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6. ヴァンパイア国に行く前に...
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クロエの誕生日の日に、これからのクロエの進路についてみんなで話し合いをし、クロエが7歳になってから3年間、シルバーズ侯爵の下で闇魔法を学ぶことになった。そしてシルバーズ侯爵からもクロエがヴァンパイア国に来るまでに、すべての守りを整えるから安心して来なさいと丁寧な手紙が届いた。
クロエはヴァンパイア国に行くまでの2年間をどう過ごしていこうかと考えていた。
「何をしたらいいかしら……?光魔法の訓練は続けるとして、他にも何か私に出来ることはあるかな……」
窓辺から庭を眺めながらクロエが色々考えていると、ロイがクロエの部屋をノックして入ってきた。
「クロエ、ちょっと教えてほしいことがあるんだけど、今いいか?」
「ロイ兄様!どうしたんですか?」
「実はな、クロエがヴァンパイア国に行っている間に、俺も何か出来ることがあるんじゃないかと思ってさぁ。俺は魔道具が好きだろ?だから、辺境伯騎士団や魔術師団の補助になるような魔道具を開発しようと考えたんだ。だけどなかなかいいアイディアが浮かばなくてさぁ。そこで、クロエが前世でいた世界の話を思い出したんだ。クロエが前世で住んでいた世界は技術がかなり高度だったんだろ?だからさ、その前世で使われていた武器みたいなのがあれば教えてほしいんだ」
「ロイ兄様、凄いわ!ロイ兄様にしか出来ないことよ!わかった、すぐにリストアップしてみるわね!」
「クロエありがとう!俺もやるぜー!」
コンコンと、開いているドアをノックする音が聞こえて振り返ると、ダンがドアに寄りかかって立っていた。
「ロイ、いいじゃねぇーか!俺も協力するぜ!」
「ダン兄、聞いてたのかよ~」
「実は俺も同じこと考えてたんだ。俺は魔道具とかは詳しくないから、魔術の技術を上げていこうと思ってさ。クロエが前世の話してた時に『科学』っていう視点からみた魔術について話をしていたことがあっただろ?それで、俺らが持っている属性の原理とか仕組みを基にして、新しい魔術を開発できないかなと思ったんだ。例えばさ、雷は電気っていうもので出来てて、水は電気で分解できるんだろ?俺は雷と水の属性持ってるから、これをうまく組み合わせたらちょっといける新魔術出来るかなと思ってさぁ。だからもっと詳しく色んな属性について調べて、どんな属性にも負けない新魔術を作りたいんだ。」
「ダン兄!それ、いいアイディアだよ!俺の魔道具にもその『科学』ってやつ必要だわ!クロエ、俺たちに『科学』について教えてくれるか?」
「もちろんです!私の持っている知識はすべてお兄様たちにお教えします!」
3人で夢中で話しをしていると、辺境伯夫妻が部屋にやってきた。
「おぉ~、楽しそうな話をしてるいるなぁ」
「お父様!」
「クロエ、私たちにも、その『科学』を教えてほしいわ。今までの魔術にそんな概念はなかったもの。ぜひ私も魔術開発に取り組んでみたいわ。そして治癒魔法の技術を上げるために、前世の医学についても教えてほしいの」
「お母様!そうですね、私の知っていることすべて、この2年間でみんなにお教えさせてください!」
「俺たちのやるべきことが見えたな!クロエ、よろしく頼むぞ」
「はい、お父様!そうとなったら、これから部屋に籠って、私の前世の知識をすべてを紙にまとめてまいります!」
クロエは自室に駆け込むと紙とペンを取り出し、前世の知識を思い出しながら、この世界でも使えそうなことを片っ端から書き出した。どんどんアイディアが溢れてきて食事もとらずに机に向かっていると、部屋から出てこないクロエを心配して、ダンとロイはせっせと食事を運んでクロエの口に食べ物を入れていた。
* * *
一週間後の朝、クロエは目の下に真っ黒なクマを張り付けながらみんなが集まっていた朝食の席についた。
「おはようございます……」
「おぉ~!クロエ、ようやく部屋から出てきたのか!目の下のクマが凄いことになっているぞ!」
辺境伯夫妻は心配そうにクロエを見ていたが、ダンとロイは満面の笑みで「できたのか!」とクロエを見つめた。
「はい、お待たせしました。ロイ兄様が作った複写の魔道具で全員分を冊子にしてまとめてありますので、後程お渡しします」
