7 / 33
第7話 コチラ側の報告 ※ギオマスラヴ王子視点
しおりを挟む
なぜ俺は怒られているのか。間違っているのは彼女の方なのに。理不尽だ。
パーティーが終わった後、父上に呼び出された。母上も同席している。婚約破棄の件について聞きたいと、事情を説明させられた。
現場に居たリザベットも、ここに連れてきたら良かったかも。彼女も、今回の件の関係者だし。
そんな事を考えながら、何があったのか問われたので正直に答えた。ようやく婚約関係を終わらせることが出来て、スッキリしたこと。あの女の悪行について。とある男爵令嬢をイジメていたこと。イステリッジ家が王家に対して、反逆の意思があるかもしれないと感じていたこと。
前から気になっていた、エルミリアの態度。疑惑は数多くある。一つ一つ話していたら、きりがない。
「……お前は」
「え?」
俺の話を聞いていた父上が突然、怒りの形相で立ち上がる。急だったので、びっくりした。父上は、僕の顔を睨みつけてきた。
「自分が何をしでかしたのか、わかっているのか!?」
「ッ!?」
怒鳴り声に驚いて、思わずのけぞる。父上は、何をそんなに怒っているのか? 理解不能だった。だけど、落ち着いて言い返す。
「お言葉ですが、父上! 私は、間違ったことはしておりません!」
「公の場で、エルミリア嬢の名誉を意図的に傷つけるように婚約破棄を告げて、しかも侮辱して! イステリッジ公爵家まで無礼に扱ったんだぞ!? それを間違っていないだと!?」
それは、彼女が間違っていたから。リザベットをイジメるような女に対して、遠慮なんて必要ないはずだ。
「でもそれは、彼女が先にリザベットのことを――」
「言い訳など、聞きたくないっ!」
「……」
父上が椅子を殴って激昂する。俺は思わず、言葉を飲み込んだ。そんなに怒ったら、何も言えないよ。黙って横で話を聞いていた母上が静かに泣き出した。なんで、泣くんだ。なんで、俺が責められるのか。
すぐにここから立ち去りたいと思う、嫌な雰囲気。
「彼ら一家を敵に回したら、どうなると思っているのだ……」
ポツリと、父親が小声で呟いた。なぜそんなに恐れる必要があるのか。俺たちは王族で、彼らは貴族じゃないか。
「イステリッジ公爵家など、王家の威光にひれ伏すだけの貴族でしょう? 恐れる必要などありません」
そう言うと、父上の表情が凍りついた。しばらく沈黙した後、静かに口を開いた。
「……お前はいつから、こんなに話が通じなくなってしまったのだ」
「……」
話が通じないのは父上の方だろう。しかし今は、大人しく黙っておく。ここで反論しても怒られるだけ。どんなに正しいことを言っても、父上は理解してくれない。
パーティーが終わった後、父上に呼び出された。母上も同席している。婚約破棄の件について聞きたいと、事情を説明させられた。
現場に居たリザベットも、ここに連れてきたら良かったかも。彼女も、今回の件の関係者だし。
そんな事を考えながら、何があったのか問われたので正直に答えた。ようやく婚約関係を終わらせることが出来て、スッキリしたこと。あの女の悪行について。とある男爵令嬢をイジメていたこと。イステリッジ家が王家に対して、反逆の意思があるかもしれないと感じていたこと。
前から気になっていた、エルミリアの態度。疑惑は数多くある。一つ一つ話していたら、きりがない。
「……お前は」
「え?」
俺の話を聞いていた父上が突然、怒りの形相で立ち上がる。急だったので、びっくりした。父上は、僕の顔を睨みつけてきた。
「自分が何をしでかしたのか、わかっているのか!?」
「ッ!?」
怒鳴り声に驚いて、思わずのけぞる。父上は、何をそんなに怒っているのか? 理解不能だった。だけど、落ち着いて言い返す。
「お言葉ですが、父上! 私は、間違ったことはしておりません!」
「公の場で、エルミリア嬢の名誉を意図的に傷つけるように婚約破棄を告げて、しかも侮辱して! イステリッジ公爵家まで無礼に扱ったんだぞ!? それを間違っていないだと!?」
それは、彼女が間違っていたから。リザベットをイジメるような女に対して、遠慮なんて必要ないはずだ。
「でもそれは、彼女が先にリザベットのことを――」
「言い訳など、聞きたくないっ!」
「……」
