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第2話 逆ハーレムの当て馬女子
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「その顔は、ダメだったみたいねエレノラ」
「えぇ。ダメだったわよ、リゼット。私も、婚約破棄を告げられたわ」
「フフフ。つまり、予定通りということね」
部屋に入るなり、そんな言葉を投げかけられた私は、思わず嘆息して答える。私の反応をニヤニヤと笑みを浮かべて楽しんでいる女性は、次期宰相候補だった男の元婚約相手リゼットである。
リゼットも、次期宰相候補であるトゥーサンも、私が記憶している乙女ゲームの登場人物だった。そして、記憶通りの結末を迎えている。
「でも、あんなに色々と予想して準備してきたのに、結局そうなってしまったのね」
「仕方ないじゃない。あの女の行動が、上手く行き過ぎてるのよ。それに、貴女も同じようなものじゃないの」
「私は違うわよ。次期宰相候補様は、見る目がなかっただけ。あんな女なんかに惚れ込んで、私の言葉なんて無視して婚約破棄だなんて。もう少し賢い人だと思ってたのにねぇ」
リゼットと笑顔を浮かべながら軽口を叩きあう。私は自分が失敗したこと、そしてリゼットも上手くいかなかったことをあらためて確認した。
そして、そんな私たちの様子を眺めながらため息を漏らしているのが、王国の外交官候補だった男に婚約を破棄されたフローラである。
「ねぇ、どうして2人はそんなに楽しそうにしゃべってるのよ? 私は今の状況が、不安で不安でしょうがないんだけど?」
「あら、不安なのは私だって同じだけど。ねぇ、エレノラ」
言葉通り不安そうにしているフローラに、リゼットが答える。それから私に同意を求めるように視線を向けてきたので、頷いて答えた。
「そうね。起こってしまったことは仕方ないわよ。それよりも、今からどうするかを考えないと」
「まぁ、そうだけどね」
私の言葉に頷くフローラ。そんな会話をしている横では、1人の女性がしくしくと泣いていた。
「うぅ、クロヴィスさま……。どうして、あんな女を……」
「もう、マリン。そろそろ、泣き止みなさいよ」
「だってぇ、ルシールぅぅぅ」
泣いているのは、宮廷魔術師の次期長の地位を約束されていた男の元婚約者であるマリン。婚約破棄を告げられたのは、ずいぶんと前のこと。だけど心の傷が癒えず、今も引きずっている。そんな彼女のことを慰めている女性が、次の騎士団長の地位に就く予定である男の元婚約者ルシール。
マリンもルシールも、ゲームの物語と同じように婚約破棄を告げられた。運命を変えることは出来なかった。特にマリンについては、どうにかしてあげたかったんだけどなぁ。
「ほら、そこの2人も。一緒に、これからのことについて話し合いましょう」
「……うん」
マリンは、真っ赤な目で小さくうなずいた。ちゃんと立ち直れたら良いけど。心配だ。
「きっと、これから先は大変よ。それでも、みんなで協力すればなんとかなると思うわ」
「そうよね。私たちは、仲間なんだから」
ルシールは前向きに考えようとしている。彼女の明るさは、とても頼りになる。
「婚約を破棄された者同士の仲間ってことかしら? なんだか、嫌な響きだわ」
リゼットが不満そうに唇を尖らせる。それに対して、私は思わず苦笑いを浮かべた。
「それは否定できない事実ね。でも、それがあったからこそ私たちは仲間になれた。そうでしょう、みんな!」
「……それもそうね。それじゃあ、気を取り直して今後の方針について話を進めましょ」
私の呼びかけに応えて、みんなが真剣な表情になる。
この部屋には、未来を約束されている有望な男たちの婚約相手だった女性が集まっていた。しかし、全員が婚約を破棄されている。あのヒロインが男たちを虜にして、私たちは婚約破棄を告げられた。
同じ境遇の彼女たちを集めたのは私。同じように、原作のストーリーによって人生を狂わされた彼女たちを、私は放っておけなかった。
