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第1章 姉妹編
閑話07 佐藤沙希とのスポーツ観戦
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「わっはっはっは!」
テンションが上がりっぱなしで気分良く、意味不明な笑い声をあげていると、優が注意してくる。
「沙希姉さん、そんな大声出してたら近所迷惑だよ」
「良いんだよ! 今日は、シーズン開幕戦だろ。特別な日なんだから、許してくれ。それよりも、私のことを呼ぶときはあ・ね・き、だろ」
「えっと、あ、あねき、ご飯は?」
まだ呼び方には慣れていないようだったが、いつかはこの呼び方を定着させたいと何度もそう呼ばせる。
優に言われたことを考える。
「んっと、試合を見ながら食べたいからさ、お皿こっちに持ってきてよ」
「もう、仕方ないなぁ……」
母さんや春姉さんが居たなら、テレビを見ながら食べるのは、行儀が悪いと言って止められる。だが今日は、家には居ないからOK。なんといってもシーズン開幕戦を後回しにすることは出来ない。一秒たりとも見逃せないから。
今年もやってきた、開幕戦を前にテンションが上がりっぱなしである。試合の前の練習が中継される中、解説が今日の試合のスターティングメンバーを読み上げる。
本当は球場で見たかった。けど、今年は優が大変だったのでチケットを買い忘れてしまったのだ。
優は倒れてから、色々と変わった。料理をするようになったし、優しくもなった。男らしく、キレイにもなった。
しばらくすると、テレビの前に置いてあるテーブルの上に、優が運んできたお皿を並べてくれる。相変わらず、食欲をそそる豪華な夕食に腹がなりそうになる。ただ、いつもよりも量が多い。
「あれっ? お皿多くないか?」
「僕も、こっちで食べようかと思って」
確かに二人分あるようだったが、おかしいことに気づく。
「紗綾と葵は?」
「紗綾姉さんは、用があるからってさっき出かけて行っちゃった。葵は部屋で寝てるみたいで、呼んでも来なかったから。それで今日は、二人きり」
「んー……、そっか。じゃ、先に食べちゃおうか」
二人でいただきますと手を合わせて、夕食を開始する。その時にちょうど、選手の守備練習が終わって、もうすぐ試合が始まる。
しかし、いつものように試合に集中できない。私の横に座って、優も一緒に夕食を食べながら試合を見ている。なんていうか、良い。男と一緒に野球観戦なんて、夢のようなシチュエーション。
「な、なぁ。優も、野球とか興味あるのか?」
「えっ? うーん、そうだなぁ。見るよりも、やる方がいいかも」
「ほ、ほんとか!? じゃぁさ、今度一緒にキャッチボールやるか?」
会話の内容が、なんとなく恋人のような雰囲気を想像させて内心で赤面する。
「いいよ、明日にでもやろう」
「そ、そうか。やるか!」
約束を取り付けて、胸中で喜びながら夕食に手を付ける。明日は、とても良い日になりそうだ。
ご飯を食べ終わり、優と一緒に試合を見る。
俺が途中で解説を加えると、優は感心したように頷いてくれた。興味深そうに試合を一緒に見てくれていた。
球場が熱気にあふれているのが、テレビを見ていても伝わってくる。
球場に行けなかったことを、やっぱり残念に思った。だが、今日一緒に優と試合を見れて良かったとも思う。
いつか優と一緒に、球場まで足を運んで試合を見に行きたいな、と思った。
「やったぁ。勝ったね!」
俺の贔屓にしているチームが勝利して、優が嬉しそうにこちらを見て言う。
「ははっ、このチームは開幕戦だけは強いからなぁ! この勢いに乗って、シーズン通して頑張ってもらいたいけどな」
そう言うと、でもやったねと何度も言って喜んでくれる。
うちの家族は、あまりスポーツを見ない。だから、こんなに共感してくれることはなかったので、家族と一緒に試合を見るというのも良い物だと思った。
「な、なぁ優。もしよかったら、明日の試合も一緒に見ないか?」
「うん、いいよ! 明日もチームを応援しよう!」
なんだか、いろいろと約束を取り付けて悪い気がした。だが、それでもうれしさの方が大きくて、優が嫌な顔をせずに約束してくれたことに女としての喜びを感じる。
やっぱり優は変わった。以前に比べて優しくなったし、以前ダメだったこともするようになった。
