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第15話 人手不足の対策は ※宰相候補の男視点
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次から次へと雑務が舞い込んでくる。それを処理している間に、1日が終わってしまう。そして翌日になり、次の面倒な仕事が増えていく。いつまでも終わりがない。あっちもこっちも、人手不足だった。
こんなもの、俺が処理するような仕事じゃないぞ。さっさと誰かに押し付けたい。しかし、誰もやりたがらない。俺だってそうなのに。貧乏くじを引かされた。
「トゥーサン様、次の仕事は――」
「予定通り、こっちに回ってくれ。それが終われば、あっちの――」
「終わりました。次は――」
「いや、それは来週でいいだろう。先に、あれの処理を――」
「トゥーサン様、予定の件ですが――」
「今やっている。あとで確認するから、そこに置いておいてくれ」
これじゃあ、アルメルに会いに行く時間もないじゃないか。本当はもっと彼女に会いに行って、楽しく話がしたいのに。彼女と一緒に過ごす時間を楽しみたいのに。
早急に、人手を増やす必要がある。しかも、俺が集める必要がありそうだ。人任せにしていると、いつまでたっても今のまま何も変わらない可能性が高い。
このままじゃ、死ぬまで俺は面倒な仕事を押し付けられたまま。宰相の座も、他の誰かに奪われてしまう可能性がある。そうなってしまったら、いよいよ終わりだな。今すぐ対処しなければ。
以前のように、デュノア家が派遣していた使用人たちを王城に戻すことは出来ないか。それが一番、手っ取り早いだろうな。前の環境に戻す。彼女の報復も、そろそろ満足しただろう。今は、王城の管理が大事なんだから。
王国のために、今こそデュノア家は忠誠心を示すべきだ。そのためなら、俺も謝罪しよう。リゼットとの婚約破棄は、決定事項だが。
使用人の派遣について、デュノア家と交渉しようとした。しかし。
「なんてことだ……!」
デュノア家からの返事は、拒否。彼らは交渉の場にすら出てこなかった。元婚約者の実家を頼るのは無理そうだ。まだ、許すつもりはないらしい。
婚約破棄の件で、そんなに激しく怒っているだなんて。失敗したな。もう少し気を遣って婚約破棄を告げるべきだったかな。いつ、怒りがおさまるのかもわからない。これじゃあ、やはり他を探さないといけない。面倒なことだ。
アルメルの実家は、どうだろうか。残念ながら、彼女の家は歴史が浅かった。過去に使用人を派遣したなんて実績もない。王城で働けるような使用人を育てるノウハウは持っていないだろう。人は集められるだろうが、質は劣るだろう。そんな人間に、王城の仕事は任せられない。
しばらく時間をかけて、一からじっくり育成していくしかないのか。それまでに、どれだけの時間が必要になるだろう。考えるだけ嫌になる。
「はぁ……」
「トゥーサン様、次の指示を!」
「わかっている! 次は――」
仕事に終わりはない。早く、ここを担当できる人員を用意しなければ。俺の代わりになるような、能力のある人間を。
残念ながら王城の人手不足は、今すぐには解決できない厄介な問題だった。
こんなもの、俺が処理するような仕事じゃないぞ。さっさと誰かに押し付けたい。しかし、誰もやりたがらない。俺だってそうなのに。貧乏くじを引かされた。
「トゥーサン様、次の仕事は――」
「予定通り、こっちに回ってくれ。それが終われば、あっちの――」
「終わりました。次は――」
「いや、それは来週でいいだろう。先に、あれの処理を――」
「トゥーサン様、予定の件ですが――」
「今やっている。あとで確認するから、そこに置いておいてくれ」
これじゃあ、アルメルに会いに行く時間もないじゃないか。本当はもっと彼女に会いに行って、楽しく話がしたいのに。彼女と一緒に過ごす時間を楽しみたいのに。
早急に、人手を増やす必要がある。しかも、俺が集める必要がありそうだ。人任せにしていると、いつまでたっても今のまま何も変わらない可能性が高い。
このままじゃ、死ぬまで俺は面倒な仕事を押し付けられたまま。宰相の座も、他の誰かに奪われてしまう可能性がある。そうなってしまったら、いよいよ終わりだな。今すぐ対処しなければ。
以前のように、デュノア家が派遣していた使用人たちを王城に戻すことは出来ないか。それが一番、手っ取り早いだろうな。前の環境に戻す。彼女の報復も、そろそろ満足しただろう。今は、王城の管理が大事なんだから。
王国のために、今こそデュノア家は忠誠心を示すべきだ。そのためなら、俺も謝罪しよう。リゼットとの婚約破棄は、決定事項だが。
使用人の派遣について、デュノア家と交渉しようとした。しかし。
「なんてことだ……!」
デュノア家からの返事は、拒否。彼らは交渉の場にすら出てこなかった。元婚約者の実家を頼るのは無理そうだ。まだ、許すつもりはないらしい。
婚約破棄の件で、そんなに激しく怒っているだなんて。失敗したな。もう少し気を遣って婚約破棄を告げるべきだったかな。いつ、怒りがおさまるのかもわからない。これじゃあ、やはり他を探さないといけない。面倒なことだ。
アルメルの実家は、どうだろうか。残念ながら、彼女の家は歴史が浅かった。過去に使用人を派遣したなんて実績もない。王城で働けるような使用人を育てるノウハウは持っていないだろう。人は集められるだろうが、質は劣るだろう。そんな人間に、王城の仕事は任せられない。
しばらく時間をかけて、一からじっくり育成していくしかないのか。それまでに、どれだけの時間が必要になるだろう。考えるだけ嫌になる。
「はぁ……」
「トゥーサン様、次の指示を!」
「わかっている! 次は――」
仕事に終わりはない。早く、ここを担当できる人員を用意しなければ。俺の代わりになるような、能力のある人間を。
残念ながら王城の人手不足は、今すぐには解決できない厄介な問題だった。
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