婚約破棄を告げられたという傷を持つ者同士で協力して、これから共に前を向いて歩んでいくつもりだ。幸せな人生を送れるように。
「えぇ。ダメだったわよ、リゼット。私も、婚約破棄を告げられたわ」
「フフフ。つまり、予定通りということね」
部屋に入るなり、そんな言葉を投げかけられた私は、思わず嘆息して答える。私の反応をニヤニヤと笑みを浮かべて楽しんでいる女性は、次期宰相候補だった男の元婚約相手リゼットである。
リゼットも、次期宰相候補であるトゥーサンも、私が記憶している乙女ゲームの登場人物だった。そして、記憶通りの結末を迎えている。
「でも、あんなに色々と予想して準備してきたのに、結局そうなってしまったのね」
「仕方ないじゃない。あの女の行動が、上手く行き過ぎてるのよ。それに、貴女も同じようなものじゃないの」
「私は違うわよ。次期宰相候補様は、見る目がなかっただけ。あんな女なんかに惚れ込んで、私の言葉なんて無視して婚約破棄だなんて。もう少し賢い人だと思ってたのにねぇ」
リゼットと笑顔を浮かべながら軽口を叩きあう。私は自分が失敗したこと、そしてリゼットも上手くいかなかったことをあらためて確認した。
そして、そんな私たちの様子を眺めながらため息を漏らしているのが、王国の外交官候補だった男に婚約を破棄されたフローラである。
「ねぇ、どうして2人はそんなに楽しそうにしゃべってるのよ? 私は今の状況が、不安で不安でしょうがないんだけど?」
「あら、不安なのは私だって同じだけど。ねぇ、エレノラ」
言葉通り不安そうにしているフローラに、リゼットが答える。それから私に同意を求めるように視線を向けてきたので、頷いて答えた。
「そうね。起こってしまったことは仕方ないわよ。それよりも、今からどうするかを考えないと」
「まぁ、そうだけどね」
私の言葉に頷くフローラ。そんな会話をしている横では、1人の女性がしくしくと泣いていた。
「うぅ、クロヴィスさま……。どうして、あんな女を……」
「もう、マリン。そろそろ、泣き止みなさいよ」
「だってぇ、ルシールぅぅぅ」
泣いているのは、宮廷魔術師の次期長の地位を約束されていた男の元婚約者であるマリン。婚約破棄を告げられたのは、ずいぶんと前のこと。だけど心の傷が癒えず、今も引きずっている。そんな彼女のことを慰めている女性が、次の騎士団長の地位に就く予定である男の元婚約者ルシール。
マリンもルシールも、ゲームの物語と同じように婚約破棄を告げられた。運命を変えることは出来なかった。特にマリンについては、どうにかしてあげたかったんだけどなぁ。
「ほら、そこの2人も。一緒に、これからのことについて話し合いましょう」
「……うん」
マリンは、真っ赤な目で小さくうなずいた。ちゃんと立ち直れたら良いけど。心配だ。
「きっと、これから先は大変よ。それでも、みんなで協力すればなんとかなると思うわ」
「そうよね。私たちは、仲間なんだから」
ルシールは前向きに考えようとしている。彼女の明るさは、とても頼りになる。
「婚約を破棄された者同士の仲間ってことかしら? なんだか、嫌な響きだわ」
リゼットが不満そうに唇を尖らせる。それに対して、私は思わず苦笑いを浮かべた。
「それは否定できない事実ね。でも、それがあったからこそ私たちは仲間になれた。そうでしょう、みんな!」
「……それもそうね。それじゃあ、気を取り直して今後の方針について話を進めましょ」
私の呼びかけに応えて、みんなが真剣な表情になる。
この部屋には、未来を約束されている有望な男たちの婚約相手だった女性が集まっていた。しかし、全員が婚約を破棄されている。あのヒロインが男たちを虜にして、私たちは婚約破棄を告げられた。
同じ境遇の彼女たちを集めたのは私。同じように、原作のストーリーによって人生を狂わされた彼女たちを、私は放っておけなかった。
婚約破棄を告げられたという傷を持つ者同士で協力して、これから共に前を向いて歩んでいくつもりだ。幸せな人生を送れるように。
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