9 / 30
9. 闇魔法修行-1(シルバーズ侯爵)
しおりを挟む
クロエがシルバーズ侯爵邸に着いた翌日、クロエとルカそしてシルバーズ侯爵は玄関ホールで出発の準備をしていた。
「ルイ、儂は病気療養のために領地で静養すると噂を流しておいてくれ。そしてルカは留学したことにして……。クロエはシルバーズ侯爵の養女として迎えるため、領地で教育を受けているという体にするが、クロエに扮する者の準備はできているか?」
ルイはシルバーズ侯爵に向き直ると「はい、明朝に馬車で領地に向かう手筈になっています。領地の別邸の者には計画は伝えていませんので、本物のクロエとして対応するかと」
「よし、今のところは順調だな。何か不審なことがあれば、あれで連絡をくれ。魔力が辿られることは避けたいからな」
(「あれ」ってなんのことだろ?それに私に扮した者って……、身代わりってこと!)クロエはシルバーズ侯爵とルイの話に聞き耳を立てて、顔を青くしていた。
「クロエ。……あっ、クロエって呼んでいいか?」青い顔をしているクロエを見て、ルイが声をかけた。
「……えっ、はい。クロエとお呼びください」クロエが背の高いルイを見上げると、ルイは苦笑いをして言った。
「俺たち同じ歳だから、敬語は不要だ。俺のことはルイと呼び捨てでいい」
(はぁ!?どう見てもダン兄様より年上に見えるんですけど!)
ルイは驚いているクロエを見て、「あぁ、そう見えるかもな。ヴァンパイア人は成長が早いんだ。そして成人したらそこからはほとんど老けない。爺さんは何歳だと思う?」
「おじい様は、50……55歳ぐらいでしょうか?」シルバーズ侯爵は、おじい様と呼ぶのは申し訳ないぐらい若々しく、筋肉隆々で背も高くイケおじいという容姿である。
「120歳だよ」
「はぁ!?」(イケおじい……、恐るべし)
「ヴァンパイア人はヒューマン人に比べて、寿命も長いんだ。向こうに行ったら、ヴァンパイア国について色々教えてやるよ」
「私、ヴァンパイア国について何も知りませんでした……。ぜひ、色々おしえてください」クロエはサッと前世のお辞儀をしてしまった。
「クロエ。お前、かたいな。力はいりすぎだ。魔術の訓練より、まずは性格の矯正からだな」ルカはあきれたように苦笑いをして執事の方へ行ってしまった。
(えっ……。私、かたいかなぁ。普通にしてるつもりなんだけど。かたいって、何がかたいの?)クロエは首をひねりながら自問自答していた。
「クロエ、何をしてるんじゃ?そろそろ出発するぞ」シルバーズ侯爵はクロエの手をとり魔法陣の中に入った。
「今回は荷物もたくさんあるからの。魔法陣を使って転移する」
転移するのに色々な方法があるんだぁとクロエが興味津々で魔法陣を見ていると、いきなり景色が変わった。
「えっ!もう移動したのですか!」
「ふふふ、あっというまじゃ~。ここには執事もメイドもおらんからの。儂ら3人ですべての事をこなしていくぞ。まずは荷物を部屋に運び入れよう」
シルバーズ侯爵が指をサッと動かすと、荷物があっという間に消えた。
「えっ!」クロエが驚いた顔でシルバーズ侯爵を見上げると「すごいじゃろ?」と自慢げに言い、鼻歌を歌いながらキッチンに向かっていった。
ルカは、はぁ~っとため息をつくと、「邸内を案内してやる」といってクロエを部屋へ案内してくれた。
ルカとクロエは邸内を散策してから、キッチンに向かった。キッチンの入り口を入ると、シルバーズ侯爵は鼻歌を歌いながら、すでに昼食の準備をしていた。
「えっ!おじい様は料理がお出来になるんですか!」
「じい様の作る料理は美味いぞ」とルカは味見用の小皿にスープをすくってクロエに渡した。
「あっ、いただきます……。えっ!豚汁?」
「実は、儂も転生者じゃ。みんなには内緒じゃがの。儂が転生者ということはルイとルカしか知らん。あっ、シエラは知っておったがの」
(えぇ~~~!転生者ってこの世界に結構いるの?)