父上が椅子を殴って激昂する。俺は思わず、言葉を飲み込んだ。そんなに怒ったら、何も言えないよ。黙って横で話を聞いていた母上が静かに泣き出した。なんで、泣くんだ。なんで、俺が責められるのか。
すぐにここから立ち去りたいと思う、嫌な雰囲気。
「彼ら一家を敵に回したら、どうなると思っているのだ……」
ポツリと、父親が小声で呟いた。なぜそんなに恐れる必要があるのか。俺たちは王族で、彼らは貴族じゃないか。
「イステリッジ公爵家など、王家の威光にひれ伏すだけの貴族でしょう? 恐れる必要などありません」
そう言うと、父上の表情が凍りついた。しばらく沈黙した後、静かに口を開いた。
「……お前はいつから、こんなに話が通じなくなってしまったのだ」
「……」
話が通じないのは父上の方だろう。しかし今は、大人しく黙っておく。ここで反論しても怒られるだけ。どんなに正しいことを言っても、父上は理解してくれない。
170
お気に入りに追加
3,904
あなたにおすすめの小説
【完結】公爵令嬢は、婚約破棄をあっさり受け入れる
櫻井みこと
恋愛
突然、婚約破棄を言い渡された。
彼は社交辞令を真に受けて、自分が愛されていて、そのために私が必死に努力をしているのだと勘違いしていたらしい。
だから泣いて縋ると思っていたらしいですが、それはあり得ません。
私が王妃になるのは確定。その相手がたまたま、あなただった。それだけです。
またまた軽率に短編。
一話…マリエ視点
二話…婚約者視点
三話…子爵令嬢視点
四話…第二王子視点
五話…マリエ視点
六話…兄視点
※全六話で完結しました。馬鹿すぎる王子にご注意ください。
スピンオフ始めました。
「追放された聖女が隣国の腹黒公爵を頼ったら、国がなくなってしまいました」連載中!
悪役令嬢が残した破滅の種
八代奏多
恋愛
妹を虐げていると噂されていた公爵令嬢のクラウディア。
そんな彼女が婚約破棄され国外追放になった。
その事実に彼女を疎ましく思っていた周囲の人々は喜んだ。
しかし、その日を境に色々なことが上手く回らなくなる。
断罪した者は次々にこう口にした。
「どうか戻ってきてください」
しかし、クラウディアは既に隣国に心地よい居場所を得ていて、戻る気は全く無かった。
何も知らずに私欲のまま断罪した者達が、破滅へと向かうお話し。
※小説家になろう様でも連載中です。
9/27 HOTランキング1位、日間小説ランキング3位に掲載されました。ありがとうございます。
【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前
地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。
あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。
私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。
アリシア・ブルームの復讐が始まる。
妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません
編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。
最後に取ったのは婚約者でした。
ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。
【完結】要らない私は消えます
かずき りり
恋愛
虐げてくる義母、義妹
会わない父と兄
浮気ばかりの婚約者
どうして私なの?
どうして
どうして
どうして
妃教育が進むにつれ、自分に詰め込まれる情報の重要性。
もう戻れないのだと知る。
……ならば……
◇
HOT&人気ランキング一位
ありがとうございます((。´・ω・)。´_ _))ペコリ
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。
婚約って契約ですのよ、婚約者様。
よもぎ
恋愛
とある貴族家の令嬢を、婚約者は訪ねてきた。理由は婚約破棄の要求だ。先触れのなかったせいか待たされたが、令嬢は現れてくれた。何時も通りの静かな微笑みを受けながら婚約者は用件を話し出すのだが――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる