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第二章 針の筵の婚約者編
幕間⑤(sideサラ)
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「うそ……嘘よ、お姉様が」
慰謝料を払えと使者に掴みかかるお父様を横目に、私はその場にへたり込んだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
七歳の時に伯爵家に引き取られて以来、私はこの家のお姫様だった。
『肩身の狭い思いをさせて悪かったな。今日から好きなだけ欲しいものを買ってやるぞ』
今までとは段違いの立派なお屋敷で、お父様は笑顔で素敵なドレスやおもちゃをたくさん与えてくれた。だけど私が一番欲しいのは、三つ年上の腹違いのお姉様、アイシャの持っている宝物。
アイシャお姉様はずるい。お父様の最初の奥様から生まれたというだけで、正当な跡継ぎみたいに扱われて。私の方がずっとずっと可愛くて美しくて愛されているのに、二番手なんて絶対許せない。
だからせめてお姉様は私のために、持っているものは何でも差し出してくれなきゃ。
『お姉様、あれが欲しいわ。ちょうだい』
『それならお父様にお願いすれば……』
『ううん、お姉様の持っているのがいいの』
お姉様が大切にしていればしているほど、自分のものにしたくてたまらなくなった。お姉様が困った顔をして、最後には諦めていく様子が、また私が勝ったのだという優越感になり、とてつもなく気分が良かった。お母様には窘められたけど、『だってお父様が何でもくれるって言ったから』と反論し、実際にお父様に口添えしてもらえば何も言われなくなった。
お姉様の宝物って、どうしてあんなにもキラキラして見えるのかしら。だけど手に入ってしまうと、それは私にとってその辺の石ころと変わらなくなった。もう、お姉様のものじゃないから。
飽きたと言って捨ててしまえばお姉様は悲しそうな顔をして、時には怒ったりもしたけれど、私は何とも思わなかった。私のものを私がどうしようと、お姉様には関係ないじゃない。
その内お姉様は、私が言い出す事を分かり切っていたのか、何も大切なものなどないかのように振る舞うようになった。私が婚約者のルーカスと仲良くしても、表情一つ変えない。とってもつまらない。
だけど私は知っている、お姉様がこっそり秘密の『おともだち』を作っている事を。友人も使用人も全て私の味方になったから、空想の『おともだち』に慰めてもらっている、かわいそうなお姉様。
だから誰も知らない『おともだち』の事を、私の友人に教えてあげた。ほら、みんな笑ってくれてるわよ。お姉様がしている独り芝居も、これでもうお姉様だけのものじゃなくなった。私って、なんて優しいのかしら。
結果、お姉様は『おともだち』について書かれた日記帳を捨ててしまったようだ。あれってお姉様のお母様が形見として遺したと聞いてたけど、いいのかしら? 代わりに私を悪者のように書いた日記を始めたみたい。惨めなお姉様、そんなの書いたって誰も信じるわけないのに。
そんな日常が変わったのは、私がいつものようにお姉様の婚約者を譲ってもらったのがきっかけだった。
メディア子爵は親子ほど歳が離れたおじさんで、幼い少女をこよなく愛する変質者だった。そんなの私に相応しい訳ないじゃない。だから「悪い人じゃない」と言ってたお姉様に譲ってあげた。その理由が私が欲しがらなかったから、なんてふざけた理由よね。だったら私を愛してくれてるルーカスは、私が貰ってもいいわよね?
だけどお姉様は、式典のパーティーでカーク殿下の懐刀チャールズ=ウォルト公爵を誑かし、妊娠してしまった。正直、耳を疑った……さえないお姉様がよりにもよって、国中で一番麗しい殿方であるチャールズ様に色仕掛けなんてできるはずがない。
でも噂を聞いて納得した。チャールズ様はカーク殿下の婚約者に禁断の恋をしていて、お姉様をその御方と間違えたのだと。私は全く似ているとは思わなかったけど、暗がりならそういう事もあるのかしら?
