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34 その先のフロンティアへ (完)
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結論から言うと、神海一族も一度『白い世界』に行けば転移できるようになった。
また、共感さえしていれば転移できない誰かを連れて行けることも分かった。
つまり、共感エージェントなら誰でも転移能力を獲得できることになる。
実際、神海意次も神海希美も難なく転移できるようになった。
「この仕組みを忘れたので、転移できなくなってたんでしょうか?」
俺は不思議に思い、今宮信二に聞いてみた。
「さすがに、転移できなくなった理由は別にあると思います」
それはそうだろうな。その後、その原因がなくなったんだろうか?
「あの『白い世界』が共感システムの本体なんでしょうか?」
「分かりません。ただ、転移を実現するシステムの一部ではあると思います」と信二。
「恐らく、『白い世界』へ転移すると『システム利用者』として登録されるんだと思います」
もちろん、これは今宮の仮説である。
「登録って、名前じゃないですよね。遺伝子でも登録してるのかな?」
「そうですね。そうした話なんでしょうね」
さすがに今宮も難しい顔をしている。
「いづれにしても、早急に詳しい調査が必要ですね」
やっと調査できるようになったわけだしな。
* * *
『白い世界』の正体はともかく、こうして神海一族が転移できたのは事実であり、その意義は大きかった。
そして当然、このニュースは神海三世界に激震となって伝わった。
そもそも、多重世界を転移で渡って来た神海一族が転移できないハズはないのだ。
それが出来なかったために、おかしなことになっていた神海三世界だが、『転移成功』の報で風向きが変わった。
「良くやってくれました。故郷の星の復興も待ち遠しい話ですが、その前に神海三世界を自由に行き来できるだけでも素晴らしいことです!」
転移に成功したと聞いて学園村の村長までやって来た。
確かに俺たちはうまくいった。だが、なぜうまくいったのかは不明だ。『自由に行き来できる』レベルにはほど遠いのだが、村長の目にはそう映るようだ。
そして、予想通り神海三世界では転移能力を得ようとする者が続出した。
そう、『原初の星』復興に向けて動き出したのだ。
* * *
「転移訓練センターを作るそうよ」
上条絹が中央研究所から帰ってきて教えてくれた。
「転移訓練センター? いきなり共感システムに負荷を掛けて大丈夫かな」
「確かにね。でも、調査のためにも人員は必要なんでしょ」
それはそうなんだが。
「不安定になったりしないかな?」
「昔はもっと大々的に使ってたそうだから大丈夫なんじゃない?」
確かに人口の数%が使ってたとしたら凄い数だよな。
まぁ、システムが正常ならアラートくらい出すか。
「それに、そんなに目立つことしていいのか? 神海一族として」
「ああ、そうね。一応表向きは『神海フィットネスクラブ』だそうよ」
確かに飛び回るけど、そういう意味じゃないだろ!
あれ? 俺は、ちょっと心配になった。
「ってことは、もしかしてインストラクターになってくれとか言われるのか?」
「その、もしかかも」
「やっぱりか。俺、レオタードとか着ないからな」
「希望を言うなら今の内よ」
「そうか。じゃ、カルチャーセンターにしておけって言っとこう。陶芸教室でいいじゃないか」
「ううん。どうかなぁ。どうも、転移に失敗した時のことを考えて、スペーススーツのようなものを開発するらしいのよ」
絹は、さもおかしそうに言った。
「スペーススーツのようなもの? ああ、それでフィットネスクラブなのか。確かに、スペーススーツ着て陶芸教室はないわな」
思わず想像してしまった。てか、レオタード着た陶芸教室とか恐ろしいな。
「ないよね」
「まぁ、フィットネスクラブも無理無理だけど。レオタードに見えそうなスペーススーツなんて開発できるのか?」
「あ~っ、神海の技術なら出来そうね」と微妙な顔の絹。信じてないだろ。
「ホントに出来たら怖いな」
出来ても俺は着ないぞ。まぁ、ウェットスーツくらいになればいいか。
* * *
スペーススーツの開発はともかく、『転移能力者』の養成は順調に進んだ。
また、並行して多重世界の研究も活気を帯びてきた。
「集団転移装置を復活させるのよ!」と上条絹。
彼女も気合が入ってる!
『転移能力者』がいくら増えても限界があるからだ。
移動できる人数も少ないし荷物も制限される。将来『原初の星』に移り住むのだとしたら、大量に転移可能な集団転移装置の復活が絶対に必要になるわけだ。
最近は共感定期便の依頼が減っていることもあり、絹は中央研究所に張り付いていることが多いのだが、今日は珍しく神海探偵社に遊びに来ていた。
俺たちもお休み状態なので、彼女に付き合ってお茶している。
「いくら転移能力者が増えても、それだけじゃ復興は出来ないからな」
「そうなのよ。転移能力者になれるのは多くても数%くらいかしらね。それだけじゃ、民族移動とは言えないわね」と絹。
「転移能力者は思ったより少ないのね」麗華は、紅茶を飲みながら言った。
「そうですね。わたし、改めて両親に誉められちゃいました」と妖子。
転移能力者以上の共感エージェントは今や注目の的だものな。
転移出来る花屋の店員ってのも、あまりいない。別世界まで花のデリバリーサービスしちゃいそう。
「お前ら、暇そうだな」
そこへ、ボスの神海意次が外から帰って声を掛けてきた。
見ると、何か含み笑いをしている。やばい依頼でも持ってきたのか?
「定期便ですか?」
「おっ。鋭いな。だが、残念。定期便ではない」
「定期便じゃない?」
「そうだ。もっと高度な依頼、『探検』だ」
意次は怪しいことを言い出した。まぁ、こいつは前から怪しい奴だが。
「おい今、失礼なこと考えただろ」なんでわかる?
「なんでしょう?」
「まぁ、いい。『探検』と言ったら何だと思う?」
意次は、逆に謎を掛けてきた。
「今、『探検』と言ったら。『希美さんのスイーツの探検』ですね!」
「なんだそれ?」
「あら、いいわよ。今日はたくさんあるし」
「やった~っ。来た甲斐があった~っ」と絹。それ狙いか。
「待ってました~っ」と麗華。お前もか。
「私、お皿用意します」と妖子。
「ちょうど、そういう時間だな」
意次、俺たちの勢いに負けスイーツが配られるのを待った。
「で、『探検』と言ったら『原初の星』の探検に決まってるだろ?」
結局、『スイーツの探検』が終わってから意次は話し出した。
「えっ? でも、『原初の星』ってどこにあるんですか?」
「だから、それも含めて探検だ」
「へ~っ」
「へ~っ、じゃない。神海探偵社に正式に依頼が来た」
「え~っ、でも俺たち『原初の星』については何も知りませんよ?」
「そうだな。だから中央研究所と合同で調査チームを立ち上げることになった」
「私、絶対参加する!」と絹。
「私も私も」と麗華。
「私も?」と妖子。
「俺も参加だな。ちょっと面白そうだし」
「おい、遊びじゃないぞ。まぁ、当然お前らは全員参加だ。あと俺がチームリーダーだ。」
「じゃ、私も参加なのね!」と神海希美。
「うんそう。あと、今宮教授も参加する予定だ」
「叔父さんも参加なんだ」
「第一人者だからな」
おとぎ話というか伝説にある神海一族の故郷を探すわけだ。
その世界は文献に残っているだけで、もちろん誰も行ったことはない。何処にあるかも不明だ。どうやって探すんだろう?
それに、例え見つけたとしても今も居住可能な状態なんだろうか?
「気の長い話になるんでしょうね。でも、いつかこの目で見てみたい」と絹。
「ホントです。きっと素敵な世界です!」と妖子。
しかし、千年だからなぁ。
無人のままなら、そのまま残ってる筈はないだろう。普通なら廃墟になってる。
だが、驚くべき民族の星だからな。何か残っているかも知れない。
何より、共感システムが今も動いているという事実がある。このことからして、ただの廃墟の筈はないな?
「神海一族の星だからな。想像以上のものがあるかもな」
「そうね!」と絹。
「普通の存在に戻れるのかな?」
「きっと戻れます!」
麗華と妖子は夢見るように言った。
しかし、転移こそできるようになったが『白い世界』そのものは今も謎のままだし、多重世界に至っては分からないことだらけである。
まだまだ遠い話なのだ。
それでも、何かが待っているという高揚感のようなものがそこにはあった。
それは、もしかすると人類の新たなフロンティアになるのかも知れない。
熱心に語る仲間を見て、そう思うのだった。
ーーー 完 ーーー
「多重世界の旅人」に続く
また、共感さえしていれば転移できない誰かを連れて行けることも分かった。
つまり、共感エージェントなら誰でも転移能力を獲得できることになる。
実際、神海意次も神海希美も難なく転移できるようになった。
「この仕組みを忘れたので、転移できなくなってたんでしょうか?」
俺は不思議に思い、今宮信二に聞いてみた。
「さすがに、転移できなくなった理由は別にあると思います」
それはそうだろうな。その後、その原因がなくなったんだろうか?
