて言えば、これも神のお導きかもしれませんな、はははははっ」
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