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Episode5

笑われる勇者

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「ああ、わかった。時折うっかりと忘れそうになるがあの三人もまだまだ子供。主に父性を求め出したのも寂しさからなのかもしれない」
「…その事だが」

 オレはルージュに先ほどの事を聞いてみる事にした。ひょっとしたらルージュとアーコにはオレには気が付けないような見解を持っているかも知れないことを期待していた。

「さっきの会話は聞こえていただろう? あいつらが母親を知らない事についてどう思う?」
「ああ。その事は私も気になっていた。ラスキャブはともかく洗脳が解けているピオンスコとトスクルが母を知らぬという事はあの三人は元から母と言うものを知らぬと考える方が自然だろうな」
「やはりか。しかしそんな事があり得るのか?」
「例えば物心が着く前に何らかの事情で両親を亡くし養父にのみ育てられた、なら辻褄は合う」
「…うむ。確かにあの三人は友人の関係と言うよりも姉妹と形容した方がしっくりはくる。少なくとも余程近しい環境で育ったのは間違いないだろう…しかし魔族だって父母と言う概念は持っているはず。幼いとは言え母親と言うものをまるで知らずに過ごす事などできるのか?」
「あまり『囲む大地の者』の常識で考えない方がいい。今は気に留めるくらいにしておいて差し支えあるまい」

 …確かにルージュの言う通りだ。今はその詳細が分かろうが分からなかろうが問題はない。それに魔王の城に辿り着くことができれば大体の疑問が払拭されそうな気がする。

 要するにここで出来ることは何もないという事だ

 そう分かり切った結論を悟るとオレはルージュに三人を呼ぶように頼んだ。

 ルージュは微笑んでから部屋を後にした。するとすぐに三人分の足音が近づいていた。

「し、失礼します」

 そんな震えた声を出したラスキャブを筆頭に三人がぞろぞろと部屋に入ってくる。

 ラスキャブは怯え顔。
 ピオンスコはワクワク顔。
 トスクルはすまし顔。

 と三者三様の表情を浮かべている。オレはベットを三人に譲るために立ち上がった。すると何を勘違いしているのかラスキャブがひゃあっと悲鳴を上げて身を強張らせた。

「何故叫ぶ? お前らを座らせる場所がないから譲ろうと立っただけだ」
「そ、そうなんですか? 私が役に立たないから処分されるとかではなく?」
「そんな訳ないだろう。柄にもないが少しお前らと話をしたいだけだ」

 オレがそう言うと三人は一瞬ぽかんとした表情になった。そして例によってトスクルがくすくすと言う笑い声を出した。

「確かにザートレさんの柄ではありませんね」
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