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第11話 自分の役目は ※元大神官ジャメル視点
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あの子は、生まれた時からとんでもない才能の持ち主だった。
幼い頃に才能を見出されて神殿が引き取り、実力を磨き上げた。いや、彼女は勝手に育ったという方が正しいだろう。彼女ほどの才能の持ち主など、神殿に存在しないから。実力の磨き方なんて、誰にもわからない。
それでも彼女は、あっという間にとんでもない実力を身につけた。そして今でも、怠けたりせずに成長を続けている。神殿の神官が束になっても敵わない。それほどの実力者になっていた。
歴代最高の聖女と言われているが、それは正しいと思う。
おそらくこの先、誰もあの子には敵わないだろう。神殿の連中は、そんな実力者を自ら手放した。まさか、こうなるとは彼らも予想していなかっただろう。
私も、ここまでやるとは予想していなかった。
過去に存在したが失われていた聖女の魔法を見つけ出すと、再現した。アレンジをして、使えるようにした。それだけでなく、王国全体を対象にした魔法に改良をして発動するなんて、とんでもないことをしでかす子だ。
今まで誰も考えなかったことを思い付き、実行した。それが出来てしまう彼女は、天才なのだ。
私が彼女に信頼されているのは幸いだった。だから事前に相談され、一緒に連れてきてもらえた。そうでなかったら今頃は私も、神殿に居る連中と同じように何もかも忘れて、能天気に暮らしていただろう。
そんな未来を想像すると、ゾッとする。今の私は、恵まれていることを自覚した。
「ふむ」
私は1人で物陰に姿を隠して、遠くから神殿の様子を観察していた。聖女ノエラが魔法を発動した後の神殿は、予想していたよりも落ち着いているようだった。
どうやら、聖女ノエラの代わりにエリーゼという女神官が聖女の地位を奪い取ったらしい。話に聞いていた、パーティー会場でエリック王子と一緒に居たという女だ。
話を聞く前に、彼女のことは知っていた。大神官の連中がエリック王子と交渉して、彼女を聖女に仕立て上げようとする計画を企てている。そんな情報を、事前に掴んでいたから。
エリック王子は、聖女ノエラとの婚約を破棄するために。
大神官の連中は、聖女ノエラを自分たちの傀儡にするため。
神殿の連中は愚かだな。今でも十分、聖女ノエラは神殿に貢献してきた。彼らは、十分すぎるおこぼれを貰っていた。余計なことをしなければ、地位や名誉など保っていられた。わざわざ危険を冒す必要はないのに。
しかし、大神官の連中は望んでしまった。さらに多くの地位や名誉を。
聖女ノエラが従順で文句も言わず、人々を助けるためなら何でもしてくれる都合の良い存在であると勘違いした。それで、境界線を踏み越えてしまった。
聖女から女神官に格下げして、今よりもっと自分たちの都合のいいように利用する計画は大失敗。しかも、その考えすら忘れて去って、また別の愚かな計画を練ろうとしている。神殿の大神官は、そんな状況だった。
しばらくの間は、連中もおとなしくしていると思う。だけど、すぐに動き出すだろうな。それに、エリーゼという女が聖女になったことで、色々と問題も発生するはず。このまま、うまくいくとは思えない。混乱が生じる。
どれだけの影響が出るのか。聖女ノエラが静かに暮らすためにも、こちらに被害が出ないといいけれど。それも難しそうだ。きっと、巻き込まれてしまいそう。
結局、巻き込まれる前に自分たちで動くしかない。巻き込まれた時に、自分たちの身を守れるように備えておかないと後悔する。そうならないように。
とりあえず今は、あの子が好きなように生きられるよう見守り、支援する。神殿の連中に巻き込まれないよう、常に動向を注意しておく。その間に、準備も進めよう。それが、聖女ノエラに誘われて、一緒に連れてきてもらった私の役目だろうから。
幼い頃に才能を見出されて神殿が引き取り、実力を磨き上げた。いや、彼女は勝手に育ったという方が正しいだろう。彼女ほどの才能の持ち主など、神殿に存在しないから。実力の磨き方なんて、誰にもわからない。
それでも彼女は、あっという間にとんでもない実力を身につけた。そして今でも、怠けたりせずに成長を続けている。神殿の神官が束になっても敵わない。それほどの実力者になっていた。
歴代最高の聖女と言われているが、それは正しいと思う。
おそらくこの先、誰もあの子には敵わないだろう。神殿の連中は、そんな実力者を自ら手放した。まさか、こうなるとは彼らも予想していなかっただろう。
私も、ここまでやるとは予想していなかった。
過去に存在したが失われていた聖女の魔法を見つけ出すと、再現した。アレンジをして、使えるようにした。それだけでなく、王国全体を対象にした魔法に改良をして発動するなんて、とんでもないことをしでかす子だ。
今まで誰も考えなかったことを思い付き、実行した。それが出来てしまう彼女は、天才なのだ。
私が彼女に信頼されているのは幸いだった。だから事前に相談され、一緒に連れてきてもらえた。そうでなかったら今頃は私も、神殿に居る連中と同じように何もかも忘れて、能天気に暮らしていただろう。
そんな未来を想像すると、ゾッとする。今の私は、恵まれていることを自覚した。
「ふむ」
私は1人で物陰に姿を隠して、遠くから神殿の様子を観察していた。聖女ノエラが魔法を発動した後の神殿は、予想していたよりも落ち着いているようだった。
どうやら、聖女ノエラの代わりにエリーゼという女神官が聖女の地位を奪い取ったらしい。話に聞いていた、パーティー会場でエリック王子と一緒に居たという女だ。
話を聞く前に、彼女のことは知っていた。大神官の連中がエリック王子と交渉して、彼女を聖女に仕立て上げようとする計画を企てている。そんな情報を、事前に掴んでいたから。
エリック王子は、聖女ノエラとの婚約を破棄するために。
大神官の連中は、聖女ノエラを自分たちの傀儡にするため。
神殿の連中は愚かだな。今でも十分、聖女ノエラは神殿に貢献してきた。彼らは、十分すぎるおこぼれを貰っていた。余計なことをしなければ、地位や名誉など保っていられた。わざわざ危険を冒す必要はないのに。
しかし、大神官の連中は望んでしまった。さらに多くの地位や名誉を。
聖女ノエラが従順で文句も言わず、人々を助けるためなら何でもしてくれる都合の良い存在であると勘違いした。それで、境界線を踏み越えてしまった。
聖女から女神官に格下げして、今よりもっと自分たちの都合のいいように利用する計画は大失敗。しかも、その考えすら忘れて去って、また別の愚かな計画を練ろうとしている。神殿の大神官は、そんな状況だった。
しばらくの間は、連中もおとなしくしていると思う。だけど、すぐに動き出すだろうな。それに、エリーゼという女が聖女になったことで、色々と問題も発生するはず。このまま、うまくいくとは思えない。混乱が生じる。
どれだけの影響が出るのか。聖女ノエラが静かに暮らすためにも、こちらに被害が出ないといいけれど。それも難しそうだ。きっと、巻き込まれてしまいそう。
結局、巻き込まれる前に自分たちで動くしかない。巻き込まれた時に、自分たちの身を守れるように備えておかないと後悔する。そうならないように。
とりあえず今は、あの子が好きなように生きられるよう見守り、支援する。神殿の連中に巻き込まれないよう、常に動向を注意しておく。その間に、準備も進めよう。それが、聖女ノエラに誘われて、一緒に連れてきてもらった私の役目だろうから。
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