お姉様、やっぱり子爵と結婚したくなかったのね。だからってこんな姑息な手段に出るなんて……かわいそうなチャールズ様。だけどこれ以上、妹としてお姉様の好きにさせるわけにはいかないわ。一緒についていってしっかり手綱を握ってあげたら、チャールズ様も安心でしょうね。
もしかしたら、その内私の方を見初めてしまうんじゃないかしら!? いえ、もうぞっこんなのかもしれない……何せ、とっても素敵なドレスだって贈ってくれたのだもの。お姉様宛てになっていたけど、どう見ても私の方が似合っていたわ。
「サラ、また公爵家に押しかけていたそうだね。もう迷惑をかけるのはやめるんだ」
うるさいわね、ルーカス。私を愛してるって言ったくせに、お姉様が出て行ってからあれやこれやと文句ばかり。迷惑? そんなはずないでしょ、私はチャールズ様から愛されてるんだから。ベアトリス様やお姉様との事は、そのカムフラージュに違いないわ。だからお姉様のお腹の子だって、本当なら私が産むはずだったの。
お父様にそう言ったら、何故か顔が真っ青になって、部屋で休んでいなさいと言われた。医者まで呼ばれたけど、私はどこも悪くなんてないわよ! こっそり出て行こうとすると、すぐに見つかって連れ戻される日々……不貞腐れる中の楽しみは、侍女たちが持ってくる都で流行りの恋愛小説だけ。
「サラ、孤児院に視察に行かないか。伯爵領なら行ってもいいとお許しが出ている」
「いやよ、お姉様は公爵家にいるのに、そんなとこ行ったってつまんないでしょ。それよりチャールズ様に会いたいわ。きっとあの御方も私に恋い焦がれてるはず……ルーカス、貴方をお姉様の婚約者に戻してあげるわ。だからもう一度交換してもらいましょうよ」
バシッ!
「いい加減にしろ! いつまでお人形ごっこしているつもりだ。もううんざりだけど、僕は君以外との婚約は許されていない……そうだ、僕たちは許されない事をしたんだ。アイシャのためにも、君はもっと大人になれよ!」
「いったーい、何すんのよ。チャールズ様に勝てないからって嫉妬はみっともないわよ!? 何よ、このきったない髪の束は? 気持ち悪い!」
「君がアイシャに切られたと言って持ってきた、金髪の人形の髪だよ!」
人形の髪……そんな事あったっけ? そう言えばここに来たばかりの頃、お姉様の人形を譲ってもらったわ。飽きて捨てたら、お姉様は普段の大人しさからは考えられないぐらい怒り狂って……今じゃ考えられないけど、我が子を殺されたのかってくらい暴れて泣いて、お墓まで作ってた。
(何よ……お人形ごっこしてるのは、お姉様の方じゃない)
味方が誰もいなくても、みずぼらしいもので周りを固めても、平気なふりをして。お人形に、鏡に呼びかけて寂しさを紛らわせる、ひとりぼっちのお姉様。本当に、気持ち悪い。
お姉様もたった一言、私に言ってくれたなら、私だって鬼じゃないんだから譲ってあげてもよかったのに。
『サラ、貴女の持ってるそれが欲しいの』――って。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
そうしてお姉様が行方知れずになってから、一年ほど過ぎた頃だろうか……
塞ぎ込んでいる私を慮った侍女が、現在国中で一番流行っているという恋愛小説を差し入れてきた。今はもう、閉じ込められなくても部屋から出るのが億劫で、眠るといつもお姉様といた頃の夢ばかり見て、私もいよいよ追いつめられていた。こんなものでお姉様を失った心が晴れるとは思わない……そう思っていたのだが。
パラパラと読み進める内に、視界がはっきりしてくる。お姉様は子供を産んだ直後に何者かに攫われて、今も捜索中だと聞いている。だけど、これは――間違いない。妹の私だからこそ、分かる。
「サラ!」
「お嬢様! お体は大丈夫なのですか!?」
久々に部屋のドアを開け放ち、出てきた私を迎えたのは、涙ぐむ両親と使用人たち……それに、ルーカスだった。とっくに愛想を尽かしていると思ってたけど、あれからずっと伯爵家に通っていたんだから、本当に人が好いわよね。
だけど、私の目には彼らの姿など映っていなかった……あれだけ焦がれていたチャールズ様ですら、今の私にはどうでもよくなっていたのだ。