「そうか、クロエありがとう!よし、ここからは俺たちの番だから、クロエはゆっくり休んでくれよ!」ダンとロイは目をキラキラさせて朝食を急いで食べた。
「クロエ、ありがとう。今日はゆっくり休みなさいね。クロエの作った冊子を読み込んで、わからないところは夕食後にクロエに質問する時間を作るのはどうかしら」
「そうだな。各自の進捗もそこで報告し合いながら進めていこう」
「あっ、お父様、お母様。私、お願いがあるのです。調理場で料理を試作したいのですが、調理場に入る許可をいただきたいのです」
「クロエ、料理できるのか?」辺境伯は不安そうに尋ねた。
「はい、前世では料理は得意な方でした。前世で人気だった料理をこちらでも作ってみたいんです。そして前世の世界では携帯食も充実していたので、それも試作してみたくて。こちらの世界でも討伐に行く際に持っていく携帯食に干し肉等はありますが、前世の世界にあった『お湯を注ぐだけで出来るスープ』や『栄養たっぷりのクッキー』のようなものも作れたら、討伐時の携帯食や冬の間の保存食にもなるのではないかと思ったんです」
クロエは前世の知識をまとていた際に、前世の食べ物について思い出し、この辺境伯領で活かせるのではないかと考えていた。
「ほう、それは興味深いな。料理長と一緒に作業するならいいだろう。前世で得意だったといっても、まだクロエは5歳だし心配だからな」
「ありがとうございます!うふふ、作りたいものがたくさんあるんです!お兄様も楽しみにしててくださいね」
「何を作ってくれるんだ?」ダンとロイはさらに目をキラキラさせてクロエを見た。
「まずは、今日のおやつですね。ん~、甘いものとしょっぱい物……?あっ、プリンとポテトチップスを作ります。お父様とお母様にも、お茶の時間にお持ちします」
「楽しみだわ!あっ、クロエ、少し休まなくていいの?」
「はい!アイディアが浮かびすぎて、じっとしていられません!でも今日は早く寝ます」
「クロエ、無理しないようにな」
「はい!」
辺境伯夫妻は、子供たちのイキイキとしている姿を微笑ましく見ていた。
* * *
クロエは朝食の後、前世の料理を作るために調理場へ向かっていた。
「おっ!クロエ様、お待ちしてましたよ。旦那様からはお話を聞いておりますので、遠慮なく私をアシスタントにお使いください」
「料理長、ありがとうございます!」
「今日は、手始めに簡単なおやつを2種類作りたいんです。ジャガイモと、卵と……」
料理長や他の調理師たちもクロエの周りに集まって、興味深くクロエの作業を見ながら手伝いをしてくれていた。クロエは、調理場のみんなにも味見をしてもらうために多めに作り、2時間ほどかかって料理が完成した。
「おぉ~!これがポテトチップスですか!」料理長や調理場のみんなが次々に味見して、初めに揚げたポテトチップスは味見でなくなってしまった。
「これは、エールが欲しくなる!芋と塩だけの調理で簡単なのに、食感も良くて、酒のツマミには最高だな!これは騎士団の人気メニューになりそうだ!」
「クロエ様、旦那様方と坊ちゃん達の分は、お茶の時間用に再度作りますね。これは今日の騎士団の夕食にも添えてあげましょう。みんな今日は酒がすすむぞ!」
プリンも、ロイが作った冷蔵の魔道具で冷やしてある。クロエは前世で大好きたったプリンとポテトチップスが食べれるのが楽しみでニマニマと顔が緩みっぱなしだった。
そして今日のお茶の時間は辺境伯夫妻達全員が集まると、執事が調理場までクロエに伝えに来てくれた。
「クロエ~!もう出来たのか~!」ダンとロイは走ってお茶の準備のしてある談話室に入ってきた。
「旦那様と奥様ももう少しで参ります」執事がそう言うと、メイドがテーブルにポテトチップスとプリンを並べてくれた。
「遅くなってすまない!」辺境伯夫妻は部屋に入ると前世の料理に興味津々でテーブルの上を見ていた。
「これが前世の料理なのね!さぁ、早く頂きましょう!」
ダンとロイは、慎重にスプーンでプリンをすくい口に入れると、目をまん丸に見開いて「うま~い!プルプルで口の中で溶けてなくなった~!」と目をキラキラしながら食べていた。
「どれ、私はこの芋から……。んっ!」辺境伯は、後ろに立っていた執事に向き直ると、「エールをもってきてくれ」と真顔で指示していた。
辺境伯夫人は無言でプリンを食べていたが、「クロエ、これお代わりあるかしら?」とこっそりクロエに聞いていた。