「あの『白い世界』が共感システムの本体なんでしょうか?」
「分かりません。ただ、転移を実現するシステムの一部ではあると思います」と信二。
「恐らく、『白い世界』へ転移すると『システム利用者』として登録されるんだと思います」
もちろん、これは今宮の仮説である。
「登録って、名前じゃないですよね。遺伝子でも登録してるのかな?」
「そうですね。そうした話なんでしょうね」
さすがに今宮も難しい顔をしている。
「いづれにしても、早急に詳しい調査が必要ですね」
やっと調査できるようになったわけだしな。
* * *
『白い世界』の正体はともかく、こうして神海一族が転移できたのは事実であり、その意義は大きかった。
そして当然、このニュースは神海三世界に激震となって伝わった。
そもそも、多重世界を転移で渡って来た神海一族が転移できないハズはないのだ。
それが出来なかったために、おかしなことになっていた神海三世界だが、『転移成功』の報で風向きが変わった。
「良くやってくれました。故郷の星の復興も待ち遠しい話ですが、その前に神海三世界を自由に行き来できるだけでも素晴らしいことです!」
転移に成功したと聞いて学園村の村長までやって来た。
確かに俺たちはうまくいった。だが、なぜうまくいったのかは不明だ。『自由に行き来できる』レベルにはほど遠いのだが、村長の目にはそう映るようだ。
そして、予想通り神海三世界では転移能力を得ようとする者が続出した。
そう、『原初の星』復興に向けて動き出したのだ。
* * *
「転移訓練センターを作るそうよ」
上条絹が中央研究所から帰ってきて教えてくれた。
「転移訓練センター? いきなり共感システムに負荷を掛けて大丈夫かな」
「確かにね。でも、調査のためにも人員は必要なんでしょ」
それはそうなんだが。
「不安定になったりしないかな?」
「昔はもっと大々的に使ってたそうだから大丈夫なんじゃない?」
確かに人口の数%が使ってたとしたら凄い数だよな。
まぁ、システムが正常ならアラートくらい出すか。
「それに、そんなに目立つことしていいのか? 神海一族として」
「ああ、そうね。一応表向きは『神海フィットネスクラブ』だそうよ」
確かに飛び回るけど、そういう意味じゃないだろ!
あれ? 俺は、ちょっと心配になった。
「ってことは、もしかしてインストラクターになってくれとか言われるのか?」
「その、もしかかも」
「やっぱりか。俺、レオタードとか着ないからな」
「希望を言うなら今の内よ」
「そうか。じゃ、カルチャーセンターにしておけって言っとこう。陶芸教室でいいじゃないか」
「ううん。どうかなぁ。どうも、転移に失敗した時のことを考えて、スペーススーツのようなものを開発するらしいのよ」
絹は、さもおかしそうに言った。
「スペーススーツのようなもの? ああ、それでフィットネスクラブなのか。確かに、スペーススーツ着て陶芸教室はないわな」
思わず想像してしまった。てか、レオタード着た陶芸教室とか恐ろしいな。
「ないよね」
「まぁ、フィットネスクラブも無理無理だけど。レオタードに見えそうなスペーススーツなんて開発できるのか?」
「あ~っ、神海の技術なら出来そうね」と微妙な顔の絹。信じてないだろ。
「ホントに出来たら怖いな」
出来ても俺は着ないぞ。まぁ、ウェットスーツくらいになればいいか。
* * *
スペーススーツの開発はともかく、『転移能力者』の養成は順調に進んだ。
また、並行して多重世界の研究も活気を帯びてきた。
「集団転移装置を復活させるのよ!」と上条絹。
彼女も気合が入ってる!
