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閑話 メロディアの仕事

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「明日の誕生日会でシャニス様がボケ始めているという事と体が大分弱っているという事とを料理を使ってバラします」
「そんな事ができるんですか?」
「隠し包丁をしないだけでもかなり食べにくくなると思います。まあ、それだけだと不安なのでヒカサイマさんに仕掛け人をやってもらいましょう。明日の朝一番でボケの事を伝えてもらえますか? 小耳にはさんだというレベルの伝言で十分だと思いますから」
「わかりました。任せてくださいな」

 メロディアはニコリと笑った。

「そうと決まれば二人はもう休んでください。明日の誕生会は万が一にも寝坊できません」
「メロディアは寝ないのか?」
「厨房の掃除と食材のチェックを終えたら寝ますよ。十分も掛からないんでお先にどうぞ。ドロマーさんもそろろそ戻らないと騒ぎになるかもしれませんしね」
「そういう事なら…」
「ではお二人とも、また明日」
「はい。お休みなさい」

 そうしてドロマーは本邸へ、レイディアントは宛がわれた客室へと戻っていく。

 ところでメロディアは一つウソをついていた。これから皆が寝静まった離れを徘徊し、明日の誕生会が自分の目論見通りに事が運ぶように細工を施して回るつもりだった。

 その為には準備が足りないし、更に言えば情報も足りない。夜通しになるかもしれないが、お節介の為なら労力を惜しむつもりはなかった。それに二人を先に寝かせたのにも訳がある。

 なぜなら情報収集と細工の為にあまり他人には知られたくない方法を取るつもりだったからだ。

 それでも関わってしまった以上、丸く収まることを信じて画策奔放するしかない。さもなければ全てを放り出して夜逃げでもする他ない。
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