クロエは、前世の料理もこの辺境伯で受け入れられると確信し、ヴァンパイア国に行くまでの2年の間に、ブラウン辺境伯領に新しい料理を伝授していこうと心に決めたのであった。
クロエはヴァンパイア国に行くまでの2年間をどう過ごしていこうかと考えていた。
「何をしたらいいかしら……?光魔法の訓練は続けるとして、他にも何か私に出来ることはあるかな……」
窓辺から庭を眺めながらクロエが色々考えていると、ロイがクロエの部屋をノックして入ってきた。
「クロエ、ちょっと教えてほしいことがあるんだけど、今いいか?」
「ロイ兄様!どうしたんですか?」
「実はな、クロエがヴァンパイア国に行っている間に、俺も何か出来ることがあるんじゃないかと思ってさぁ。俺は魔道具が好きだろ?だから、辺境伯騎士団や魔術師団の補助になるような魔道具を開発しようと考えたんだ。だけどなかなかいいアイディアが浮かばなくてさぁ。そこで、クロエが前世でいた世界の話を思い出したんだ。クロエが前世で住んでいた世界は技術がかなり高度だったんだろ?だからさ、その前世で使われていた武器みたいなのがあれば教えてほしいんだ」
「ロイ兄様、凄いわ!ロイ兄様にしか出来ないことよ!わかった、すぐにリストアップしてみるわね!」
「クロエありがとう!俺もやるぜー!」
コンコンと、開いているドアをノックする音が聞こえて振り返ると、ダンがドアに寄りかかって立っていた。
「ロイ、いいじゃねぇーか!俺も協力するぜ!」
「ダン兄、聞いてたのかよ~」
「実は俺も同じこと考えてたんだ。俺は魔道具とかは詳しくないから、魔術の技術を上げていこうと思ってさ。クロエが前世の話してた時に『科学』っていう視点からみた魔術について話をしていたことがあっただろ?それで、俺らが持っている属性の原理とか仕組みを基にして、新しい魔術を開発できないかなと思ったんだ。例えばさ、雷は電気っていうもので出来てて、水は電気で分解できるんだろ?俺は雷と水の属性持ってるから、これをうまく組み合わせたらちょっといける新魔術出来るかなと思ってさぁ。だからもっと詳しく色んな属性について調べて、どんな属性にも負けない新魔術を作りたいんだ。」
「ダン兄!それ、いいアイディアだよ!俺の魔道具にもその『科学』ってやつ必要だわ!クロエ、俺たちに『科学』について教えてくれるか?」
「もちろんです!私の持っている知識はすべてお兄様たちにお教えします!」
3人で夢中で話しをしていると、辺境伯夫妻が部屋にやってきた。
「おぉ~、楽しそうな話をしてるいるなぁ」
「お父様!」
「クロエ、私たちにも、その『科学』を教えてほしいわ。今までの魔術にそんな概念はなかったもの。ぜひ私も魔術開発に取り組んでみたいわ。そして治癒魔法の技術を上げるために、前世の医学についても教えてほしいの」
「お母様!そうですね、私の知っていることすべて、この2年間でみんなにお教えさせてください!」
「俺たちのやるべきことが見えたな!クロエ、よろしく頼むぞ」
「はい、お父様!そうとなったら、これから部屋に籠って、私の前世の知識をすべてを紙にまとめてまいります!」
クロエは自室に駆け込むと紙とペンを取り出し、前世の知識を思い出しながら、この世界でも使えそうなことを片っ端から書き出した。どんどんアイディアが溢れてきて食事もとらずに机に向かっていると、部屋から出てこないクロエを心配して、ダンとロイはせっせと食事を運んでクロエの口に食べ物を入れていた。
* * *
一週間後の朝、クロエは目の下に真っ黒なクマを張り付けながらみんなが集まっていた朝食の席についた。
「おはようございます……」
「おぉ~!クロエ、ようやく部屋から出てきたのか!目の下のクマが凄いことになっているぞ!」
辺境伯夫妻は心配そうにクロエを見ていたが、ダンとロイは満面の笑みで「できたのか!」とクロエを見つめた。
「はい、お待たせしました。ロイ兄様が作った複写の魔道具で全員分を冊子にしてまとめてありますので、後程お渡しします」
「そうか、クロエありがとう!よし、ここからは俺たちの番だから、クロエはゆっくり休んでくれよ!」ダンとロイは目をキラキラさせて朝食を急いで食べた。
「クロエ、ありがとう。今日はゆっくり休みなさいね。クロエの作った冊子を読み込んで、わからないところは夕食後にクロエに質問する時間を作るのはどうかしら」