このままずっと、今の優のままで居てくれと願う。とりあえず、明日のために優のグローブを準備しようかな。
テンションが上がりっぱなしで気分良く、意味不明な笑い声をあげていると、優が注意してくる。
「沙希姉さん、そんな大声出してたら近所迷惑だよ」
「良いんだよ! 今日は、シーズン開幕戦だろ。特別な日なんだから、許してくれ。それよりも、私のことを呼ぶときはあ・ね・き、だろ」
「えっと、あ、あねき、ご飯は?」
まだ呼び方には慣れていないようだったが、いつかはこの呼び方を定着させたいと何度もそう呼ばせる。
優に言われたことを考える。
「んっと、試合を見ながら食べたいからさ、お皿こっちに持ってきてよ」
「もう、仕方ないなぁ……」
母さんや春姉さんが居たなら、テレビを見ながら食べるのは、行儀が悪いと言って止められる。だが今日は、家には居ないからOK。なんといってもシーズン開幕戦を後回しにすることは出来ない。一秒たりとも見逃せないから。
今年もやってきた、開幕戦を前にテンションが上がりっぱなしである。試合の前の練習が中継される中、解説が今日の試合のスターティングメンバーを読み上げる。
本当は球場で見たかった。けど、今年は優が大変だったのでチケットを買い忘れてしまったのだ。
優は倒れてから、色々と変わった。料理をするようになったし、優しくもなった。男らしく、キレイにもなった。
しばらくすると、テレビの前に置いてあるテーブルの上に、優が運んできたお皿を並べてくれる。相変わらず、食欲をそそる豪華な夕食に腹がなりそうになる。ただ、いつもよりも量が多い。
「あれっ? お皿多くないか?」
「僕も、こっちで食べようかと思って」
確かに二人分あるようだったが、おかしいことに気づく。
「紗綾と葵は?」
「紗綾姉さんは、用があるからってさっき出かけて行っちゃった。葵は部屋で寝てるみたいで、呼んでも来なかったから。それで今日は、二人きり」
「んー……、そっか。じゃ、先に食べちゃおうか」
二人でいただきますと手を合わせて、夕食を開始する。その時にちょうど、選手の守備練習が終わって、もうすぐ試合が始まる。
しかし、いつものように試合に集中できない。私の横に座って、優も一緒に夕食を食べながら試合を見ている。なんていうか、良い。男と一緒に野球観戦なんて、夢のようなシチュエーション。
「な、なぁ。優も、野球とか興味あるのか?」
「えっ? うーん、そうだなぁ。見るよりも、やる方がいいかも」
「ほ、ほんとか!? じゃぁさ、今度一緒にキャッチボールやるか?」
会話の内容が、なんとなく恋人のような雰囲気を想像させて内心で赤面する。
「いいよ、明日にでもやろう」
「そ、そうか。やるか!」
約束を取り付けて、胸中で喜びながら夕食に手を付ける。明日は、とても良い日になりそうだ。
ご飯を食べ終わり、優と一緒に試合を見る。
俺が途中で解説を加えると、優は感心したように頷いてくれた。興味深そうに試合を一緒に見てくれていた。
球場が熱気にあふれているのが、テレビを見ていても伝わってくる。
球場に行けなかったことを、やっぱり残念に思った。だが、今日一緒に優と試合を見れて良かったとも思う。
いつか優と一緒に、球場まで足を運んで試合を見に行きたいな、と思った。
「やったぁ。勝ったね!」
俺の贔屓にしているチームが勝利して、優が嬉しそうにこちらを見て言う。
「ははっ、このチームは開幕戦だけは強いからなぁ! この勢いに乗って、シーズン通して頑張ってもらいたいけどな」
そう言うと、でもやったねと何度も言って喜んでくれる。
うちの家族は、あまりスポーツを見ない。だから、こんなに共感してくれることはなかったので、家族と一緒に試合を見るというのも良い物だと思った。
「な、なぁ優。もしよかったら、明日の試合も一緒に見ないか?」
「うん、いいよ! 明日もチームを応援しよう!」
なんだか、いろいろと約束を取り付けて悪い気がした。だが、それでもうれしさの方が大きくて、優が嫌な顔をせずに約束してくれたことに女としての喜びを感じる。
やっぱり優は変わった。以前に比べて優しくなったし、以前ダメだったこともするようになった。
このままずっと、今の優のままで居てくれと願う。とりあえず、明日のために優のグローブを準備しようかな。
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