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第7話 異変の始まり ※アーベルト視点
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アーベルトが目を覚ました時、違和感があった。いつもと違う位置に太陽が見えたから。
どうやら寝過ごしたらしい。いつもは誰かが起こしに来るのに、今朝は来なかったのか。しかも、起きる時間が過ぎているようなのに、誰も王子である自分を起こしに来なかったのか。
どういうことか、意味が分からないアーベルト。今回が初めての事だった。慌てて起き上がり、横で寝ていたニアミーナを起こした。
「おい! もう昼前だぞ!」
しかし、ニアミーナは起きない。揺すって起こそうとしたが、それでも彼女は起きなかった。
「おい、ニアミーナ。おい! ……ったく」
仕方なくアーベルトは、寝ているニアミーナを放置して自分で着替える。やはり、部屋には誰も来ない。自分で着替えるなんて、担当のメイドは仕事を放って何をしているのか。サボっているんじゃないか。
着替えが終わり、部屋を出る前にもう一度確認した。その時、ようやく彼女が起きてきた。
「……あれ? おはようございます」
「お前なぁ。早く起きて、出る支度をしろよ」
「えっと……、はい?」
ニアミーナは、まだ眠いのか目を擦りながら首を傾げる。
仕方ないから、今日は学園を休むことにするか。今から行っても意味がないだろうから。
「今日は学園に行かないんですか?」
「ああ、今日は休みにする」
「そうですか……。じゃあ、私はもう一休みします。なんだか、とても眠くて……」
ニアミーナはそう言うと、ベッドに戻っていった。そんなに寝るなんて、よっぽど昨日の出来事で疲れているのか。それにしても、二度寝は無いんじゃないか。
だけど注意なんてせずに、彼女の好きにさせておこうかな。
二度寝する彼女に呆れた表情を浮かべたアーベルトだったが、すぐに気持ちを切り替えると一人で部屋を出た。
遅い朝食をとるために。ついでに、起こしに来なかったメイドを怒るために今朝の担当者を探すことにした。
食堂に到着すると、メイドたちが慌てて動き回っていた。アーベルトの姿を見ると、一人のメイドが駆け寄ってくる。
「お、王子殿下っ!? お一人ですか?」
「ああ。今朝は誰も起こしに来なかったからな。着替えも、ここまで来るのも一人で済ませた」
「も、申し訳ございません!! 昨晩は皆、遅くまで仕事をしておりまして……」
「そんなことはいい。それよりも、なぜ今朝は誰も俺を起こしに来なかったんだ?」
仕事というのは、誕生日パーティーの片付けをしていたのか。それにしても時間がかかり過ぎじゃないか。メイドの質も落ちたな。そんな事を考えながら、今朝の件について詰問する。
「いえ、それが……」
「どうした?」
普段であれば、即刻クビを言い渡すような失敗だろう。けれどアーベルトは事情を聞くことを優先した。どうやら、この屋敷で何か非常事態が起きているらしい。
それを聞いてから、どうするのか判断する。
「それが、屋敷からメイド数名が居なくなっていまして……」
「メイドが居なくなった? どういうことだ?」
どうやら寝過ごしたらしい。いつもは誰かが起こしに来るのに、今朝は来なかったのか。しかも、起きる時間が過ぎているようなのに、誰も王子である自分を起こしに来なかったのか。
どういうことか、意味が分からないアーベルト。今回が初めての事だった。慌てて起き上がり、横で寝ていたニアミーナを起こした。
「おい! もう昼前だぞ!」
しかし、ニアミーナは起きない。揺すって起こそうとしたが、それでも彼女は起きなかった。
「おい、ニアミーナ。おい! ……ったく」
仕方なくアーベルトは、寝ているニアミーナを放置して自分で着替える。やはり、部屋には誰も来ない。自分で着替えるなんて、担当のメイドは仕事を放って何をしているのか。サボっているんじゃないか。
着替えが終わり、部屋を出る前にもう一度確認した。その時、ようやく彼女が起きてきた。
「……あれ? おはようございます」
「お前なぁ。早く起きて、出る支度をしろよ」
「えっと……、はい?」
ニアミーナは、まだ眠いのか目を擦りながら首を傾げる。
仕方ないから、今日は学園を休むことにするか。今から行っても意味がないだろうから。
「今日は学園に行かないんですか?」
「ああ、今日は休みにする」
「そうですか……。じゃあ、私はもう一休みします。なんだか、とても眠くて……」
ニアミーナはそう言うと、ベッドに戻っていった。そんなに寝るなんて、よっぽど昨日の出来事で疲れているのか。それにしても、二度寝は無いんじゃないか。
だけど注意なんてせずに、彼女の好きにさせておこうかな。
二度寝する彼女に呆れた表情を浮かべたアーベルトだったが、すぐに気持ちを切り替えると一人で部屋を出た。
遅い朝食をとるために。ついでに、起こしに来なかったメイドを怒るために今朝の担当者を探すことにした。
食堂に到着すると、メイドたちが慌てて動き回っていた。アーベルトの姿を見ると、一人のメイドが駆け寄ってくる。
「お、王子殿下っ!? お一人ですか?」
「ああ。今朝は誰も起こしに来なかったからな。着替えも、ここまで来るのも一人で済ませた」
「も、申し訳ございません!! 昨晩は皆、遅くまで仕事をしておりまして……」
「そんなことはいい。それよりも、なぜ今朝は誰も俺を起こしに来なかったんだ?」
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「いえ、それが……」
「どうした?」
普段であれば、即刻クビを言い渡すような失敗だろう。けれどアーベルトは事情を聞くことを優先した。どうやら、この屋敷で何か非常事態が起きているらしい。
それを聞いてから、どうするのか判断する。
「それが、屋敷からメイド数名が居なくなっていまして……」
「メイドが居なくなった? どういうことだ?」
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