「ふ……うふふふ、あーっはっはっはっ! やっぱりお姉様は、私のために存在するのだわ。だってこんなにも、キラキラ輝いているんですもの……ねぇ、お姉様?」
嬉しさで気が変になったと思われるほど笑い狂いながら、私は家にある事典そっくりの革表紙で作られた、ベストセラーを抱きしめた。
慰謝料を払えと使者に掴みかかるお父様を横目に、私はその場にへたり込んだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
七歳の時に伯爵家に引き取られて以来、私はこの家のお姫様だった。
『肩身の狭い思いをさせて悪かったな。今日から好きなだけ欲しいものを買ってやるぞ』
今までとは段違いの立派なお屋敷で、お父様は笑顔で素敵なドレスやおもちゃをたくさん与えてくれた。だけど私が一番欲しいのは、三つ年上の腹違いのお姉様、アイシャの持っている宝物。
アイシャお姉様はずるい。お父様の最初の奥様から生まれたというだけで、正当な跡継ぎみたいに扱われて。私の方がずっとずっと可愛くて美しくて愛されているのに、二番手なんて絶対許せない。
だからせめてお姉様は私のために、持っているものは何でも差し出してくれなきゃ。
『お姉様、あれが欲しいわ。ちょうだい』
『それならお父様にお願いすれば……』
『ううん、お姉様の持っているのがいいの』
お姉様が大切にしていればしているほど、自分のものにしたくてたまらなくなった。お姉様が困った顔をして、最後には諦めていく様子が、また私が勝ったのだという優越感になり、とてつもなく気分が良かった。お母様には窘められたけど、『だってお父様が何でもくれるって言ったから』と反論し、実際にお父様に口添えしてもらえば何も言われなくなった。
お姉様の宝物って、どうしてあんなにもキラキラして見えるのかしら。だけど手に入ってしまうと、それは私にとってその辺の石ころと変わらなくなった。もう、お姉様のものじゃないから。
飽きたと言って捨ててしまえばお姉様は悲しそうな顔をして、時には怒ったりもしたけれど、私は何とも思わなかった。私のものを私がどうしようと、お姉様には関係ないじゃない。
その内お姉様は、私が言い出す事を分かり切っていたのか、何も大切なものなどないかのように振る舞うようになった。私が婚約者のルーカスと仲良くしても、表情一つ変えない。とってもつまらない。
だけど私は知っている、お姉様がこっそり秘密の『おともだち』を作っている事を。友人も使用人も全て私の味方になったから、空想の『おともだち』に慰めてもらっている、かわいそうなお姉様。
だから誰も知らない『おともだち』の事を、私の友人に教えてあげた。ほら、みんな笑ってくれてるわよ。お姉様がしている独り芝居も、これでもうお姉様だけのものじゃなくなった。私って、なんて優しいのかしら。
結果、お姉様は『おともだち』について書かれた日記帳を捨ててしまったようだ。あれってお姉様のお母様が形見として遺したと聞いてたけど、いいのかしら? 代わりに私を悪者のように書いた日記を始めたみたい。惨めなお姉様、そんなの書いたって誰も信じるわけないのに。
そんな日常が変わったのは、私がいつものようにお姉様の婚約者を譲ってもらったのがきっかけだった。
メディア子爵は親子ほど歳が離れたおじさんで、幼い少女をこよなく愛する変質者だった。そんなの私に相応しい訳ないじゃない。だから「悪い人じゃない」と言ってたお姉様に譲ってあげた。その理由が私が欲しがらなかったから、なんてふざけた理由よね。だったら私を愛してくれてるルーカスは、私が貰ってもいいわよね?
だけどお姉様は、式典のパーティーでカーク殿下の懐刀チャールズ=ウォルト公爵を誑かし、妊娠してしまった。正直、耳を疑った……さえないお姉様がよりにもよって、国中で一番麗しい殿方であるチャールズ様に色仕掛けなんてできるはずがない。
でも噂を聞いて納得した。チャールズ様はカーク殿下の婚約者に禁断の恋をしていて、お姉様をその御方と間違えたのだと。私は全く似ているとは思わなかったけど、暗がりならそういう事もあるのかしら?