「いや、この世界に転生者はそんなにはおらんじゃろ。」
クロエは目をまん丸にして、シルバーズ侯爵を凝視した。(もしかして……)
「そう、もしかしてじゃ。まぁ、常に心が読めるわけではない。読心魔法を使わんと読めん。闇魔法はな、こんなこともできるんじゃ。面白いじゃろ。前世のアニメや映画を参考に色々と試してみたら、面白いものがたくさんできたわい。魔術は柔軟な思考と創造が大事なんじゃ」
(すごい……。闇魔法、いや他の属性もアイディア次第でものすごいことができちゃうかもしれないわ)
「おじい様、私、頑張ります。私、とんでもなく凄い師匠に魔術を教わるんだってことを実感しております」クロエは感動して、シルバーズ侯爵を尊敬のまなざしで見上げた。
「ワッハッハ!師匠か!よし、ここでは儂のことは師匠と呼びなさい。ルカもじゃぞ」
「わかったよ、師匠。それより先に昼飯食おうぜ」
みんなで師匠の素晴らしい日本食を食べた後、裏庭に面した鬱蒼と茂る森の前に移動した。
「この森は魔の森じゃ。ブラウン辺境伯にある魔の森と同じ森じゃ。うちの領地も魔の森に面しているからの」
(えっ、じゃあこの森の向こうはブラウン辺境伯領なのね!)
「これから、この森の中で修行をしていく。マジックバッグは持ったな。もしものためにそのマジックバッグには食料とポーションが入っている。いざという時はそのバッグの中を探れば3日ぐらいは生活できるぞ。あっ、簡単に建てれるテントも入っているからの。備えあれば憂いなしじゃ」
そうして3人は魔の森の中へ入り1時間程歩くと綺麗な花が一面に咲き乱れている開けた場所に着いた。
「今日はここで、魔術を繰り出す時の基本となる呼吸と姿勢を訓練する」
「呼吸と姿勢ですか……?」クロエは師匠の顔を見つめ、どういうこと?と首を傾げた。
「ん~、そうじゃなぁ。クロエは光魔法を使えるんじゃったな。よし、何でもいいから光魔法を使ってみなさい」
(ん?光魔法をここで?えーっと、あっ、あの木がいいわ)
クロエは小さな蕾をつけた背の低い木の前に立ち手のひらを蕾の前にかざすと「開花」と唱えた。すると小さな蕾の花びらがどんどん広がり、その周りにあった他の蕾も花が開いて、その木は満開になってしまった。
師匠は「なるほど……。よし、クロエのクセがわかったぞ」
(クセ?普通に立って呪文を唱えただけなんだけど……?)
「まずは姿勢。体幹も出来ているし綺麗にまっすぐに立ててはいるが、全てに力が入りすぎじゃ。自然体で無駄な力を抜いて立つと、もっと小さな魔力で大きな魔法を行使できるようになる。」
「自然体ですか……」
「例えばのう……おっ、そうじゃ。クロエは剣は使えるんだったな。クロエは剣を持つときに手に力を入れて持つか?」
「いいえ。力を入れて剣を持ってしまうと、柔軟性がなくなって剣の軌道も単純になってしまいます。そして可動域も小さくなってしまいます……あっ、そういうことか!」
「クロエは頭の回転が早いのぉ。教えがいがあるわい。そうじゃ、自然体とは無駄な力を抜いた状態で、精神も気負いのない状態。しかしボーっと突っ立っているわけではなく、上下左右360度に気を纏わせておくんじゃ。気を張るんじゃなく、ふわっと纏わせて周りにある気も感じとれるように訓練してみなさい」
(なるほど。武道の基本だったわ!魔術も同じなのね。いや、魔術だけじゃないわね、これはすべてにおいて言えることだわ。あぁ、目からうろこってやつだわ)
「師匠、ありがとうございます。私、とても大事なことを教えていただきました。常に自然体でいれるように訓練します!」
師匠は優しい瞳でクロエを見つめながら言った。
「クロエ、真面目なことは良いことかもしれないが、遊びも必要じゃ。車のハンドルになぜ「あそび」があるのかは知っておるか?ハンドルも人も余裕が無いとスムーズに道が走れないんじゃ。クロエ、焦ることはない。余裕をもってゆっくり周りを見ていきなさい。クロエの人生はまだまだ長いんじゃからの」
クロエはなぜだかわからないが、涙が溢れ出して止まらなかった。(そうだ……。私、なにを焦っていたんだろ?自分で自分自身を追い込んで……)
「クロエ、気が付けてよかったのぉ。自分だけで背負うことはないんじゃ。儂はクロエに闇魔術を教えたいと思ったからここにいる。誰にも強制されているわけではない。ルカも、ルカの目的があってここにいる。自分で決めてここにいるんじゃ、クロエのためではない。自分の目的のためにここにいる。クロエは儂らに対して心苦しい思いを持つことは不要なんじゃ」
「師匠。ありがとうございます……」
クロエは、拭いても拭いても溢れてくる涙を止めることは出来なかった。
「ルイ、儂は病気療養のために領地で静養すると噂を流しておいてくれ。そしてルカは留学したことにして……。クロエはシルバーズ侯爵の養女として迎えるため、領地で教育を受けているという体にするが、クロエに扮する者の準備はできているか?」
ルイはシルバーズ侯爵に向き直ると「はい、明朝に馬車で領地に向かう手筈になっています。領地の別邸の者には計画は伝えていませんので、本物のクロエとして対応するかと」
「よし、今のところは順調だな。何か不審なことがあれば、あれで連絡をくれ。魔力が辿られることは避けたいからな」
(「あれ」ってなんのことだろ?それに私に扮した者って……、身代わりってこと!)クロエはシルバーズ侯爵とルイの話に聞き耳を立てて、顔を青くしていた。
「クロエ。……あっ、クロエって呼んでいいか?」青い顔をしているクロエを見て、ルイが声をかけた。
「……えっ、はい。クロエとお呼びください」クロエが背の高いルイを見上げると、ルイは苦笑いをして言った。
「俺たち同じ歳だから、敬語は不要だ。俺のことはルイと呼び捨てでいい」
(はぁ!?どう見てもダン兄様より年上に見えるんですけど!)
ルイは驚いているクロエを見て、「あぁ、そう見えるかもな。ヴァンパイア人は成長が早いんだ。そして成人したらそこからはほとんど老けない。爺さんは何歳だと思う?」
「おじい様は、50……55歳ぐらいでしょうか?」シルバーズ侯爵は、おじい様と呼ぶのは申し訳ないぐらい若々しく、筋肉隆々で背も高くイケおじいという容姿である。
「120歳だよ」
「はぁ!?」(イケおじい……、恐るべし)
「ヴァンパイア人はヒューマン人に比べて、寿命も長いんだ。向こうに行ったら、ヴァンパイア国について色々教えてやるよ」
「私、ヴァンパイア国について何も知りませんでした……。ぜひ、色々おしえてください」クロエはサッと前世のお辞儀をしてしまった。
「クロエ。お前、かたいな。力はいりすぎだ。魔術の訓練より、まずは性格の矯正からだな」ルカはあきれたように苦笑いをして執事の方へ行ってしまった。
(えっ……。私、かたいかなぁ。普通にしてるつもりなんだけど。かたいって、何がかたいの?)クロエは首をひねりながら自問自答していた。
「クロエ、何をしてるんじゃ?そろそろ出発するぞ」シルバーズ侯爵はクロエの手をとり魔法陣の中に入った。
「今回は荷物もたくさんあるからの。魔法陣を使って転移する」
転移するのに色々な方法があるんだぁとクロエが興味津々で魔法陣を見ていると、いきなり景色が変わった。
「えっ!もう移動したのですか!」
「ふふふ、あっというまじゃ~。ここには執事もメイドもおらんからの。儂ら3人ですべての事をこなしていくぞ。まずは荷物を部屋に運び入れよう」
シルバーズ侯爵が指をサッと動かすと、荷物があっという間に消えた。
「えっ!」クロエが驚いた顔でシルバーズ侯爵を見上げると「すごいじゃろ?」と自慢げに言い、鼻歌を歌いながらキッチンに向かっていった。
ルカは、はぁ~っとため息をつくと、「邸内を案内してやる」といってクロエを部屋へ案内してくれた。
ルカとクロエは邸内を散策してから、キッチンに向かった。キッチンの入り口を入ると、シルバーズ侯爵は鼻歌を歌いながら、すでに昼食の準備をしていた。
「えっ!おじい様は料理がお出来になるんですか!」
「じい様の作る料理は美味いぞ」とルカは味見用の小皿にスープをすくってクロエに渡した。
「あっ、いただきます……。えっ!豚汁?」
「実は、儂も転生者じゃ。みんなには内緒じゃがの。儂が転生者ということはルイとルカしか知らん。あっ、シエラは知っておったがの」
(えぇ~~~!転生者ってこの世界に結構いるの?)
「いや、この世界に転生者はそんなにはおらんじゃろ。」
クロエは目をまん丸にして、シルバーズ侯爵を凝視した。(もしかして……)
「そう、もしかしてじゃ。まぁ、常に心が読めるわけではない。読心魔法を使わんと読めん。闇魔法はな、こんなこともできるんじゃ。面白いじゃろ。前世のアニメや映画を参考に色々と試してみたら、面白いものがたくさんできたわい。魔術は柔軟な思考と創造が大事なんじゃ」
(すごい……。闇魔法、いや他の属性もアイディア次第でものすごいことができちゃうかもしれないわ)
「おじい様、私、頑張ります。私、とんでもなく凄い師匠に魔術を教わるんだってことを実感しております」クロエは感動して、シルバーズ侯爵を尊敬のまなざしで見上げた。
「ワッハッハ!師匠か!よし、ここでは儂のことは師匠と呼びなさい。ルカもじゃぞ」
「わかったよ、師匠。それより先に昼飯食おうぜ」
みんなで師匠の素晴らしい日本食を食べた後、裏庭に面した鬱蒼と茂る森の前に移動した。
「この森は魔の森じゃ。ブラウン辺境伯にある魔の森と同じ森じゃ。うちの領地も魔の森に面しているからの」
(えっ、じゃあこの森の向こうはブラウン辺境伯領なのね!)
「これから、この森の中で修行をしていく。マジックバッグは持ったな。もしものためにそのマジックバッグには食料とポーションが入っている。いざという時はそのバッグの中を探れば3日ぐらいは生活できるぞ。あっ、簡単に建てれるテントも入っているからの。備えあれば憂いなしじゃ」
そうして3人は魔の森の中へ入り1時間程歩くと綺麗な花が一面に咲き乱れている開けた場所に着いた。
「今日はここで、魔術を繰り出す時の基本となる呼吸と姿勢を訓練する」
「呼吸と姿勢ですか……?」クロエは師匠の顔を見つめ、どういうこと?と首を傾げた。
「ん~、そうじゃなぁ。クロエは光魔法を使えるんじゃったな。よし、何でもいいから光魔法を使ってみなさい」
(ん?光魔法をここで?えーっと、あっ、あの木がいいわ)
クロエは小さな蕾をつけた背の低い木の前に立ち手のひらを蕾の前にかざすと「開花」と唱えた。すると小さな蕾の花びらがどんどん広がり、その周りにあった他の蕾も花が開いて、その木は満開になってしまった。
師匠は「なるほど……。よし、クロエのクセがわかったぞ」
(クセ?普通に立って呪文を唱えただけなんだけど……?)
「まずは姿勢。体幹も出来ているし綺麗にまっすぐに立ててはいるが、全てに力が入りすぎじゃ。自然体で無駄な力を抜いて立つと、もっと小さな魔力で大きな魔法を行使できるようになる。」
「自然体ですか……」
「例えばのう……おっ、そうじゃ。クロエは剣は使えるんだったな。クロエは剣を持つときに手に力を入れて持つか?」
「いいえ。力を入れて剣を持ってしまうと、柔軟性がなくなって剣の軌道も単純になってしまいます。そして可動域も小さくなってしまいます……あっ、そういうことか!」
「クロエは頭の回転が早いのぉ。教えがいがあるわい。そうじゃ、自然体とは無駄な力を抜いた状態で、精神も気負いのない状態。しかしボーっと突っ立っているわけではなく、上下左右360度に気を纏わせておくんじゃ。気を張るんじゃなく、ふわっと纏わせて周りにある気も感じとれるように訓練してみなさい」
(なるほど。武道の基本だったわ!魔術も同じなのね。いや、魔術だけじゃないわね、これはすべてにおいて言えることだわ。あぁ、目からうろこってやつだわ)
「師匠、ありがとうございます。私、とても大事なことを教えていただきました。常に自然体でいれるように訓練します!」
師匠は優しい瞳でクロエを見つめながら言った。
「クロエ、真面目なことは良いことかもしれないが、遊びも必要じゃ。車のハンドルになぜ「あそび」があるのかは知っておるか?ハンドルも人も余裕が無いとスムーズに道が走れないんじゃ。クロエ、焦ることはない。余裕をもってゆっくり周りを見ていきなさい。クロエの人生はまだまだ長いんじゃからの」
クロエはなぜだかわからないが、涙が溢れ出して止まらなかった。(そうだ……。私、なにを焦っていたんだろ?自分で自分自身を追い込んで……)
「クロエ、気が付けてよかったのぉ。自分だけで背負うことはないんじゃ。儂はクロエに闇魔術を教えたいと思ったからここにいる。誰にも強制されているわけではない。ルカも、ルカの目的があってここにいる。自分で決めてここにいるんじゃ、クロエのためではない。自分の目的のためにここにいる。クロエは儂らに対して心苦しい思いを持つことは不要なんじゃ」
「師匠。ありがとうございます……」
クロエは、拭いても拭いても溢れてくる涙を止めることは出来なかった。
91
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説
虐げられ令嬢、辺境の色ボケ老人の後妻になるはずが、美貌の辺境伯さまに溺愛されるなんて聞いていません!
葵 すみれ
恋愛
成り上がりの男爵家に生まれた姉妹、ヘスティアとデボラ。
美しく貴族らしい金髪の妹デボラは愛されたが、姉のヘスティアはみっともない赤毛の上に火傷の痕があり、使用人のような扱いを受けていた。
デボラは自己中心的で傲慢な性格であり、ヘスティアに対して嫌味や攻撃を繰り返す。
火傷も、デボラが負わせたものだった。
ある日、父親と元婚約者が、ヘスティアに結婚の話を持ちかける。
辺境伯家の老人が、おぼつかないくせに色ボケで、後妻を探しているのだという。
こうしてヘスティアは本人の意思など関係なく、辺境の老人の慰み者として差し出されることになった。
ところが、出荷先でヘスティアを迎えた若き美貌の辺境伯レイモンドは、後妻など必要ないと言い出す。
そう言われても、ヘスティアにもう帰る場所などない。
泣きつくと、レイモンドの叔母の提案で、侍女として働かせてもらえることになる。
いじめられるのには慣れている。
それでもしっかり働けば追い出されないだろうと、役に立とうと決意するヘスティア。
しかし、辺境伯家の人たちは親切で優しく、ヘスティアを大切にしてくれた。
戸惑うヘスティアに、さらに辺境伯レイモンドまでが、甘い言葉をかけてくる。
信じられない思いながらも、ヘスティアは少しずつレイモンドに惹かれていく。
そして、元家族には、破滅の足音が近づいていた――。
※小説家になろうにも掲載しています
【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。
捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。
クロユキ
恋愛
「俺と離婚して欲しい、君の妹が俺の子を身籠った」
パルリス侯爵家に嫁いだソフィア・ルモア伯爵令嬢は結婚生活一年目でソフィアの夫、アレック・パルリス侯爵に離婚を告げられた。結婚をして一度も寝床を共にした事がないソフィアは白いまま離婚を言われた。
夫の良き妻として尽くして来たと思っていたソフィアは悲しみのあまり自害をする事になる……
誤字、脱字があります。不定期ですがよろしくお願いします。
迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜
青空ばらみ
ファンタジー
一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。
小説家になろう様でも投稿をしております。
公爵家の半端者~悪役令嬢なんてやるよりも、隣国で冒険する方がいい~
石動なつめ
ファンタジー
半端者の公爵令嬢ベリル・ミスリルハンドは、王立学院の休日を利用して隣国のダンジョンに潜ったりと冒険者生活を満喫していた。
しかしある日、王様から『悪役令嬢役』を押し付けられる。何でも王妃様が最近悪役令嬢を主人公とした小説にはまっているのだとか。
冗談ではないと断りたいが権力には逆らえず、残念な演技力と棒読みで悪役令嬢役をこなしていく。
自分からは率先して何もする気はないベリルだったが、その『役』のせいでだんだんとおかしな状況になっていき……。
※小説家になろうにも掲載しています。
【完結】五度の人生を不幸な出来事で幕を閉じた転生少女は、六度目の転生で幸せを掴みたい!
アノマロカリス
ファンタジー
「ノワール・エルティナス! 貴様とは婚約破棄だ!」
ノワール・エルティナス伯爵令嬢は、アクード・ベリヤル第三王子に婚約破棄を言い渡される。
理由を聞いたら、真実の相手は私では無く妹のメルティだという。
すると、アクードの背後からメルティが現れて、アクードに肩を抱かれてメルティが不敵な笑みを浮かべた。
「お姉様ったら可哀想! まぁ、お姉様より私の方が王子に相応しいという事よ!」
ノワールは、アクードの婚約者に相応しくする為に、様々な事を犠牲にして尽くしたというのに、こんな形で裏切られるとは思っていなくて、ショックで立ち崩れていた。
その時、頭の中にビジョンが浮かんできた。
最初の人生では、日本という国で淵東 黒樹(えんどう くろき)という女子高生で、ゲームやアニメ、ファンタジー小説好きなオタクだったが、学校の帰り道にトラックに刎ねられて死んだ人生。
2度目の人生は、異世界に転生して日本の知識を駆使して…魔女となって魔法や薬学を発展させたが、最後は魔女狩りによって命を落とした。
3度目の人生は、王国に使える女騎士だった。
幾度も国を救い、活躍をして行ったが…最後は王族によって魔物侵攻の盾に使われて死亡した。
4度目の人生は、聖女として国を守る為に活動したが…
魔王の供物として生贄にされて命を落とした。
5度目の人生は、城で王族に使えるメイドだった。
炊事・洗濯などを完璧にこなして様々な能力を駆使して、更には貴族の妻に抜擢されそうになったのだが…同期のメイドの嫉妬により捏造の罪をなすりつけられて処刑された。
そして6度目の現在、全ての前世での記憶が甦り…
「そうですか、では婚約破棄を快く受け入れます!」
そう言って、ノワールは城から出て行った。
5度による浮いた話もなく死んでしまった人生…
6度目には絶対に幸せになってみせる!
そう誓って、家に帰ったのだが…?
一応恋愛として話を完結する予定ですが…
作品の内容が、思いっ切りファンタジー路線に行ってしまったので、ジャンルを恋愛からファンタジーに変更します。
今回はHOTランキングは最高9位でした。
皆様、有り難う御座います!
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる