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Episode4
吠える勇者
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(すまん。冗談だ、許してくれ)
(…なんとか性格を変えずに姿だけを変える手段はないものだろうか…)
(それはさておき、最後の狙撃手を討とう。流石にあいつらも限界だろうしな)
次々に湧き出るように判明する能力の数々に浮かれてしまっていたが、そろそろ潮時としておかなければならない。あいつらに言い聞かせて置きながら、自分は緊張感を失ってしまったことは姿が変わっているからだと言い訳を誰にするでもなく心に思い浮かべて、オレは窓から飛び出した。
すでにこの街道を射程にしている飛び道具使いの位置は把握済み。
場所はオレが今飛び出した建物の正面の宿屋だ。オレがこの部屋に入っていったところを見ていたのか、窓に向かって弓を構える気配がしていた。不用意に顔を出したところでも狙い撃ちにする算段だったのだろうが、そうはさせない。
飛び出すと案の定、当てが外れて驚いた顔の魔族が目に入った。位置的にこの部屋の窓を狙撃しよう思ったら必然的に自らも姿をさらしてしまう。ともすれば攻撃を仕掛けるつもりで出てきたこちらの方が圧倒的に優位…というよりもすでに勝負は決したも同然だった。
オレの思考をルージュが読み取り、ルージュがオレに声を使った魔法の使い方を指示してくる。目線の先にいる戸惑っている魔族の射手を一にらみすると、一声を上げる要領で音の魔法を打ち出した。声帯から熱く滾る何かが飛び出すような感覚が喉から口腔にかけて広がるのと、射手がやられるのは同じタイミングだった。
ラスキャブたちを含めて、下で戦っていた奴らは全員が何事かと空を見上げてきた。
これは好都合だ。土壇場の思い付きでオレは奇襲をかけることにした。
(お前ら、なるべく人形から離れろ!)
着地と同時にそんな指示をテレパシーで送る。全員がその場から息ぴったりのタイミングで大きく跳ねて後退した。それを見計らい、先と同じ要領で生き人形に攻撃を仕掛ける。ルージュの青白い魔力を纏ったオレの声は、一筋の光線となって飛んでいく。
オレもルージュも扱いに慣れていないせいで威力には未だ課題が残るが、この技の魅力は何と言ってもスピードだろう。実直な軌道なせいで事前に知っていれば対処する方法はありそうなものだが、完全なる初見でこれを躱すのは至難の業。いくら魔王の生き人形の性能がいいと言っても、避けられる道理がない。
そしてオレの見立て通り、放った攻撃は生き人形の体に吸い込まれるように直撃したのだった。
(…なんとか性格を変えずに姿だけを変える手段はないものだろうか…)
(それはさておき、最後の狙撃手を討とう。流石にあいつらも限界だろうしな)
次々に湧き出るように判明する能力の数々に浮かれてしまっていたが、そろそろ潮時としておかなければならない。あいつらに言い聞かせて置きながら、自分は緊張感を失ってしまったことは姿が変わっているからだと言い訳を誰にするでもなく心に思い浮かべて、オレは窓から飛び出した。
すでにこの街道を射程にしている飛び道具使いの位置は把握済み。
場所はオレが今飛び出した建物の正面の宿屋だ。オレがこの部屋に入っていったところを見ていたのか、窓に向かって弓を構える気配がしていた。不用意に顔を出したところでも狙い撃ちにする算段だったのだろうが、そうはさせない。
飛び出すと案の定、当てが外れて驚いた顔の魔族が目に入った。位置的にこの部屋の窓を狙撃しよう思ったら必然的に自らも姿をさらしてしまう。ともすれば攻撃を仕掛けるつもりで出てきたこちらの方が圧倒的に優位…というよりもすでに勝負は決したも同然だった。
オレの思考をルージュが読み取り、ルージュがオレに声を使った魔法の使い方を指示してくる。目線の先にいる戸惑っている魔族の射手を一にらみすると、一声を上げる要領で音の魔法を打ち出した。声帯から熱く滾る何かが飛び出すような感覚が喉から口腔にかけて広がるのと、射手がやられるのは同じタイミングだった。
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これは好都合だ。土壇場の思い付きでオレは奇襲をかけることにした。
(お前ら、なるべく人形から離れろ!)
着地と同時にそんな指示をテレパシーで送る。全員がその場から息ぴったりのタイミングで大きく跳ねて後退した。それを見計らい、先と同じ要領で生き人形に攻撃を仕掛ける。ルージュの青白い魔力を纏ったオレの声は、一筋の光線となって飛んでいく。
オレもルージュも扱いに慣れていないせいで威力には未だ課題が残るが、この技の魅力は何と言ってもスピードだろう。実直な軌道なせいで事前に知っていれば対処する方法はありそうなものだが、完全なる初見でこれを躱すのは至難の業。いくら魔王の生き人形の性能がいいと言っても、避けられる道理がない。
そしてオレの見立て通り、放った攻撃は生き人形の体に吸い込まれるように直撃したのだった。
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