お姉様、やっぱり子爵と結婚したくなかったのね。だからってこんな姑息な手段に出るなんて……かわいそうなチャールズ様。だけどこれ以上、妹としてお姉様の好きにさせるわけにはいかないわ。一緒についていってしっかり手綱を握ってあげたら、チャールズ様も安心でしょうね。
もしかしたら、その内私の方を見初めてしまうんじゃないかしら!? いえ、もうぞっこんなのかもしれない……何せ、とっても素敵なドレスだって贈ってくれたのだもの。お姉様宛てになっていたけど、どう見ても私の方が似合っていたわ。
「サラ、また公爵家に押しかけていたそうだね。もう迷惑をかけるのはやめるんだ」
うるさいわね、ルーカス。私を愛してるって言ったくせに、お姉様が出て行ってからあれやこれやと文句ばかり。迷惑? そんなはずないでしょ、私はチャールズ様から愛されてるんだから。ベアトリス様やお姉様との事は、そのカムフラージュに違いないわ。だからお姉様のお腹の子だって、本当なら私が産むはずだったの。
お父様にそう言ったら、何故か顔が真っ青になって、部屋で休んでいなさいと言われた。医者まで呼ばれたけど、私はどこも悪くなんてないわよ! こっそり出て行こうとすると、すぐに見つかって連れ戻される日々……不貞腐れる中の楽しみは、侍女たちが持ってくる都で流行りの恋愛小説だけ。
「サラ、孤児院に視察に行かないか。伯爵領なら行ってもいいとお許しが出ている」
「いやよ、お姉様は公爵家にいるのに、そんなとこ行ったってつまんないでしょ。それよりチャールズ様に会いたいわ。きっとあの御方も私に恋い焦がれてるはず……ルーカス、貴方をお姉様の婚約者に戻してあげるわ。だからもう一度交換してもらいましょうよ」
バシッ!
「いい加減にしろ! いつまでお人形ごっこしているつもりだ。もううんざりだけど、僕は君以外との婚約は許されていない……そうだ、僕たちは許されない事をしたんだ。アイシャのためにも、君はもっと大人になれよ!」
「いったーい、何すんのよ。チャールズ様に勝てないからって嫉妬はみっともないわよ!? 何よ、このきったない髪の束は? 気持ち悪い!」
「君がアイシャに切られたと言って持ってきた、金髪の人形の髪だよ!」
人形の髪……そんな事あったっけ? そう言えばここに来たばかりの頃、お姉様の人形を譲ってもらったわ。飽きて捨てたら、お姉様は普段の大人しさからは考えられないぐらい怒り狂って……今じゃ考えられないけど、我が子を殺されたのかってくらい暴れて泣いて、お墓まで作ってた。
(何よ……お人形ごっこしてるのは、お姉様の方じゃない)
味方が誰もいなくても、みずぼらしいもので周りを固めても、平気なふりをして。お人形に、鏡に呼びかけて寂しさを紛らわせる、ひとりぼっちのお姉様。本当に、気持ち悪い。
お姉様もたった一言、私に言ってくれたなら、私だって鬼じゃないんだから譲ってあげてもよかったのに。
『サラ、貴女の持ってるそれが欲しいの』――って。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
そうしてお姉様が行方知れずになってから、一年ほど過ぎた頃だろうか……
塞ぎ込んでいる私を慮った侍女が、現在国中で一番流行っているという恋愛小説を差し入れてきた。今はもう、閉じ込められなくても部屋から出るのが億劫で、眠るといつもお姉様といた頃の夢ばかり見て、私もいよいよ追いつめられていた。こんなものでお姉様を失った心が晴れるとは思わない……そう思っていたのだが。
パラパラと読み進める内に、視界がはっきりしてくる。お姉様は子供を産んだ直後に何者かに攫われて、今も捜索中だと聞いている。だけど、これは――間違いない。妹の私だからこそ、分かる。
「サラ!」
「お嬢様! お体は大丈夫なのですか!?」
久々に部屋のドアを開け放ち、出てきた私を迎えたのは、涙ぐむ両親と使用人たち……それに、ルーカスだった。とっくに愛想を尽かしていると思ってたけど、あれからずっと伯爵家に通っていたんだから、本当に人が好いわよね。
だけど、私の目には彼らの姿など映っていなかった……あれだけ焦がれていたチャールズ様ですら、今の私にはどうでもよくなっていたのだ。
「ふ……うふふふ、あーっはっはっはっ! やっぱりお姉様は、私のために存在するのだわ。だってこんなにも、キラキラ輝いているんですもの……ねぇ、お姉様?」
嬉しさで気が変になったと思われるほど笑い狂いながら、私は家にある事典そっくりの革表紙で作られた、ベストセラーを抱きしめた。
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