『転移能力者』がいくら増えても限界があるからだ。
移動できる人数も少ないし荷物も制限される。将来『原初の星』に移り住むのだとしたら、大量に転移可能な集団転移装置の復活が絶対に必要になるわけだ。
最近は共感定期便の依頼が減っていることもあり、絹は中央研究所に張り付いていることが多いのだが、今日は珍しく神海探偵社に遊びに来ていた。
俺たちもお休み状態なので、彼女に付き合ってお茶している。
「いくら転移能力者が増えても、それだけじゃ復興は出来ないからな」
「そうなのよ。転移能力者になれるのは多くても数%くらいかしらね。それだけじゃ、民族移動とは言えないわね」と絹。
「転移能力者は思ったより少ないのね」麗華は、紅茶を飲みながら言った。
「そうですね。わたし、改めて両親に誉められちゃいました」と妖子。
転移能力者以上の共感エージェントは今や注目の的だものな。
転移出来る花屋の店員ってのも、あまりいない。別世界まで花のデリバリーサービスしちゃいそう。
「お前ら、暇そうだな」
そこへ、ボスの神海意次が外から帰って声を掛けてきた。
見ると、何か含み笑いをしている。やばい依頼でも持ってきたのか?
「定期便ですか?」
「おっ。鋭いな。だが、残念。定期便ではない」
「定期便じゃない?」
「そうだ。もっと高度な依頼、『探検』だ」
意次は怪しいことを言い出した。まぁ、こいつは前から怪しい奴だが。
「おい今、失礼なこと考えただろ」なんでわかる?
「なんでしょう?」
「まぁ、いい。『探検』と言ったら何だと思う?」
意次は、逆に謎を掛けてきた。
「今、『探検』と言ったら。『希美さんのスイーツの探検』ですね!」
「なんだそれ?」
「あら、いいわよ。今日はたくさんあるし」
「やった~っ。来た甲斐があった~っ」と絹。それ狙いか。
「待ってました~っ」と麗華。お前もか。
「私、お皿用意します」と妖子。
「ちょうど、そういう時間だな」
意次、俺たちの勢いに負けスイーツが配られるのを待った。
「で、『探検』と言ったら『原初の星』の探検に決まってるだろ?」
結局、『スイーツの探検』が終わってから意次は話し出した。
「えっ? でも、『原初の星』ってどこにあるんですか?」
「だから、それも含めて探検だ」
「へ~っ」
「へ~っ、じゃない。神海探偵社に正式に依頼が来た」
「え~っ、でも俺たち『原初の星』については何も知りませんよ?」
「そうだな。だから中央研究所と合同で調査チームを立ち上げることになった」
「私、絶対参加する!」と絹。
「私も私も」と麗華。
「私も?」と妖子。
「俺も参加だな。ちょっと面白そうだし」
「おい、遊びじゃないぞ。まぁ、当然お前らは全員参加だ。あと俺がチームリーダーだ。」
「じゃ、私も参加なのね!」と神海希美。
「うんそう。あと、今宮教授も参加する予定だ」
「叔父さんも参加なんだ」
「第一人者だからな」
おとぎ話というか伝説にある神海一族の故郷を探すわけだ。
その世界は文献に残っているだけで、もちろん誰も行ったことはない。何処にあるかも不明だ。どうやって探すんだろう?
それに、例え見つけたとしても今も居住可能な状態なんだろうか?
「気の長い話になるんでしょうね。でも、いつかこの目で見てみたい」と絹。
「ホントです。きっと素敵な世界です!」と妖子。
しかし、千年だからなぁ。
無人のままなら、そのまま残ってる筈はないだろう。普通なら廃墟になってる。
だが、驚くべき民族の星だからな。何か残っているかも知れない。
何より、共感システムが今も動いているという事実がある。このことからして、ただの廃墟の筈はないな?
「神海一族の星だからな。想像以上のものがあるかもな」
「そうね!」と絹。
「普通の存在に戻れるのかな?」
「きっと戻れます!」
麗華と妖子は夢見るように言った。
しかし、転移こそできるようになったが『白い世界』そのものは今も謎のままだし、多重世界に至っては分からないことだらけである。
まだまだ遠い話なのだ。
それでも、何かが待っているという高揚感のようなものがそこにはあった。
それは、もしかすると人類の新たなフロンティアになるのかも知れない。
熱心に語る仲間を見て、そう思うのだった。
ーーー 完 ーーー
「多重世界の旅人」に続く
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