「そうだな。各自の進捗もそこで報告し合いながら進めていこう」
「あっ、お父様、お母様。私、お願いがあるのです。調理場で料理を試作したいのですが、調理場に入る許可をいただきたいのです」
「クロエ、料理できるのか?」辺境伯は不安そうに尋ねた。
「はい、前世では料理は得意な方でした。前世で人気だった料理をこちらでも作ってみたいんです。そして前世の世界では携帯食も充実していたので、それも試作してみたくて。こちらの世界でも討伐に行く際に持っていく携帯食に干し肉等はありますが、前世の世界にあった『お湯を注ぐだけで出来るスープ』や『栄養たっぷりのクッキー』のようなものも作れたら、討伐時の携帯食や冬の間の保存食にもなるのではないかと思ったんです」
クロエは前世の知識をまとていた際に、前世の食べ物について思い出し、この辺境伯領で活かせるのではないかと考えていた。
「ほう、それは興味深いな。料理長と一緒に作業するならいいだろう。前世で得意だったといっても、まだクロエは5歳だし心配だからな」
「ありがとうございます!うふふ、作りたいものがたくさんあるんです!お兄様も楽しみにしててくださいね」
「何を作ってくれるんだ?」ダンとロイはさらに目をキラキラさせてクロエを見た。
「まずは、今日のおやつですね。ん~、甘いものとしょっぱい物……?あっ、プリンとポテトチップスを作ります。お父様とお母様にも、お茶の時間にお持ちします」
「楽しみだわ!あっ、クロエ、少し休まなくていいの?」
「はい!アイディアが浮かびすぎて、じっとしていられません!でも今日は早く寝ます」
「クロエ、無理しないようにな」
「はい!」
辺境伯夫妻は、子供たちのイキイキとしている姿を微笑ましく見ていた。
* * *
クロエは朝食の後、前世の料理を作るために調理場へ向かっていた。
「おっ!クロエ様、お待ちしてましたよ。旦那様からはお話を聞いておりますので、遠慮なく私をアシスタントにお使いください」
「料理長、ありがとうございます!」
「今日は、手始めに簡単なおやつを2種類作りたいんです。ジャガイモと、卵と……」
料理長や他の調理師たちもクロエの周りに集まって、興味深くクロエの作業を見ながら手伝いをしてくれていた。クロエは、調理場のみんなにも味見をしてもらうために多めに作り、2時間ほどかかって料理が完成した。
「おぉ~!これがポテトチップスですか!」料理長や調理場のみんなが次々に味見して、初めに揚げたポテトチップスは味見でなくなってしまった。
「これは、エールが欲しくなる!芋と塩だけの調理で簡単なのに、食感も良くて、酒のツマミには最高だな!これは騎士団の人気メニューになりそうだ!」
「クロエ様、旦那様方と坊ちゃん達の分は、お茶の時間用に再度作りますね。これは今日の騎士団の夕食にも添えてあげましょう。みんな今日は酒がすすむぞ!」
プリンも、ロイが作った冷蔵の魔道具で冷やしてある。クロエは前世で大好きたったプリンとポテトチップスが食べれるのが楽しみでニマニマと顔が緩みっぱなしだった。
そして今日のお茶の時間は辺境伯夫妻達全員が集まると、執事が調理場までクロエに伝えに来てくれた。
「クロエ~!もう出来たのか~!」ダンとロイは走ってお茶の準備のしてある談話室に入ってきた。
「旦那様と奥様ももう少しで参ります」執事がそう言うと、メイドがテーブルにポテトチップスとプリンを並べてくれた。
「遅くなってすまない!」辺境伯夫妻は部屋に入ると前世の料理に興味津々でテーブルの上を見ていた。
「これが前世の料理なのね!さぁ、早く頂きましょう!」
ダンとロイは、慎重にスプーンでプリンをすくい口に入れると、目をまん丸に見開いて「うま~い!プルプルで口の中で溶けてなくなった~!」と目をキラキラしながら食べていた。
「どれ、私はこの芋から……。んっ!」辺境伯は、後ろに立っていた執事に向き直ると、「エールをもってきてくれ」と真顔で指示していた。
辺境伯夫人は無言でプリンを食べていたが、「クロエ、これお代わりあるかしら?」とこっそりクロエに聞いていた。
クロエは、前世の料理もこの辺境伯で受け入れられると確信し、ヴァンパイア国に行くまでの2年の間に、ブラウン辺境伯領に新しい料理を伝授していこうと心に決めたのであった。
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